魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
「面白いよ、最高だアラン!そうだよな、あんな終わり方君には似合わない。後世の愚図どもは、君を引きこもりの老人のように扱っていたやつもいたがね。」
ジェイコブはけたたましい大声で歓喜の声をあげている。
『なんなのあいつ、アビスに飲まれてるのかどうかもわからないし。プロンニア!』
サンドローネの自立型ロボット、プロンニアがジェイコブに対し突撃する。
「つれないな。こんなでくの坊でなく、君自身がきたまえよ、アラン。」
プロンニアはあくまでかく乱。
払いのけた隙を伺い、クロリンデはセイモアが変形したレイピアを突き刺す。
クロリンデの戦闘技術はファントムハンターを由来としたものだ。
(この鎧、やけに馴染む)
戦闘服は、その技術を最大限増幅する形で効果を発揮する。
しかし、流石は正気を保ったまま幼少期から数百年をアビスの力と過ごした者。
そのレイピアは氷元素によってはじかれる。
「ただの氷元素と思ってくれるなよ。密度が違うのさ。」
ジェイコブは剣状になった氷元素の塊をうかべ、一気に射出する。
「まずい!」
『わけないでしょ!』
鎧に搭載された銃口が、すべてうち落ちした。
『あなた、雷元素よね。ただ剣をふるっていればいいわ。多分これ、まだ何か機能があるの。とにかく、防御は任せなさい!』
「恩に着る!」
クロリンデは、銃撃と剣技を織り交ぜたスタイルで戦う。
銃撃によって自分自身との契約──命の契約を結び、剣技の威力を増幅させるのだ。
その銃撃を、戦闘服であるサンドローネが担う。
よって、クロリンデは常に増幅された剣技を披露することが可能となった。
ジェイコブは複数の元素を扱い、元素反応を主軸とした戦法を好んでいた。
あくまで、人の扱う力の範疇だからだ。
しかし、
「くっ、存外硬い!」
感電、蒸発は効かない。戦闘服の防御に阻まれる。
凍結による足止めは効果はあったが、即座にレイピアが大剣に変形し、砕かれる。
とにかくあの武器がやっかいだ。場合場合に応じて適切な形状に変化する。あんなもの、アランの生前にあっただろうか。
いや、犬はいた。だが、これは
「アランめ、私との戦闘を記録していたか!ならばッ」
元素によるシールドを纏う。
雷元素を主軸としたクロリンデ達の攻撃では、これを突破することはできないはずという読みだ。
確かに、元素攻撃は届かない。だが、
『想定内よ!』
ジェイコブには知る由もないが、アランは、とある試練を経験している。
遠く異界の復讐者による試練。
その中で、数多の異形との戦闘を経ているのだ。
戦闘、といえるようなものはほとんどなかったが。
その中で、全能神の権能を即席で模倣したが、その後、もう一つ。
機械でできた真人。
シコウテイ、と名乗っていたその男とは、唯一戦闘を行わなかった。
その配下である男になぐり殺されたのだ。
その中で、
「ほう、貴様。朕を解析する余裕があるな。」
繰り返される殺戮の中、何度目かの邂逅でそれを問われた。
結果としてアランは、その技術を模倣することはできなかったが、一つのアプローチを得た。
すなわち、人間の機械化。
図らずも、ルネの行っていたものと似た思考である。
無論それはためされることはなかったが、意思のある機械であるサンドローネという形となった。
アランが行っていた研究の主軸は、ウーシアとプネウマの、対消滅実験、元素力を必要としない攻撃だ。
「アルケーによる攻撃波!腕を上げたなアラン!」
致命的な一撃となった。ジェイコブの纏うアビスの鎧は殆どが大破されたいる。
『終わりよ、ジェイコブ。クロリンデ、あとは…』
「いや、待て、まだだ。」
「ふっ、あぁ、その選択は正しい、ファントムハンター。」
不気味な笑みだ、空間が歪んでいる。
「喜べ、貴様たちは私を討ち取った。これ以上は、鯨の維持もままならん。」
「そして認めよう、脅威であると。」
空間が開く。スカークのそれともまた別種。その空間は一体どこに…
『まずいわ。アルレッキーノ!』
声は届かない。鯨との激戦の最中だ、無理もない。
「いでよアビスの獣共、奴らを、蹂躙するのだ!」
「扉」から無数の獣域ハウンドが溢れてくる。並のものではない。これは…
『共鳴、あなた、どこに繋げたの!』
「璃月の地脈をな、少しいじらせてもらった。」
そのハウンドはアビスの獣。それも、濃密な───幽境の怪物である。