魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
サーヴァントなどを抜きにしても、原神世界の正史とは別物なので、ご注意ください。
「待って、待ってください最高審判官様!」
「よせ!アラン!」
「すべての罪は審判によって裁かれる。そういう理念でないのですか?こんな、これじゃ」
執律庭にて、掃討作戦がファントムハンター各位に通達された直後のことだった。一人の若い青年が、新任の最高審判官──ヌヴィレットに意を唱えた。
「あぁ、だがあれは異形のものだ。審判とは人にくだすもの。無論、ナルツィッセンクロイツ以外のメンバーは正式に審判にかけるつもりだ。」
「い、異形って、え、でもル」
いいかけた僕の口を父さん…エマニュエル・ギヨタンが封じた。
「大丈夫です。審判官、こいつには言い聞かせときますので。」
「そうか、ではよろしく頼む。」
ヌヴィレットは去っていった。
「ふぅ、危なかったぜ。」
「父さん、なんで!」
「アラン、落ち着け。お前は頭がいい。しかもいいやつだ。でもな、人の話を聞かないところがある。」
僕は、それを聞いて少し落ち着いた。養父、エマニュエル・ギヨタンはいつだって、僕の味方だった。
「いいか、お前の考えてることはわかってる。でもな、そりゃ勘違いだ。ナルツィッセンクロイツは、ルネじゃない。」
「でも、結社の創設者はルネとジェイコブだ。なら…」
「それをな、他でもないマリアンが証明してくれたんだよ。あの、なんつったか、セイモア?お前の作ったあれ、そのおかげさ。ナルツィッセンクロイツは異形の化け物だった。あいつ、勝手に結社の本部まで潜り込みやがって。大した兄妹だよ、お前らは。なぁ、お前の友達っていうのは、化け物だったか?」
「じゃ、じゃあ」
「あぁ、あのひよっこ審判官も言ってたろ?ナルツィッセンクロイツ以外には正式な審判が開かれる。まぁ、メロピデ要塞送りは免れねぇだろうが、あいつらなら上手くやれるだろうさ。なんたって、国を挙げて掃討作戦が開かれるほどの組織の幹部なんだからよ。ったく、いいか、これらは明日の作戦発表で公開される情報だ。誰にもいうんじゃねぇぞ。」
「はい。父さん。マシナリーの調整に戻るよ。」
アランにとって、ルネとジェイコブは決して許せる相手ではない。助手のカーターを殺したのだから。それは、彼らの自分自身の研究はの奢りによるものだ。だが、これが正しいのかはわからないが、どんな友人を作っても、彼らの枠が埋まることはなかった。
明後日の作戦で、きっと二人を連れ戻す。エゲリア様が作ったメロピデ要塞は劣悪な環境だと聞いているけど、父さんの言ってた通り、彼らなら大丈夫だ。刑期を終えたら、それぞれ一発ずつぶん殴って、四人でまた昔のように集まって、お話をしよう。
そのためにはなんとしても生き残らなければならない。戦闘用マシナリーの調整は完璧だ。敵とは言っても所詮は人間。僕のマシナリーの敵じゃあない。
しかし、ナルツィッセンクロイツか…異形の化け物に対して、一体どんなものが有効打となるのだろうか。
戦闘用マシナリーの調整を終え、眠りについた。マリアンはまだ帰ってきていない。最高審判官様から直々の命令があるとのことだ。安心からか、すぐに眠りについた。
「おはよう、兄さん。遅れるよ。」
妹に起こされて目が覚めた。気が抜けている。自作の目覚ましでは起きなかったのか、僕は。
「ごめんマリアン。またご飯作ってもらっちゃって。」
「いいよ、セイモアも手伝ってくれた。ならそれは、兄さんが手伝ってくれたのと同じでしょ?お父さんはもう執律庭に向かったよ。私たちも急がなきゃ。」
僕たちはマリアンの作ってくれた食事を急いで、ただしっかり味わって食べた。今日、作戦の詳細が話される。こんな時父さんの存在は便利だ。きっと僕とマリアンを同じ部隊にしてくれるはずだ。
だから、それを聞いた時は衝撃だった。
「僕とマリアンは別、ですか?」
僕はエリナス内部での幹部掃討、マリアンは水仙十字結社本部、イプシシマスの塔での掃討、及び研究書類の回収だった。
「大丈夫だ、アラン。マリアンには俺も着いてる。お前は、お前の仕事に専念しろ。」
エリナスの危険性と、彼らがエリナスを活性化させている可能性があることを伝えたのは僕だ。なので、エリナスでのたたかいに最適だと判断された。そしてマリアンは、唯一のイプシマスの塔内部を知るものとして、案内役とのことだった。昨日の時点でマリアン本人は知らされているようで、特に衝撃を受けている様子ではなかった。
「では、そのように。」
ちなみに今回審判官様も作戦に加わるらしい。配属はエリナスだ。幹部がエリナスに集まっているとのことなので、より危険性のある方にということらしい。
明日、ついに作戦が始まる。
負けるわけには、いかない。