魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
「リネくん、このような事態にそのような嘘は…」
「嘘じゃないよ。」
いつのまにか、ナヴィアも到着していた。
「おい!ナヴィア!どこから入ってきたんだ?おいら達みたいに泳いで…」
「申し訳ないけど、出入り口を破壊させてもらった。」
「そ、そうか。だいぶ力技なんだな…あれ、マルシラックだけか?シルヴァは…」
「シルヴァは、溶かされた。私たちの、目の前で。」
「ナヴィアさんも…そのような」
「こんな嘘、私が言うと思う?これが証拠よ!」
そう言って、ナヴィアは、僅かに濡れた、黒いスーツをヌヴィレットに投げつけた。
「これをやったメリュジーヌは拘束してある。どういうこと、なんでシルヴァが…こんな…」
「そんなはずが…メリュジーヌが…そんな…」
「あなたは、メリュジーヌと私たちどっちの味方なの。」
ナヴィアは散弾銃をヌヴィレットに向けた。
「ちょ、ちょっと待てよ!わけがわからないぞ!メリュジーヌはおいら達にあんなに優しく…旅人、ど、どうしよう。」
「なるほど、看護婦長の異常はそういうことか。」
リオセスリは意を決したのか、医療室に向かった。
「ヌヴィレットさん、恐らく何かしらの異常が起きている。看護婦長のことは任せておいてくれ。とにかく、あんたらは地上に出るんだ。」
ヌヴィレットは呆然としたまま動かない。
「おい!ヌヴィレット、早く外に行くぞ!あーもう!旅人、おいら達だけでも外に…!」
「旅人、カルデアという名前に心当たりは?」
「なんで、あなたが知っているの?」
「そうか、アラン君。君がいてくれたら…待て、まさか!」
「フリーナ殿が危ない!急ぎ向かわなくては!彼女は今どこに?」
「フリーナなら歌劇場にいるはずだぞ。裁判があるとか言って…」
「妙だ。ここ最近裁判の予定は入っていない。私が把握していない裁判があるわけ…」
「とにかく、歌劇場に向かおう。」
旅人、パイモン、ヌヴィレット、クロリンデ、ナヴィア、マルシラックはメロピデ要塞から外に出た。
そして、歌劇場に到着する。そこに、人影はなかった。
「な、遅かったか。」
客席には、脱ぎ散らかされたような服のみ。そして、舞台の上には二人の人影と、あれは…フリーナの着ていた服だった。
「あれは、藤丸!トネリコ!フリーナは…」
藤丸は、一枚の板を持っている。それを、旅人に渡した。
「『死刑』って…なんで、そんなじゃあこれは!」
渡されたそれを、ヌヴィレットは一読し───
「すまない、旅人。私は冷静さを欠いている。」
「なぁ、これ…つまり、フリーナは裁判で…」
「私たちがついた頃には、もうこのような状態でした。あなたがヌヴィレットですね。何か知っていることはありませんか?」
トネリコはヌヴィレットに尋ねる。その瞳に翳りを孕んで。
「誰が…じゃあ、この人たちは誰が!」
『私だよ。お久しぶり、ヌヴィレット。』
舞台の奥から、それは現れた。
「ナルツィッセンクロイツッ!」
ヌヴィレットは、水の砲撃をそれにぶつける。
『そう雨を降らすな、君の悲しみは水を通じて私に伝わってくるよ。水神を殺したのは私ではない。無辜の市民さ。いや、無辜とは言えんか。肝を冷やしたぞ。完全に溶け切ってしまっては私の肉体とすることはできないからな。』
「あなたが、この人たちを溶かしたの。」
『あぁ、不快極まるが、彼らも私の救済対象だ。それにしても、カルデアの人間と変数が揃うとは。あの日の私に見せてあげたいな。そしてヌヴィレット、貴様の攻撃は私に通用しない。』
「ならばッ」
クロリンデがうごいた。雷元素を纏う銃撃を放つ。
『クッ君もフォンテーヌ人、か。ならば。』
歌劇場全体に、水の触手が広がる。
「まずい、旅人。あれは原始大海でできている!ナヴィアさんとクロリンデを!」
「あなたが、黒幕ですね。」
その触手をすべて、飛来する剣が遮った。
『サーヴァント、か。』
「あなたは、魔術を使っています。拙いですが。魔術戦において、私に勝てるとでも?」
『独学なのでな。となるとそちらがマスターか、なるほど分が悪い。この場は退こう。』
ナルツィッセンクロイツと名乗る怪物は、水となって消えた。
「マスター、提案があります。」
「なに、トネリコ。」
「もうこんな国、放っておきません?私は、彼らを守る意味を感じません。」
▶︎「それはダメだ。助けよう。」
▷「そうだね、トネリコ。」