神山高校の放課後。星名の才能は、さらに広い範囲へと知れ渡ることになる。
1. 神代 類の場合:『背景の女神と、狂気の発明家』
類が屋上で、寧々から見せられた「文化祭の背景画」をまじまじと見つめていた。
「おや、これは驚いた。……この筆致、光の捉え方。……寧々、君のクラスにこんな逸材がいたなんてね」
「……背景『だけ』はね。……類、この絵の右下にある、……その、……『多足のナニカ』は無視していいから」
類はその「ナニカ」に目を留め、口角を吊り上げた。
「おや、面白い! 背景の写実性と、このキャラクターのシュールな独創性……。これこそ僕が求めていた『観客の思考をフリーズさせる装置』にふさわしい!」
数日後。類は星名を放課後の屋上に呼び出した。
「やあ、星名くん。……単刀直入に言おう。今度のワンダショの公演で、背景と……この『クリーチャー』のデザインを僕に貸してくれないかな?」
「クリーチャー……? ああ、妖精さんのことですね。類先輩、分かってくれるんですか!?」
「ああ、もちろんだとも! むしろ、この妖精を巨大なロボットにして、客席にダイブさせる演出はどうだい?」
「……! 素敵ですね、それ! もっと目を増やして、質感をヌルヌルにすれば、より神秘的になると思います!」
「フフ……最高だね。……さあ、語り合おうじゃないか、星名くん!」
遠くで見ていた寧々が「……終わった。……混ぜるな危険だった……」と頭を抱えた瞬間だった。
2. 白石 杏の場合:『最強のサポーター、ユニット仲間の妹』
WEEKEND GARAGEのカウンターで、杏が星名に熱い視線を送っていた。
「ねえ、星名。やっぱりビビバスの専属サポーター、本気で考えてよ! 彰人との練習の時の録音、聴かせてもらったけど……あのハモリ、鳥肌立ったんだから!」
「杏ちゃん、ありがとう。……でも、私は彰人の後ろで支えるのが一番落ち着くんだ」
「もったいないな〜。星名が歌えば、彰人ももっと本気になるのに。……あ、そうだ! 今度のイベントの告知ポスター、星名に描いてもらえないかな?」
「ポスター? ……いいけど」
「やった! ……あ、でも、あの……例の『妖精さん』は、今回は控えめでお願いね? 彰人が『ポスターが呪物になるからやめろ』って泣きついてきたからさ」
「……彰人、ひどいな。……分かったよ、杏ちゃん。街並みを綺麗に描くね。……でも、路地裏の影に一匹くらいなら、いいかな?」
「……。……ま、まぁ、ウ ーリーを探せ的な感じなら、アリ、かな……?」
杏は、彰人が恐れる星名の「感性」を面白がりつつも、彼女の歌声と優しさが、彰人をどれだけ強くしているかを誰よりも理解していた。
新しい関係性の整理
• 神代 類
• 星名への呼び方: 星名くん
• 関係: 「前衛的な芸術」を共有できる同志。星名のクリーチャーを「新時代の演出」として高く評価し、星名を喜ばせる(そして周囲を絶望させる)。
• 白石 杏
• 星名への呼び方: 星名
• 関係: 彰人の妹としてだけでなく、一人の優秀な歌手・絵師としてスカウトし続ける。彰人の苦労を察しつつも、星名と仲良くするのが楽しい。