出雲国の斐伊川流域にて、荒れ狂う川と雷雨の中に居る山脈のような巨躯を誇る八つ首の大蛇のような呪霊が居た。その名は特級仮想怨霊【八岐大蛇】古事記に記され、神話の時代に存在したとされる蛇龍に対しての畏怖より形作られた存在。八つ首の大蛇はその巨躯を揺らせば山が崩れ、氾濫した大河がその身体により四方に散りまた周囲を呑み込む。
そして、その様子を見下ろすのは、漆のような黒い長髪をたなびかせる美丈夫、禪院璃桜とその供回りである分家の男。八岐大蛇の荒れ狂う様をみて眉を顰め嘆息する。
「なんやアレ、デカ過ぎるやろ。んで、この止まん雷雨はアイツの術式かいな」
「いえ、そうではなくアレはただあの呪霊が持つ呪力特性か術式の副次効果ようなものとの報告が上がっています」
「はぁ?アホちゃうか。ホンマ萎えるわ·····ま、とはいえ五条家の坊にこんな極上の経験値譲る訳にもいかんしな·····しゃあない、殺るか」
「ご武運を」
「あいよ」
そのまま崖からするりと身を投げたと同時に壁面に差す影の中より式神、鵺を出して肩をつかませそのまま飛翔し、八岐大蛇の元へと向かって行った。
はーーーアホアホアホアホ!!!八岐大蛇て!!!魔虚羅を調伏するための経験値稼ぎに呪霊討伐してるのに、魔虚羅と似たりよったりなレイドボスがポップするのは本末転倒やろがい!!
はぁ·····でもなぁ朝廷からの命令やからここで殺さんと八岐大蛇に殺されるか普通に反逆者でお縄やからね·····宮勤めは厳しいわぁ·····ただ、実は勝ち目が欠片ほどもないかと言われれば、そうでも無い。そりゃそうや。どうしても無理なのが確定してたらほっぽって逃げとる。
1つ、俺が貫牛を調伏した事。これによって対魔虚羅用の戦術をとる下地が整ってる。上手いことハマってくれればなんとかなるかもしれへん。
2つ、あの八岐大蛇はまだ呪胎やって事。うわ、自分で言うてて吐きそう。あの八岐大蛇はあんな体躯で暴れ回って周囲の地形を変えまくってるけど、まだ進化の余地を余裕で残しとる。つまり、今でもその辺の特級より余程強いけど、恐らく攻略不可能レベルの理外の怪物にはまだ至ってない·····ハズや。以上を踏まえて
「頼むから何とかなってくれよ·····【貫牛】」
鵺に掴まりながら低空飛行中の俺の影から大岩のような巨大な雄牛がぬるりと浮上し、そのまま八岐大蛇へと突進して行く。その背に着地し、着物の影から俺も自身の得物を抜く。2mを越える刀身を持ち、柄、鞘ともに麻布張りの地に山金を蛭巻にした太刀としても、なお巨大な大太刀、俺が現在唯一所有する特級呪具【
この呪具の能力はただ1つシンプルかつ強力な物。それは流し込んだ呪力が自動的に反転し正の呪力へと変わる。少し意識すれば反転術式のアウトプットも容易、これで斬りつければ術式の中和なんかも可能で、さらに強力なのは、持ってるだけで術式反転の使用が容易に可能な事。つまり、反転術式や術式反転に脳のリソースを持って行かれない。これは大きなアドバンテージとなる。
俺は大きく前傾姿勢を保ち、貫牛の速度を乗せながら八岐大蛇に迫る。そしてそのまま、激突·····する寸前に、俺が持つ拡張術式の1つを使用する。それは、式神の能力や性質をそっくりそのまま、影のように抽質し増やして、自身や周囲の物に貼り付ける事が可能というもの。分かりやすく言えば≡の形象拳の上位互換って所だ。
