魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス 作:旅人さんた
進軍は順調に進み、歌劇場は目と鼻の先というところまで来ていた。
予想通りではあったが、一帯を囲うようにマシナリーが配置されている。
ロンドンで見たオートマタや、新宿でのコロラトゥーラのようなイメージをしていたが、より機械的な風貌だ。
ファデュイ一般兵はあの量の機械に対処できるほどの能力を持っているのか。
「不安そうだね、大丈夫。どんなイメージをしてるかわからないけど、ファデュイはテイワット大陸の七国全てに根を張ってるんだ。あれくらいのマシナリーは相手にならないよ。」
疑っているわけではないが、自分はまだこの特異点の人間の戦闘を見ているわけではない。あの陣地の中で発言力があるであろうリネすら、体型ら不安になるくらい華奢だ…とはいえ、
(サーヴァントみたいに体型とはあまり関係ないのかな)
そう呑気に考えていたところで…
「はじまるっ!」
別部隊のファデュイがマシナリーに突撃していた。
兵の見た目はだいぶ鮮やかで、水色と青色で統一されている。
どのような戦闘方法か気になり眺めていると、青色の兵たちが一斉に銃火器のようなものから水をぶっ放していた。
「水鉄砲?」
「はは、こーゆーやり方を見るのは初めてかい?次の先鋭隊が出たら僕たちも動くよ。」
次の…というと、あの夏の浮かれた騎士王のような武器を振り回してる兵の少しにいる水色の兵たちのことか。
敵のマシナリーも水流に多少押されてはいるが、当然のごとく致命傷にはならない。考えてみれば機械に対して水をかけるというのも、破壊方法として無理な話ではないが、防水加工はされているようだ。
これは失敗なのかと思ったところで、第二陣が動いた。
水色の兵たちが一気に氷のようなものを銃火器から放出したのだ。
(なにをやっているんだろう。)
ロシアの皇女ほどではないが、数の暴力で氷のつぶを吹きかける。
低音で攻めるというなかなか周りくどいやり方なのかと思っていると…
マシナリー達は、氷を当てられたモノから氷像になっていた。
リネは当たり前のような顔をして少し眺めたあと、
「破壊するよりも、動きを止める方が楽だからね。いくよっ」
そう言って氷像の間を抜けて歌劇場へ進み出した。全てを凍らせたわけではないのか、向かってくる他のマシナリーには他の色とりどりのファデュイたちが対応していた。
(意外と陽気な組織なのか…?)
しばらく走っていると、ついに前方に人影が現れた。
今度は黒スーツの人間たちだ。
「リネ、あそこ」
「うん、ナヴィアさんだ。」
黒スーツの部隊の真ん中に、黄色いドレスを着て、黒い日傘をさした女が佇んでいた。
「こんにちは、お二人さん。来るならこのタイミングとは思ってたけど、思ったより早かったわね。そちらは新入りさん?変わった格好をしているけど」
「ファデュイの有能さへの賛辞と受け取っていいかな。彼はファデュイじゃない、ただの協力者だよ。」
「ふぅん、それで、直接フォンテーヌと対決するのは初めてだけど、本当にあんたたちはそれでいいわけ?」
「執行官様の意思は女皇様の意思だ。お父様を疑ったことなんてないよ。」
「それでメリュジーヌをね、私たちフォンテーヌ人はメリュジーヌに危害を加えるものに容赦はしない。和解の申し立てをするつもりなら、その前提を飲んでもらわないと。」
やっと話がわかってきた。ファデュイの敵はメリュジーヌを守ろうとしてる勢力らしい。
「えっと、ナヴィアさんでいいんだっけ。あの、今メリュジーヌはどこに?多分知り合いだと思うんだ。」
そう言うと、ナヴィアはこちらをギロリと睨んだ。
「そうでしょうね、どう言う成り行きか知らないけど、ファデュイの味方をする相手に話すとでも?」
少し噛み合わないような気がして、聞き返そうとしたところで…
「リネたちが来たんだね、久しぶり。」
黒スーツの群れをかき分けて、妖精のようなものを連れた金髪の少女が現れた。
胡桃の話の時は空のイメージだったので、今回は蛍にしました。