墨俣に到着した信忠軍団と五右衛門ら川並衆。
五右衛門「信忠殿。日が昇る前に城を組み立ててちまいまちょう。」
途中、噛んでしまった五右衛門。
「「「うおおおっ!!」」」
そんな彼女に興奮する川並衆。
・・・ここ、敵地だからね。
信忠「ああ。良いか皆の者!!材料は予め拵えたが、この砦の築城は時間との勝負だ!翌朝までには必ず完成させる!!」
信忠「指示は全て俺が出す!!しかし、俺もお前達と共に汗を流し組み立てる!!共に全力を尽くすぞ!!」
信忠の鼓舞に
「「「うおおおっ!!!」」」
信忠の軍団だけじゃなく、川並衆も皆奮い立ち、拳を突き上げて雄叫びを上げた。
信忠「良し!各自かかれ!」
すぐに行動を開始した。
信忠「その木の柵は東に配置しろ!そっちは南だ!」
「「「へいっ!!」」」
信忠「その材料は櫓用だ!!」
「「「承知!!」」」
信忠「そこの空堀は途中で切れ!!」
「「「ははっ!!」」」
「よーいしょ!よーいしょ!」
信忠「良し!もう少しだ!!」
信忠も、皆と共に働き、汗を流した。
そして、空が白み始めた時・・・
信忠「皆、ご苦労だった!!漸く完成したぞ!!」
勝家「やったな、理助!」
盛政「はい!やり遂げました!!」
長可「へっ!戦の前に良い汗かいたぜ!なっ、与四郎!平八!」
忠正「ああ!本当に良い汗だぜ!!」
秀隆「ちょっと!二人ともくっつかないで!!余計汚れるじゃない!!・・・全く。」
可成「ふぅ・・・老骨に鞭打った甲斐があったわい!」
墨俣に砦が完成し、皆ひとまずの達成感に満ちていた。
五右衛門「ううむ。見事でござるよ、信忠様。」
「「「うおおおっ!!信忠のアニキー!!」」」
川並衆は、信忠をアニキと呼び、皆興奮していた。
信忠「しかし、まだこれからだ。この砦を死守し、姉上を待つ!皆、気を引き締めろ!!」
「「「ははっ!!」」」
とは言え、義龍が黙ってるわけないので、攻めてきたら信奈が来るまで死守しようと、信忠は皆に言ったのだった。
その頃、義龍は稲葉山城で就寝していた。
すると
「と、殿!!一大事でございます!!」
義龍「何じゃこのような時に?」
「す、墨俣に・・・墨俣に織田の旗と城が!!」
墨俣に織田の旗と城があるとの知らせが入ると
義龍「何じゃと!?」
すぐに飛び起き、望遠鏡で覗くと
義龍「ば、馬鹿な・・・いつの間に!?」
確かに砦が出来ていた。
「何故・・・この墨俣に織田の旗と城が・・・!?」
「昨日までこのような城は無かったぞ・・・!」
「い・・・一体どうやって・・・!?」
周りも、突然目の前に城が出来たことに驚きを隠しきれず、動揺が走った。
義龍「狼狽えるな!あの旗色、信忠の旗だ!しかし、所詮虚仮威しだ!!」
義龍「良通!直元!直ちに城を落とし信忠が首刎ねよ!!」
「「ははっ!!」」
しかし義龍は、所詮虚仮威しに過ぎないと言い、直ちに攻め落とせと稲葉良通と氏家直元に命じたのだった。
「「・・・」」
長可と忠正はそれぞれ槍を担ぎながら警戒していた。
すると
「「っ!」」
前方から鬨の声が聞こえ
長可「敵、現れました!!」
忠正「ざっと見、凡そ三千程です!!」
二人は、後方にいる信忠に大声で知らせた。
信忠「・・・来たか。」
信忠は、腕を組み泰然とした姿で腰を下ろしながら呟くと
信忠「六。指揮を全て任せる!好きに動かせ!」
勝家「お任せ下さい!」
勝家に軍団の指揮を任せた。
勝家「各自、配置に付け!!」
勝家は、全軍に指示し
可成「総員備えろ!!」
盛政「構え!!」
可成と盛政は、それぞれ弓と鉄砲を構えるよう命令した。
秀隆「二人共!後ろは私に任せて、目の前の敵を討ち取りなさい!」
忠正「おうよ!与四郎!!」
長可「良しテメーら!!気合入れてけよ!!全員根切り撫で斬り皆殺しだー!!」
「「「おおーっ!!」」」
秀隆ら三人も、それぞれ兵に気合を入れていた。
五右衛門「これは・・・素晴らしい動きじぇごじゃるな・・・」
五右衛門は、信忠の軍団の士気の高さとその結束力に舌を巻いていた。
そして、義龍の先鋒隊が川を渡りきったその時
勝家「良し・・・今だ!!」
勝家は合図を出し
可成「鉄砲隊、放て!!」
可成は、鉄砲隊に一斉射撃させた。
盛政「弓隊、一斉に射かけろ!!」
盛政らも続き、矢弾の雨が降り注いだ。
「「「ギャアアアッ!?」」」
「矢弾の雨だ!!進まねば当たるぞ!!」
「「「うわああぁ!?」」」
義龍の先鋒隊は、次々と討ち取られていった。
「くそ・・・このままじゃ我らは良い的だ!」
すると
「ん?おお、ここなら・・・!」
一人が、何とか登れる空堀を見つけ、一斉にその空堀に入り侵入した。
「敵兵、侵入してきました!」
その知らせは、すぐに信忠や勝家達本陣に届き
勝家「良し!与四郎達に伝えろ!全て討ち取れと!」
「ははっ!!」
勝家は、全て討ち取るよう命じた。
長可「ヒャーッハーッ!!」
ドシュ!ザシュ!
