エゴイストの成長を見届けたかった   作:miyata

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仮面ライダーop「VISIONS」
+愛久のテーマ「U20」お勧めです。



【ブルーロック一次選考編:後編】

 

 

 

チームでの練習は久遠が仕切って行っており、チームを組んでやったり、各々で練習したりと、様々な形態でやっている。

今日の俺はというと、まず潔と1on1だ。

 

 

「ッはぁ。マジですげえなお前」

 

 

「…俺は潔君の成長速度が速すぎて本当にビビってる」

 

 

 

「そうか…?」

 

 

首を傾げる潔。

潔、本当に成長速度半端ないっていうか。飲み込みも早いし、本当に目が良いのがわかる。

転生特典とかじゃなくて人生一週目で素晴らしい才能を持っていて羨ましくなる。

 

 

「ほら、例えばこうやって抜こうとすると…!」

 

 

「ッよし、取れた!!!」

 

 

「今の動き、初めて会った時と全く同じ動きなんだけど、ちゃんと対策できるようになっている」

 

 

「あ、ああ。確かに」

 

 

自分は機械的に体動かせるから、初めてやった時の動きを完璧に再現してみたけど、潔にボールを取られてしまった。

 

 

「俺もそのうち全部喰われちゃうかも、頑張らないと」

 

 

「全部喰ってやるから、待ってろよ。よし、もう一回」

 

 

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ、潔~!頑張ってるね」

 

 

 

 

ある程度やっていると、そこに蜂楽がやってきた。

…そうだ。

 

 

 

「2on1するか」

 

 

「え」

 

 

「お、やる~?」

 

 

蜂楽は乗り気でこちらに笑顔を向けてくる。

 

 

「俺も少し消化不良なもんで。本気でかかってきてね」

 

 

「うん!」

 

 

「あれで本気じゃなかったとかマジかよ…。よし、今度こそ倒す」

 

 

 

 

 

とは言ったものの。

息も絶え絶えに寝転がる二人を見下ろす。まぁ出来るだけ最小限の動きで最適解のパターンを採ったから、無駄がない分、省エネで行動できるんだよね。

 

 

「俺の仕事は才能の原石をバテさせることじゃないんだけどな…」

 

 

「…はぁ、相変わらずすげーな江戸川」

 

 

「すごいよッ!江戸川のこと益々知りたくなっちゃった」

 

 

「自分が理想とするプレーを体現するための体力は大事だよね。まだ二人とも高校生だから発展途上だと思うし、頑張って伸ばせば良い方向に行きそう」

 

 

「まだって江戸川お前も高校生だろ~」

 

 

「…ああ。うんそうだった」

 

 

「世界一になる為に同世代に負けてられっかよ。俺ももっと走る量増やさないとなー」

 

 

潔と蜂楽はまだ高校2年生で発展途上だから、これからどう成長するか気になるな。

 

 

 

「てかさぁ…ずっと気になってたんだけど、江戸川の前髪長くて前ちゃんと見えてるの?」

 

 

「あ、それ俺も気になってた!二子とかもそうだけど、よくそれでちゃんと見えてるよな」

 

 

「勿論ちゃんと見えてるから…俺は片目だけど、二子君は両目隠れているし、どんな目か見てみたい」

 

 

俺の場合はもう殆ど見えてないけどね。

二子…目見られるのが恥ずかしいタイプの子なのかな。でも、単純にどこ見ているか相手に悟られにくいから良いと思った。

 

 

「俺この前あったチームYとの試合で見たけど、すっげー綺麗だったな」

 

 

「え?そうなの?俺も見たい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チームZ vs チームW

 

 

そういえば千切は俺と同じDFなのに、今までちゃんと話したことなかったよな~と思いつつ。

 

 

 

 

「千切、あんま無理するなよ~」

 

 

「…」

 

 

 

無視かい。

 

 

 

 

試合開始の合図。

 

鰐間兄弟がよくわからないが、千切を煽ってる。

知り合いだったのかな?

