エゴイストの成長を見届けたかった   作:miyata

4 / 18
えびち


【転機編】

【転機編】

 

 

 

17歳のある時。

来年のU-20には参加しようかな~冴と一緒にできるだろうし楽しみ~と思っていたんだが。

試合中、何故か視野が欠けたり自分の死角が圧倒的に増えてミスを連発しまくった。

ミヒャに「お前らしくないな♩」と煽られた際にはなんとも言い返せなかった。クソピエロ判定されたくない…!!

あいつは益々演技に磨きがかかっているというか…。俳優向いてるよなんて言ったら微妙な顔された。…そういえば母親が女優の確か────。

 

 

ていうか、この症状一時的なものでもなかったので、

これは雪宮みたいになにかしらハンデ付きオプションか?俺また何かしたのかな~と思って

医者に行ったら、まさかの頭の病気()で余命2年宣告をされてしまった。

 

ハァ?!いやマジか本当に間違いないの~と何度も聞いたけど結果変わらず。

先天的な芽 + 後天的トリガーのものだそう。え、俺の転生特典?

活躍しすぎると天罰が降る的なやつですか?

急すぎない?と思ったけどさぁ…。

 

何もしなければ2年で死ぬけど、幸いなことに手術すれば何とかなるかもとのことだった。寛解に向ける場合は、選手生命経たれるリスクあるが治療することは可能だが、

期間的に来年のU-20W杯でれないので、俺的にはこの選択肢はあり得なかった。

俺の生きる意味が…。

このままやるしかねぇ!(笑)

ということで一時的に症状を抑える薬と一生おともだちになりましたとさ。

手術しても半分くらい死ぬらしいし、俺の第二の人生終わった~。

…マイナス思考してばかりも仕方ないし、色々と爪痕残して死にたい。曇ってくれるかな(ワクワク)。

 

 

BMの上層部にはこのことチームメイトに内緒にしてって頼んだら了承してくれた。

選手生命経つ可能性が高い治療をするかは、まだ先延ばしにしてサッカーを続けることにした。

BMの上層部には頭が上がらないよね。色々と助けてもらった。

 

 

薬もらってそれ飲めば試合中は症状を抑えて何とか活躍してきた。

戦い方も多少変えた。なるべくヘディングを使わない肉弾戦にならない戦いになるようにした。

このままサッカーさせてくれるBMのためにも、今まで以上に活躍したし、ファンサしまくった。

BMのみんながいい方向に向かうと良いな。

 

 

活躍しまくったおかげか、誰もが見たことのある有名人とも会えたりした。

海外にも遠征だけではなく、オフシーズンや休みの合間に色々な国に行って、観光や選手との交流しに何度も行った。

 

 

で、18歳になった。

俺はカイザーやネスより一足先に公式戦でもBMの本体にて戦うことになった。病気の件で仮契約から契約破棄されるかもとビビってたけど、それなりに能力を評価されてたっぽい。本当に感謝しかない。

ノアや一流プレイヤーとの戦いは激しいが、楽しかった。

色々なポジションやらせてもらったけど、DMFやることが一番多い。

新世代11傑に俺も選ばれたし、最強のチームの支配者DMFなんて呼ばれたりしたわけだが。

 

 

ただ、休日に一回倒れてなんかやばかったらしいけど乗り切った。

煽られるかと思ったら、めっちゃミヒャに心配されて驚いた。お得意の鉄壁笑顔で丁寧に誤魔化した。

 

 

 

 

 

少し前のことだが、

UEFAのためにフランスへ行った時に、冴と会った。

 

 

「久しぶりだな、元気していたか~」

 

 

「ああ」

 

 

「…ていう割には冴痩せた?隈酷くね」

 

 

「…」

 

 

俯く冴。

なんとなく、目が濁って闇落ちした感じになっているように見えた。

何があったか聞いたところ、ぽつぽつと冴が話してくれた。うんうん、なるほど。FWからMFに転向したのか。

 

 

「別に良いんじゃね」

 

 

「は」

 

 

 

