魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス   作:旅人さんた

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最悪の同盟/深夜の会話

・ファデュイ基地

 

 

空気が重い。召使はフレミネの調査報告書を読んでいる。片隅に置かれた木剣が場違いな雰囲気だ。これもフレミネが調査で持ち出したものだ。

 

「お父様...僕、役に立ったかな。」

 

「あぁ、問題ない。よくやってくれた。」

 

ファデュイは相変わらず科学院を占拠してから目立った成果は上げられていない。

 

メロピデ要塞の出入り口を封鎖したことはできたが、それだけだ。あまりにもイレギュラーが多すぎた。

 

収穫としては行方不明の公子を回収できたことくらいだ。

 

「公子の回復は?君に任せているはずだが?リネット」

 

「すでに医療ベッドから抜け出してトレーニングしています。お父様との手合わせを熱望してますが。」

 

「タフな男だ。」

 

リネは現在拘禁中だ。と言っても今晩だけで、罰というより、他の隊員への示しという意味合いが強い。

 

「この調査で、君自体はショックを受けなかったのかな?」

 

「いえ、その、予言の意味が分かったということでむしろ安心しています。」

 

「それならよかったよ。自分が人間ではないというショックはなかなかにこたえるものだからな。」

 

「お父様、本国への増援要請はいいの?」

 

「個人的に、友を読んでおいた。女皇にも許可は得たがね。」

 

「勝てる?」

 

「彼らに勝つ必要はない。私たちは私たちのすべきことを。どうやら時間は長くなさそうだ。」

 

すると、隊員の一人が報告に来た。

 

「お話し中もうしわけありません。不審な人物がここの最高責任者に合わせろと。」

 

「ほう、風貌は?」

 

「男です。以前から来てはいたのですが、あまりにもしつこく...」

 

「いいだろう通せ。」

 

そう命じたのちに来たのは、帽子を被った奇妙な男だった。見た目ほど若くはなさそうで、それに...

 

「君は?」

 

「そろそろ我々の正体を把握したころかと思ってね。フレミネ君、だったかな?君の調査能力は期待以上だ。」

 

その返答に召使は武器を構える。

 

「抽象的な質問をしたこと謝罪しよう。問い直す。君の名前と立場、ここに来た目的を示したまえ。」

 

帽子の男は少し笑い。

 

「名前は知っているはずだ。私はジェイコブ。立場は...そうだな、水仙十字結社のメンバー。目的は君たちへの助言だよ。」

 

「ジェイコブ、まさかな」

 

「このアビスの力を観測しただろう?それが何よりの証拠だ。」

 

「それで、私たちに協力して君になんの利がある。」

 

「知れている、人類の救済だ。メリュジーヌ共を殺したところで一時的な先延ばしにしかならない。そこにも書いてあるだろう?じきこの世界は原始大海に飲み込まれる。」

 

「君にはそれを回避できると?」

 

「正確には私ではない。それができる者を呼び起こすだけだ。」

 

召使は熟考する。確かに彼はこの調査ノートにも登場するジェイコブらしい。

ただ、ノート通りであれば、その救済は...

 

「迷っているようだな。では、君に一つプレゼントを贈ろう。」

 

そういった瞬間、世界に割れ目が生まれた。

 

呑星の鯨が現れたものと同じものだ。

 

すると、その中から女が現れる。

 

「ふむ、盾男との決着は先延ばしになったか。」

 

「貴様はッ」

 

召使は完全に戦闘態勢へ入った。敵か味方かもわからない。

 

「お前は、あぁ、アヤックスのか。」

 

「リネット、いますぐ公子を呼んできたまえ!ジェイコブ貴様どういうつもりだ。」

 

「言っただろう、プレゼントだと。こんな存在をサーヴァントに足止めされたままというのはもったいない。」

 

 

 

こうして、ファデュイ、ジェイコブ、スカークは手を組んだ。

メリュジーヌ、カルデアを滅ぼし、世界を救うために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ホテル・ドゥボール、ダブルベッドの部屋

 

 

マスターとサーヴァントは互いに背を向けてベッドに横になった。

 

カチカチカチカチ...