ドイツいた時は日本のサッカー誌取り寄せて読んでいたけど、千切って確か足めっちゃ速い子だったはず。鰐間兄弟がいたかは思い出せないな。

 

 

 

「過去の事はどうだっていいんだよ!!」

 

 

煩い鰐間兄弟に対して、潔がそう言う。

相変わらず潔カッコいいな。

 

 

 

…?なんか、チームWの動きが変だな?何かを狙っている。

 

 

あ、久遠がゴールした。チームWが見せた隙をちゃんと突いて決められたな。

久遠、いつもチームのために色々とやってくれているから、ゴールボーナスのステーキ食べるくらいの褒美はあっても良いんじゃないかな。

 

 

その次も久遠。リプレイとかはだれでも見れるので、チームWが久遠の研究していないわけがないと思う。それにしたってDFザルだな。これで馬狼率いるチームZに1-4で勝っているから謎すぎる。なんというか、可笑しい。

チームWの面々は…悔しがってるし鰐間兄弟だってこう、何かを堪える表情…?

 

 

FKでチームZボール。

で、また久遠ゴール。確かに久遠のところだけマーク甘かった。チームWは別に弱いチームではないはずなのに。これまでのリプレイ観てきてそう判断している。

もしや、わざとかこれ。

 

まさか、取引したのか?チーム最多得点王になるために。

 

伊達に長年DMFやってきただけ、状況判断には自信あるからな~俺。でも流石に八百長試合だとは思わなかった。プロでこれやったら一発アウトだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハーフタイムにて。

チームZは盛り上がっていた。そりゃそうか。こんなに勝てたのは初めてだし。

W杯出場を目指す才能の原石達だけど、八百長なんて以ての外。意味のないことだし、ちゃんと言わなきゃいけないが…。言った後どうする?裏切りしてました~もう協力しません(終)とか。

 

あ~今すぐ言いたいけど。それにどうやってみんなに理由を説明する?

この盛り上がりの空気の中で言い出してその後どうしよう…。

そうやってあたふたしてるとあっという間に休憩が終わってしまった。いや、俺だってこんなこと初めてでどうすれば良いかわからない。今更だけど杞憂だと良いな。

 

 

 

コートへ戻るチームZの面々。

久遠を呼び止める。

 

 

「久遠」

 

 

「…どうした、江戸川君」

 

 

「お前が裏で何かコソコソやっていようが、そんなことで負けるようなチームZじゃないと思うぞ」

 

 

「…」

 

 

「今ならまだ引き返せる、再現性のない取引なんてやめておけ」

 

 

「何言っているんだ江戸川君。ほら、行くよ」

 

 

久遠にめっちゃ睨まれた。糸目が薄っすらと開いて怖い。

普通に11vs11で試合続けていれば、このままチームZは勝てると思うけどな。

 

 

後半スタートでいきなり久遠のミスで失点。

糸目だから目線が分かりにくいけど、明らかにわざとボールを奪われるように立ち回っている。DFとして今までの久遠のを観察してきたからこそ間違いないと確信できた。

才能の原石よ、どうしてそうなるんだ。

 

 

「久遠、お前裏────」

 

 

と、後ろから話しかけると、久遠が振り向きざま手を振り回して、

俺の頭目掛けて────

 

 

「ッあ、ごめん江戸川君!!」

 

 

「ッ~!!!」

 

 

久遠の肘が頭に当たった。マジで痛い。

今、俺の頭超弱点。まさか物理攻撃してくるとは思わなかった。

というか、完全に気を抜いて話しかけたのが悪い。何やってんだ俺。

不意打ちに凄く弱い今の状態で、頭揺さぶられると本当に困る。てか何で味方にこんなことされなきゃいけないんだ。

 

まだ、立てる。が、上手く言葉を発せられない。

頭もぐちゃぐちゃしてきた。

 

とりあえず、一旦ポジション戻ろう…。

 

 

 

その後、チームWに1点入れられた。頑張って足を動かしたけど簡単に抜かれた。

ああ、ヤバいめっちゃ汗かいてるだろうな。

 

 

 

「何やってんだよ江戸川ぁ!!」

 

 

 

 

雷市に怒られた。

ほんとすんません。

 

潔も何か思うところがあったのか駆け寄ってくる。

 

 

