魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
『何よ、この量!』
気付けばすでに囲まれている。
「とにかく片付けるしかない。あの男冴えとめられれば、勝機はある。」
プロンニアとクロリンデは背中合わせとなる。
『集団戦ってわけね。セイモア、あなた、プロンニアの武器になれる?』
その声に呼応し、持っていたレイピアはプロンニアの元へと渡った。
『あなた、決闘代理人なら自分の武器はあるのよね?蹴散らすわよ。』
「あぁそうしよう。射撃準備!」
戦闘服に装備されているプネウムシア散弾砲を展開し、一気にハウンドを制する。
その間に、クロリンデは縦横無尽に斬り付ける。
「埒が明かない!なにかないのか。」
『わかってるわよ、待ってなさい!』
サンドローネも手探りだ。自分にこのような機能があるなんて知らなかった。
(あると言えば、あるわね。この,,,大神?神の力を運用するための設計?でも神の心なんて...)
明らかに、これは雷元素を前提とした運用をなされている。
基本は駆動は対消滅エネルギーを使用しているが、これは違う。
(なんなの、これ。今回たまたま雷元素のやつがいたからよかったけど、どうするつもりだったのよ。)
あるいは、簡単には使えないようにするためだったのか、事実、今日の今日までこの機能を知らなかった。
(あの犬...セイモア=ケラウノス?がキーになってる。待って、『ケラウノス』?)
空白のコマンド部分、そこには『
おそらくアランの隠し玉だが、起動の方法がわからない。
セイモアを装備するだけなら、すでに発動しているはずだ。
戦況はよくない。半永久的に駆動できる戦闘服だが、人間はそうはいかない。
明らかにクロリンデは消耗している。
対して、ハウンドの数は減らない。いくら倒しても、門の奥から無限にわき続ける。
(いったいどうすれば...)
ヌヴィレットは、歌劇場からでることができなかった。
フリーナの死、メリュジーヌの反逆。
冷静沈着を是としているヌヴィレットに、耐えられるものではない。
雨は、降らない。
悲しみのつけ入る余地がない。虚無だ。
感情のアウトプットができない。
わかっていた、はずなのに。
アランから忠告はされていた。
だが、ジェイコブが一枚上手だった。
思えば、ファデュイとの対立もかれの計画だったのだろう。
科学院の資料を探させ、ファデュイにみつけさせることなど彼ならわけないことだ。
「彼ら、は...」
「彼らは戦っているよ、ヌヴィレット。」
聞き覚えのない声だ。いな、声自体はいつも聞いていた。
舞台の方からだ。ヌヴィレットは、声の方向を見る。
そこには───
「フリーナ、殿?」
「楽観的な考えだね。どうやら、僕の目論見は成功したようだ。」
いや、覚えている。これは───
「フォカロルス。水神フォカロルスさ。君を審判官に任命した張本人だよ。」
「なぜ、今さら出てきた。」
「そうだね...僕の計画が失敗したのさ。人であるフリーナが、まさかしょけいされるだなんて。彼女は必死に役目をはたしてくれていたのにね。」
ヌヴィレットは、フォカロルスからその計画を聞いた。
「君は、フリーナ殿は、そのために」
怒りがわいた。そんな、苦労をした彼女の末路が、守ろうとした人間からの裏切りだなんて。
報われない。あまりにも報われない。
そんな奴らを神は、愛せと...
「そうだね、でも、彼らは戦っている。そんな、自分たちと関係ない世界の人を守るために。」
「カルデアの...」
「だけじゃないさ、ファデュイも、生き残ったフォンテーヌ人たちもだ。そして、メリュジーヌもきみは、どうする?」
「今さら、どうにもならないだろう。」
「そう、かもしれない。でも、僕は悔しいよ。ルネたちの計画も、ある意味正しい。でもね、それは、逃避なんだ。僕は、なにより天理が許せない。棚に上げていることはわかってる。でも、僕たちはもう生きているんだ。新たな、生物になっているんだ。ヌヴィレット、この国を、こんな風に終わらせちゃいけない。どこで狂ったかはわからないけど、カルデアの彼らが現れたのは、きっと意味がある。だからさ、」
「悲しいのなら思いっきり泣けばいいよ。そして、審判を開始しよう。ひとまずあのアビスに飲み込まれたジェイコブ。このままだと、君の大事な部下が死んでしまう。それを知って、何もしない君じゃないだろ?木の目論見通り、君はもう、人を愛しているんだから。」
外から、咆哮が聞こえる。これは、龍だ。
「ほら、君の愛したメリュジーヌたちは成果を残したよ。君に、もっと簡単な戦う理由を示してあげる。悔しいだろう?他の世界の龍に立場を奪われるのは。ほら、水龍。立ち上がって。見せてあげようよ、僕たちの世界の龍も、すごいんだって。そして、すべて終わったら...」
「僕を、裁きに来てくれ。」