魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
...と言われても、
「私既に、降臨者だけど。」
なりたくてなったわけではないが、世界樹の前で、それを知った。
自分は、第四降臨者だと。
「えぇ、そのようね。だから選んだのよ。」
先ほどの...オベロンのお陰で、不可思議ないら立ちは消えたが、なんだろうか、蠱惑的で、それでいて話に取り留めのない感じに正常ないら立ちを覚えてくる。
「はぁ、混乱させるだけの発言はやめたら?いるんだろ、黒いの。」
すると、アビゲイルもまた姿を変容させる。
金髪だった髪は銀髪に、そして背後に纏うものはより名状しがたきものへと変わっている。
このオベロンといい...流行っているのか。
「ごめんなさいね。少しフラストレーションがたまっていたみたい。冷静なようでいて、マスターの不在にだいぶやられていたようだわ。」
「それで、降臨者って?」
「あなたの思っている降臨者がどういうものか、正確に把握しているわけではないの。でも、私が言っている降臨者と別物ということはわかるわ。ですが、きっとあなたに適性があるのは関係があるのでしょう。オベロンさんが言ったでしょう?あなたには神秘をあつかってもらう。大丈夫、既にあなたの世界にあるわ。ソロモンおじさんのお陰ね。」
「いやいや、今回の話基本あいつのせいだけど。」
適正...自分にしかない特性といえば...
「元素の...共鳴?」
「そうよ。マスターの...神の目を見たでしょう?あれはあなたの世界にはない力を使うための通路。あなたに、それを使ってもらうわ。」
とはいえ、通常共鳴は七天神像との接触で行われる。
そんなものあるはずが...
「目星はついてるわ。特異点の外になってしまうけれど、東方の島国の地下にそれに対応するものはあるはず。だから...」
「馬鹿ッめをつぶれ!」
つぶれ、という声に反応する前に、オベロンが目をふさいできた。音も聞こえない。触感もない。まるで、金縛りにあったような感じだ。オベロンがなにかしたのだろう。
「イグナ、イグナ...トゥフルトゥクンガ...」
門が開かれる。
彼女は白金の鍵そのもの。
テイワットとは別の世界...それともまた別の世界と接続される。
気が付くと、旅人は見知った地にいた。
「ここは...淵下宮?」
「名称までは何とも。」
目の前には『杭』が刺さっている。何回か見たカーンルイアのものだが、こんなところにあっただろうか。
「まさか、これが?」
「そう、この世界風に言うと、エーテル元素の七天神像。さぁ、これに触れて。」
旅人は躊躇いなく慣れた手つきでそれに触れる。
ぽわーんと、淡い光を放つ。なんのことはない。既に5回もしたことだ。
だが、
「これが...なんなの?」
元素爆発も、元素スキルすら使えない。先ほどの空間とは違う、元素を感じてはいる
元素力の行使はできているのに、結果として現れない。
「いったん戻りましょう。」
また目をふさがれ、あの空間に戻ってきた。
「これで、私はあなたたちの世界の力が使えるの?なにも起きなかったけど。」
「そうね。あなたにはただ土台ができただけ。でもすごいわ。きっと、他の人がこの力を行使しようとしたら、正気を保てない。魔術回路を無理やり生やしているようなものですもの。」
言ってる意味はよくわからないが、彼女の企みは成功したのだろう。
「本題はここからよ。あなたはこれから、この世界を壊す戦いを始めるの。」
混乱する。何を言い出しているのか、この少女は。
「マスターはあなたに伝えなかったのね。無理もないわ。ゆっくり話す機会なんてなかったでしょうから。」
少女は、「特異点」というものについて話し始めた。
「つまり、ナルツィッセンクロイツを倒せば、この世界は消えてなくなるの?」
「正確に言えば、修正ね。この世界が分岐する前…あなたの視点で言うと、ファデュイと敵対する直前に戻るわ。」
つまり、メリュジーヌたちの反乱も、フリーナの死も、タルタリヤの死も、シルヴァやマルシラックの死もなかったことになる。
「マスターがこの世界に来たと言うことも、なかったことになるわ。でも、きっとあなたは違う。」
その発言に心当たりはある。世界樹の影響を受けなかった旅人には、記憶が残り続けると言うことだ。
「それは少し問題があるの。だから、ね。」
「あなたには、ここで死んでもらうわ。」