「おい、大丈夫か江戸川…?」

 

 

「久遠、に…気を…付けろ」

 

 

「え?」

 

 

アイツは裏切っている、そう言おうとしたけど上手く言葉が発せられない。

潔の視線の先には、笑う久遠がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己の不甲斐無さを悔やむよりも、今は役目を精一杯果たそう。DFとして動く限り一生懸命に動いたが、潔や他の面々の武器がチームWによって防がれている。

そして、チームWがまた久遠のミスで1得点入れてしまった。

これで3-3の同点になってしまった。

 

 

 

「久遠お前

裏切ってんのか」

 

 

ようやく潔達も気づいたようだ。

あー、でも気づいたところでどうしようもないんだけど。

 

 

 

「つーことで、この試合いただきます!と俺たちは言っている」

 

 

 

雷市がブチギレて久遠に殴りかかろうとするが、イエローカードが出てしまう。

気持ちわかるよ。この展開は本当にとんでもない化学反応だと思う。

 

 

「俺は一人で、生き残る。ここからは、12人対10人でやろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、またチームW得点。いや、本当に俺不甲斐無くて申し訳ない。

潔がこちらに寄ってくる。

 

 

 

「…大丈夫か、江戸川」

 

「…ッあぁ」

 

「そういえばさっきモロに久遠に殴られてたよな」

 

「ま、大丈…夫さ。お前はお前で…頑張れよ」

 

 

 

 

あー上手く言葉話せね~追加で薬飲みたい~。

早く試合が終わって欲しいけど、勝ちたい。裏切りの久遠に負けたままなのは良くない。こんなところで真の才能の原石が潰されてたまるか。

 

挑戦的集中────そうだ、俺はサッカー界の未来を担った才能の原石を見に来たんだ。あいつらの良い刺激になって、この世界をもっと面白いものにしたいだろう?

本当はFLOW状態になるのは止められていたけれど。今動かなきゃ俺の見たい未来が訪れない。

手の震えが大きくなってくる。でもやるしかないんだ。

 

 

「ッよし」

 

 

 

 

 

 

チームZは武器が封じられ、このままチームWにシュートを決められてしまうだろう。

俺は、鰐間のシュートコースを予測して立ち回り、ブロックする。

 

 

 

 

「ナイス江戸川!!!」

 

「早く…勝て!エゴイスト!!」

 

 

 

精一杯そう叫ぶ。

あっぶね~ここでもう一点は流石にマズイ。

 

 

 

「死んでも1点取れ!!!」

 

 

 

引き分けにもってくれば、望みは繋がる────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「走れ千切!!!!」

 

 

「どけ」

 

 

潔が千切に色々と話しかけていたようだが、

ここで千切が走り出した。

 

おお、早いなあいつ。ついに決心できたのか。

どこまでも走れ~応援してるぞ!

 

 

 

 

 

 

千切のゴールでチームW vs チームZは引き分けに終わった。

千切の周りにチームZの面々が集まっていく。

うん、何とか首の皮一枚繋がったし、千切も笑顔になって良かった。

終盤前線まで動こうかなと思ったけど、それよりも前に千切が動いてくれて助かった。

 

 

 

 

 

 

久遠がチームWのみんなからボコボコに蹴られてる。

スパイク痛そう~。普通に怪我すると思うんだけど。ボディスーツは結構頑丈そうなので、そこは大丈夫そうだが。

サッカーで裏切りなんて起こるなんて。やっぱ青い監獄の化学反応ってすごいな。

 

 

俺はといえば、早く、あの薬を、飲んで落ち着かせないと。

目が回って倒れそう。今だって何とか立ってるし。

千切や久遠に注目されている中、俺はそそくさと退場した。

 

 

 

 

「…江戸川?」

 

 

 

 

薬飲んで医務室へ直行。よし、ここなら誰も来ない。

はぁ~頭は不意打ちに弱いというか。まさかこんなことになるとは思わなかった。

 

 

 

「前にお前に聞いた時よりも悪化してないか」

 

 

そこに絵心がやってきた。

 

 

「…そうかもっすね~」

 

 

