うつけ姫の弟   作:ホークス馬鹿

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小豆坂の戦いです。


小豆坂の戦い

信奈と信忠が元服して暫くが経った頃

 

「申し上げます!今川軍がこちらに向かっております!その数一万です!」

 

今川が攻めてくるとの知らせが入った。

しかも、一万という大軍だ。

 

信秀「おのれ・・・軍議を開く!皆を集めよ!」

 

こうして、信秀は今川を迎え撃つ為、軍議を開いた。

因みにその際

 

信奈「今川が攻めてきたらしいわね・・・!」

 

信忠「そのようですね。流石は今川、かなりの数です。」

 

信忠達も軍議に参加していた。

そして、軍議の結果

 

信秀「出陣し、今川を蹴散らすぞ!小豆坂で迎え撃つ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

信秀「信忠!お前はワシと共に来い!」

 

信忠「はっ!」

 

小豆坂で今川軍を迎え撃つ事に決まり、信忠を連れて行く事に決まった。

 

信奈「ちょっと父上!私はどうするのよ!」

 

しかし信奈は

 

信秀「お前はしっかり那古野城を守れ!良いな!」

 

留守番となった。

 

信奈「何でよ!何で信忠は良くて、私は駄目なのよ!」

 

この決定に、信奈は納得いかず、怒りを露わにした。

すると

 

信忠「姉上。」

 

信忠が彼女の肩に手を置き

 

信忠「父上にも父上なりの考えがあるのです。ここは一つ・・・」

 

信奈を落ち着かせ

 

信忠「俺が姉上の分まで勇を奮いますから・・・」

 

姉の分まで頑張ると言った。

 

信奈「・・・分かったわよ。」

 

信奈は、納得はいかなかったが、弟に言われると何も言えず、大人しくなった。

そして

 

信秀「出陣じゃー!」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

信秀は、出陣した。

 

信忠「六も思い切り暴れろ!」

 

勝家「お任せ下さい!」

 

そんな中で

 

??「はっはっは!若、ワシも忘れてもらっては困りますぞ!」

 

1人の中年の武将が、馬上で十文字槍を担ぎながら答えた。

 

信忠「分かっている。頼りにしてるぞ、三左。」

 

信忠は、笑みを浮かべてその武将に言った。

彼の名は森可成。信奈と信忠が幼少の頃から織田家に仕えており、今は信忠の家臣となっている。

通称は三左衛門で、信忠からは親しみを込めて「三左」と呼ばれ、十文字槍の使い手で武勇の誉れ高く、「攻めの三左」の異名で敵に恐れられている。

 

信忠「ところで三左。此度の戦に、娘を連れてると聞いたぞ。」

 

可成「おお!若もお耳が早い!然様。ワシの娘は此度の戦が初陣でございまして、親贔屓抜きでワシ譲りの武勇、特に槍の腕を持っております。」

 

可成「加えて、娘の友で、団平八郎忠正という者もおり、此奴も初陣ですが、中々な実力の持ち主です。」

 

信忠「そうか・・・それは楽しみだ。」

 

そして、信秀達は小豆坂に到着した。

一方その頃、信奈はと言うと

 

信奈(父上・・・何で私を子供扱いして・・・信忠は戦に行かせてる癖に・・・!)

 

那古野城で一人、イライラしていた。

すると

 

信奈「決めたわ!」

 

信奈は立ち上がって、その場を颯爽と立ち去ったのだった。

彼女がいなくなった後

 

長秀「姫様!?」

 

あの元服の時に出てきた知的なお姉さん風美少女が部屋に入り、信奈がいないと気付き、驚きの声を上げた。

今は万千代から元服し、丹羽長秀と名乗る彼女は

 

長秀「まさか・・・!」

 

信奈がどこに向かったか察し、慌てて城を後にしたのだった。

その頃、信秀達は

 

信忠「相変わらず、ここは少し視界が悪いな・・・」

 

勝家「はい。松林が多い場所故・・・起伏も激しい坂道が多いですし・・・」

 

小豆坂に到着していた。

信忠は、小豆坂を注意深く目を光らせていた。

すると

 