「「「ギャアアアッ!?」」」
まず長可が、気勢を上げながら真っ先に突っ込んでいき、気合と共にそのまま敵兵の腹を貫くと、次々に撫で斬りにしていき、頬に付いた血を舐めた。
忠正「勝蔵テメェ!!抜け駆けを!!」
長可「ヘヘェッ!!んな事言ってっと、アタシが根こそぎ狩っちまうぜ!!」
忠正「抜かせぃ!」
ザシュ!ドシュ!
「「「うわああぁ!?」」」
遅れを取った忠正だが、すぐさま敵中に突っ込むと、周りの敵兵を次々に突き殺した。
彼女らの周りには、敵兵の死体で溢れかえり
「「「オラオラオラァァ!!」」
二人共大量の返り血を浴びていった。
何とか抜けられた者もいたが
「よ、良し・・・何とか抜けたぞ・・・!」
「お、おい・・・道が・・・」
「なっ!?」
堀が途中で切られており、皆戸惑い立ち止まってしまった。
その隙に
秀隆「今よ!残らず討ち取れ!!」
「「「おおーっ!!」」」
秀隆らの部隊が、一斉に攻撃を仕掛けた。
因みにこの堀の名は堀切と言い、前夜に信忠が切るよう指示した所だ。
五右衛門「何と苛烈な・・・」
五右衛門は、長可と忠正の苛烈なる特攻に絶句していたがすぐに切り替え、川並衆らと共に敵兵を斬っていった。
可成「『攻めの三左』の槍の錆となれ!!」
ザシュ!ドシュ!
「「「ギャアアアッ!?」」」
盛政「三左衛門殿に遅れを取るな!!『鬼玄蕃』の部隊の力を改めて見せつけろ!!」
盛政「はああっ!!」
ドシュ!ザシュ!
「「「ギャアアアッ!?」」」
可成と盛政らも、逆に攻めたりして敵を次々に討ち取った。
そんなこんなでやっていくと、義龍軍の先鋒隊の被害は馬鹿にならなくなった。
「攻めきれず、死傷者が増すばかりです!」
「「ぬぅ・・・!」」
先鋒を任された良通と直元の二人は、顔を歪めた。
その時
「「「わあああっ!!」」」
「な、何じゃ!?」
別の方向から鬨の声が聞こえた。
その正体は
信奈「全軍、突撃ー!!」
信奈達だった。
勝家「信忠様!姫様達です!!」
信忠「・・・流石姉上。良い時に来てくれた。」
信忠と勝家は、本隊の登場に笑みを浮かべ
信忠「六!」
勝家「はい!我らも出るぞ!!」
自分達も攻撃に加わった。
「「ひ、退け!退けぇぇ!!」」
良通と直元は、前後からの攻撃に何も出来ず、稲葉山城に退却した。
そして
信忠「姉上。良い時に来てくれました!」
信奈「当然よ!それより、墨俣築城と防衛、天晴れの一言よ!」
信忠と信奈は合流を果たした。
信奈は、弟の活躍を褒めると
信忠「全ては、六達の働きのお陰です。」
信忠は、勝家達を持ち上げ、謙遜した。
良晴「五右衛門達も、頑張ったな!」
五右衛門「相良氏も、よく来てくれたでごじゃる!」
良晴は、五右衛門達に声をかけていた。
信忠「良晴。借りてた川並衆らを返そう。感謝する。後、少し犠牲者も出してしまった。すまない。」
良晴「あ、ああ・・・お前のせいじゃ・・・」
信忠は、良晴に川並衆を返す際、犠牲者を出してしまった事を詫びるも、良晴は大丈夫だと答えた。
その時
長可「おっ!サルじゃねーか!さっきの戦いぶり、まあまあだったな!」
忠正「三左衛門殿との鍛錬の成果、でてきたんじゃねーか?なぁ、勝蔵?」
長可「おう!」
長可と忠正が、槍を担ぎながら良晴の前に現れたのだが
良晴「ああ。長可にただ・・・って、わああっ!?」
長可「ああ?何腰抜かしてんだよ、サル?」
忠正「私達、何か変か?」
良晴は、二人の姿に驚き、腰を抜かしてしまった。
それも無理はなかった。
信忠「・・・お前ら、せめて顔くらい拭いてこい。」
二人とも、血塗れで笑顔を浮かべ、他にも全身に返り血を浴びており、槍の穂先も血塗れで、滴り落ちていたからだ。
長可「いやぁ・・・すぐにでもあの稲葉山城を落とし、義龍が首をこの手で刎ねたくて・・・」
忠正「私も・・・すぐに攻めたかったので・・・って、義龍の首は私が取るんだ!」
長可「んだと!アタシが取るんだよ!」
忠正「ああ?」
長可「やんのか平八?」
二人は、信忠の前で喧嘩を始めようとしたのだが
信忠「喧嘩するなら城外でやれ。その代わり、戦には出さんぞ。」
「「すいませんでした!!」」
信忠の言葉に、二人とも一瞬にしてスライディング土下座をしたのだった。
信忠「・・・姉上。義龍は、稲葉山城に籠もりつつ、美濃各地の国衆に援軍を求めると思われます。すぐに軍議を開きましょう。」
信奈「そうね。軍議を開くわ!皆を集めなさい!」
長秀「御意。」
そして、主だった者達が集まり、稲葉山城攻略に向けての軍議が開かれたのであった。