「お前が詳細を話さないから、こちらとしても、このままで良いのか判断しかねる。顔真っ青だぞ」

 

 

「コンディション戻すんでちょっと待ってください…」

 

 

「手も震えまくってて何の説得力もないんだが。俺はお前が脳に障害があるとしか知らない。ここでぶっ倒られても困る」

 

 

 

「前々からこんな感じなんで、大丈夫です…。ちゃんと医者に見てもらってますので」

 

 

「…本当に大丈夫なのか?」

 

 

「もう少しここで休んだら大丈夫になるので…」

 

 

「しかしだなーーーー」

 

 

その後も絵心さんは色々と言ってきたが、

攻防の末、続行ということで決着がついた。

本当に心配かけてすんません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食を終え、深夜。

頭痛もある程度落ち着いてきたし、もうみんな流石に寝たろ~てことで風呂に向かいます。

 

 

 

 

 

うへ~こんな広い風呂独り占めできるの良いな。

BMの時は基本みんなシャワーだけなので、あんまり風呂でゆっくりしなかったというか。湯船に浸かる文化ないから、今日は久しぶりにゆっくりしよう。

 

 

「うへぇ~身に染みる温かさ…」

 

 

 

正体ばれないように、タトゥー隠すシール貼ってたり、眼鏡かけたりしているけど、風呂ではそういうわけにもいかず、取っちゃってる。なので、いつも時間ずらして入っているけど。

さっき鏡見た時、生え際がちょっとだげ地毛の色になっていたので、後で染め直そっと。

 

 

湯船でプカプカしていると、脱衣所からゴソゴソと音が聞こえる…。えッ誰か来る…。

 

 

「あ、江戸川!お前いつもこんな時間に入ってるんだな」

 

 

「潔君…」

 

 

 

あっぶね…。えっと、タオルを肩に掛けてタトゥー部分が隠れるように、なっているな。

湯気モクモクしてるから見られてないだろ、うん、大丈夫なはず。

 

 

 

「イガグリに飲み物溢されちゃって、軽くシャワー浴びにきたんだ」

 

 

 

 

 

「あ~ご苦労様です」

 

 

 

 

苦労人潔君。

それからは、たわいない話をしただけだった。双葉可愛いな~、水に浸かってもしおれないのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side:潔】

 

 

 

 

 

明日の試合についてチームZのルームで話し合っている最中、

イガグリが手を滑らせて、持っている水を俺のズボンにかけた。

 

 

「冷たッ!!!」

 

 

「あ、ごめん潔!」

 

 

「あちゃ~、結構濡れちゃってるね」

 

 

「…ちょっと脱衣所いって着替えてくる」

 

 

流石に気持ちが悪かったので、軽くシャワーで流そうと思ったので、風呂場へ向かう。寒いな。

流石にこの時間帯は、誰もいないだろうな。いくら暖房が効いてるとはいえ、真冬の夜中に風呂に入る奴なんか────。

ちゃぷちゃぷと音が聞こえる…?誰かいるのか。

 

 

「あ、江戸川!お前いつもこんな時間に入ってるんだな」

 

 

「潔君…」

 

 

「イガグリに飲み物溢されちゃって、軽くシャワー浴びにきたんだ」

 

 

「あ~ご苦労様です」

 

 

まさかの江戸川がいた。

あいつ、いつもこんな時間に入っているのかよ。一応真冬の夜なんだけどな。

 

 

 

 

軽く体を流しつつ、江戸川に話しかける。

 

 

 

 

「そういえば、今日大丈夫だったか。ほら、その久遠に…」

 

 

「あー、大丈夫。でも正直びっくり。まさか味方に裏切りなんて出るなんて、ヤバいねブルーロック」

 

 

「お前いなくなってたけどあの後さ────」

 

 

 

そこからは他愛のない話をした。

 

江戸川はもう上がるらしく、俺も遅くなりすぎると明日に響くし、一緒に脱衣所へ向かうことにした。

 

 

江戸川ってこう凄いムキムキっつーか。これ本当に高校生かよ。

背も俺より高いし…。羨ましい。

 

よく見ると腹の辺りに刺傷かこれ?複数ある。

しかも腕にはぷつぷつと注射痕…?

