魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス   作:旅人さんた

59 / 63
分けるつもりだったものをまとめたので、今回ちょっと長めです。


ラストバトル1 二人の降臨者

「マスター、警戒を。あれは、おそらく」

 

トネリコは理解した。目の前のサーヴァントの正体を。

 

「すごいなそんな簡単にわかるものなのか。」

 

サーヴァントは純粋に感嘆した。マスターの記憶や召喚による知識で、大まかなことはわかっていてもトネリコの完璧な正体のことはわからない。

 

「それとも、イギリスの妖精はみんなそうなのかな?」

 

「...ッ!」

 

最悪だ、とトネリコは思った。

これまで敵は我々の世界について、断片的にしか知らなかった。

それはむしろなまじ断片的に知ってしまっているからこそのアドバンテージだった。

 

だがそのサーヴァントは、トネリコの予想が当たっていればおそらく魔術、そしてテイワットそのものに関しても知り尽くしていると思われる。

 

その最悪の想定は、

 

「うん、なら先手必勝だ。」

 

そのサーヴァントの宝具によって知らされることとなった。

 

我が意志は、世界に通ず(ロスト・ディセンダー)

 

宝具が、発動した。

 

しかし聖剣の一撃や、巨大な城といった明確な変化は起きない。

 

「へぇ、すべての生き物に効果があるわけじゃないのか。ふむ、なるほど、この様子だと、そもそもこの世界の人間じゃない者と、三番目の遺骨の加護がある者が例外かな。」

 

トネリコには言葉の意味はよくわからない。だが、

 

「まさか、」

 

旅人はその言葉に強く反応していた。

 

「あぁ、そうか。『今』の君はもう終了してるんだったね。四番目。」

 

「あなたは降臨者なの。」

 

その問いはサーヴァントしての型...クラスを聞いているわけではない。

 

この世界で、「降臨者(フォーリナー)」以外に「降臨者」という言葉が指し示すものはただ一つ。

 

曰く、その存在は外より来たり、世界全体に匹敵する意志を持つという。

 

曰く、その存在は、世界を救い、維持し、破壊し、創造するという。

 

「そう。僕は降臨者(ディセンダー)。彼が求めた…いや彼自身がなろうとした『可能性』さ。」

 

息をのむ旅人の胸に───

 

銃弾が放たれた。

 

 

 

 

「旅人さん!」

 

その弾は雷の刃によって両断されている。

 

トネリコは、瞬時にその弾が飛来した方角に目を向ける。

 

そこには、

 

生き残ったフォンテーヌ人が群れを成していた。

 

「あなたは、メリュジーヌのみならず、人間たちの意思までも捻じ曲げるのですか!」

 

激昂する。

 

今この時わずかな例外を抜いたテイワットの生物すべてが、敵となったのだ。

 

「なんだ、もう知っているのか。じゃあ隠すこともないね。とはいえ、言いがかりはよしてほしい。メリュジーヌに関してはナルツィッセンクロイツのせいだし、そもそもあれはそういう風にデザインされた生物だ。まあ実際、ナルツィッセンクロイツが何もしなくても似た生き物は勝手に生まれてきたのだろうけど。」

 

「そう、あなたが、ルネ。」

 

旅人も次いで理解した。

フォーリナー旅人が、正常な歴史を辿った世界で探索中にみつけた、あの写真を思い出す。

 

とある廃墟で見つけたおそらく、彼らが唯一子供らしくいれた時間の写真。

 

ダメだ。旅人は殺生を完全に避けてきたわけではないが、ただ操られている者に刃を向けることはできない。

 

そう思っている間も海から無数のアベラントが襲ってきていた。

 

一体一体は大したことがないが、これこそ塵も積もればというやつだ。

 

トネリコはアベラントへの対処を開始し、同時にバリアのようなものを張っている。

 

(なら、私は!)

 

一気にルネのもとへと接近する。何が有効打かわからない以上、まずは最大の...

 

「聞け、太陽の咆哮を!」

 

純粋な火力としては最大打点と言える、炎神の一撃。

 

先ほど放ったものとは違い戦意を最大まで貯めたモノ。

 

それを

 

「回転せよ。」

 

かわされた。だが、防御をされたような感触ではない。まるで旅人の攻撃自身があえて外したような...

 

トネリコがそれに気付いた。その表情は引きつっている。

 

「あなた、いったいどこまで。それは、神代の魔術です。そんな、こちら側を軽く覗いたくらいで...」

 

ルネは、ニヤッと笑った。悪辣なものではない、まるで子供のような無邪気さで。

 

「今の君ならわかるだろ?四番目。君は、旅の過程で知ったはずだ。」

 

攻撃を外し体制を崩していた旅人は思い出す。こことは違う世界で、ルネが書かれたと思われる手記。

 

「そうか、君は僕と違ってあくまでそこ止まり。彼らの世界はすごいよ。今のテイワットじゃ失われた技術、概念。それらすべてが完ぺきな形で残っている。まるで、どちらかの世界が参考にしているかのように。」

 

「何を、言っているの。」

 

「詮無き事さ。いいよ、教えよう僕の本質、僕の正体を...」

 

ルネの頭上に、旅人、トネリコ、双方に見覚えがある図形が浮かび上がる。

 

旅人は正常な歴史におけるメリュシー村で、トネリコは、あくまで異教の魔術理論において

 

「世界式...!」「生命の樹...?」

 

 

 

「どちらも正解だ。わかったろ、今の僕に炎の剣なんてもの、当たるわけないのさ。それは、道にして、僕を守るものだからね。」

 




サーヴァント 

クラス ディセンダー(クラスカードはフィーリナー)

真名 世界式ルネ・ド・ペトリコール

宝具 
我が意志は、世界に通ず(ロスト・ディセンダー)

降臨者は、世界そのものに匹敵する意思を持つ。
発動すると、フォンテーヌに存在する生命の意志を操作できる。
テイワットに認められた降臨者ではないので、あくまでフォンテーヌに限定される。
他の降臨者による加護がある存在には効果がない。
これは、フォンテーヌ人を予言から守ろうとしたルネの行動が歪に昇華されたもの。ナルツィッセンクロイツが自分自身をルネと自認していなかったため、直接フォンテーヌ人の「救済」を行うことはできない。ナルツィッセンクロイツのみが、世界を「救済」する権限を持つ。

・世界式

降臨者になるため、ルネは世界式を自らに埋め込んだ。というより、身体の構造を世界式と魔術的に同化した。
生前から生命の樹との類似性に気付いていたため、エーテル元素を通じて魔術の行使を行っていた。英霊となった際、ルネは生命の樹に関連した魔術を際限なく行使する、常時発動型の宝具。
また付随する能力としてあくまで防御機構の炎剣を扱えるが、テイワットではただの炎元素の剣になってしまうので、必要性をそこまで感じていない。基本的にルネが放つ攻撃はこの宝具に由来するものである。
また、炎、特に剣状の炎に対してはほぼ無敵の耐性を持つ。
これらは創世記の記述に由来する。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。