エゴイストの成長を見届けたかった   作:miyata

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最近見たもので面白かったのは韓国ネキのベロ凛コスプレ
凄かったです。



【ネオエゴイスト編:第三試合】

 

 

【Side:・・・】

 

 

「こんばんは、えっと。雪宮君だよね」

 

 

「…あぁ。確かお前は江戸川…」

 

 

「うん」

 

 

練習場には、雪宮と江戸川の二人だけだった。他の面々は練習を終え、シャワーを浴びに行っていた。

 

 

「何の用だ」

 

 

雪宮は江戸川を睨む。雪宮はタイムリミットがある中で、一分一秒が惜しい気持ちだった。

 

 

「何って、ちょっと遊びにきただけ」

 

 

「ッふざけんな!俺は忙しいんだ!レギュラー入りしたお前にはわからないだろうが、

俺にはもう時間がないんだよ」

 

 

「そうなんだ」

 

 

「…用がないなら出て行けよ!!」

 

 

「なんで雪宮君はそんな生き急いでるの」

 

 

「は…?」

 

 

無の表情で江戸川は淡々と続ける。

 

 

「見ていて思ったんだけど。君の命を燃やすようなサッカー。

ああ、早くしないと俺は死んでしまう…その前に早く、早く勝たないと。ゴールを入れないと────

お前は死ぬ」

 

 

「ッお前に何が────」

 

 

「なんちゃって」

 

 

「…は?」

 

 

「俺はお前の事なんにも知らないけどさ。感情も大事だと思うけどさ、

何事も地道にってやつよ」

 

 

「なんなんだよ…」

 

 

「とりあえず、一緒にサッカーやらない?」

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

「まーこんなもんか」

 

 

「はぁ…ッはぁ…」

 

 

息も絶え絶えにコートに倒れ込む雪宮。それを見下ろす江戸川。江戸川の技術力でしばらくあしらい続けたことで、ある程度も問題点は明らかになっていく。

 

 

「技術は良いよね。パス、ドリブル、シュート。

これから出来ないことを地道にやればなんとかなると思う…」

 

 

「クソ…ていうか、お前三次セレクションにいたか…?それともU-20のスタメン?」

 

 

「俺BL側。三次は体調不良で欠席したんで」

 

 

「俺は、何が足りないんだ…」

 

 

「技術は良いとは思うけど…。焦る気持ちが先行していっちゃってるのが勿体ないとは思うよ」

 

 

「それって具体的にどんな…」

 

 

「うーん。それは今度の試合でわかるんじゃね。このままいけばスタメン入るだろうし

…そうだ、もう一回1on1しよう、それで雪宮君が勝ったら君の要望に全て応える、俺が勝ったら雪宮君の秘密知りたいな」

 

 

「…は?」

 

 

「なんで、君はそんなに生き急いでるのかなって」

 

 

「…。そんな事聞いてお前に何の得があるんだ。一刻も早く俺は強くならなきゃいけないんだ、俺は利用できるものはなんだって利用する。いいよ、絶対勝つ」

 

 

始まった1on1だが、既に疲労困憊な雪宮も奮闘するが、成す術なく負けてしまった。江戸川は雪宮が口を開くのを待っていたが、一向に何も話さない雪宮。流石にカメラのあるフィールドじゃ話せないかもしれない、とのことでトイレに移動したが、雪宮は無言のままだった。

 

 

「俺が勝ったわけだけど。そんなに嫌?」

 

 

「…」

 

 

「…。話せば物事を整理する機会にもなるかと思ったけど。言いづらいこともあるよね。ごめん────」

 

 

「…俺は」

 

 

そこから、雪宮は自身の事情をポツポツと話し始めた。疲労による視野狭窄。いずれ失明する運命にあるということを。タイムリミットまでにW杯で優勝を成し遂げねばならないことを。雪宮にとっては自身の弱点を晒しているようで、あまりいい気分ではなかった。

 

 

「そっか。話してくれてありがとう」

 

 

「…ここじゃただの言い訳でしかないからな。初めてだよ、誰かに話したのは」

 

 

「こういうの話しにくいよね」

 

 

「言わなくても判っているとは思うが────」

 

 

「勿論、誰にも言わないよ。こんな事情聞いちゃったなら、俺雪宮君の練習いくらでも付き合うよ」

 

 

「助かる」

 

 

