稲葉山城攻略の為、三の丸潜入に出発した良晴。
信奈「サル・・・」
そんな彼の後ろ姿に、心配そうな表情を浮かべる信奈。
すると
信忠「そんな顔をなさりますな。皆の士気に関わります。」
信忠「大丈夫です。彼奴を信じてあげて下さい。」
信忠が、そんな姉を励ました。
信奈「ええ・・・」
信忠の言葉に、信奈は少し笑みを浮かべた。
信忠(やれやれ・・・いつの間に良晴は姉上にとってなくてはならない存在になったというわけか・・・)
信忠(良晴・・・必ず戻ってこい!)
信忠は、そんな姉の様子を見て、良晴の無事を祈ったのだった。
信奈「信忠。全軍の指揮は任せるわ。」
信忠「御意。勝蔵!平八!お前らが先鋒だ!思い切り暴れろ!」
長可「はっ!目の前の敵全て撫で斬りにしてみせます!!」
忠正「お任せ下さい!!必ずや、勝蔵より多くの首刎ねてみせます!!」
長可「良いねぇ・・・墨俣の続きといこうじゃねーか!」
忠正「おう!互いに百の首を取ったからな!今度は二百でどうよ?」
長可「へっ!その話、乗ったぜ!!」
長可と忠正は、早速競争話をし始め
秀隆「二人とも、無駄に暴走しないようにね!」
秀隆は、二人に釘を刺した。
信忠「・・・与四郎は二人の手綱を任せる。」
相変わらずの二人に苦笑いしつつ、信忠は秀隆に二人を任せ
秀隆「いつもの事です。お任せ下さい。」
信忠「頼むぞ。お前も、好きに暴れてみせろ。」
秀隆「はっ!」
武働きを期待したのだった。
信忠「三左は、三人を上手く支えつつ、敵を討ち取れ!」
可成には、三人のサポート兼戦闘を任せた。
可成「ははっ!まだ若い連中には負けておれません!」
信忠「万千代は、三の丸の門が開いたら、一気呵成に攻め立てろ!」
長秀「はっ!」
信忠「六と玄蕃は本丸攻めに加われ。また、他にも稲葉山城周辺の制圧を任せる。おっとり刀で駆けつけてくるであろう敵の援軍を撃破しろ。」
勝家「はっ!」
盛政「お任せ下さい!」
勝家と盛政には、本丸攻めと駆けつけてくるであろう敵の援軍の撃破を任せた。
信忠「良し。各自持ち場に付け!!」
「「「ははっ!!」」」
そして、皆それぞれその場を後にした。
信奈と信忠の二人っきりになると
信忠「姉上。これで宜しいでしょうか?」
信奈「構わないわ・・・ねぇ、信忠。」
信忠「はっ。」
信奈「本当に・・・サルは無事に帰ってこれるわよね?」
信奈は、再び不安な表情を見せて信忠に言った。
信忠「・・・大丈夫だと思われますよ。彼奴は案外しぶとそうな男ですし。」
信忠「それに、そんな姉上のお人柄を分かってるから、彼奴は尽くし且つ笑顔で帰れるのです。」
信忠は、良晴を信じてあげようと答えるが
信奈「そうかしら・・・」
信奈は、未だに心は晴れなかった。
信忠「最初にも申しましたが、彼奴を信じてあげて下さい。俺の事、信じれませんか?」
信奈「そんな事・・・あるわけないわ!!あなたは、幼少の頃から私を助けてくれた!!どんな事があっても、あなたは私を支え信じてくれた!!そんなあなたを信じずに、誰を信じろと言うの!」
信忠「そのお言葉、誠に有り難く。ですが姉上、ならば俺を信じて下さるように、彼奴を信じる・・・それが良いのではないでしょうか?」
信奈「でも・・・」
それでも、信奈の表情は晴れなかった。
そんな姉を見て
信忠「それに・・・彼奴は姉上の事を好いてるようですし・・・尤も、それは逆も然りのようですし。」
信忠は、姉の本当の想いを言うと
信奈「ちょっ!それはどういう事よ!?」
信奈は、信忠の言葉に動揺し顔を赤らめた。
信忠「はっはっは!言葉通りの意味です。互いに素直になれぬ者同士、良いと思いますが。」
信忠は、笑って答えた。
信奈「・・・そうかしら?私・・・アイツと・・・」
信忠「良いと思われますよ。しかし、それは後事。今は城攻めに専念しましょう。」