信忠「・・・」

 

ある一点を見つめていた。

 

勝家「如何なさいましたか?」

 

勝家は、どうしたのか尋ねると

 

信忠「・・・あの辺り、伏兵を潜ませるのにもってこいだな・・・」

 

伏兵を配置させるのに都合の良い場所だと言った。

 

可成「ほぉ・・・確かにここに伏兵を置けば、敵に大きな損害を被らせますな・・・」

 

信忠「ああ・・・俺はこの事を父上に報告する。ここは任せる。」

 

可成「御意。」

 

勝家「畏まりました。」

 

そして、信忠は本陣に戻り

 

信忠「父上。ご報告があります。」

 

信秀「信忠か。どうした?」

 

信忠「この先、伏兵を配置するのに絶好の位置があります。そこに伏兵を潜ませて下さい。」

 

伏兵の配置許可を求めた。

 

信秀「ふむ・・・分かった。では伏兵の指揮をお主に与える。攻める時機は任せるぞ。」

 

信秀は、信忠の意見を採用し、伏兵部隊の指揮を信忠に任せた。

 

信忠「はっ!ではすぐに!」

 

信忠は、頭を下げるとすぐに本陣を後にした。

そして

 

信忠「戻った。」

 

可成「お帰りなさいませ。」

 

勝家「それで、大殿は?」

 

信忠「伏兵配置の許可を得た。その部隊の指揮も俺に任せるとの事だ。」

 

勝家「おお!」

 

可成「はっはっは!これは腕が鳴りますな!」

 

信忠「ああ。皆も勇を奮ってくれ!」

 

信忠は皆を二手に分け、自らは勝家と共に右翼の部隊を率い、潜ませた。

その中に

 

??「良し・・・必ず活躍するぞ!」

 

一人の少女が、気合を入れていたのだった。

一方の左翼は、森可成が率いて潜ませ

 

可成「勝蔵。分かっておるが、功を焦るでないぞ。」

 

長可「分かってるよ、親父!アタシに任せなって!」

 

その際、獰猛な雰囲気を纏う一人の少女に声を掛けた。

この少女こそ、可成の娘で、名を森長可。通称は勝蔵と言う。

見ての通り気性が激しく好戦的で、少々危なっかしい一面がある。

その隣には

 

??「勝蔵。私とどれだけ首級挙げられるか競争しようか?」

 

長可同様どこか獰猛な雰囲気の少女が隣にいた。

この少女は、団忠正と言い、通称は平八郎と言う。

同じく好戦的で気性が激しい性格で、よく長可とつるんでいる。

 

長可「良いねぇ・・・その話、乗ったぜ、平八!」

 

可成「この馬鹿者共が!!程々にせい!!」

 

「「ヒィッ!」」

 

可成は、そんな若い二人を嗜めたのだった。

そして

 

「良し!かかれー!」

 

戦が始まった。

戦いは一進一退の攻防を繰り広げ、敵味方問わず多くの死傷者が出た。

 

信秀「良し!前進せよ!」

 

頃は良しと見た信秀は、本隊を前進させ今川軍に攻撃を仕掛けた。

その様子を見て

 

信忠「父上の部隊が攻撃を始めたようだな・・・」

 

勝家「そのようですね・・・」

 

信忠達はじっくりと戦況を見ていた。

そして

 

「信忠様!大殿率いる本隊が後退しました!」

 

信秀率いる本隊が後退したのを見て

 

信忠「良し・・・頃合いだ!六!」

 

勝家「はっ!突撃!かかれー!!」

 

信忠は攻撃を仕掛けた。

 

勝家「おりゃぁぁー!」

 

勝家は、果敢に槍を振り回して敵兵を突き殺したり、薙ぎ払ったりした。

一方の可成達も

 

可成「若が攻撃を始めた!ワシらも続くぞ!かかれー!!」

 

突撃の合図をした。

 

長可「よっしゃー!!暴れまくってやるぜー!!」

 

忠正「おうよー!!」

 