雪宮にとってこの告白は、途轍もない緊張を感じていたが、今一度自分の原点を確認する機会にもなった。自分は、タイムリミットが迫る前に足掻かなければならない。誰かの手を借りてでも着実に前に進まないといけない。

 

 

「でもやっぱ、似た匂いがしたのは間違いなかった」

 

 

「それって」

 

 

「俺と違ってお前は、まだ猶予はあるみたいだけど」

 

 

困惑した雪宮に今日はもう遅いから、終わろうと江戸川は言い、雪宮に背を向けて歩き去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side:有馬】

 

 

 

今日も汗をそれなりにかいたし、頑張った。いつもサッとシャワーで済ませてるけど、

あ~~~~たまには湯船入りたいな。合同訓練の後に自主練をしていたらこんなに遅い時間になってしまった。暖房が付いているとはいえ、真冬だから寒い。足先から暖まりたい。

時刻も深夜の1時で消灯時間は過ぎているので、よし、行こう!

 

24時間風呂が空いてる状態なので本当に助かる。予想通り誰もいなかったので、ゆっくりしよう。

変装用のタトゥーを隠すシールは、湯船につかると取れちゃうので外す。伊達メガネは一応持っていこう。

 

こんなに広い場所を独り占めできるなんて最高。あ~気持ちいい。寝そう…。

 

…なんか、脱衣所からガサゴソ音が聞こえる。

 

 

「あ!江戸川!」

 

 

タオルで咄嗟に鎖骨のタトゥーを隠す。

あっぶねえ~。

 

 

「潔君か…どうしたこんな時間に」

 

 

「いやさ、イガグリに飲み物溢されて服がびちょびちょになっちゃってさ」

 

 

「またかよあいつ…」

 

 

イガグリマジ。頭ぐりぐりしたい。何回目だよ。

 

 

「またお前こんな遅い時間帯に風呂入っているのか。結構遅い時間帯なのに」

 

 

「一人が落ち着くんだよーー」

 

 

湯船に長時間浸かれることがここ最近の楽しみの一つなんだ。もう上がろうかと思ったけど、何となく潔と話してみようと思った。

 

 

「そういえば。オファー獲得おめでとう。バーサークドルトムントからだよね」

 

 

「ありがとう。…でも、俺、正直あまりクラブからオファーが来たってことに現実味がなくてさ」

 

 

「相応の結果だと思うよ。一先ずは、上位23位に入ることが目標だからね。確か、オファーは一旦ブルーロック側が預かっててくれるんだし」

 

 

つい数ヶ月前まで高校の部活のサッカー選手でしかなかったから、現実味が薄いのだろう。

バーサーク・ドルトムントは同じドイツのチームで、これまで何度も戦ってきたことがあるので、それなにりは知っている。外国人選手のサポートもそれなりに手厚いし、潔も安心してやっていける環境はあるだろう。

 

 

「てか、お前何で年棒入っていなかったんだろうな」

 

 

「まー、認めてもらえるようなプレイしないとね」

 

 

あ、ちゃんと見ていたんですね。自分で話題を振っておいて、この話になるのは不味いのに…。

 

 

「潔君はカイザーに気に入られちゃってるよね」

 

 

「はぁ?!んなわけないだろう!」

 

 

「見事な顎クイだったよ…ああいうの、BL小説でしかないと思っていた」

 

 

「あ、あれはあいつが勝手にやってきただけだし!!!」

 

 

お互い真剣な表情していたから、それなりにいいかもなんて思ったけど。

ミヒャ、世一を落とすのに苦労しそうだなんて。

 

 

「海外の選手って、基本的な人との接し方とかわからない、

サッカーだけで生きてきた人もちょくちょくいるからね」

 

 

「…ああ」

 

 

「色々と不器用なんだよ。海外行ってもヤバい奴多いだろうけど頑張れよ~。てかクソメガネに続いて裸の王様とかウケる」

 

 

「あれは咄嗟に出た言葉っていうか!」

 

 

あーおもしろこの双葉。次はどんな酷い暴言が飛び出てくるんだろう。少し前までは純粋そうな双葉だと思っていたのに、短期間で人ってここまで性格が変わるんだな。いや、これが潔の本性か。

 

 

「じゃ、俺先に上がるから」

 

 

「おう、てかお前痩せた?俺の気のせい?」

 

 

「気のせいだろ。てか風邪引くなよ、ほどほどに」

 

 

脱衣所へ向かう。

ただ、話に花を咲かせすぎて、気が付かなかった。

 

 

 

脱衣所にミヒャがいた件。

これから風呂に入るつもりだったのか上裸で、ボクサーブリーフに、首から左腕にかけて咲く青い薔薇のタトゥーが象徴的な彼だ。

 

 

『…』

 

 

「…」

 

 

こっちみてなんか目を見開いている!やっべ。ていうか何でこんな深夜に風呂入りに来るんだ?