しかし、今は戦場なので、一旦胸にしまおうと言うと
信奈「そうね・・・頼むわね、勘九郎。」
信忠「御意。ではこれにて。」
信奈は、信忠に改めて任せ、信忠は本陣を後にしたのだった。
そして、暫くすると
「信奈様!三の丸に火が!城門も開きました!」
三の丸の門が開いたという報告が入った。
「長秀様。門が開きました!」
長秀「一気に攻めましょう!!使番!本陣に作戦成功の報告を!!」
「はっ!」
すると
良晴「長秀!待たせた!」
良晴と五右衛門らが現れた。
長秀「サル殿!よくぞご無事で!」
良晴の姿に、長秀は笑みを浮かべた。
良晴「じゃあ、後は任せるよ。」
良晴は、少し疲れたような表情を浮かべていた。
実を言うと彼、初めて人を殺したのだ。その証拠に、槍に血が付いていた。
未来では、このような血生臭い世界に遭遇した事は無く、精神的にも堪えていた。
長秀「・・・分かりました。本陣にてご休息を。」
良晴「ああ・・・」
そして、良晴は本陣に向かったのだった。
その間、織田軍は更に攻め立て、残すは本丸のみとなった。
信奈「サル!」
良晴「うおっ!」
本陣に戻ると、信奈が抱き着いてきた。
信奈「良く戻ったわ!!」
信奈は笑みを浮かべており、喜びを表現していた。
良晴「あ、ああ・・・何とかな・・・」
良晴は、突然の事に戸惑いつつ
良晴(ヤベぇ・・・良い匂いする・・・やっぱ可愛いし・・・)
近くで見る信奈の美貌に頬を赤く染めた。
すると
信奈「・・・はっ!」
信奈は、自分のやった事に気付き、慌てて離した。
信奈「と、とにかく・・・いよいよ大詰めね!残るは本丸のみと聞くし・・・」
良晴「ああ・・・義龍はどうするつもりなんだ?」
良晴は、信奈が離れてしまった事に惜しがるも、切り替えて義龍の処遇について聞いた。
信奈「殺さないわ。蝮と仲良く隠居生活を送って欲しいし・・・」
信奈は、義龍を生かそうと思っていた。
仲良く親子で隠居生活を送って欲しいというのは本当だが
良晴(爺さんに息子殺しの悪名を背負わせたくないんだな・・・)
信奈の真意を察した良晴だった。
信忠「残すは本丸のみか・・・」
信忠「皆、時は来た!!美濃の蝮、斎藤山城から我が姉織田上総守信奈に受けた国譲り状を今こそ現実にする時だ!!」
信忠「勝負は二度あらじ!!皆、奮え!!」
「「「おおーっ!!」」」
信忠の檄に、織田軍は奮い立った。
長可「おらぁ!!森の鶴紋靡かせて、尾張が一の悪侍で、信忠様の斬り込み隊長たぁ、アタシらだ!!」
忠正「我らの目前にあるのは、刈る首、刈る耳、刈る武功!!我らの戦ぁ、その目でとくと拝みやがれ!!」
長可「ひゃっはーっ!!根切り撫で斬り皆殺しだー!!」
「「「おおーっ!!」」」
先鋒のこの二人は、益々気合が入り、目を血走らせ獰猛な雰囲気を纏わせたのだった。
秀隆「二人を援護するわ!!鉄砲で敵を狙い撃て!!」
そんな二人を、秀隆は後方から鉄砲隊で援護した。
可成「全く・・・鶴丸紋の意味を分かっておるのか、あの馬鹿娘は・・・」
ザシュドシュ
可成は、娘の相変わらずの勇猛さに頼もしさを感じつつ、家紋の意味を理解出来てるのか心配になりながら敵兵を刈っていた。
勝家「かかれかかれ!!共々、かかれ!!」
盛政「権六殿に遅れを取るな!!敵を押し出せ!!」
勝家と盛政も、声を限りにして兵を鼓舞した。
そして
ドカーン!!
遂に本丸の城門が破られ
長可「刈るぜ刈るぜ!敵の首♪」
忠正「根切り撫で斬り皆殺し♪あそーれ!」
ザシュドシュドシュ!!
長可と忠正は、楽しそうに歌いながら敵兵の首を刈りまくった。
秀隆「何で敵の首を刈りながら歌ってるのよ、あの二人・・・」
ズバッ!
秀隆は、そんな二人にドン引きしつつも、襲いかかる敵兵を斬っていった。
可成「全く・・・仕方のない・・・」
ドシュ!