そうして貫牛そのものは、その速度と上昇した威力をを保ったまま、八岐大蛇の影へ沈める。同時に背にいた俺は慣性を利用しながら、貫牛の突進の威力を込めて、居合切りを放つ。
「抜刀・猛貫」
俺の放った居合切りは黒い花火を纏い、ずんばらりと、八岐大蛇を斜めに斬り飛ばし、渾身の大斬撃はそのまま八岐大蛇を通り抜け、数キロ先の木々まで同じ傷を残していた。通常の呪霊、それどころか特級呪霊の中にすら同じ一撃を受け、生存出来る存在は数少ないやろう。
「ここで黒閃キメれる、さすがは俺やね。運命力っちゅーモンのケタが違うわ·····ホンマ、お前も空気読んでサパッと死んどかんかいボケ」
ただ·····当然の権利のごとく八岐大蛇は
瞬間、俺がいた場所が爆散する。なんて事は無い、ただの噛みつき。しかし凄まじい速度であり反応速度ギリギリだった。これが7倍の数で攻めてきます。しかも普通にこれがジャブなので別にメインウェポンがあります。アホ死ね。
残り6本の首が四方八方から迫ってくる。呪霊、しかも呪胎の癖に死角の概念を理解するな。空中で身体をねじり、祢々切丸で首を受け流しながら犬の手印を作る
「【玉犬・
服の影から玉犬の毛皮が身体を覆う。仮面のように顔の上部を犬の頭が被さり、全身が一回り大きくなる。玉犬を纏う事で自身の身体能力を向上させる。そうして、1度首を大きく弾いて仕切り直し、続け様に蛙、鳥の手印を作り式神を呼び出す。
「【蛾蟇】、【鵺】」
「さあ、こっからが本番ってことやな。かかってこいや。呪霊として日の目見る前に皮はいで財布に放りこんだるわ。」
祢々切丸を方に担ぎ、ニヤリと笑ってやれば、八岐大蛇の瞳に僅かに怒りが宿った。さぁ、ここからは時間との勝負や。対魔虚羅用の秘策、通用してくれよ·····!!
プロフィールや璃桜が使う場合の式神の見た目なんかどこかのタイミングで纏めたものは作りたいですがとりあえず後書きにオリジナル拡張術式等書いておきます
禪院璃桜
身長·····198cm
体重·····160kg
等級·····現代でいえばまだギリ特級認定されていない。
現在の強さ·····全力の鹿紫雲とタイマンすると相打ちになるか負けるかくらいの強さ。だが今回で黒閃を経験して·····?
好きな食べ物·····鯨
嫌いな食べ物·····きのこ類
呪力量·····五条悟以上、乙骨未満くらい。
式神
鵺·····仮面がより猿の頭蓋骨に近く顔を覆っている。体は結構大きく両羽を広げると15mほど。人を3人程度なら乗せられる。とりあえず出しとけ枠の1
蛾蟇·····5m程の大きさのクソデカヒキガエル。全身が苔むして藻が毛のように垂れている。デカくてパワーもあるのでとりあえず出しとけ枠の2
貫牛·····アフリカスイギュウのような大きな角を持っている。体色は黒。前脚の方が若干屈強で三角形タイプのムキムキ。
拡張術式
【抜刀・猛貫】
鞘の中の影に貫牛の速度と威力上昇効果を乗せて超威力の抜刀を放つ。弱点は使える武器が特級呪具や一部の頑丈な呪具以外だと攻撃として成り立つ前に崩れる事。
【玉犬・獣羽織】
犬の毛皮を纏って玉犬の身体能力や嗅覚、聴覚を自身に付与する。見た目が動物系悪魔の実の半獣形態を想像して貰えるとイメージしやすい。玉犬はこれを生み出してから、戦闘ではこの形でしか使ってないほど使い勝手のいい拡張術式で気に入ってる。
次回も早めに出せるよう努力しますので、良ければ評価、感想よろしくお願いいたします!