魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
「嘘、ほんとに...」
クロリンデの武装は解除された。それはサンドローネは普段の姿に戻っていることを意味する。
「...」
「なんで、何も言わないの。アラン」
サーヴァントは、何も発しない。その体は、淡い光に包まれている。役目は果たした。退去が始まっている。
「なんで、どうやってなんて、この際どうでもいいわ。あなたがアランなら...」
「僕は...君の知っているアランじゃないんだ。あとで、詳しい人に聞けばいい。あくまで、影法師にすぎないんだよ。」
「そんなの、関係ない。私は、あなたに...」
「だから、君の言葉を聞くわけにはいかない。冷たいようで悪いけどね。じき僕は消える。僕のことは...そうだね、夢だったと思ってほしい。」
「アラン君。」
「ヌヴィレット様。お変わりないようで何よりです。良い部下をお持ちで。」
「あぁ、今も昔も変わらず、だ。」
「あなたに、『彼』からの謝罪を。エリナスの中で、あなたにはもっとお話をするべきでした。辞表も、出せていませんでしたしね。」
「許そう。よく、戦ってくれた。」
その言葉を聞き、サーヴァントはほほ笑んだ。
そして───座へと、還っていった。
『ジェイコブが、逝ったか...』
聖杯を取り込んだナルツィッセンクロイツは、友の死を感じ取った。
『問題は...ない。私は、一人になろうと救世を成し遂げる。邪魔をするなァ!』
目覚めたばかりのソロモンは、ナルツィッセンクロイツへと対峙した。
「キャスタートネリコ、あれが、この特異点の核だ。奴さえ倒せば、特異点は修正される。」
「ありがとう、ございます。ですが、マスターが,,,」
ソロモンを目覚めさせた藤丸は、意識を失った。
傷口からの血は、止まらない。
「アビスの影響だ。根源を立たねば、その傷は癒えん。立て、トネリコ。」
「私は...ダメです。あなたがいるなら、あなたが倒してください。私に、救う戦いはできません。」
ソロモンは、ため息をはいた。そして、トネリコの腕を強引に持ち上げる。
「この私をみよ。我はゲーティア。憐憫の獣ゲーティア。七つの特異点を作り、玉座にて、この男に敗北した者だ。ルネ...ナルツィッセンクロイツは、魔術を操る際、この私をとことん研究し、おそらく人理修復についても。貴様は、異聞帯のサーヴァント、奴を倒すためには、貴様の力が不可欠である!」
「だって、だって、私にはわからない!藤丸のことがもう、わからない!妖精も、メリュジーヌも、フォンテーヌ人も!なんで、なんで!メリュジーヌ達は、乗り越えたのに!彼女たちは、自らの運命に打ち勝った!でも、私は、ダメなんです。」
「これ以上は時間の無駄か、であれば、そこで寝ているがよい。待たせたな、ナルツィッセンクロイツ。」
『結局、あなたの名前は、なんだったのだ?あなたには、恩情を抱いている。せめて、本来の名前を知っておきたい。』
「白々しい、知っているだろう。」
『あぁ、だが、今の私がナルツィッセンクロイツ以外の名を名乗るつもりがないように、あなたにも名乗る名があるはずだ。』
「そう、だな。では名乗ろう。我が名はゲーティア。貴様に、引導を渡すものだ。」