長可と忠正は、待ってましたと言わんばかりに十文字槍を担いで今川軍に突っ込み

 

長可「あーっはははー!オラオラオラァ!!」

 

忠正「はっはっはー!!皆殺しだー!!」

 

返り血を大量に浴びながら敵兵を殺したりした。

 

可成「あの馬鹿共は・・・世話が焼けるな・・・ったく・・・」

 

可成は、娘達の猛進ぶりに頼もしさ半面、危なっかしさに苦笑しつつも次々に敵兵を突き殺したりした。

この突然の奇襲に

 

「な、何だ・・・左右から敵!?」

 

「「う、うわぁぁぁ!!」」

 

今川軍は大混乱に陥った。

 

ズバッザシュ

 

信忠も、涼しげな表情で敵兵を斬り殺したりしていた。

そんな中で

 

??「はっ!やあっ!とぉっ!」

 

ズバッザシュ

 

信忠の部隊にいたあの少女が、今川兵を次々と斬りまくっており、無双していた。

 

信忠「おい、六!」

 

ズバッ

 

勝家「何でしょう、信忠様!」

 

ドシュ

 

信忠「アイツは何者だ?」

 

その少女を見た信忠は、勝家を呼び背中合わせになりながら次々と敵兵を斬り、突き殺したりしながら彼女は何者か尋ねた。

 

勝家「彼奴は河尻与四郎秀隆と申します。岩崎村出身の者で、中々腕も良い為、私も気に入っております。」

 

彼女の名は河尻秀隆。岩崎村出身の下級武士で、勝家も気に入ってる者だった。

 

信忠「戦が終わったら、俺の元に連れて来い。あのままにしておくのは勿体ない。」

 

勝家「確かに彼奴の実力で今のままでは勿体ないですね。畏まりました。」

 

信忠は、戦後すぐに連れてくるよう勝家に言ったのだった。

そして、激戦の末

 

「た、退却だー!!」

 

「ひ、退け退けー!!」

 

今川軍を撃破したのだった。

戦後

 

勝家「信忠様。河尻与四郎秀隆をお連れしました。」

 

信忠「ああ。ご苦労だった。」

 

勝家は、河尻秀隆を連れて来た。

 

秀隆「お初にお目にかかります。河尻与四郎秀隆でございます。」

 

信忠「呼び出して済まなかったな。面を上げろ。」

 

秀隆「はっ!」

 

秀隆は、信忠に言われた通り顔を上げた。

その表情は、何故ここに自分が呼ばれたのか不思議に思っている感じだった。

 

秀隆「信忠様。私如き下級武士に一体何の用でございますか?」

 

その為、正直に何の用か尋ねた。

 

信忠「ああ。此度の武働きは見事だった。実に天晴れだ。」

 

秀隆「あ、有難きお言葉!」

 

まず、信忠は秀隆の働きを褒め称え、秀隆は嬉しさに少し動揺しながらも受け止めた。

 

信忠「六もお前の事随分と気に入ってると聞いた。そこでだ、此度の武働きを見込んで、お前を今日から俺の直臣として迎え入れようと思う。お前の実力、今の身分では勿体無い。」

 

そして、信忠は彼女に対し、自分の直臣として迎え入れる事を伝えた。

この言葉に、秀隆は驚きで目を見開いた。

下級武士から織田の御曹司の直臣となるという破格の出世を果たしたのだからだ。

 

秀隆「み、身に余る光栄でございます!!この河尻与四郎秀隆、信忠様に絶対の忠誠を誓います!!例え行く先が地獄でも、喜んでついて行く所存です!!」

 

秀隆は、喜び信忠に感謝の言葉を伝え、絶対の忠誠を誓ったのだった。

 

信忠「頼りにしているぞ。その力で、俺を助けてくれ。」

 

秀隆「ははっ!」

 

信忠「下がれ。」

 

そして、秀隆を下がらせた。

その入れ違いに

 

長可「お初にお目にかかります。森勝蔵長可でございます。」

 

忠正「団平八郎忠正でございます。」

 

今度は長可と忠正が現れた。

・・・返り血を浴びたままだったが。

 