これは、もしかして有馬はヤの付く人?!

 

 

「あんまり見られると恥ずかしいんだが。こちょこちょの刑ね」

 

 

「うわ!ちょ!江戸川!あははは!悪かったって!」

 

 

 

 

 

脱衣所に着いた頃には俺はもう疲れ切っていた。

有馬、あいつ容赦ないよな…。

 

腕に何かを巻く有馬。

 

 

 

「…ん?何それ」

 

 

「ああ…これは。まぁお守りみたいなもの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side:有馬】

 

今日はチームZvsチームVの試合が行われる。

それまでまだかなり時間があるので、チームZの面々は練習していた。俺はと言えば適当にチームZの面々とやりあったり、潔や蜂楽にアドバイスしてみたり。

壁際に久遠が座ってぼんやりしている。雷市が久遠に対してグチグチ言っていたが、行く当てもないのか結局久遠はここにいる。

 

 

「よし、いったん休憩するそ!」

 

 

久遠が使えなくなってからは、伊右衛門が仕切ってくれている。

GKもやってくれている中、代理でまとめ役やってくれているのは感謝しかない。

 

各々水を飲み、座り込んで休憩している。

頭痛も昨日より大分マシになった。チームの熱に感化され、あまり無茶をしないように気を付けないと。でも、本当に初日に比べて格段に進化している。特に、潔、蜂楽、千切、國神。これからが本当に楽しみな選手だ。

 

 

「ねえ、潔って憧れの選手とかいるの?」

 

蜂楽が潔に話しかける。

 

 

「俺はノア様。えっと…ノエル・ノアに憧れてサッカー始めた」

 

 

「へぇ、そうなんだ。世界一のストライカーだもんね」

 

 

「俺はロナウド!」

 

 

「ラビーニョが世界一だろ!」

 

 

「いやいやメッシ」

 

 

「クリス・プリンス一択でしょ」

 

 

 

他の面々も次々に己が思い浮かべる選手を列挙していく。

俺は誰だっけ…潔世一じゃなくて、えっと…。記憶が混濁してわからない。

 

 

 

「本○と香○だって凄いだろ」

 

 

「何年前の選手の話だよ(笑)」

 

 

 

ん?そういえばこの世界の本○と香○って大分昔に引退した扱いだったよな…。前世で見た容姿と瓜二つか気になって調べたけど、ちょっと似てる程度だった。

隅で寛ぎながら、話に耳を傾ける。

 

 

 

 

「ここ最近日本人でエース級のストライカーはいないよね」

 

 

 

「確かに。MFなら糸師冴がいる」

 

 

「日本の至宝、新世代世界11傑にも選ばれているし、俺らとそんな年変わんないし」

 

 

「すげーよな」

 

 

 

そこからは糸師冴に関する話題が続いていった。

冴、能力も凄いけどさ、至宝と呼ばれるだけのルックス兼ね備えて、で更に磨いているところも凄いんだよ。錚々たる新世代世界11傑の中でも輝いているよね。

 

 

 

 

「新世代世界11傑といえばさぁ、有馬ケイ!あいつもすげーよな」

 

 

「ブッ」

 

 

「え、誰それ」

 

 

「成早お前、知らないのか?!」

 

 

「俺も初めて聞いた」

 

 

「まぁ知らない人いても仕方ないよね。彼はあまりメディア露出ないし」

 

 

 

あぶね、飲んでいた水吹き出すところだった。

11傑に選ばれたし、日本での認識はこんなもんか。

 

 

 

 

「そうそう、でも海外のメディアのニュース翻訳したやつ俺見たことあるけどさ、本当に同じ人間か?って思ったもんな」

 

 

 

「ったくどの写真見てもキッショイ笑顔してるし、それでサッカー上手いとかムカつく奴だぜ…」

 

 

 

え、俺の笑顔そんなに気持ち悪かったのか…。

 

 

 

「いやいや、それ思ってるのお前だけだから。は~、天は二物を与えずっていうけど、有馬ケイだけにはそれは当てはまらないんだよな」

 

 

 

