魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
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絶対に逃しちゃいけない。彼が使っていた魔法には、黄金の劇団が残した術式に隠しましたものが使われていた。そして、他所から来た存在だと自分で認めた。彼は救済に必要なパーツだ。幸い、僕たちと行動を共にすると決めたらしい。目的は彼自身の魔法に必要なこと。なら、僕たちの価値を彼に示し続けなければ。
黄金の劇団は、レムリアの遺産を引き継いでいる。彼はアビスと関係があるのだろうか。
一行はついに心臓部へと到着した。
エリナスの心臓はすでに岩のようになっていた。
ただ、周りに赤い石が散らばっている。きっと凝血だ。
「お前たちの探し求めていた血とやらはこれか。」
カルデアの者さんから問われた。まさしく、これだ。
ジェイコブに注入したアビスの力を安定させるために、早くこれを飲ませなきゃ。
アビスの力は無限大だ。カールみたいな人もいるが、大きな力っていうのは使い方によって毒にも薬にもなる。僕たちの心にブレない正義がある限り、力に飲まれることなんてない。
ジェイコブが凝血を飲み込んだ。やはり体の不調が回復している。
カルデアの者さんは顰めっ面だけど、意味を理解していないのか、口を出すことはなかった。
(やはり、アビスの力はすごい。これを使えばきっと滅びの回避どころか、死の概念すら覆せる!)
興奮がおさまらない。こんな時代だ、人がいつ死ぬかなんて誰にもわからない。
これさえあれば変数などいらないのかとと思ったけど、保険は残しておきたい。とにかく、カルデアの者さんの興味を惹かなくては。
「ねぇ、あなたは一人で来たの?」
「いいや、もう二人いたはずなんだが、だいぶ遠い場所にいるようだ。」
「もしよければなんだけど、僕たちとしばらく一緒にいてくれないかな。」
「…親はいないのか?」
「僕たち二人とも孤児でさ、元々は孤児院にいたんだけど、エゲリアとの戦いのせいで出なきゃいけなかったんだ。」
ジェイコブはまだ言葉を発していない。僕たちに養父はいるけど、その存在は一旦伏せておこう。
「私には目的がある。常に一緒にいるということはできないが、了承した。お前たちを気にかけておこう。」
少し冷たい人なのかもしれない。普通こんな子供から保護を求められたらもう少し優しい対応をするんじゃないかな。
でも、繋がりはできた。
今はとにかくそれだけで満足しよう。
今あの人の興味は完全にジェイコブに向いている。アビスの力に興味があるのかもしれない。黄金の劇団の関係者なら無理もない話だ。
僕たちはエリナスの骸を後にした。カルデアの者さんはしばらく世界を渡るらしい。何年後に会えるか聞いたが、明確な答えはなかった。困ったような顔をして見せると、僕の腕に何か魔法をかけた。
「エーテルを通じて令呪を刻んだ。今この時代で保有するのはお前だけだ。これでどこにいてもお前の存在を感知できる。ジェイコブに何かあったらよぶがいい。道案内の礼だ。一度だけ呼びかけに応じよう。」
右手、正確には右手の甲にスメール人がするようなタトゥーが現れた。これがあればいつどんな時でも彼を呼びつけられるらしい。
「友を、大事にな。人との繋がりというのは存外侮れん。」
そう言うと彼は僕とジェイコブを残して去っていった。気になることがあるらしくて、まずはスメールに向かうらしい。
(なんだかんだいい人だったなぁ、でも
なんで人間のフリなんてしているんだろう。)
これをもって、魔神特異点 フォンテーヌ・エリナスは完成した。
単独顕現とは因果をも無視する異能。
憐憫の理を担うゲーティアの存在が、この世界をあるはずのないものへと変えた。
もし魔女たちに特定点の知識があったのなら、そもそも藤丸達のレイシフトを弾けばよかったのだ。
特異点を調査するために藤丸達はこのテイワットに来たが、真実ここは元々特異点ではなかった。
位相の歪み、とある星での、とある儀式。
それによって、本来繋がりのない世界に繋がりができてしまった。
私たちの中では、もはや慣れ親しんだ現象。
ビーストの降臨が、この特異点を作成したのである。