信忠「二人共、面を上げろ。」

 

「「はっ!」」

 

すると

 

信忠「・・・どこか怪我でもしてるのか?」

 

信忠は、長可と忠正が怪我してると思い尋ねた。

それだけ返り血が酷かったのだ。

 

長可「ああ・・・これは今川の兵の返り血ですから、大丈夫大丈夫。」

 

忠正「そう言う事です。」

 

二人は、敵の返り血だから心配ないと返すも、態度が少し悪かったので

 

可成「・・・」

 

勝家「むっ・・・」

 

可成は、少し眉間に皺を寄せ、勝家は彼女を鋭く睨んだ。

 

信忠「・・・そうか。」

 

信忠「それはさておき、此度は初陣ながら随分と活躍したそうだな。」

 

長可「へっ!いやぁそれ程でも・・・!」

 

忠正「へへっ!」

 

信忠の褒め言葉に、長可と忠正は笑みを浮かべて答えたのだが、素に近い態度だった為

 

ドカドカッ

 

長可「ってぇ!!」

 

忠正「っつ〜!!」

 

可成「この戯け!先程から若に対してなんて態度じゃ!」

 

可成に鉄拳を喰らった。

 

可成「若!娘達が大変申し訳ございません!」

 

長可「何すんだよ、親父!」

 

忠正「痛いじゃないですか、三左衛門様!!」

 

可成「黙っておれ!まったくお主達ときたら・・・!」

 

信忠「待て三左。その話は後だ。」

 

可成「も、申し訳ございません。」

 

信忠は、このままでは話が進まないと思い、可成を止めた。

 

信忠「森勝蔵長可。団平八郎忠正。此度の働きを見込んで、お前達を今日から俺の直臣として迎え入れたい。」

 

「「えっ!?」」

 

信忠は、次は長可と忠正も直臣に迎え入れると言い、二人は驚きの表情を浮かべた。

 

長可「あ、アタシが・・・直臣に・・・!?」

 

忠正「ほ、本当・・・ですか?」

 

信忠「そうだ。それに相応しい力があると判断した。」

 

信忠の言葉に、長可と忠正は時が止まったかのように固まっていたが

 

可成「勝蔵。平八。」

 

可成に声をかけられ、漸く反応すると

 

長可「ありがたき幸せです!アタシの力、存分に使って下さい、信忠様!」

 

忠正「私も存分に使って下さい、殿!」

 

長可と忠正は、喜びの声を上げて忠誠を誓った。

 

信忠「下がれ。」

 

長可は、その場を後にした。

 

勝家「信忠様、宜しいのですか?河尻は兎も角、三左衛門殿の娘と団忠正たる者を直臣にするなんて・・・ましてやあのような・・・」

 

勝家は、長可と忠正の態度に少し不満だった。

 

信忠「言いたい事は分かる。三左、任せるぞ。」

 

信忠は、長可と忠正の教育は可成に任せた。

 

可成「お任せ下さい。しっかり叩きつけて教えますので。」

 

信忠「・・・程々にな。」

 

可成の雰囲気に、信忠は内心苦笑した。

その時

 

「申し上げます。大殿がお呼びでございます。」

 

信忠「分かった。すぐに向かう。」

 

信秀に呼ばれ、本陣に向かったのだった。

本陣に到着すると

 

信秀「おお、来たか!!天晴れだったぞ、信忠!此度の勝ち戦はお主のおかげじゃ!」

 

信秀は、機嫌良さそうな笑みで信忠を褒めた。

周りも

 

「いやぁ、流石は若君ですね!」

 

「うむ!織田家も安泰です!」

 

信忠の活躍に笑みを浮かべていた。

 

信忠「ありがたきお言葉。しかし、此度の戦は俺の伏兵配置の策を受け入れた父上の迅速な決断があってこそでございます。」

 

しかし信忠は、信秀がしっかり意見を受け入れ決断したおかげだと言った。

その時

 

信奈「勝ち戦おめでとう、父上!信忠!」

 

信奈が突然、本陣に現れたのであった。

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