可成も、呆れつつも秀隆同様敵兵を刈っていた。
勝家「城内の制圧は、これで成っただろうな。」
盛政「はい。某達は・・・」
勝家「ああ。敵の援軍を叩き斬りに向かうぞ!」
盛政「はい!」
勝家「皆!稲葉山城周辺の制圧に向かう!!おっとり刀で駆けつける敵の援軍を撃破するぞ!!」
勝家「『鬼柴田』に遅れるな!!」
盛政「我らも稲葉山城周辺の制圧に向かう!!『鬼玄蕃』の力を知らしめよ!!」
「「「おおーっ!!」」」
勝家と盛政は、城内の制圧を長可らに任せ、兵を動かした。
そして
勝家「うおおおおっ!!」
ドシュドシュ!ザシュ!
「「「ギャアアアッ!?」」」
先の桶狭間の武功で信忠から賜った大身槍を豪快に捌き、次々と敵兵を刈っていた。
しかも、同じく賜ったあの馬に乗りながら暴れ回っているので、彼女の周りには敵兵の死体で溢れていた。
盛政「流石権六殿・・・しかし、某は『鬼玄蕃』!遅れは取らぬ!!」
盛政「はあああっ!!」
ザシュ!ドシュ!ザシュ!
「「「ギャアアアッ!?」」」
勝家の剛勇に刺激を受けた盛政は、馬上にて槍を捌き、敵兵を刈った。
「「「うおおおおっ!!柴田様に遅れるなぁ!!」」」
「「「我らも、佐久間様に負けるなぁ!!」」」
その他の将兵も、二人に刺激を受け、懸命に戦った。
最終的に、稲葉山城の援軍は全て撃破されたのだった。
信忠「行けぇ!!目の前の敵全て斬り捨てろ!!」
「「「おおーっ!!」」」
信忠は、搦手門を突破し陣頭にて味方を鼓舞しつつ
信忠「ふっ!」
ドシュ!
信忠「ハアッ!」
ザシュ!
槍を捌き、敵兵を討ち取った。
すると
義龍「おのれ信忠ーっ!!」
ガキィッ!
奥から義龍が現れ、刀を振り下ろした。
信忠は、槍を構え防ぎ
信忠「はっ!」
カッ
義龍「ぐぅっ!」
突き飛ばした。
信忠「義龍・・・」
義龍「信忠ぁぁ・・・!」
信忠は、相手が義龍だと分かり、槍を構えた。
対して義龍も、怒りの目を浮かばせながら刀を構えた。
因みに彼の刀の名は、有動刀と言う。
信忠(コイツの目・・・まだ諦めてないな・・・生かして捕らえても、恐らく姉上は斬らないだろうな。蝮に息子殺しの罪を背負わせないために・・・)
信忠は、姉の真意を察しつつ
信忠(けど、此奴が生きてる限り、何度も俺達の邪魔をするだろうな・・・それじゃあ駄目だ・・・姉上には申し訳ないが、ここで討ち取るが賢明だろう・・・)
義龍を討ち取ろうと思っていた。
実を言うと、彼は義龍を生かすつもりは無く、その為本丸の搦手門にいたのだ。
義龍「うおおおおっ!!」
ガギン!
義龍が一気に突貫し、信忠は槍で再び防ぎつつ
信忠「やぁっ!」
義龍に穂先を向けて突こうとした。
しかし
ガンッ!
義龍はその攻撃を捌くと
義龍「やあああっ!」
シュパッ!
槍を握り、穂先の辺りを真っ二つに斬った。
槍を斬られた信忠は、その残骸を捨て冷静に星切を抜き、構えると
義龍「うおおおおっ!!」
信忠「はああっ!!」
キィン!
再び激しくぶつかり合った。
そして
信忠「はああっ!!」
ズバッ!
義龍「ガハッ!」
信忠が、義龍の横腹を斬り、義龍は膝を付いた。
信忠は、星切を突きつけ
信忠「潔く・・・死ね。」
冷徹に言った。
しかし
義龍「ま・・・まだだ・・・俺は・・・まだ・・・負けておらぬ!うおおおっ!!」
義龍は諦めておらず、何とか立ち上がると有動刀を構えて再び攻撃しようとしたが
ズバッ!
義龍「グハッ!」
信忠は躊躇いもなく一太刀で義龍の首を刎ねたのだった。
首を拾った信忠は、それを天に掲げた。
すると
「「「うおおおおっ!!」」」
信忠軍団の将兵は、皆雄叫びを上げたのだった。
こうして、稲葉山城は落ちたのであった。