「夢書き換えても俺、冴のファン2号だしずっと応援してるよ」

 

 

「…そうか」

 

 

「凛はちょっと盲目的に冴のこと思ってるところあるから、ちゃんと話せば応援してくれると思うよ」

 

 

「…ありがとう、ケイ」

 

 

冴がそう言ってちょっとだけ笑顔になった。

…後ろの方にいるジローランさんが、めっちゃうれし涙流している…。

 

 

 

 

 

 

 

「この先ずっとサッカーしてる冴が見られるだけで嬉しい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも通りの練習が終わり、ベンチに座っているとノアがやってきた時の出来事だ。

 

 

 

 

 

『お疲れ様です』

 

 

 

『短期間でここまで成長するとは思わなかった、有馬』

 

 

『ありがとうございます』

 

 

 

 

ノアは隣に腰を下ろした。

何気にこうしてちゃんと話すのは初めてか。

 

 

 

 

『俺はもっと強くなりたい』

 

 

『はい』

 

 

 

『俺自身を最も脅かす才能。これが俺の有馬に対する印象だ』

 

 

 

 

『ノアにそこまで評価していただけるなんて光栄です』

 

 

 

世界一のストライカーにそこまで評価されるようになったのは、素直に嬉しい。俺DMFだけど。

 

 

 

『お前ならFWに転向してもすぐにやっていけそうだ。もっと高みへ来い、有馬。そして俺を倒してみろ』

 

 

 

『頑張りますが、転向は今のところ考えてないです』

 

 

 

『そうか』

 

 

 

 

 

あっさり引いてくれたノア。

…今までサッカーやってきて思ったのが、俺にはチームを背負って勝つとかいったメンタルはない。DMFでぬくぬくやっていたいんだ。きっと何回かシュートを決めたことを評価してくれていたんだろう。

 

 

 

『噂には聞いてたんですけど、本当に自分が強くなることしか考えていないんですね』

 

 

『…?お前もそうだろう?』

 

 

『そうですね』

 

 

 

俺はU-20出たりミヒャやBMの面々、海外の有名選手に会えればそれでいい。

そのために強くなったんだ。

 

 

『ノアが後進育成にも力を入れているのはそのためですか』

 

 

『ああ、そうだ。特にカイザー、あいつもいずれ、俺の脅威となってくれるだろう』

 

 

『でしょうね』

 

 

 

にしても後進育成か。俺も現役いつまで続けられるかわかんないし、

何れその道に進むのかもしれない。まぁ、少なくとも来年までは現役でいたいのが本音だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side:ミヒャエル・カイザー】

 

 

ケイと偶然、食堂で会った時のことだ。

 

 

『お前、U-17出るんだろ』

 

 

『出ないけど』

 

 

『は…』

 

 

 

あいつが日本代表としてU-17には出ないと聞いた時は本当に驚いた。

 

 

 

 

『あ、でも観戦しに行くよ!会いたい選手とかもいるからね』

 

 

『…ッなんでだよ、正々堂々と叩き潰してやろうと思ったのに』

 

 

『今年は多分初戦敗退とかしそうだし(俺の知らない面子しかいない。多分全員モブ)』

 

 

『お前が居たらそんなことないだろ』

 

 

『それと、あんま日本で有名になりたくないというか…』

 

 

…半年以上前だがケイは刺された。

犯人は未だに逃亡中。で、アジア系女性だとか。

アジア系、だから日本ではあまり有名になりたくないということか…?

 

あの時は本当に心配した。

…他人のことを心配するなんて、家族以外ではケイが始めてだったなと思った。

『お母さん、なんで帰ってこないんだろう。大丈夫かなぁ』なんて思っていた時期があったことを思い出した。遠い昔のことだ。

 

あの事件から、警備体制はより一層しっかりしたものになったらしい。

ノアとか他の選手がBMの幹部陣に、安全をしっかりしろと怒鳴り散らかしていた、と誰かが言っていた。あのサイボーグがそんなことを…?

