放課後の理科準備室。そこは今、神代類と東雲星名という「混ぜるな危険」な二人の秘密基地と化していた。
「……できたよ、類先輩! 私の描いた『妖精さん』に、命が宿ったみたい!」
「フフ……素晴らしいよ、星名くん。僕の計算以上の、実に『有機的』な動きだ!」
二人の前で、全長2メートルの金属塊がガチガチと音を立てて起動する。星名のプロ級の背景技術で塗装された「超リアルな質感の皮膚」と、類による「ヌルヌルとした触手の駆動」。
それは、見る者の正気を奪うに十分な、自律歩行型クリーチャーロボット『プロトタイプ・セナ1号』だった。
1. 迎撃戦:彰人と寧々の共闘
「……おい。草薙、あれか」
「……そう。昨日、類が『新時代のミューズが誕生する』って言ってた、地獄の根源……」
理科室のドアの隙間から中を覗いた彰人と寧々は、同時に戦慄した。
そこには、自分たちの名前を呼びながら(合成音声)、不自然な角度で首を回す巨大な「何か」がいた。
「『ア……キ……ト……。ネ……ネ……。ア……ソ……ボ……』」
「……っざけんな! あんなもん世に出してみろ、東雲家の家系図から俺の名前が消えるわ!」
「……私だって、あんなのと一緒にステージに立ちたくない……! 類、またやりすぎ……!」
二人は無言で頷き合い、それぞれの武器(?)を手に取った。彰人は掃除用具入れからモップを、寧々は通信機能付きのネネロボを構える。
2. 封印作戦:理科室突入
「類先輩! この妖精さん、もっと目を光らせることはできますか?」
「おや、いい提案だね星名くん! では、この高輝度LEDを――」
「そこまでだ!!」
彰人がドアを蹴り開けて突入する。
「うわっ、彰人!? びっくりした……」
「おや、東雲くんに寧々。見学かい? ちょうど今、僕たちの傑作に『目力』を与えようとしていたところさ」
「傑作じゃねぇ、呪物だ! セナ、お前もだ! なんでこんな化け物にスチームパンク風のリアルな塗装しやがった! 夜中に動いたら心臓止まるだろ!」
彰人がモップでロボットを牽制する間、寧々が類の手元にあるコントローラーを奪い取ろうと飛びかかる。
「類、これ以上はやめて! ワンダショの評判が、……っていうか私の精神が持たない!」
「おや、寧々。芸術には多少の毒が必要だよ。……ああっ、いけない! 寧々が変なボタンを――」
3. 暴走、そして伝説の封印へ
寧々が奪い合いの最中に押してしまったのは、類が遊びで仕込んだ『ハイパー・パニック・ダンスモード』だった。
「『セナ……。セナ……。ダイスキ……。アハハハハ!!』」
爆音の合成音声と共に、ロボットが高速回転しながら廊下へと飛び出していく。その姿は、神高の生徒たちに「放課後の怪異」として語り継がれるほどの衝撃を与えた。
格闘の末、彰人がコンセントを引き抜き、寧々がネネロボを使ってシステムをハッキングし、ようやく『セナ1号』は沈黙した。
「……はぁ、……はぁ。……セナ、お前、二度と類先輩と組むなよ。……これ、マジで約束だぞ」
「……彰人、そんなに怒らなくても。……可愛いと思ったんだけどな」
星名は少し不満げに、機能を停止した(けれど見た目は相変わらず恐ろしい)ロボットの頭を撫でた。
結局、そのロボットは地下倉庫に「永久封印」されることになった。しかし、類は諦めていなかった。
「フフ……星名くん。次は『飛べる妖精』を設計しようか」
「はい! 類先輩!」
「「絶対にやめろ!!!」」
彰人と寧々の叫びが、今日も神高に響き渡るのだった。
• 神代 類: 星名のクリーチャーの「異質さ」を理解し、さらに科学の力で増幅させてしまう悪魔的相棒。
• 東雲 彰人: 妹の暴走を止める唯一の良心(物理)。モップ一本で妹の描いた恐怖に立ち向かう。
• 草薙 寧々: 類を最も理解し、最も恐れているからこそ、星名とのコンビネーションを「世界の終わり」と認識して全力で阻止。