魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス   作:旅人さんた

1 / 60
前章/結末
遠い未来の話


「逆説構造体、形成。刻寿測定針、セット。生命距離弾、逆説から真説へ。レイヤー、セーフロック。」

 

別世界で生み出されたその輝きは、目前の巨獣へと狙いを定める。

 

ヌヴィレットさん、フォカロルスさん、ありがとうございました。そして安心してください。この剣をきっと、先輩に届けてみせます!

 

『希望証す人理の剣(レイプルーフ・キリエライト)』

 

 

発射されたそれは、時空を正す剣である。

その余波は現代にとどまらず、過去を打ち抜いた。

その衝撃をもって、特異点は修正される。

これは、その過去を描く物語である。

 

 

 

 

 

 

 

レイシフトを終えると、見知らぬ場所にいた。

 

私にとって、知っている場所というのはまだ少ないけれど、ここは本当に一切の知識のない場所だった。

歌劇場、だろうか。それを見下ろす場所に私は立っていた。

目の前には小さな椅子に、一人の少女が眠っている。

閉じた瞼から、涙を流して。

 

「すいません、あなたは...」

 

「ごめんね。起こさないであげてほしい。」

 

遮る声がする。背後には、眠る少女とうり二つの少女が立っていた。

 

「観光客かな?それとも救世主?どっちにせよ、残念ながら、来るのが遅かったようだね。ここにはもう希望も何も残っていないよ。」

 

「あなたは、一体?」

 

「僕の名前はフォカロルス。あれ、これで通じない?水神フォカロルスだよ。」

 

私は目を見開く。自らを神と名乗ったことだけではない。その少女の瞳には光が一切なかったからである。

 

「どうやってここに来れたか、あの壁を越えてきたかは聞かないよ。少し、独り言に付き合ってくれるかい?もうすぐヌヴィレットが帰ってくる。まだエリナスを倒せば元に戻ると思っているんだよ。かわいいよね。炎を消しても、灰になったものは元に戻らないというのに。」

 

「状況を、教えてもらえますか?力になれるかはわかりませんが、きっと、お困りのようなので。」

 

フォカロルスと名乗る少女は少し悲しそうな笑みを浮かべ、

 

「うん、状況説明も独り言のうちさ。まずは君の名前を教えてくれるかい?」

 

「はい、私はクラス、シールダー・パラディーン。マシュ・キリエライトという者です。この世界を救うために、カルデアより訪れました。」

 

「まさか本当に現れるなんてね。占星術師の読みというのは偽物じゃないらしい。彼女には悪いことをしてしまったかな。」

 

これが私とフォカロルスさんとの出会い。

終わってしまったフォンテーヌにおいての、最後の分岐点です。

 

 

 

 

「つまり、この国にはもう人間は存在しないということですか?」

 

「うん、まぁもともと人間と言えるかは怪しかったけど、自分たちを人間だと思っていたフォンテーヌ人たちはみんな溶けて居なくなったよ。」

 

マシュは険しい表情を浮かべる。「遅かった」という言葉の意味を理解してしまった。

ここはテイワット大陸と呼ばれる世界の一国家である、フォンテーヌという国らしい。

 

ここに住んでいた人々はもともと精霊のような存在で、それらを原始胎海という名の特殊な海水が飲み込み、溶かしてしまったのだという。

 

「といっても、もうだいぶ昔の話さ。いまはそれ以外の種族が住んでいるよ。」

 

「その、人間のほかにも種族が?」

 

珍しい話ではない。異聞帯でのはなしになるが、ロシアではヤガと呼ばれる獣人の国だったし、ブリテンでは妖精がほとんど、ミクトランではディノスという恐竜?だった。

 

「うん、彼らの名前はメリュジーヌ。迫害を乗り越え、共生をなしたとたんに霊長を獲得してしまった。種族さ。」

 

「メリュジーヌ、ですか。」

 

その名を聞いて、マシュは一つ合点がいった。ダヴィンチちゃんの言う通り、ここは汎人類史(・・・・)におけるフランスに似た世界なのだろう。

 

 

つまり、レイシフト先に間違いはない。わたしがこの地、この時に飛ばされたことには、理由がある。

 

それが、先輩とはぐれ、カルデアとも連絡を取れない私の唯一の救いだった。

 

「先輩、どうか無事でいてください...」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。