 

時計の音だけが響いている。

 

「マスター起きていますか?」

 

この状況で寝れるわけがない。

 

「心配ではないのですか?マシュさんのこと」

 

以前のマシュなら、心配していた。それこそ、妖精國のころは必死になって探し回った。

だが、彼女は変わった。善悪だけでなく好悪でも行動できる。それに、

 

「うちのマシュは、パラディーンだからね。」

 

「そうですか。信頼しているんですね。羨ましい。」

 

「自分はトネリコも信頼しているよ。二人を見つけてくれてありがとう。」

 

「いえ、それはありがたいのですが、そういうことじゃないんです。私が羨ましいのは、信頼できる相手がいるということなんです。」

 

「君には、いなかったの?」

 

「いましたよ。でもその人たちは私の元を離れていきました。生きていても、死んでいても。」

 

藤丸にとって、トネリコの事情はあまり知らない。ただ、オークニーでロンディニウムの騎士が何を守ろうとしたのか、去っていった人々とはだれを指すのかは予想がつく。

 

「トトロット...ハベトロットは元気ですか?」

 

「うん、元気だよ。今はマシュの守護妖精になってる。異聞帯の存在じゃないけど。」

 

「そうですか。元気にしてるならいいんです。そっかぁすごいな、カルデアって。」

 

「これが終わったら、おいでよ。」

 

「そんな、『私』に悪いです。今は楽しくやっているんでしょ、水着なんて着ちゃって。それに、あの『彼女』と会うのは少しきまずいです。」

 

アルトリア・アヴァロンのことだろうか、あまり気にしなさそうだが。それにカルデアでは気まずい状況なんて日常茶飯事だ。

 

早く寝なくては。明日は朝からパレエルモニアで会議がある。

 

「電気、消すよ。」

 

スイッチを押し、電気を消す。最近知ったことだが、他の国では火を光源としている場合も多く、技術格差が激しいらしい。

 

急に眠気が襲ってきた。問題は山積みだ。明日には糸口くらいは...

 

 

背後で、布の音が聞こえる。トネリコが体勢を変えたせいだ。

 

寝間着の、背中の部分がぎゅっとつままれる。

 

「死なないでくださいね。私も、頑張って守ります。今度こそ」

 

背中から聞こえる声は、か細く、震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・狭間の向こう側

 

 

「弱ったな、予想外の事態だ。まさか外側から開けられるなんて。」

 

盾の騎士は、完全に置いてけぼりだった。

 

「消滅していないってことは、無事召喚できたか。といってもここで事が終わるのを待つだけというのも、わざわざ俺を送ってくれた夜の魔女に申し訳がない。」

 

『キリエライトが彼を守れなくなったら、代わりになってほしい。ほんでなんならあいつの場所を奪っちゃってもいいよ。てかそうしてくれたらアテシ的に超ラッキー。』

 

以前の自分が召喚したサーヴァントに、そんなことを言われた。

 

どこでかはわからないが。

 

「さて、どうしたものか。ん?」

 

終わりのない世界に、不思議な存在がいる。

 

礼装の力で無理やり呼び出されたギャラハッドには、この世界の知識がない。なのでその小さな生き物はメリュジーヌと呼ばれているということはわからなかった。

 

「あれ、こんなところに人が来るなんて、珍しい。ワタシの体内にいる人と、なんか似てる。」

 

「きみは?」

 

「ワタシの名前はエリナス。可愛らしいでしょ?この体。本当の体じゃないけどね。」

 

「折角来たなら、お話ししてこうよ。退屈してたんだ。」




文章量が少なかったので序盤の章を少しまとめますが、文章は変わりません。

やっと一日が終わりました。日付の概念を完全に失念しておりました。

ついに今日エスコフィエが復刻しますね、めちゃくちゃ待ってました!
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