うつけ姫の弟   作:ホークス馬鹿

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さらば信秀です。


さらば信秀

病を押して出陣した信秀。

 

信忠「最後の戦だと?そのような事を言ったのか?」

 

可成「はっ・・・大殿は、ご自身がもう長くないと悟ったのです・・・」

 

信忠「・・・父上。」

 

信忠は、眉間に皺を寄せながら話を聞いており

 

「「「・・・」」」

 

勝家達も、そんな信忠に何も言えなかった。

一方信奈達も

 

信奈「父上が・・・?」

 

長秀「はっ・・・恐らく大殿は、長くないと悟ったのでしょう・・・」

 

信奈「・・・馬鹿父上!」

 

複雑な表情を浮かべていた。

一方今川方は

 

「な、何じゃと!?」

 

(信秀自ら出陣してるだと?奴は重病ではなかったのか?)

 

信秀出陣と聞き、驚いていた。

重病だと聞いていたからだ。

 

信秀(皆、思い込むが良い・・・信秀は健在だと!!)

 

信秀「かかれぇー!!」

 

そして、信秀の身体を張った指揮に、今川軍は木っ端微塵にやられてしまった。

その後、信秀は凱旋するも

 

ドサッ

 

「「「大殿!?」」」

 

無理が祟ったのか、そのまま倒れてしまったのだった。

数日後

 

信忠「急ぐぞ、六!!」

 

勝家「はい!!」

 

信忠は、いつになく焦った表情を浮かべながら、馬を走らせていた。

その訳は、先程届いた知らせが原因だった。

その知らせは

 

『大殿、危篤』

 

だった。

知らせを聞くや、すぐに飛び出し、今に至る。

その同時期に

 

信奈「はっ!」

 

信忠「姉上!」

 

信奈も長秀と一緒に馬を走らせながら現れ

 

信奈「急ぎましょう!父上が・・・!」

 

信忠「はい!」

 

共に馬を走らせたのだった。

そして、末森城に到着し

 

「「父上!!」」

 

信秀の寝室に入った。

するとそこには

 

信秀「来たか・・・信奈・・・信忠・・・」

 

いつになく弱々しく窶れた、信秀がそこにいた。

 

信奈「父上・・・!」

 

そんな信秀を見るや、信奈は真っ先に傍に寄った。

 

信忠「他の皆は・・・?」

 

信忠は、他の皆がいない事に不審を抱くも

 

信秀「お前達だけに知らせた・・・最期に・・・お前達とゆっくり話がしたくてな・・・」

 

二人だけ呼んだのだと信秀は答えた。

 

信秀「信奈・・・信忠・・・お前達は・・・何を目指す?」

 

信秀は、信奈達に目標を尋ねると

 

信奈「私は天下を目指すわ。」

 

天下を目指すと即答した。

 

信秀「ふっ・・・夢は大きく・・・というわけか・・・」

 

信奈「夢などではないわ。私なりに考えて分かったのよ。この尾張を統一すれば、その可能性はあるわ。」

 

信奈「ここ尾張は、農業にも商業にも適し・・・取り分け税収が多いのは言うまでもないわ。私はその金を最大限に活かすつもりよ!」

 

信忠「そして、『常備兵』を新設致します!俺が独自に率いている子飼いの兵がそれです!すぐに出陣でき、時期問わずに戦が可能です!」

 

信忠「また、『長槍』と『鉄砲』を大量に導入し、更なる強力な軍を作ります!これらは、まだ数は少ないですが既に実戦で証明済みです!」

 

信奈「更に、家柄よりも能力を重視し、最強の家臣団を作り、この尾張を纏め、古い因習を全て壊し、新たに作り直してこの日本全てを統一し、南蛮に負けない強い国を作るのよ!」

 

二人は、力強く何を成すかを語った。

 

信秀「ふふ・・・考えが追い付かぬわ・・・お主ら・・・誰かに教わったのか?」

 

信秀は、考えが追い付かないながらもちゃんと耳を傾けていた。

 

信奈「いいえ。皆が囚われている常識や慣習を取っ払って考えただけよ。」

 

信忠「俺は、父上や皆が行っている戦を見て、考えただけです。」

 

二人は、今までの常識を見て、どうやれば良い方向に導けるか考えたのだと答えた。

 

信秀「成程・・・なら・・・ワシは草葉の陰でお主らの野望を見る事にするか・・・」

 

信秀は、自分の事はよく分かってるため、二人の夢は死後の世界で見ようと思ったのだ。

 

信奈「何言ってるのよ!私が天下を取るまで・・・いや、せめて尾張を統一するまで生きていなきゃ駄目よ!」

 

しかし信奈は、そんな偉大な父に死んで欲しくないと思い、涙を零し詰め寄って叫んだ。

 

信忠「姉上・・・!」

 

そんな姉に、信忠は肩に手を置き抑えた。

 

信秀「・・・長秀と勝家はいるか・・・?」

 

「「ここに!」」

 

すると、信秀は長秀と勝家を呼び

 

信秀「長秀・・・勝家・・・二人を頼むぞ・・・」

 

信奈と信忠を任せると言った。

 

長秀「・・・お任せを。」

 

勝家「はっ!お任せ下さい、大殿!」

 

長秀は堪えるように、勝家は涙を流しながら頭を下げた。

 

信秀「暫く・・・一人になりたい・・・下がれ・・・」

 

信忠「はっ。」

 

信奈「良い!!勝手に死んだら承知しないからね!!分かった!!」

 

信忠「姉上!」

 

信奈と信忠は、長秀と勝家らと共にそのまま寝室を後にした。

一人になった信秀は

 

信秀「良かった・・・良かった・・・信奈は・・・大うつけなどではなかったぞ!!」

 

信秀「大志も!!知恵も!!人としての情も!!周りの目を欺く狡猾さも持ち合わせている!!信忠も、やはり類い稀なる将才!ワシの目に狂いは無かったわ!!」

 

信秀「これでワシの勝ちじゃ!!尾張中の者達、見たか!!はっはっはっは!!」

 

涙を流し、喜びの声を上げたのだった。

そして、その数日後

 

 

 

 

 

長秀「姫様・・・大殿が・・・」

 

信奈「・・・うわああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

勝家「信忠様・・・」

 

信忠「・・・ご苦労だった。下がれ、一人になりたい。」

 

勝家「はっ!」

 

信忠「・・・父上!」

 

 

 

 

 

 

織田信秀、永眠。

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