腰に巻いたタオルと、肩に掛けたタトゥーを隠すタオル。うん、隠すべき場所は隠せている。ていうか、こんな夜中に風呂にいる奴なんていないから、そのことに驚いていたんだろう。

あ、もうすぐ着替えよ。背を向けてそそくさと着替える。

 

 

『なぁ』

 

 

「ん?」

 

 

『風呂場に他に誰かいるのか』

 

 

「潔君がいるよ」

 

 

『世一か…』

 

 

話しかけてきて驚いた。勿論日本語で返す。ただ、潔がいると判って薄っすら笑う青薔薇皇帝サマ。楽しそうで何より。よし、後は任せた世一~!

 

 

『お前、名前は』

 

 

「…江戸川」

 

 

『そうか』

 

 

何で聞いてきた、と思ったけど、一緒に試合もしたのに俺の名前覚えてくれていなかったのね…。モブに徹してたけど上手くいっていたみたい。

でも~気まずいことには変わりない。早く出よう。

 

あ、昔刺された腹の傷見られてないといいなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別に俺、どっちの味方とかじゃなくて。最も可能性が高い場所にパスするだけだからね」

 

 

「わかってるって。それよりも、やろーぜ」

 

 

トレーニングルームにて。

潔にそう言われて、一緒に練習する。

 

ふむふむ…潔は前よりも体幹良くなっているんじゃね…!ユニフォームの隙間から見える腕や脚が、前より立派なものになっているようだ。

みんなまた潔の事目で追っちゃうなぁこれは。日を追うごとに進化していくから、こちらとしても見ていて面白いんだ。

一息ついたところで、潔が何やら複雑そうな顔で何かを考え込んでいた。

 

 

「うーん」

 

 

「?…どうした」

 

 

「お前のプレースタイル、どこかで見たことがあるような気がするんだよ」

 

 

「え」

 

 

俺は人の真似をするのが得意だが、十数年サッカーをやってきて、癖みたいなのはあるのは自覚しているが…。顎に手を当て悩むこと十数秒、潔は閃いたのかパァっとした明るい表情になった。

 

 

「ひょっとしてお前…有馬ケイを参考にしていたのか」

 

 

「あ…うん。はい。」

 

 

参考ってことは本人だってバレてないんだよな。あっぶねえ。

話題を変えるべく、潔に誰を参考にしているの?と聞いたら、つい最近まではノアを参考にしていたと言っていた。ノアは両利きだから真似するといっても難しいと思ったが…。でも、最近はミヒャのプレースタイルを体現できるように頑張っているとか。あんだけ煽られたのに、相手を利用しつつ着実に改善点を見つけていく潔、良いね。実は二人の相性、良かったりして。

 

