魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
メリュジーヌたちは、特に何か示し合わすでもなく、半数以上がそこに集まっていた。それは「とてもあったかい場所」。エリナスの心臓部である。
「私たちは…本当に、こんなことがしたかったんだっけ?」「違う、絶対に違う!」「仲良くしたかった、みんなと仲良くしたかった!」
「「「「誰か、私たちを、助けて。」」」」
ナヴィアを安全なところに隠した後、旅人はタルタリヤの元へと戻った。
そこには…
『よくやったよ、本当に。』
ナルツィッセンクロイツによって瀕死となった、タルタリヤがいた。
「タルタリヤ…」
「あい、ぼう。は、はは。なんて顔、してるんだい。」
「テウセルたちは…どうするの。」
「弱ったな、戦う理由が増えるってのは…大変だ。あいつらには、上手いこと言っておいてくれよ。」
タルタリヤの手には、神の目が握られていた。タルタリヤのものではない。それは…ナルツィッセンクロイツの保有しているものだった。
『まさか、私の目を奪うほどとは。』
旅人は、黙って剣を構える。
タルタリヤの神の目が、タルタリヤの内側に沈む。
そして……
「この感じ…聖杯?」
トネリコは、血の止まらない藤丸の治療を続ける最中、ナルツィッセンクロイツの神の目───タルタリヤの内側から、それを感じ取った。
『なんだ、これは…?』
ナルツィッセンクロイツも動揺をしている。明らかに、タルタリヤの内側から自分のものではないエネルギーの波動を感じ取ったからだ。
ナルツィッセンクロイツはタルタリヤに手を伸ばし、その体を内側へと格納した。あくまで神の目の回収。
無論、溶けるわけではないが……
瞬間、数多のフォンテーヌ人の魂を「中身」として、タルタリヤの体を器に、聖杯が顕現した。
「トネリコさん、これは、何!?」
「ありえません。聖杯は、この世界にあるはずのない概念。ナルツィッセンクロイツ、あなた、何を取り込んだんですか!」
トネリコは、その現象に気付く。
そも、トネリコ自体もそれに呼び出されたのではないか。
「エーテル元素の神の目は、この世界における聖杯になり得る…ナルツィッセンクロイツ!今すぐそれを捨てなさい!何かが…」
再度、地面が蠢動する。
怪物の名前は、エリナス。
聖杯の顕現を察知し、特異点が確固たるものとなったこの世界に、魔神王を核としたその怪物が、ついに再生を果たし、多くのメリュジーヌをその心臓部に抱えたまま、聖杯を求め飛び立った。
「あれは…何?」
『あり得ない、なぜ。あれは…エリナス!』
猛スピードで飛来するそれは、ついに旅人らを飲み込もうと…
──空間の狭間──
「ギャラハッドさん、お願いできる?」
「あぁ、承った。それが、君の願いなんだね。」
「うん…私を、殺して。」
補足ストーリーとして書こうと思っていた内容をこの後の話から間章として挟みます。