 

驚異的な回復力であっという間に戻ってきたあいつは、それからも活躍しまくっていた。

休みは何時もいない、雑誌や新聞の取材を積極的に受け、タイアップなんかもこなしたり。合間に個人練習も欠かさず。

俺とケイは、ますます、会う機会が減っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

UEFAに出るためにでフランスに行った時があった。

ホテルのビュッフェにて。

 

 

『ケイさん、お久しぶりです』

 

 

『よ~ロキ、元気そうで何より』

 

 

あいつはフランス語でロキと仲睦まじく話していた。

 

 

『カイザー!』

 

 

『ネス、あそこにある料理取りに行こうぜ』

 

 

ネスは色々と俺の面倒みてくれるから重宝している。

…今世でここまで接してくれるような奴はいなかったので、なんというか。

 

 

『俺は恵まれているな』

 

 

『…カイザー?』

 

 

『いいや、なんでもない。いつもありがとうな、ネス』

 

 

『あッ!!!いえそんなぁ!あぁぁ…ハァ』

 

 

たまにちょっと可笑しくなるときがあるが。

 

 

 

『よぉミヒャ~』

 

 

『げ、その声…ロレンツォ』

 

 

ロレンツォ…いるとは思ったけどなんでこっち来るんだ。

あいつ試合中でさえウザいのに、こんなところで会うなんて。

 

なんとなく、ロレンツォの話す話題に合わせて話していれば、話題はケイの話になった。

 

 

『そういえばこの前あいつと会ったけど、まさか一人でイタリアに来ているとは思わなかった』

 

 

『は…?』

 

 

『なんだ、ミヒャ。お前が知らないなんてなぁ』

 

 

どういうことだと問い詰めると、ケイはこの前の休みにイタリアに遊びに行っていたらしい。

ロレンツォは携帯を取り出して、こちらに見せてくる。

 

 

『ほら、これ』

 

 

『?!?!』

 

 

滅多にSNSなんて開かない(ネスに任せきり)ので知らなかったが、

ケイがイタリアに行った写真があった。しかもロレンツォとのツーショット。

思わず写真を見て目を白黒させていると、

 

 

『ミヒャのそんな顔が見られるとは思わなかった(笑)』

 

 

『クソ黙れロレンツォ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日は珍しくお前らしくなかったな、ケイ』

 

 

『まぁ俺も人間だし、次はないよ~』

 

 

ある日を境に、ケイはプケイスタイルを変えた。

体に頼り切らず、より一層深読みしたプレーをする選手となった。

最初こそ上手くいかず、思うような戦績を残せていなかったが、

次第に驚異的な成長を見せ、

ケイは一足先に本格的にトップチームへ合流することになった。

 

 

新世代11傑に選ばれた。

それでも、あいつは、他の11傑とは違う。

別格なのだ。

謙遜なんかではない。

 

”世界一のDMF”

 

活躍するにつれ、そう報じるメディアもあったくらいだ。

齢18にしてだ。

天は二物を与えずという言葉は、あいつには当てはまらない。

あれは神の生まれ変わりだなんて、言われるようになっているほどだ。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 

『…ケイが倒れた…?』

 

 

『ああ。今医務室にいる。幹部陣が面会しているから部屋には入るなとのことだ』

 

 

練習が休みの日、ケイが部屋で倒れているのが見つかったらしい。

 

 

 

面会可能になったのは翌日。

ケイの元へ行くと、変わらぬ笑顔だった。

 

 

『俺は体調管理もできない二流スポーツ選手…』

 

 

『いや、あぁ、まぁ…でも俺はケイが無事でよかった』

 

 

変わらぬ笑顔。

俺はこの時大事なことを見落としていることに気が付かなかった。

 

 

 

『お前には「不可能の象徴」となった俺を見届けてもらわないといけないんだ。

本当にしっかりしてくれ…』

 

 

 

 

『そうだな。…俺もそろそろ決断しなきゃな』

 

 

『…ケイ?』

 

 




※UEFA
UEFA Youth League
CLに出場するクラブのU-19チーム
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告