 

~~~~~

 

 

休憩時間になり、フィールド横で座って水分補給をする。

 

 

「あ、やっぱりアップロードされてる」

 

 

「ん、なにが?」

 

 

「ほらこれ、BLTVの。この前の顎クイ切り抜き」

 

 

「ゲッ、マジか」

 

 

潔にスマホに写っている動画を見せる。月額500円、サービス開始速攻で契約したが、他の棟の日常生活なんかも見れて大変面白い。この前観たのは、蜂楽とラビーニョのとても抽象的な意味不明なやり取りとか、出来の良い子供の面倒を見ているようなアギと凪のやり取りとか。

 

 

「あ、それ俺も見た!他にも糸師凛vs士道の喧嘩の切り抜きも上がっていたよな!」

 

 

近くにいたイガグリがそう言うが、士道と同じ棟の凛は本当に大変そうだよな。あいつ、割とすぐに手を出すそうで、暴力沙汰になっていないか心配だ。

 

 

「潔君の動画、やっぱカイザーも一緒に写っているやつが視聴回数多いんやね」

 

 

氷織の言う通り、BLTVのコンテンツは累計再生回数の情報も表示されるが、特にカイザー×潔の組み合わせの動画が一番再生回数が多く、ランキング上位を占めていた。SNSでもこれに関する切り抜きが万バズしていた。

 

 

「あの執着ぶり、もはや恋だよね」

 

 

「いやアイツからかってるだけだし!!!!俺のこと常に見下してて本当にムカつく、ッ絶対カイザーを潰して喰ってやる────」

 

 

『お話の所御免遊ばせ~、世一ぃ。お前が俺の事を喰う、か。中々面白いことを言うな』

 

 

「カイザー!!?!」

 

 

BMの仲間を引き連れたミヒャがやってきた。相変わらずこちらを見下しているようで笑いながら話しかけてくる。

 

 

『そんなに俺を取って喰いたいというのなら、やるか?』

 

 

「ーッ!!ああ、いいぜやろう」

 

 

その後始まった対決だが、てっきり潔とミヒャの1on1かと思ったが、潔は2on2でやりたいという。理由を聞いたら、1on1は既に何度も挑戦を受けてやっていたので、今後の為に違う形式でやりたかったとのこと。俺の知らない場所でミヒャと潔は結構やりあっていたらしい。

 

 

「江戸川、頼む!!一緒にやってくれないか」

 

 

「俺より黒名の方が適任だと思うけど…っていないな」

 

 

最近潔とよく練習をしている黒名が良いのではと思ったが、どうやら一旦部屋に戻っているらしい。

 

 

「じゃあ、黒名が戻ってくるまでやろう。来たら交代で。イガグリ、黒名のこと呼んできてくれる?」

 

 

「ハァ?!何で俺が…」

 

 

文句をブツブツと言いつつも行ってくれたイガグリ。ありがとう。

 

相手はミヒャとネス。多分、こういうのも編集されて配信されてることを期待して、ちょっかいをかけてくるのもあるんだろう。

 

 

『クソ跪け、ブルーロック』

 

 

~~~~~

 

 

黒名が戻ってくるまでやるということで始まったが、潔とミヒャが基本的にずっと至近距離で話しながらサッカーしてる感じだった。相変わらず仲良いな。ボールはずっとミヒャが持っているが、潔をからかうことに注力したいのか、潔をあしらいつつボールを持ち続けて、ネスもにパスを出さない。潔はミヒャの動きを分析するように注力しているようで、中々仕掛けられずにいた。隙がないように俺が立ち回っているのもあるが、これじゃ2on2の意味がない。

マッチアップしているネスが話しかけてくる。

 

 

『試合に出れたからって、良い気になってんじゃねーです。カイザーにパスを回すのが貴方の役目です』

 

 

「はぁ…」

 

 

満面の笑みで、ネスにそう言われる。俺も、別にミヒャでも誰でも良い位置にいてくれたらちゃんと回すからそこは安心してほしい。それよりも、ネスから煽られたという事実が衝撃的だった。

ミヒャも言いたいこと言って満足したのか、そのままゴールを決めた。

 

 

「ごめん、潔」

 

 

「いや、俺こそムカついて、冷静にできなかった…」

 

 

そう言いつつも、目は輝いていて、きっと改善点を洗い出しているところだろう。

潔がせっかく2on2したいと言ったんだ、彼の成長になるよう俺も立ち回らないとね。

 

再開され、状況は相変わらず変化なしだったが、俺はネスのことを躱してボールを取りに行く。

 

 

『あ!!ちょ、待て!』

 

 

慌てふためく子犬。追いかけてくるが、素早く引き離す。そのまま潔達の元へ行く。

 

 

「下ばっか見ていると、世一に足元掬われるよ」

 

 

『ーッ?!』

 

 

ミヒャは潔しか見ていなかったようで、簡単にボールを取れた。

 

 

「初心忘るべからず、常に向上心大事。ほら、潔!」

 

 

「おう!」

 

 

潔にパスして、潔はそのままゴールを決める。これで1-1。

 

 

「ナイスシュート」

 

 

「ッシャァ!!江戸川!ナイス!!」

 

 

『…脇役のくせに少しはやるようだな』

 

 

「よし、潔もう一回」

 

 

「おう!」

 

 

点取られても相変わらず余裕そうな風貌をしていたので、もう一度ミヒャとネスを避けてボールを潔にパスして1-2となった。

 

 

「うっし、ナイス江戸川!!」

 

 

『…ッチ』

 

 

『クソ生意気すぎですクソクソクソ……』

 

 

