異世界ウォーカー   作:お粥のぶぶ漬け

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第3話

 

十七歳の半ば。シアン・ウォーカーは、オルクス大迷宮の深淵で人知れず変貌を遂げていた。

「人間を辞める儀式」を経て人外の力を得た彼は、奈落一層での連日の死闘を通じ、手に入れた力を「戦技」へと昇華させていた。

九年間の研鑽が結実した**【繰糸術】は、昇華された鋼糸を指先一つで思考の如く操り、対象を斬り、縛り、あるいは盾とする。さらに、想定外の接近戦では展開していた鋼糸を「高速錬成」で一本の太い束へと凝縮。瞬間的に「圧縮」と「昇華」を施すことで、単管パイプの如き無骨な金属塊へと姿を変え、魔物の頭蓋を粉砕する。その積み重ねが、【杖術】、そして合理的かつ洗練された【体術】**を彼に開花させた。

だが、今の装備ではその人外の動きに追いつけない。シアンは自身の技能を十全に発揮するため、新たな装備の錬成に着手した。

狙うは、物理硬度8を誇り、衝撃と熱に対して無類の耐性を持つ漆黒の希少鉱石、**「タウル鉱石」**である。

 

(今の俺の精密錬成なら、この硬度を保ったまま『布』として織り上げられる)

 

シアンは「昇華」を乗せた精密錬成により、不純物を排した純粋なタウル鋼を抽出。極細の繊維へと引き延ばすと、複雑に編み込み、何層にも重ね合わせた。

完成したのは、光を反射しないマットな黒で統一された**「フード付きの上着とズボン」**。見た目は柔らかな布服に過ぎないが、その実態は、軽量でありながら常に全身鎧を着込んでいるに等しい防護能力を備えた「影の鎧」である。

足元を支える**「靴」は、現代の鉄板入りブーツのような構造とした。つま先から踵までタウル鋼の芯材を仕込み、高強度の運動でも簡単に擦り減らない。靴底には「錬成陣」を直接刻印し、裏面には隠密と瞬発力を阻害しない程度の短いスパイク**を等間隔に配置した。

手元には鋼糸操作を補助する**「手袋」**。甲には靴と同様、実用本位の錬成陣が刻まれている。

さらにシアンは、腰に丈夫な**「レザーベルト」を巻き、その右側に「タウル鋼を拳大の球状にしたもの」を2つ**装着した。

手前の球体は、戦闘において鋼糸や単管パイプへ錬成するためのメインの素材源として使用し、いざとなればそのまま強力な投擲武器とする。後ろ側の球体は、糸や杖以外の武装が必要になった際や、素材を使い果たした時のための完全な「予備」である。

一切の装飾を排した漆黒の姿。それは、奈落の闇に溶け込み、あらゆる攻撃を弾き返しながら、死神の如き糸と打撃を繰り出すための完成形であった。

 

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シアン・ウォーカー 17歳 男 レベル:12

天職:錬成師

筋力:450

体力:420

耐性:380

敏捷:350

魔力:650

魔耐:480

技能:錬成 [+鉱物系鑑定] [+精密錬成] [+抽出錬成][+鉱物系探査] [+鉱物分離] [+鉱物融合] [+複製錬成] [+圧縮錬成]• 魔力操作 [+魔力放射] [+魔力圧縮] [+遠隔操作]• 隠密• 言語理解• 纏雷• 天歩 [+空力] [+縮地]• 胃酸強化• 繰糸術• 体術• 杖術

固有魔法:昇華

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「……これで、器は整った。次は拠点の構築か」

 

漆黒のフードを深く被り、シアンは腰の鋼球の重みを指先で確かめ、静かに深淵を見据えた。タウル鋼の強靭さを纏ったこの衣は、彼が深淵で振るう「最強の矛」を支える確固たる基盤となった。

十七歳のシアン・ウォーカー。

彼は奈落の闇を自らの工房とし、来るべき運命の日に向けて、着実に準備を整え続けていた。

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