魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
そこには、ジェイコブとリリスもいた。
「ナルツィッセンクロイツ!お前にはすでに粛清命令が出ている。じきに最高審判官様がお前を殺しにくるぞ!」
父さんが叫んでいる。ナルツィッセンクロイツはまったく意に留める様子もない。
『エマニュエル・ギヨタン。貴様の救済を始める。』
ナルツィッセンクロイツがその腕を、格子ごしに父さんへと伸ばす。
「まずい、マリアン!アランを連れて逃げろ!!」
奇妙だ。父さんは、リリスの方を向いてマリアンと言っていた。
いや、そんなとこより
「やめろ!父さんになにを!ジェイコブ!人殺しはしないんじゃなかったのか!?」
「殺しじゃない、救済だよ。おっと死が救済だなんて、そんな誤魔化しではない。滅びを迎える前に、ナルツィッセンクロイツは我々を救ってくれるんだ。」
「ぐぁぁぁぁぁあああ!!!!」
父さんは痛みから悲鳴をあげている。ナルツィッセンクロイツに触れられた父さんの体は…どんどん溶けている。
「くそっくそっ父さん!貴様、ナルツィッセンクロイツ!!!!殺す、ぶっ殺してやる!」
ジェイコブは、少し苦い顔をしている。
「もういいだろナルツィッセンクロイツ、心は余計だろ、早く終わらせよう。」
すると、体の溶けるスピードが早まった。
「あら、ん。まりあんは、そう、か。なにもかも…おそ、か」
父さんは、ついに、ナルツィッセンクロイツに吸収された。
呼吸ができない。だけど、一つ、聞かなきゃいけないことがある。
怒りと恐怖で、おかしくなりそうだ。だが、最後の理性でなんとか、言葉を口にする。
「マリアンとルネは、本当に、本当に生きているのか」
すると
『ああ、間違いない。マリアンは、純粋精霊リリスの中で生きている。ルネ・ペトリコールはすでに私が吸収した。』
「貴様ァァァァァァァァァアアアアアアア!!!!」
殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。
あの化け物の息の根を、完全に止めなければならない。
「ジェイコブ!おまえが、おまえたちがやりたかったことは本当にこんなことなのかッッ!父さんを、マリアンを、ルネを!!!」
「これが救済だ。この国はいずれ海に飲まれる。その前に我々フォンテーヌ人は意識を統合して次の世界にいくんだ。」
話など、入ってくるはずがない。すでに僕の心には、怒りしかない。
「なら、お前もだジェイコブ。友を殺して悠々と生き延びるお前も殺すッ!絶対に許さないからなァ!!!」
奴らはその場から去っていった。
体を包む感触がある。これは、リリスだ。リリスは、何が起こったのか、よくわからず、ただ苦しんでいるアランを優しく抱きかかえている。
「ごめん…ごめんね、マリアン…」
アラン視点はここで終わります。