ミヒャとネスの顔が凄い怖いことになっていた。とても眉間に皺が寄っている。イケメンが無言でキレると普通に怖い。ネスに関しては呪い言を吐くように、ブツブツとこちらを見て何かを言っている。普通に怖い。どうしようかなと思っていたところ、出入り口付近に丁度黒名がやってきたので代わろう。

 

 

「あとはよろしくー」

 

 

「っす、任せとけ」

 

 

『は、ッおい、逃げんなよ』

 

 

「煽られるのが怖いので逃げます~」

 

 

 

 

 

 

 

 

VSイングランドの試合のスタメンが発表され、ブルーロック側からは國神、潔、黒名、雪宮、我牙丸が出る。ここにきて一気にブルーロック側が追い上げてきた。

ちなみに俺はCBで出ます。超合理的、数値を基準でこのポジションになったわけだが、俺は壁になってやると躍起になってDF頑張ったからこの結果になったんだと思う。DFだから体張って止めないとね…。

 

 

『主流は”カイザー”からのゴール。そこに”青い監獄”の哲学をMIXさせるコトで起こる、このチームの進化を俺は見たい』

 

 

『…待て、ノア。まさか俺を試してんのか?』

 

 

『理解ってるじゃないか、堕ちるなよエース』

 

 

『クソお節介だよ、クソ指導者』

 

 

作戦会議では、ミヒャがノアに対してキレているが、あっちじゃそこそこ見た光景だった。ノアもミヒャのことはある程度認めつつ、プライドをへし折るような言動をしてくる。

フィールドに移動すると、対戦相手のイングランドがいる。スタメンには千切と凪御影がいる。アギも、結構前だけど戦ったことがあったな。分析好きでミヒャに執着してたような気がする。

 

 

KICK OFF────。

 

 

相変わらず味方同士でバチバチやってるのは置いておいて、俺は俺でそれとなくパス回ししている。

最初に攻撃を仕掛けてきたのは御影で、彼は短期間でフィジカルを鍛えたようで、一人で切り開く力を身に着けたようだ。サッカー始めて一番歴が短いだろうに、成長速度は恐らく監獄随一なんじゃないか。ゴール寸でのところで止めたが、あっぶね~。適当に回しておいた。

 

今度は千切が駆け出した。次々と追い越していく千切は白馬みたいですげ~な~なんて思ってたらあっさり抜かれた。うーん、今の俺じゃ追い付けないや。無動作からの超速切断進行。

そのまま千切がゴールを決めて0-1。

半端ないスピードだな…。

 

ミヒャがまた潔を煽っている。加えて千切のことを美しい、と珍しく他人を評価していた。潔とミヒャが至近距離で、何かを話している。

 

 

『あー~ぐずぐずしてると お前への興味が失せそうだ 世一♪』

 

 

「?!」

 

 

世一めっちゃびっくりしてる…。あんなんやられたら俺でもびっくりするわ…。

近くにいた黒名が話しかけてくる。

 

 

「相変わらず上から目線でクソムカつく奴だな…」

 

 

「この試合で見返してやろうぜー」

 

 

試合再開したが、ミヒャは潔にボールをパスしてあげている。純粋に一緒に頑張る仲間へのパスなんかではないことは想像に難くない。

潔と黒名の超速コンビネーションで敵陣を突破していっている。完璧なシュートが決まる、そう思っていたのに、ってミヒャなんでそんなところに行くんだ…。

ミヒャが潔からボールを奪って、満足そうにしてぐずぐずしているうちに、千切にボールを取られた。

 

 

「えー…?」

 

 

俺は一体、何を見せられているんだ…?そうこうしているうちに、こっちにボールが飛んできた。

やっべ、あまりの出来事にびっくりしたっていうか。俺含めイングランドの超速攻カウンターに対応できる状態の者はいなかったので、あっさり凪に抜かれた。あんま体で直接止めたくないんだよな~と思っていたのが裏目に出た。あ、マジで今日俺何やってんだろう。

てか、ミヒャ。あんなんだったっけ。

確かに、活動休止前は1on1こそ何回もしたけれど、一緒のピッチに立つ回数は減っていた。

煽るにしても…そんな勝利を捨ててまでやることか…?

