魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
「始まってしまったか…」
「そんな、そんなわけないでしょう?だって、あ、あなたが、あなたがその人を…」
「そう思うか?なら、見てみろ!」
スカークは残りのエルマイト旅団をコンツァーナの前に差し出した。
「えっと、あなたはフォンテーヌの人、ですか?こんにちは、フォンテーヌへようこそ!」
「ちっ、」
「一体どういう…」
「今よりメリュジーヌはフォンテーヌ人の敵となった。原始大海はフォンテーヌ人にしか作用しない。このエルマイト旅団の男はフォンテーヌ出身だったってことだ。そして──カルデア、お前達が来たからだ。約定に基づきまずは…」
「水鏡。」
藤丸に向かって刃を向けたスカークに、トネリコは立ち塞がる。
「サーヴァントか!魔女め、一人につき一騎と聞いていたが…」
「部分的には合っています。そして…」
「私はキャスターですが、もっぱら近接戦が得意な方です。」
「そうか、では楽しめそうだ。」
トネリコは藤丸の方は目配せする。フォンテーヌ人にしか効果がないということであれば、少なくともマスターへの脅威にはならない。
「トリガーはマスターとソロモンの接触、ですか。微細な魔力が動いたのは分かりましたが、まさか私にも解析できない魔術とは…」
「だろうな、稀代の天才が、両方の世界の技術を使ったとのことだ。」
「そうですか、こちらがの事情も知ってそうですね。」
「予備知識としてだけだがな。私の師匠は余計なノイズだと言って深く知ろうとしなかった。」
「あなたの師匠に感謝を。」
トネリコは、杖から数多の光弾を発射しながらスカークへと詰め寄る。
それをスカークは双剣でもって撃ち落とす。
「私も特別性でな、この世界の人間とは少し違う。」
「そうですか、奇遇ですね。私もマスターとは少し違う道行の世界から来ましたッ!」
詰め寄ったトネリコはそしてそのままの勢いで…蹴りを打ち込んだ。
「なッ」
「言ったでしょう、近接向きだと。」
「そうか、では」
スカークは剣にさらに力を込めた。その余波か、服装にまで変化が生じる。
「速度に自信があるようですね!」
「オークニーの門よ!」
瞬間、トネリコとスカークの周囲に大量の波が発生した。
構わず、スカークはトネリコに剣を突き刺す。
「なッ」
「この世界に関しての知識が甘いようだ。」
スカークの剣から発せられた力により、その波は全て凍り、氷の監獄となった。
「ハァッ」
いかなる原理か、スカークは剣を回転させつつ投げ放った。
「凍結、反応というわけですか。
「私の得意でな。殺すのには最も向いている。」
「まずい、マスター!」
投げ放った剣は、藤丸の脇腹に突き刺さっていた。
「ごぶっ」
「マスターが死ねばサーヴァントは消える。この情報が正しければ良いのだが。」
負傷した藤丸に、スカークは近付く。トネリコはいまだ氷の檻から出られていない。
「では、一息に…」
「…せない。」
「殺させない!私はもう、マスターさえ守れればそれでいい!」
突然、スカークの情報から無数の剣が振り続ける。
「夢想の国、無冠の騎士、白亜の城が語りしは、叶うことなき夢の名残─」
他に刺さる剣から、ロンディニウムの騎士達の想いが破裂する。
「マスター!」
「トネリ、コ。俺は…大丈夫。」
「治癒魔術をかけます。とりあえず、今は逃げましょう。」
「でも、ソロモンが…」
「彼なら後で助けられる!私たちは敵の目的もわからない。だから、」
「逃すと…思うか。」
宝具を受けたスカークは、ダメージを負いながらもま闘金を放っている。
「退きなさい、マスターを殺しても恐らく事態は好転しません。そもそも、彼はこの世界を…」
「はぁいストップ〜!」
スカークとトネリコの間に、新たなる赤い人影が現れた。
「こんにちは、サーヴァントのお嬢さん。もう、スカークったら!私は殺せなんて頼んだ覚えはないのよ?」
「だが、敵はカルデアだと。」
「うーん、間違ってはないようなんだけど…ちょっと話が変わってきちゃったみたい。あなた、ジェイコブという男にあったでしょう?とにかく、目下止めるべきは彼ね。早くしないと、水神が殺され…待って。」
「どうした、魔女。」
「そう、そうなのね。スカーク、この時間軸はもうダメそう。私は未来の彼らに助力するわ。もちろん、あなたを連れてね。」
「じゃあね、カルデアの坊や。大変でしょうけど、頑張って。そのサーヴァントさんがいる限りきっと大丈夫、あなたはお仲間達と合流できるわよ!何年かかるかはわからないけど。」
「あなた、どこまで…」
「じゃあ、この辺で失礼するわね。どうしても修復するって言うなら、ジェイコブを倒しなさい。今、聖杯は彼が持っているわ。そして旅人を頼りなさい。あなたたちでは、降臨者にはなり得ないから。」
そう言い残し、赤い魔女とスカークは姿を消した。
「歌劇場に向かおう、フリーナ様を、助けなくちゃ。」
「待って、まだ傷が完全に治り切ってない。ジェイコブという聖杯を所持しているらしい男もフリーナさんのところにいるようです。彼女、嘘は言っていませんでした。」
藤丸の傷を治したのち、二人は歌劇場に向かった。
トネリコは、魂と呼べるようなものに、何か嫌な…ある意味懐かしさを覚える感情を抱いていることに、自分自身も気付けていなかった。