志歩が自宅で「……触手、ベース、多足……」とうなされているのを聞き、姉の雫は心配で居ても立ってもいられなくなった。翌日、咲希に頼み込んで、志歩のトラウマの元凶(?)である星名を紹介してもらうことに。
1. 雫の「覚醒」:エレガントな衝撃
宮女の放課後、咲希が連れてきた星名と、待ち構えていた雫が対面する。
「あなたが星名さんね。志歩があなたの絵を見てから様子がおかしいの。一体どんな……」
「……すみません、日野森先輩。志歩ちゃんを怖がらせるつもりはなかったんです。……これが、その絵です」
星名がおずおずと差し出した、あの『黄金触手咲希ちゃん』。
それを見た瞬間、雫は志歩のように絶句……しなかった。
「……! なんて、……なんてエレガントなのっ!」
「えっ」
「ええっ!?」
星名と咲希の声が重なる。雫は絵を両手で掲げ、瞳を潤ませて感動に震えていた。
「この自由な造形、既存の枠に囚われない大胆なパーツ配置……! まるで宇宙の神秘が、この一枚の紙の中に凝縮されているわ! 素晴らしい、素晴らしいわ星名さん!」
「あ、あの……雫先輩? これ、呪物って言われることもあるんですけど……」
「そんなの、芸術を解さない人の言葉よ! 私、決めたわ。星名さん、私をあなたの弟子にしてちょうだい! 私もこんな風に、魂を解放した絵を描いてみたいの!」
「弟子!? 先輩、落ち着いてください! 私、教えられることなんて……!」
2. 星名の「お詫び」:志歩への追い打ち
雫の熱烈な弟子入り志願をなんとか(咲希が)なだめた後、星名は申し訳なさそうに別の包みを取り出した。
「あ、あの。……志歩ちゃんに、お詫びの品を持ってきたんです。昨日は驚かせちゃったから、志歩ちゃんが元気になれるように描きました」
「わあ、せーちゃん優しい! 志歩ちゃん、これを見ればきっと笑顔になれるよ!」
翌日、志歩のもとに届けられたその『お詫びの絵』。
封を開けた志歩の目に飛び込んできたのは――。
**『漆黒のベースから無数の肉厚な腕が生え、志歩の顔をした中心核(コア)を包囲しながら、超低周波の振動で空間を歪ませている「ベースの守護精霊」』**だった。
「…………。……。……ぁ……」
「志歩!? 志歩、しっかりして! 星名さんがあなたの演奏を『空間を支配する咆哮』だと解釈して、心を込めて描いてくれたんですってよ!」
「……もう、無理……。……引退、する……」
志歩はそのまま、真っ白な灰となってベースケースの中に崩れ落ちた。
3. 東雲家の苦悩、再び
その日の夜、星名は彰人に事の顛末を話した。
「……というわけで、日野森先輩に弟子入りをお願いされちゃった。あと、志歩ちゃんは絵を渡したら、声も出ないくらい感動(?)して倒れちゃったみたい」
「……。……お前、そろそろ自分の才能が『対人兵器』だって自覚しろ。それから、あの完璧超人の日野森(姉)を狂わせるんじゃねぇ……」
彰人は頭を抱え、冬弥は横で「……なるほど。日野森先輩は、星名の絵の中に『真実の美』を見出したのか。……流石だ」と一人で納得していた。
星名の「善意」は、日野森姉妹という新たな生贄(と信者)を生み出し、神高と宮女の境界線を恐怖と混沌で塗り固めていくのだった。
今回の被害(と恩恵)
• 日野森 雫: 完全に「開眼」した。星名の絵を「高次元のファッション」と捉え、自分の私服に取り入れようと画策し始める(志歩が全力で止める予定)。
• 日野森 志歩: ベースを弾くたびに「……背後から腕が生えてる気がする」という幻覚に悩まされる。
• 天馬 咲希: 「せーちゃんと雫先輩が仲良くなってよかった〜!」と大喜び。地獄への片道切符を笑顔で配り続ける。
• 東雲 星名: 「自分の絵が、やっと芸術として認められ始めたんだ!」と自信を持ち、さらなるクリーチャー作成に意欲を燃やす。