俺が何もしなくても潔たちの良い壁になってくれて、試合の盛り上げ役としては凄く助かる。でも、そんな目的でここに来たわけじゃないはずだ。

雪宮が体を張って凪のゴールを防いでいたが、ゴーグル壊れていないかな、大丈夫かな。

 

 

相手のCKではミヒャが止めていたが、凪のことクソピヨ呼ばわりとか、何でそんな可愛いあだ名。でもナイス防御。

で、そのままカウンターでネスの巧みなドリブルでイングランドの守りを突破していく。ボールはミヒャに渡り、ゴールを決めて1-1となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潔の動きが前と変わった。笑いながら走っていてなんだろうかと思ったけど、的確に相手チームの弱点を突くような動きになっていた。鳥瞰視点のコツを掴んだのだろう、黒名のコンビネーションで次々と相手チームの守りを突破していったが、最後の最後、ゴール直前でミヒャが潔の邪魔してる。潔はそのままシュートせざるを得ず、その先にいた國神にボールを取られてまたアシストになっちゃったし。楽しそうにサッカーをしている様子から一転、とてもイライラしている。

 

 

「お前だけは100%殺す」

 

 

『何それ、新手の I LOVE YOU?』

 

 

とんでもない会話が聞こえてきたので、潔の元へ駆け寄る。

 

 

「殺すってエグイこと言うね…潔」

 

 

「ッああ」

 

 

潔がふらつく。咄嗟に肩持って支えたが、”喰う、殺す”とブツブツ呟いている。

 

 

「…え?本当に大丈夫潔?」

 

 

「ああ」

 

 

目が完全にキマっちゃってる。本当に大丈夫か…?

その後、凪御影のコンビネーションで凪がゴールを決めた。トラップからの神業で、見事なゴールだった。ここまで急激に成長した天才を見て、率直に感動した。

 

スーパーゴールの熱冷めやらぬ中、2-2の場面ではあるが、クリスとノアが入ることになった。

ノアはDMFやるそう。クリスを止める為とはいえ、珍しいな…。

 

 

『俺はこの戦場で、一番合理的な人間につく』

 

 

RESTART────。

俺は遠目で見ているだけだが、クリスがミヒャを煽ってるっぽい。どっちも超怖い、ノアを見習ってほしいところだ。クリスが怒鳴るように煽っているから、ここまで声が聞こえてくる。何気に迫力凄いからね。

 

イングランドの猛攻撃からのクリスのシュートは、防がなきゃなと思ったが、潔が先にその弱点へと向かって防いだ。ナイス~、やはり前と比べて動きが格段に良くなっている。

 

黒名にボールが渡り、ここからはもう一度潔の攻めが始まると思ったが────今度は雪宮が潔からボールを奪ってる。この試合今まで殆ど空気だった雪宮がここで足掻き始めたか。ドイツ組だけではなく、ブルーロック組からもボールを奪われてしまう潔は、さぞかしストレスが溜まる試合だろう。

雪宮のシュートはクリスに防がれるが、俺はそのこぼれ球を拾い、もう一度雪宮へ回す。

 

 

「よし、雪宮やってみろ~!」

 

 

雪宮にパスを回すが、雪宮はそのままゴールへシュートをしてもまたブロックされてしまう。ありゃりゃドンマイ。

と、ここで潔と雪宮が揉め始める。そりゃボール奪われた挙句、ミスってゴール逃しちゃったからなぁ。潔は自分に尽くすように説得しているが、エゴ剝き出しの雪宮が頷くわけがないだろう。

 

 

「お前らみたいに利口な人間だけが報われるなら…この世界は間違ってる!!」

 

 

「一人で気持ち良い夢抱いて、沈んでイってろドロ船が」

 

 

泥船???!?なんちゅうこと言うんだ潔…。衝撃で開いた口が塞がらなかった。いや、非常に非合理的なプレーをした雪宮が悪いとは思うが、悪口は良くないと思うぞ。でも、潔もノアみたいにプレーで黙らせることが出来る程の実力差がないところがなんとも。

 

 

「…おーい雪宮。まだ試合続いているから頑張ろうな」

 

 

「…あ、ああ」

 

 

クリスやノアが暴れてはいるが、このまま指導者(クリス)にゴール入れられて終わるのがもったいない。潔も雪宮も、せっかくいいところなんだ。

よし、切り替えていこう。

 

たった3分間しか出場しない指導者に、才能の原石の成長を邪魔されてたまるか。本気を出してでも止める価値はある。

超集中…手の震えを抑えつつ、試合を読み込んでいく。フィールド上の情報は整理できた。

 