「マジそれな。ノアの隣に立てる世界一のDMF。で、これが19歳」

 

 

「今活動休止してるらしいけど、何処にいるんだろうなー日本にいたりして」

 

 

「…俺、そんなすごい日本人選手がいるの知らなかった」

 

 

「wikip〇diaとかインターネットになら情報色々あるよ」

 

 

「そうなのか」

 

 

SNSで情報発信はよくしていたけど、普段エゴサなんてしないから、こう聞くとちょっとムズ痒い。勿論サッカー雑誌とかは定期的に読んで情報収集に勤しんでいたけど。そういえば、遠路はるばるドイツまで来てくれた日本人とかいたよなぁ。

は~、早くこの話題終わらないかな。トイレ行こう。

 

 

「…江戸川?」

 

 

「あ、ちょっとトイレ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一次選考最後の試合、チームZ vs チームVが始まる。

 

 

 

事前にチーム内で映像は見たものの、チームVは相当手強い相手だと思う。相手のペースに呑まれないで、こちらの力を出し切れば、勝てるかも…うーん、でもこっち10人なんだよな。正直12vs10のサッカーの試合の結末なんて予測したことがないから何とも言えない。

試合は開始されたが、どうやら久遠は宣言した通りピッチ隅で大人しく座っているようだった。あ、これなら11vs10だ。

 

 

 

 

チームZの連携は凄まじかったが、あっさりチームVに先制点を取られてしまう。

 

俺はといえば、そこそこ動き回ってはいるが。体調面もあって動きをかなりセーブしている。

 

 

潔も俺が体調悪いのをわかってるのか、そっとしててくれてる。

ありがてえ。

 

 

チームVは相手の動きを再現したゴールをしてくる。映像を確認した限りだが、御影に技をコピーされたことや、圧倒的な身体能力を持つ凪に気圧されずにできれば、同点くらいはいけるんじゃないかな。

 

開始早々にチームVは3点を決め、チームZの空気はどんより、ってそんなこともないか。蜂楽だけ目がギラギラしている。アドリブで一人で1得点入れた。この空気の中で、1を生み出すストライカーは本当に凄いなと思った。

その後、スーパーヒーロー國神がゴールを決めて3-2になった。

 

 

で、そんなこんなで気が付いたら前半終わってた。

 

 

「勝のはチームZだ!!ウォォォォ!!!」

 

 

チームの雰囲気も良いし、負けてはいるがこのまま逆転しそうだな。

 

 

 

 

 

「大丈夫か。江戸川」

 

「千切。…大丈夫。守ってやるけどあんま俺の事当てにしないでね」

 

 

千切が声をかけてくれる。

ちゃんとDFやるので、そこはご心配なく。

…いや、正直俺ももうベッドで寝たい気分。前回の試合のアレがまだ響いているというか。

 

 

 

で、後半スタート。玲王のイエローカードには驚いたが、チームVにもあまり余裕がない気持ちらしい。早速千切がゴールを決めた。

 

 

「何やってんだよチームV!!?本気出せバカ!!10人相手に負けるとか恥ずかしくねーのかよぉ!!?」

 

 

久遠お前…。同点になってもまだそう言う事言うのか。最初、ここに来た当初、みんなをまとめ上げてくれた久遠に感謝していた俺は本当にクソだ。駄目だ、こんな奴に負けちゃ。

 

自発的に動き出した凪によってチームVに得点が入る。

 

 

「今さら守り固めてどーすんだ!!」

 

 

雷市の言う通り、攻め続けるしか生き残る道はない。

 

 

「死ぬまで攻めろ!!撃ち合えバカ!!!お前らストライカーだろぉ!!?」

 

 

残り15分となったが、10人で戦い続けているチームZの面々は疲弊していた。

それでも、潔の空間認識で弱点を的確に突き、最終的に國神がゴールを決めた。

 

 

これで同点。でも、俺たちは勝たないといけない。

チームZは逆境に負けず常に進化してきた。

凪という天才型を超えるチャンスがすぐそこまでやってきているんだ。

凪がゴールまで迫っている、その直前で俺は止めに入る────。

 

 

「?!」

 

「グェッ」

 

 

久遠???!お前何で突っ込んできた????

