魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
「あんなふうに人間から嫌なことをされて、何も思わないんですか?」
トネリコはマーメルに投げかけた。彼女が「とてもあたたかい場所」に案内してくれている最中のことだ。藤丸はあえて黙っていた。
「嫌な人もいるけど、全員じゃないでしょ。少なくとも、私は優しい人を知っている。あなたたちもね。」
それを聞いたトネリコは嬉しそうだった。
「着いたよ!ここ!」
確かに、マメールの使う画材ににた物質がそこら中に落ちている。というより、この空間の中心部にある大きな岩の破片なのだろう。
それは、まるで心臓。つまり、ここがエリナスの心臓部…
「ソロモン!」
その心臓のすぐ下に、ソロモンは眠っていた。半分以上体が埋まっている。
「知り合いなの?この人、私たちが生まれるずっと前からここにいるよ。ね、お父様。…お父様?」
誰に話しかけているのか、マーメルは首を傾げていた。
それより、
「トネリコ、なんとかなる?」
「待ってください、これは、令呪による拘束です。あなたにさえ難しいのに、この世界の人間にできるはずが…しかも彼ほどの人物を拘束できるなんて、ありえない。これじゃまるで、本人が希望してここにいるみたいな…」
「でもよかった、とりあえず合流できて。とにかく、この岩から離そう。手伝ってくれる?トネリコ。」
(一体誰が?わざわざこんなところに置くなんて。まるで隠してるかのよう。なのに、こんな剥き出しの状態。これじゃまるで、誰かに探させたいるような…)
「待ってくださいマス」
時すでに遅し。藤丸の右手はソロモンの体に触れた。
滅亡が、始まる。
・メリュシー村入り口付近
「あ、ここです。そいつらが来たのは。」
例のエルマイト旅団三人組はメリュシー村から出た直後、スカークに捕まり藤丸たちの元への案内をさせられていた。
「あ、おいそこのメリュジーヌ!あの人間二人はどこいった?」
「あ、さっきの暴れんぼう!と、知らない人?」
「いいからさっさとこの人に教えてくれよ!」
「それは構わないけど、せっかく来たんだからお茶でも飲んでかない?」
・パレエルモニア
「セドナさん、フリーナ様の裁判、大丈夫でしょうか。心配かけるから旅人たちには内緒にしてくれなんて、しかも、まだヌヴィレット様も戻られてないのに勝手に…セドナさん?」
「そうね、心配だわ。私たちでも落ち着けるように、お茶にしましょ?」
・ナヴィア船、船上
「巡水船があって助かったわ。早く相棒たちと合流しないと、マルシラック、ちゃんと武器の用意はしてる?」
「えぇ、もちろんでございます。それで、エルファネ様、どれくらいで到着しますかな?」
「もう10分ほどですよ。ヌヴィレット様の救助、頑張ってください!お茶を用意しました。これくらいしか私たちにはできませんから。」
・メロピデ要塞
「だ、だめ。なんで、うち、そんな、こんなの」
「シグウィン?」
「おいおいどうした看護婦長。まだ出れなくなって数日じゃないか。これくらいの日数地下で過ごすなんていつもの…」
その日、フォンテーヌの三分の一の人間が、消滅した。
目撃者は全員、満場一致でこう証言する。
「「「メリュジーヌに貰った飲み物を飲んだせいだ」」」
と。
そして、さらなる悲劇がもう一つ。
「な、何を言っているんだ!こんなの無効だ!そもそも、ヌヴィレット抜きでやるのがおかしいんだ!」
「ヌヴィレット様は関係ねげ。いい加減国民はうんざりなんだ。メリュジーヌを殺そうとするファデュイに対し、なんでさっさと攻撃しねぇ?神の力があるなら、簡単なはずだろ?」
「そ、それは。僕の力は律償混合エネルギーや、諭示裁定カーディナルに…」
「例の少女誘拐事件から、裁判は行われていない!使いもしないものに力を回して、あんたはメリュジーヌを見殺しにするというのか!?」
「もういいだろ、諭示機は完全にこっちに傾いてる。」「じゃあ、フリーナ様は本当に神じゃ…」「いやいや、それはわからない。ただ我々の主張を崩していないだけだ。」
「ちょっと待ってくれ!僕は本当に神なんだ、信じてくれ!」
「信じてくれって言ってもなぁ」「せめて水元素力の一つでも見してくれりゃ…」「あのファデュイの判決も今となっては…」「じゃあ、神だという証拠を見せて欲しい。」「そうだ、あの水、少女を溶かした水を使えば…」「そうだ、本当の神だと言うならあんなのじゃ溶けないはず…」
「ちょっと待ってくれ!事前に申告されてない物はここに持ってきては…」
「押収物ならまだここにあります。」「少し触れるだけで身の潔白を証明できるんだから」「でも、これで溶けたらどうするの?」「神を偽っていたんだぞ?どうせ判決も死刑に決まってる。」「あの事件の犯人も死刑宣告は受けなかった。そんなわけないよ。」
その日、フリーナは水に溶けた。
判決が出るより早く、用意された原始胎海の水にフリーナは自ら体を浸したのだ。自らの神性を証明するために。
それを見届けたのち、ある一人が諭示機を勝手に操作したが、その判決にはこう書かれていた。
「『水神』有罪。死刑」
「なんだ、どうせ死刑だったんじゃないか。」「さすがにやりすぎなんじゃ…」「いやいや、これほどドラマチックなことがあるか!?」「いや待てよそもそも水神じゃないからこそ死刑なわけで…なぜ判決文には水神と?」
ここまで読んでいただき、ありがとうこざいます。
次の話で今の第三章 水神 が終わります。
その後投稿する過去編である間章3は少し長くなるかもしれません。
それが終わり、第四章と少しの補足ストーリーで完結します。
最後までよろしくお願いします。
また、誤字報告、感想などお待ちしております。
※ちゃんとハッピーエンドです!