 

「ここだな」

 

 

『?!』

 

 

クリスへボールが渡る前に、足を伸ばしてボールを受け止め、そのままDMFを務めてくれるであろうノアへ回す。

一時は俺DFとしてやっていたけど。ゲームメイクする楽しさに気づいてMFへ転向したんだよな俺。今の俺には頭を使ってボールを受け止めるといった動作はできないが。

 

 

「読み合いなら負けないんだな」

 

 

安全に華麗に足でボールを受け止めることができるのだ。

 

ノアは潔に付くことにしたらしく、ノア・黒名・潔のコンビネーションで前線を切り拓いていく。

ミヒャはどうやらまた潔にちょっかいをかけたいらしく、折角潔が良いポジションに来たが、パスせざるを得ない状況を作る。ボールは雪宮の元へ行き、最終的にゴールを入れ、ドイツの勝利となった。

おめでとう…って潔がミヒャの胸倉を掴んでる?

 

 

「俺の物語の道化になった気分は?」

 

 

『おま…イカれてる…』

 

 

なにやら熱烈に話し合っているようで。ってそんなことよりも。

 

 

「ナイス雪宮~」

 

 

おっし、終わったー。あー疲れた。

クリスが出てきてどうなるかと思ったけど、勝てて良かった。潔が雪宮のところへ歩み寄って、またドンパチやるのかなと不安に思ったが、潔と雪宮は二人で笑顔で話し合っており、どうやら良い方向に進んだらしい。泥船にはビビったが良かった。

ネスは潔に暴言吐いているが、それを宥めつつミヒャが潔のことを認めていたのは正直意外だった。次はゴールの数で勝負しようと話している。

 

 

『返事は?』

 

 

「潔?!」

 

 

いきなり倒れる潔をミヒャが頭を掴んで受け止めている。ヒヤっとした。俺の知っているミヒャならあそこで潔を受け止めないわけがない、と思っていたが。バチバチにやりあっていてもちゃんと情はあるようだ。にしても燃料切れか。次の試合まで10日間もあれば不足分を補えるようになれるだろうな。

 

 

「潔に追い越されちゃうかもね」

 

 

『あ"あ"??』

 

 

やっべ、どうやらミヒャに聞こえてたっぽくめっちゃ睨まれた。そそくさとフィールドを後にする。

ミヒャは潔を支えているからか、こちらまで追ってはこなかった。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side:・・・・】

 

 

 

時は遡り、ドイツVSイングランド。試合は1-2の盛り上がりを見せていた。

 

 

『うん…あの筋肉とあの動き』

 

 

『…』

 

 

イングランドの指導者クリス・プリンスは隣にいる同じ指導者のノエル・ノアに話しかける。

 

 

『有馬君そっくりだね!というかコピー?』

 

 

『…確かに、似ているな』

 

 

話題に上がっているのは、江戸川新一。あの地味目のDFのことだ。クリスのようにカリスマ性を発揮している選手という訳ではなく、体を巧みに使い、華麗にボールを奪い取る技術力の高い動き。しかし────。

 

 

『でも、筋肉はまだまだのようだな!有馬は素晴らしい肉体を持った男だ』

 

 

直に何度も触ったことがあるからな、とクリスがそう言う。その当時のことを思い出しているのか、手が何かを掴むように動かしている。

江戸川は途中まで目立つような行動はなかったが、変化があったのは指導者が投入されてからだった。 

 

 

(この動き…)

 

 

嘗て同じチームとして戦ったことがあるからこそ、わかる。その体裁き。

ノアは試合が終わって指導者の部屋に戻った後、備え付けのビジフォンから絵心に連絡をかけた。

 

 

『絵心、あいつは何なんだ』

 

 

[んなこと聞かれてもね…]

 

 

『奴と有馬は親しい関係にあるのか』

 

 

[そんなの知らないよ、本人に聞けばいいじゃん]

 

 

『あの精度でコピーできるなんて、もはやそれは神業だ。奴が消息を絶った今、手掛かりが少しでもほしいところだ』

 

 

絵心は心底どうでも良さそうに答える。

自身が強くなるために妥協をしないノアは、自身を脅かす才能を持つ有馬をそう易々と逃すつもりはない。有馬は行方不明だが、同じ稀有な才能を、可能性を彼に感じたのも確かだった。

 

 

(今度、もう一度話をしてみよう)

 

 

 

 

 

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