魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
「あ、アヴェンジャー?」
『あいつは消えたよ。』
「そうか、じゃあ。」
『まだ立ち上がるのか。』
「これは復讐だから。」
『私を殺すことは最早できない。いつでも水に変われる。先程の雷撃、もう二度は打てまい。』
「ああ、だから。」
「お前を、封印する。」
ナルツィッセンクロイツに、抗う力はもうなかった。
アランは、落ちている十字聖剣を拾い、ナルツィッセンクロイツの意識を刈り取った。
ナルツィッセンクロイツの魂は、小さな純粋精霊となる。それを、アランは持っていた懐中時計に納めた。
「ん、これは?」
ナルツィッセンクロイツを構成した水が霧散し、そこには一枚の写真が残されていた。
「…ルネ?」
「君は…アラン君か?ナルツィッセンクロイツは?」
「ナルツィッセンクロイツは、封印しました。この時計の中に。イプシシマスの塔は閉鎖しましょう。ジェイコブは?」
「逃げられた。急いで駆けつけたる最中、一人の純粋精霊が塔から去っていったが、あれは一体…」
「そうですか。放っておいて大丈夫です。彼女は…自由になったんだ。」
「そうか、お手柄だアラン君。一つ提案が。ファントムハンターの総指揮者を君に…」
「申し訳ありません、最高審判官様。僕は悪に堕ちた。もう、誰とも会う気はありません。僕はこれから一人でジェイコブを追う。カルデアにはお気を付けを。彼らの到来が、ナルツィッセンクロイツの目的です。」
それから数年後、フォンテーヌのある地方、ある地域の話。
「久しぶりだな、ジェイコブ。」
「機械公か。君もずいぶん年老いたな。」
「やっと、やっと見つけた。」
「あの戦闘服はどうした?ナルツィッセンクロイツを封じた君の傑作のはずだが?」
「あれは次世代のために隠しておいた。悪用されないように。」
「そうか、では君はなんのために私を探していた。」
「この写真を、渡すためだ。ルネだったんだな、ナルツィッセンクロイツは。」
「そうか、アレはまだ、我々を友だと…なら、私も止まるわけにはいかない。カルデアの人間が来るまで。」
「そうだろうな、だから。」
「止めにきたよ、ジェイコブ。」
マシナリーを起動する。装着型のマシナリーではない。犬型のマシナリーだ。
「セイモア、と言ったか、残念だ。それでは私を止めることはできないよ。」
数々のマシナリーを作成し、フォンテーヌの文明レベルを一人で引き上げたとされる機械公、アラン・ギヨタン。
彼は最後に、とあるマシナリーを作成し、姿を消したという。
遺体は発見されず、数々の資料だけ残して。
「そう、死んでしまったの。残念だわ。」
「助けてやればよかったじゃないか。」
「申し出はしたのよ!でも、断られちゃった。あくまで人間として死にたいんだって。」
「そうかい、あんたの友達は?依頼はしたんだろ?」
「何年後に来るかもわからないもの。とにかく、いまは待つだけよ。その時が来るまでね。」