それまで動かずに座り込んでいたはずの久遠が突っ込んできた。

 

俺の頭の中で久遠はもう動くことはないだろうと、除外して計算したのは良くなかった。

久遠のタックルが俺の頭にクリーンヒットしたので、一瞬意識飛んだし、めっちゃ痛い。

俺の横に位置していた凪も巻き込んで倒れる。

 

 

[久遠渉、レッドカード!!退場!!]

 

 

あー、折角ブルーロックに参加したのに情けね~俺。

 

 

「これでまだ、戦えるだろ。チームZ…」

 

 

いやいや、俺もう戦えなくなっちゃいますよ~。

頭がごちゃごちゃしてきて色々と混濁してきた。

 

 

「あ~、凪だったか。…大丈夫?」

 

 

「うん」

 

 

なら良かった。

チームVの面々は案の定というか久遠にブチギレているし、チームZの面々も困惑している。

…一番の被害者は凪なんだし、いつまでも寝転がるのは我慢して俺も頑張って立ち上がらないと…。

 

 

「つーかお前ら、絶対勝てよ。世界一のストライカーになるのは俺だからな」

 

 

ムカついて久遠に言い返したいところではあるが、今は自分の事で精一杯でそれどころじゃない。落ち着け…ああ、頑張って立ち続けるんだ…手の震えも抑えろ。

 

 

 

 

久遠のレッドカードにより執り行われたFKはほぼ記憶はないが、確か頭痛いのに頭で受け止めた。

その後、チームZは死力を尽くして攻め続けたらしい。

最終的に潔の直撃蹴弾で4-5で勝利したという。

 

 

[試合終了!!5-4でチームZの勝利!!]

 

 

喜ぶチームZ。

俺は一人こっそり抜けてそのまま医務室へ直行した。

遠目に久遠が雷市殴られていたのが見えた。敵討ちしてくれてありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ…江戸川は?」

 

 

[あー、あいつなら体調不良で抜けてるからね]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付いたら脱獄していた件。

 

 

目を覚ますと、真っ白な天井。監獄の医務室かな~と思ったが、記憶にあるのと配置が大分違う。

あれ、俺確か監獄の医務室へ直行した辺りで記憶がねえ~。

腕に刺さっている点滴。あ、これ病院ですか。

 

 

「やっと目が覚めたか」

 

 

「わッびっくりした。絵心さん、なんかすみません」

 

 

近くに絵心さんが座っていた。えッいつからいたんですか。

 

 

「…お前がまさかこんな深刻な状況に置かれているとは思わなかった」

 

 

「あー、すみません」

 

 

どうやら俺は医務室でぶっ倒れた後、病院へ運ばれて丸一日寝ていたらしい。

で、色々と精密検査したそうで。諸々を説明された。俺も当然知っていたことなので、付け加えてこちらの事情を説明した。絵心さんただでさえ怖い顔がもっと怖くなっていた。恐ろしい…。

 

 

「今はフィジカルトレーニングしているんですよね…」

 

 

「ああ、そうだ。コーチとしての立場から言わせてもらうならば、リタイアを勧めるが」

 

 

「…俺は、才能の原石達が開花するのを見届けたい。日本のサッカー界がとんでもなく面白くなっていますし…。何といわれようが継続参加したい」

 

 

「…別に一選手としてではなく、サポートスタッフということで参加する形に変えても構わない」

 

 

それはそれで良いかも…と思ったけど、一番選手を近くで見たいからこのまま参加していたい。

 

 

「ていうか俺って今のところ脱落扱いですか?」

 

 

「体調不良ということで通している」

 

 

 

その後あれやこれや言いくるめて、結局絵心さんが妥協する形となった。

一人の革命的なストライカーを生み出すために、俺の人生ぐちゃぐちゃにされても構わないですから…。

 

 

 

「とりあえず、合流は二次セレクションからで」

 

 

 




補足ですが本◯と香◯は実在の人物とは関係ありません。
これについては原作とは明確に違います。
ここでは本堂さんと香田さんということです…。
問題ありそうでしたら即座に修正しますのでご連絡ください
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