魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
エリナス内部での戦闘は、想像より順調だった。
マシナリーやファントムハンターの活躍もあるが、一番の原因は最高審判官だ。付いてくるとはいえ作戦指揮だけだろうと思っていたが、まさかここまで戦えるとは。水元素による広範囲攻撃により、結社の人間の人間を寄せ付けない。神の目を持っているのか、身につけているところを見たことはないが。おかげで、僕たちはほとんどの戦闘を回避できた。
「最高審判官様。」
「どうした、アラン君。」
「計測の結果、急速な進行は体内への悪影響と思われます。」
「わかった。では休息としよう。」
エリナス内部は人体に有害なガスのやつなものがある。全員ボンベを付けているとはいえ、最深部にむけガスは濃くなっている。自動調節機能が壊れないためにもある程度ゆっくり進む必要がある。
あっちは上手くいっているだろうか。どうしても、心配してしまう。人員はこちらの方が少ないが、最高審判官様のお力もあって正直過剰戦力に感じる。こんなことなら、もう少しあっちの戦力に割いて欲しかった。
(この奥に、ルネとジェイコブが…)
「ルネ・ド・ペトリコールとジェイコブ・インゴルドはどのような人物だった?幼童の頃、同じ施設にいたと聞くが。」
「っそれは」
「隠す必要はない。君の交友関係がどうであれ、君への評価も、エマニュエル・ギヨタンへの評価も変わるわけではない。」
「彼らは、僕とマリアンの、友達でした。自然科学院に入ってからは、最初は僕の研究を手伝ってくれていましたが、しばらくすると怪しげな研究にのめり込んでいきました。」
「怪しげな研究とは?」
「詳しくは、僕も。でも彼らの会話を聞いた際、カーンルイアだの、黄金の劇団だのという話が上がっていました。なんのための研究か聞くと、世界の救済としか…」
「なるほど。」
最高審判官はそれを聞いても、一切表情を変えなかった。非情な人なのかもしれない。
「そろそろ、移動を開始する。最深部まではもう少しだろう。」
最高審判官とマシナリー、ファントムハンターの一行は進軍を開始した。
そして、
「やぁ、待っていたよ、執律庭の御歴々。」
見覚えのある顔があった。
「ジェイコブ・インゴルドだな。」
最高審判官様が話しかける。
「まさしく、まさか最高審判官直々の出陣とは。外に配置していた結社のメンバーはどうなさったので?」
「捕縛済みだ。君もそうなる。」
口を挟む権限はないが、どうしても我慢ならない。
「ジェイコブ、僕だ!アランだ!ルネと一緒に大人しく投降してくれ!君たちに抹殺命令は下されていない!」
ジェイコブはやっと僕に気付いたようで、少し悲しげな顔をしていた。
「あぁ、まさか君が来るとはね。感動的な再会になるはずなのに、無粋な輩が多すぎる。君には謝罪したいことでいっぱいだ。」
「カーターのことなら、許すつもりはない、ないけど、君たちは彼を治すつもりだったんだろ?その話は後でゆっくりしよう、とにかく投降するんだ。君じゃ最高審判官様には敵わない。結社の人間は、ほとんどこの方のお力で捕縛されたんだ。僕たちに損壊はほとんどない!万全の状態なんだ!」
「…変わらないな、君は。そうか、君はいつまでも、アランのままなんだね。マリアンは元気かい?」
「マリアンはイプシシマスの塔に向かっている、父さんも一緒だ!」
「そうか、それは…残念だ。」
奇妙なことに気付く、ここにはジェイコブの姿しかない。報告書には確かに二人の人影を見たと聞いている。
「ちょっと、待て。ルネは…ルネはどこに?」
ジェイコブは尚も目を伏せたまま悲しそうな表情を浮かべている。
「待て、アラン君、なにかが…」
「今だ、巌窟王。」
ジェイコブがついにこちらを見た。
しかしその姿は、すでに僕の知っているジェイコブではなかった。
「ッ泡沫となるがいい!」
最高審判官様が、水元素の力を最大に放ち、結界を張る。しかし、それらは
「
不可視の攻撃によって、ことごとく破壊された。
気付けば、ファントムハンター並びにマシナリーのほとんどが壊滅状態となっている。
「な、にが、ジェイコブ、その姿は?」
「最初から、いいや違うな。一度目の最下位の頃から、私はもうジェイコブではなかったんだよ、アラン。」
ジェイコブは、人型の化け物になっていた。セイモアの撮影したナイッツェンクロイツとはまた別の、禍々しいオーラを放っている。
「気をつけろ、もう一人いる!」
最高審判官はどうにか不可視の攻撃を放つ敵を探している。
「そこだ。」
水元素のビームを、壁の一点に放つ。すると
「まさか、俺の動きに付いてくるとは、貴様人間ではないな。」
「あれは、外套の男!?」
結社について調べる際書類にはないものの、まことしやかに囁かれている人物。エリナスに向かった二人目は彼のことだったのか。
「アラン君、君たちはジェイコブの相手を。あれは私が対処する。」
アランは用意していたマシナリーを展開する。
「アラン、君も戦う準備をしていたんだね。」
見た目はただのマシナリー。しかし、実際の使い方は…
人型のマシナリーが分解され、アランの体を覆う。
アランはずっとこのマシナリーの発明をしていた。プネウムシア対消滅エネルギーの力を完全にコントロールした、最新型だ。
「人体装着型マシナリー、
「嬉しいよ、アラン。やっぱり君は、『勇者』だね。」
アランに関しては、戦闘の描写がなかったので、趣味全開で行かせてもらいました。