魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス   作:旅人さんた

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メリュシー村へ

気恥ずかしさが拭えない。

 

いや、私としては別に深い意味があったわけじゃないけど、でもよく考えたら同じベッドで二人で寝るってちょっとどうなの。

 

提案した時は別に何とも思わなかったけど、夜が明けてから何とも大胆だなと少し客観的になってしまった。

 

だから、会議の間は碌な発言もできなかった。

 

まとめると、フリーナさんはとある裁判があるらしくてそこに。私たちはエリナス内部の探索。最初は反対されてたけど、なんとかそこはゴリ押した。旅人と棘薔薇の会はメロピデ要塞に残る人々の救援に向かう。

 

我ながら未熟。マスターはちゃんとぐっすり眠れたらしい。

そりゃここまで世界を救ってきたんだから、これくらいへっちゃらなのかな。

 

終わった後、フリーナさんと少しお話しした。少し揺さぶったけど、胸の内は明かしてくれなかった。

 

その間、マスターは昨晩サロンで出会った記者と話してる。何でもぜひ記事にさせて欲しいとのことだ。驚くことにパレエルモニアの人間スタッフの一人にあのときサロンにいた顔があった。コードネームは確か、使用人。マスターとは一瞬顔を合わせたけど、お互い少しニヤッとしておわった。彼らなりのやり方っぽい。

 

暇になっちゃったから、メリュジーヌたちと少しお話しした。私たちの世界について気になってるようで、私たちの世界…と言っても、汎人類史じゃなくて妖精國のことを少し話した。私以上に詳しい人は、まぁちらほらいるだろうけど、当事者の一人だから。

 

私も、フォンテーヌ以外の国の歴史を少し教わった。聖杯…じゃなかった、神の目は私にフォンテーヌの知識しか教えてくれなかったから。

 

中でも、ナドクライという地域には興味が惹かれた。土着の信仰はあるけど、基本的に神のいない場所だって。この世界の人間はそこまで神に頼りきりってわけでもないけど、それでも人間だけで生きてるっていうのはやっぱり少し憧れる。

 

メリュジーヌたちは、名前もあって少し警戒してたけど、思っているより危険性は感じない。少し、変な気配はするけど、少なくとも本人たちの心に嘘はなかったから。しかも、エリナス内部への案内はメリュジーヌがしてくれるらしい。頼もしい限りだ。

 

神が、人間と仲良くしてるっていうのがこの世界のお気に入りだ。どっかの祭神とは大違い。でも、気になるのはやっぱりあの予言。『原罪』という響きにはひっかかる。この地の人間は、一体どんな罪を犯したんだろう。まさか神殺しってことはないだろうけど。

 

取材が終わったらしい。マスターが少し疲れた顔で戻ってきた。

 

「帰ったら、お礼にケーキをご馳走してくれるって。」

 

それを楽しみに、今回の調査を終わらせよう。何にせよ、ソロモンと合流できれば百人力だ。私のいる意味あるのかってくらい。

 

人理修復から一体何があれば味方になるのか、ちょっと前に腕試しをされたらしい、キャスターがかき集められたと。あの『私』も参加したのかな。マスターはアラビアンナイトはしばらく聞きたくないなんて言ってた。

 

フォンテーヌ廷からエリナス内部には直接ボートでいく。ベリル地区自体には巡水船が出てるらしいけど、遠回りだし、エリナスの本体があるのは北部だからボートの方が早い。

 

メリュジーヌが案内してくれるって言っても、ここにいる子たちじゃない。とにかく島を南下すれば島には到着できるから、現地で合流しろってことらしい。受付のセドナの名前を出せば問題ないからと。

 

ボートの扱いは慣れてたから、マスターには休んでもらっている。

 

「いつでも変わるけど」

 

と言ってるが、実際は魔術で海流を操作してるだけ。私たちの知る海水とは少し違うけど、勝手は変わらない。

 

「あ、あれかな。」

 

岸が見えてきた。はるか昔に大暴れしたエリナスの骸は、今もなお剥き出しになっている。

 

「こんにちは、セドナさんからの紹介できました。自分は藤丸立香、こちはトネリコです。」

 

「えっと、私マメール。よろしく。」

 

気が弱そうなメリュジーヌだ。近くには画材が置いてある。

 

「絵、好きなんですか?」

 

「うん、ちょっと前までは私の絵を好きで買ってくれる人がいたんだけど、どこにいっちゃったんだろう。興味無くなったのかな。」

 

少し悲しげな表情のマメールの裏から、奇妙なものが現れた。

 

「ご主人様の幸福値低下を確認、この二人の人間の仕業ですか。」

 

