魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
「これは…私の失態だ。」
ヌヴィレットは、エリナス内部で目を覚ますと、周りに誰もいないことに気付いた。マシナリーの残骸が散らばっているのと、脱ぎ捨てられたように散らかったファントムハンターの戦闘服のみだった。事態を察したヌヴィレットは、単騎でイプシシマスの塔に向かった。
「なぜあんなことをした!」
エマニュエル・ギヨタンを溶かしたのち、ジェイコブはナルツィッセンクロイツに怒りをぶつけた。
「溶かすのはいい、でもあんな苦しませる必要はなかったはずだ!君なら一瞬で溶かせた。しかも、わざわざリリスを連れて行くなんて、君は、アランの気持ちを考えていないのか!」
マリアンは、ジェイコブたちにとっても偶然だった。エマニュエルとマリアンたちが結社に突入した際、不幸にも跳弾がマリアンの胸を貫いたのだ。ナルツィッセンクロイツが気がつく前に、リリスがすでにマリアンを吸収していた…いや、正確には同化だ。魂を抽出していたのだ。それを、ジェイコブはできるだけアランに隠すつもりだった。
『…』
ナルツィッセンクロイツは何も答えない。
「答えろ、ルネ!なぜだ!」
『父さんを殺したのは、あいつだ。』
「なら、そうか。私は…僕は君を、君がそんな姿になっても、君をルネだと思っていた、友達だとね。お互い人間を超えた同士だと。でも、もう君はルネじゃない。ナルツィッセンクロイツだ。私は、友を助ける男ではなく、ナルツィッセンクロイツに使える従者になるよ。」
『…』
ナルツィッセンクロイツはまた、何も答えなかった。すると
ヒルチャールレンジャー…キャタピラーが報告に来た。
「ナルツィッセンクロイツ、ヌヴィレットが来ました。」
『そうか、巌窟王。』
「了解した。奴の相手は君たちに任せる。私はすることがあるのでね。」
「始めるんだな、ナルツィッセンクロイツ。」
『あぁ、これにて救済は完了する。』
「『彼』に、よろしく。」
ナルツィッセンクロイツはそれを聞くと塔を出た。行き先は、エリナスの心臓部だ。
「ではオレは…」
「いや、いい。ヌヴィレットとは私が戦う。巌窟王、君にお願いがある。聞いてくれるか?」
「貴様はオレのマスターではない。それを聞く理由がないが。」
「わかってる。だからこれはお願いなんだ。私の、僕の最後に残された人間の部分としてのお願いだ。どうか聞いてほしい。エドモン・ダンテス。君は復讐者なんだろ?」
「聞くだけ聞いてやる、少し待て。」
巌窟王は煙草に火をつけた。
「この世界じゃ補充も効かない。おい、煙草はあるのか?」