魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス   作:旅人さんた

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あとがき入れ忘れていたので再アップです。


護国の白騎士

「生き汚なくてすまないね。こうも旧友からの熱烈なリベンジを受けては、おちおちと死んでもいられないのさ。」

 

ジェイコブは、門を維持したまま動かない。

 

どれほどのエネルギーを使っているのか。時折苦悶の表情を浮かべている。

 

門から無限にあふれ出るハウンドにより、クロリンデ達はジェイコブに手が出せない。

 

(メリュジーヌ達の姿が見えない、ナルツィッセンクロイツは何をしているんだ。)

 

ジェイコブは当初、エリナスからいずれ這い出る生物たちを利用することに反対していた。

ナルツィッセンクロイツ本人が動けば足りると思っていたからだ。

 

我々にとって、脅威と呼べるものはあのヌヴィレットしかいないと考えていたのだ。

 

(それが、こうも外れるとはね...)

 

偶然、ヌヴィレットの介入は防げた。変数の登場も織り込み済み。「今」の彼女なら問題はない。心配だったのはカルデアのサーヴァントのみだと...

 

(喜べアラン。君の後輩は立派に育っているようだぞ。)

 

それにしても、だ。

 

水神の死がまさか、あの冷酷無比な龍にそこまでの精神的なダメージを負わせていたとは。

 

そう考えていたところに...

 

 

 

 

 

 

ぽつ、ぽつ、と雨が降り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あーもう、こんな面倒なことしてる時に、雨ですって?ほんっとうについてないわ。』

 

「いや、待て、これは...」

 

 

 

 

 

 

 

「遅くなってすまない。ここは、私に任せてもらおう。」

 

 

 

 

 

 

クロリンデ達を囲っていたハウンドたちが、激流に飲まれていく。

 

 

 

 

 

「ヌヴィレット!とうとう出てきたかッ」

 

「あぁ、リベンジマッチに参加させてもらう。クロリンデ!奴を叩け。」

 

 

状況を察し、クロリンデは一気にジェイコブへと近づく。

 

「無駄な、ことを。私の肉体は、滅びることが...」

 

 

 

 

 

 

 

『状況は整ったわ。そう、そうよね。稲妻は、雨の時に降るものだわ。』

 

いつの間にか、クロリンデはセイモアを手にしている。

 

『クロリンデ』

 

「あぁ」

 

『フルパワーでいくわよ。』

 

形状を変化させる武装であるセイモアは、槍の姿へと形を変える。

 

サンドローネはついに、その本来の使い方を理解した。それは、ヌヴィレットが現れた瞬間だった。大神の力は、同じく神性を持つ水龍の登場により、使用可能となったのだ。

 

『最後に、聞くわ。アランを殺したのは、あなたね。彼は最後、なんて言っていたの。』

 

ジェイコブへと問いかける。その問いは、ジェイコブにとってどんな意味を持つのか。

門の展開をやめたジェイコブは少し、ほほ笑んだように見えた。

 

「その通り、友を、殺したのは、私だ。そして、最後の、言葉は........」

 

忘れるはずのない、友の末路。

 

ナルツィッセンクロイツの正体を知り、ジェイコブを止めるために、やってきた、あの老人は....

 

「いや、ダメだな。これは、僕の特権だ。」

 

『そう、いいわ。セイモア起動。偽・我、星を裂く雷霆(ワールドディシプリン・ケラウノス)!』

 

槍から放たれるは、大神の権能。の、模倣。異なる地、異なる異界において、神々の戦いの際、単眼の巨人が贈った雷霆...

 

そのものですらない。アヴェンジャーの再現のさなか、現状で「世界を救う人間」になるために用意した七つの異聞における大神の一撃を模した攻撃がクロリンデの持つ神名入り元素のエネルギーによって、槍先から放たれる。

 

ジェイコブの肉体がはじけ飛ぶ。だが、彼はアビスの怪物。対惑星破壊機構も、対星系殲滅機構も、対時空攻撃機構も、対概念破砕機構も備わっていない模倣の雷撃では、本人が言っていた通り、肉体が滅びることはない。

 

『これでっ、だめなら!』

 

「いや、まだだっ」

 

 

 

 

 

 

 

すると、尚止めることなく雷撃を撃ち続けるクロリンデとサンドローネの隣に、人影が現れた。

 

サンドローネは、目を見開く。

 

『え、うそ、まさか...』

 

 

 

 

 

 

「召喚に応じ、参上した。真名アラン・ギヨタン。一時、一瞬の召喚であれ、僕の娘、僕の後輩のために、力を貸すよ。」

 

 

あの天才は、とあるアヴェンジャーから英霊の仕組みを聞き、その可能性を信じた。

 

彼が老後、引きこもりながらも数々の研究でフォンテーヌを発展させたのは、自らを、自らの歴史を、この地に刻むため。

 

水は、あらゆる感情をのせて流れる。

 

フォンテーヌを救いたいという願い。

 

そのような感情を力に、それは、召喚された。

 

呼び出したのは、無論、この地、フォンテーヌ。

 

 

 

「宝具、護国の白騎士(ル・エ・ドゥ・フォンテーヌ)

 

その宝具は、威力を持たない。サポート宝具。

 

フォンテーヌを守ろうとする者に、力を与えるもの。

 

結果、クロリンデとサンドローネの放った一撃に、人類の脅威特攻。が付与される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェイコブは、一切の残滓を残すことなく消滅した。

 

 

 

 

 

 

 




補足です。

アランは、英霊というシステムを巌窟王に聞いていました。なので、いつかジェイコブたちと戦う人間が現れる際、土地そのものに自分が召喚させられる可能性を考えました。フォンテーヌの水は、そこに意識があるからです。

そして、もしその際、このままだとアヴェンジャーとして召喚されるかもしれないと思い、誰にも会わずに研究成果のみ残し、フォンテーヌ国民から正義の象徴というイメージを作り上げました。無辜の怪物みたいな感じです。アヴェンジャーであったら、宝具はケラウノスか戦闘服になっていたかと思います。

実際もし仮に誰かが個人的に召喚していればアヴェンジャーでしたが、あくまでフォンテーヌの意思が召喚した彼は、セイバーかキャスターです。どちらか決めようかと思いましたが、発明王であった彼も、ファントムハンターの彼も、どちらもフォンテーヌを守る勇者なので、あえて決めませんでした。

完結まであと少しです。もう少し、お付き合いいただけたらと思います。
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