なんと、喋る犬のロボットだ。ロボット大国とも言えるフォンテーヌには、こんなものまであるのか。

 

「ううん、違うのセイモア。この人たちはお客さん。メリュシー村を案内してあげるの。」

 

「認識の切り替え終了。失礼しました。」

 

どうやら誤解は解けたようで、私たちは無事案内をしてもらえることになった。中に入るには水中を泳がなくてはならず、そこは私の魔術で何とかした。

 

村は一言で表すと、小さな世界。

トトロットが生活するのにちょうど良さそうなくらい。それに、彼女の趣味にも合いそうだ。

 

たくさんのメリュジーヌが歓迎してくれた。村長とは認めないけど、実質主になってるメリュジーヌ、お花が大好きなメリュジーヌ、無口なメリュジーヌ…と、性格は十人十色。彼女たちはこの世界の通過、モラには興味がなく、自給自足の生活を送っているという。

 

マメールの家に着いた。マスターは村長と話している。中には赤い画材が転がっている。その具材からは、少し嫌な気配がした。

 

「気になるのですか?」

 

喋る犬、セイモアが話しかけてくる。

 

「少し、これ、人間には多分毒ですよね。」

 

「え、そうなの。でも、あの人はこの画材で描いた絵をとても褒めてくれたよ。」

 

どうにもきな臭いが、絵を評価されて喜んでいるマメールに対し言い返すことはできない。

 

「あの人、とはどのような?」

 

「うーん、名前くらいしかわからないな。ジェイコブっていうの。」

 

それを聞いた途端、メリュシー村出口の方から人間の声がした。

 

「おいこっちであってんのかよ!」「依頼主からの情報だとそのはずよ!」「チッこんなところまで来させやがって、報酬は用意してるんだろうな!」

 

「あ、あの人たち、私の絵を盗みに、こんなところまで!」

 

マメールが怯えている。彼らの会話とマメールの様子を見れば、するべきことは明らかだ。

 

「そこで止まって。あなたたちは何者ですか?」

 

「何だこの金髪のねーちゃん。これまで見たことねぇな。いいからさっさとどきな。何もしなけりゃ危害は加えない。」

 

「それはこちらのセリフです。痛い目に遭うまえに…セイモア?」

 

警告の言葉を発する前に、セイモアが三人のアルマイト旅団に向かって攻撃していた。

 

「何だこの犬!やっちまえ!」

 

「あ、だめ!」

 

マメールが悲痛な叫びをあげる。

 

「安心して、ここにいてください。」

 

私は、その三人に向けて魔術を行使した。大した戦闘力はない。モースの相手もできないだろう。

 

「しゃあねぇ、こんな奴がいるとは聞いてねえし、割に合わせねぇ!ずらかるぞ!」

 

三人はそう言って逃げていった。

 

「ありがとう、トネリコ。セイモア、無事?」

 

故障する前には間に合ったが、機体には少しダメージを受けているのか、セイモアは沈黙したままだ。。

 

「セイモア!セイモア!」

 

マメールが必死で起こそうとしている。

 

戻ってきたマスターにトネリコは事情を説明した。

 

「こんな時バベッジとかを呼べれば…少し見てみようか。」

 

そう言ってマスターがセイモアに近付くと、神の目が強く発光した。

 

すると、

 

「ピピ、大丈夫でしょうかお嬢様。」

 

様子が変だ。というより、これは治っている…?

 

「セ、セイモア?」

 

どうやらセイモアという機体は今の今までスリープ状態であり、ほとんど自動返答だっならしい。なにやらマメールがショックを受けていた。

 

「はい、私はセイモア。正確にはプロトタイプ4ACV07です。」

 

「さっきの戦闘のショックで戻ったってこと?」

 

「正確には、先ほどの戦闘の際受けたショックにより、私は自動返答の機能を失いました。しかし、自己形成モジュールに何かしらの干渉を受けたのです。干渉を検索…結果、エーテル。」

 

つまり、このロボットはマスターが持つ神の目のエーテル元素に反応して修復されたということか。あり得ない。トネリコも解析したが、エーテル元素はこの世界の元素ではない。おそらくあのソロモンが何かしらの方法でこの世界に根付かせたものだ。つまり、エーテル元素そのものはあくまで魔術要素でしかない。この場合、汎人類史とのパスの役割でしかないのだ。

 

「でも、よかった。ありがとう、藤丸。トネリコも。すっごく強い魔法使いなんだね。」

 

「彼ら、あなたの絵を狙っていました。その画材はどこで採れるものなんですか?」

 

「案内するよ!こっち!『とてもあたたかい場所』!」

 




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