魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
「あなたたちは...何者なの。」
二人に対し問いかける。風貌は全く異なるが、この場で二人なのだ。おそらく無関係な間柄ではないだろう。
「私はアビゲイル・ウィリアムズ。短い間だけど、アビーと呼んでくださいな。」
アビーという少女は、隣に座る王子様然とした男に促す。
だが、返答はない。
そこで、旅人はあることに気付く。元素力がつかえない。
仮に、この二人と戦闘になった際厄介だ。
背中越しに、普段使う片手剣の存在を意識する。
「思ったより血の気が多いのね。大丈夫、私たちは敵意があって呼び出したわけじゃないの。お姉さん、サーヴァントにお会いになったでしょう?」
サーヴァント...トネリコさんのことだろう。詳しい話を聞いたわけではないが、藤丸がそう紹介していた。
「私たちもサーヴァントよ。マスターの味方、だから、あなたがマスターの味方である限り、私たちもあなたの味方ということになるわ。」
「そう。それで、なんで私をここに連れてきたの?」
直前の記憶は、藤丸のアビスの呪いを吸収したところだ。なので、旅人は最初アビスによるものだと警戒していた。
だから、ひとまず安心した。完全に信用しているわけではないが、サーヴァントであるなら、アビスの者や、ファデュイの者ではない。どころか、テイワットの存在ですら,,,
「マスターの存在が消えかけているからよ。お姉さんが吸収してくれたそれ、この世界のよどみのようなものなのでしょう?まったく構造が別の世界で致命傷を受けたマスターの存在証明が危険域に達して、カルデアのサーヴァントたちが大騒ぎ。いち早く特異点を修復して、私たちのマスターに戻ってきてもらいたいの。」
「というのが、私の目的。」
「私?」
「えぇ、お兄さん...オベロンさんをつれて来たのは、また別。」
察するに、このもう一人の男がオベロンというのだろう。
アビーの言葉を聞いて、オベロンはまたふてくされたような顔になった。サーヴァント同士とはいえ、仲がいいというわけではないのだろうか。
「本題に入りましょう。旅人さんには、聖杯...ナルツィッセンクロイツを倒してほしいの。」
一体どこまで把握しているのか、そも、自分たちはそのために戦ってきた。
言い方は悪いが、横やりを入れてきたのは彼女たちの方である。
「ゲ、ソロモンさんが戦っているのは存じています。でも、あの人じゃ勝てないのでしょう?」
「あぁ、『人類悪』に、あれは倒せない。聖杯を手にしたあれは、すでにこの世界のビーストになった。あくまで彼は人類悪の断片。単純な性能差がそこで出るだろうね。そもそもあれは救済の理を持つ。救済を打倒するには、その世界の人間が救済を否定しなければならない。そして、ただ世界の存在もだめだ。支配という神秘を取り込んだヤツは、同じ神秘がなければ倒せない。」
ついにオベロンが口を開いた。つまり、
「だったら、私も無理だよ。」
「えぇそうね。だから、私が出てきたの。
よく意味が分からない。というかさっきから視界がぐらついている。なんだろうこの違和感は。少女の姿を見ていると...頭が...
苦しくはない、痛みはない、悲しみもない、喜びもない、ただ衝動のままに全てを
壊し、崩し、犯し、ころ
「ちッ」
頭を、オベロンにつかまれた。白を基調としていた姿は、黒を基調とした姿に変わっている。
「『門』の影響だ。君のそれ、どうにかならないのか。」
「だって!こうでもしなきゃここに来れなかったんだもの!私の『門』以外に、この世界に干渉できる手段があって?」
何をされたのかはわからない。ただ、先ほどまでの嫌な感じが嘘のように消えている。
「ビーストのお姉さんたちが勝手にポンポン単独権限する前にかたをつけましょう。話が途中だったわよね。」
アビゲイルは、話を続ける。
「お姉さんに、『降臨者』になってほしいのです。」