魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス   作:旅人さんた

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雨の魔女 トネリコ ※あとがきあり

「まだか、カルデア!業腹だが、私一人では抑えきれん!」

 

ソロモンとナルツィッセンクロイツの激闘は、終わりが見えない。

 

ゲーティアビ…時間神殿の再現をもってしても、ナルツィッセンクロイツの体は蒸発することはなかった。

 

全ての術式は解かれ、唯一の有能打は打撃のみ。

 

その打撃も、液体で構成されている以上致命傷たり得ない。

 

「藤丸は…まだか。全く、これでは南極がどうこうなどと言っている場合では…む?」

 

 

 

トネリコは、感触はなくとも治癒魔法を途絶えさせていない。だが、明確に、治癒は効いている。これは、つまり

 

「治って…いる?じゃあ、アビスの呪いは…」

 

藤丸の体を蝕む呪いは、完全に消えていた。

 

安堵したのも束の間、藤丸の令呪が、発光する。

 

「サーヴァント召喚?でも、なんで…」

 

「この世界を守りたいのは、何もカルデアだけだったわけじゃないってことさ。」

 

そこには、男が一人。召喚されたわけでない。それは、いつのまにかそこに現れた。

 

「あなたは」

 

「おかしいな、妖精國の記憶はあるって話だったけど。知らないならいいさ。余計な問答が省ける。」

 

「カルデアの、サーヴァントですか?」

 

「認識阻害の影響もありそうだ。そうさ。僕…俺は一応カルデアのサーヴァント。と言っても元々は…まぁ、魔術王がいる以上関係ないか。」

 

「嘘、じゃない。援軍ですか。よかった、あそこにいるのが…」

 

「聖杯、だろ?わかってる。でも、俺は戦いにきたわけではない。あいも変わらずボロボロなマスターの面を拝みにきたのさ。そして、」

 

「?」

 

その男は、じっとトネリコを見つめている。

眼ごしに映る自分の姿は、なぜだろう、自分とは思えないような──

 

「何やってるんだ、お前。俺は、あんたの描いた絵本、嫌いじゃなかったんだぜ。」

 

そうか、わかった。彼が観ているのは私じゃない。きっと、女王となった「私」。

 

うんざりする。私はただ必死だっただけだ。必死に、ブリテンを守ろうと、妖精たちを、人間を守ろうとした。

 

そんな、堕落して、孤独で、裏切られた女王なんて、知ったこっちゃない。

 

「とても、とても嫌な事を考えてしまった。あぁ、確かに似てるよ、あんたは、あいつに。」

 

「戦いに来たわけじゃないなら、さっさと消えてください。私は、どう足掻いても私でしか…」

 

「そうさ、君は結局トネリコでしかない。女王でも、異聞帯の王でもない。だから、さ」

 

もしかしたら、

 

もしかしたら、私は

 

「知ったこっちゃない。あぁそうさ。ブリテンのことなんか、忘れちゃえよ。君は、君が今守りたいものだけ守ればいいさ。モルガンであろうとしなくても、ましてや救世主であろうとしなくていい。そんな装置は…あぁ、どっかの物好きな魔猪が代わりにやってくれたよ。あぁ、腹が立つ。なんで俺がこんなこと…まぁ、いいさ。ほらさっさと立て。妖精、人間、メリュジーヌ、フォンテーヌ人。誰に裏切られたって、もうどうでもいいだろ、君は」

 

その言葉を

 

「マスターだけの救世主であればいいんだ。」

 

誰かに、そう言って欲しかったのかもしれない。

 

 

 

 

 

シャドウボーダーにて

 

「あ、お母様!よかった。姿が見れられないから心配して…でも、一体どこに?」

 

「分たれた…そうですか。ならば、我が夫を、任せましたよ。」




トネリコを主軸にしようと思っていた時に、やりたかったことです。
あの8周年の日、トネリコが実装された瞬間から、結局このサーヴァントはモルガンなのか、それとも別なのか。もちろん設定などは何回も読みましたが、感覚としてどうしても切り離せませんでした。そして、このままだと、サーヴァントトネリコは報われないなと。三臨以降になってしまえば、それはもうバーサーカーの延長ですが、あくまでトネリコに限定した救いがずっと欲しかったんです。
なので、あくまで二次創作として、トネリコとモルガンを切り離し、トネリコにはトネリコなりの救いを書こうと思いました。

最後のボーダーでの会話は、まぁ実際はあったのかなかったのかという感じです。あくまで別物になったという表現がしたかっただけで。実際彼女らは今マシュがいる時間軸にいるわけですからね。


余談ですが、もちろん、書きながら聞いてたのは例の詐欺師のテーマです。
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