魔神特異点 水獣敵対異国 フォンテーヌ・エリナス   作:旅人さんた

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ラストバトル4 決着

「あぁ、理解したよ。あなたは、悪い人だったんだね。」

 

「当然だろう。私は一度人理を滅ぼした者だ。」

 

天使は出し切った。降臨者としての機能も最早無意味。

 

それでも生命の樹生命の樹としての力は残っている。

 

「キャスター、フォーリナーのサポートに回れ。あいつはここで確実に潰さなくてはならない。」

 

「言われなくともわかっています。」

 

リリスを吸収した旅人が戻ってきた。

 

「マリアンを…取り戻す。」

 

「……」

 

旅人は何も発さない。ただ剣を構えるのみ。

 

炎神の力を発動させ、ルナへと飛びかかった。

 

理解している。これは、世界を侵食する概念だ。

 

炎剣で防ぐ、だがその余波は身に受けてしまう。

 

最早旅人に対し、絶対無敵の炎耐性は機能しない。

 

「お前が…お前がもっと早く来ていれば!!」

 

闇雲に魔術を放つ。それら全てはトネリコに封じられる。

 

ナルツィッセンクロイツとの戦いにより、二人の連携は向上していた。

 

このままでは勝てない。

 

今のルネでは、旅人への打つ手がない。

 

徐々に、ルネはのダメージは蓄積されている。消滅するまではもう時間の問題だ。

 

「さよなら。」

 

知っている。今の旅人はルネの辿った末路、フォンテーヌの予言がどのような形で収束するかを知っている。

 

だから、旅人は剣を払うことに戸惑いを感じなかった。

 

これは、ルネへの救いになるのだから。

 

だが、その惨状に変化が生じる。

 

藤丸がルネに向かって歩き出したのだ。

 

「マスター、ダメです。離れて。」

 

「ごめん、トネリコ。聞けない。」

 

これまで藤丸は、見てきたのだ。何かを救いたいと願い、行動し、その行いを悪とされ無念にも敗北し、他人がその代わりを成し遂げてしまった事例を、何度も。

 

「なんだよ、勝てると思って笑いに来たのか。」

 

「君は結局、なにを助けたかったの。」

 

「そんなもの、フォンテーヌに決まって…」

 

原始胎海によるフォンテーヌの滅亡。予言が記した内容については、これまでの現象で予想がついた。

 

だが、それにしては

 

「君の宝具はおかしい。」

 

降臨者としての宝具。フォンテーヌの生物の意思を操作するもの。

 

だが、確かに。ルネの行おうとしたものと違っている。

 

「君は、君の仲間たちと一緒になりたかっただけなんじゃない?いつまでも、ずっと。」

 

意思を操作する。それすなわち心を一つにする。

 

宝具は、英霊の生涯を象徴するものだ。

 

「君は、これまで何にも勝てなかった。」

 

「なら、今の君の勝利条件はただ一つ。君の友達を奪還することだ。」

 

その発言に、トネリコは理解できないと言った顔をし、ソロモンは、呆れたような顔をし、遠くで天使と戦っているメリュジーヌは誇らしげな顔をし、旅人は意を決したような顔をした。

 

「だから、だからなんだ!そんなこと、お前に言われなくてもわかっ」

 

「旅人さん!」

 

令呪を掲げる。残った一画を旅人に向ける。

 

「令呪を以て命ずる。俺と、二人で彼を倒そう。」

 

正しく機能した。これでは、キャスター、トネリコの支援は受けられない。

 

「なぜ、ですか。」

 

「ごめん、トネリコ。このままじゃ、彼を救えないような気がして。」

 

トネリコはかなり不満気だ。当然だろう。このままなら勝てる戦いなのに、わざわざ自らに不利な行動をしているのだから。

 

だが、

 

「おいルネ。敵が弱体化したのだ。貴様もサーヴァントであるなら機を逃す手はないと思うが。」

 

一番冷酷なはずのソロモンが、藤丸に対し疑問の声をあげなかった。それどころか、ルネに対し戦闘を促している。

 

「あなたまで、そんな、どうし」

 

妖精國におけるモルガンの末路。

妖精國におけるトネリコの末路。

共通して、救おうとしたものに裏切られ終わった。

 

救いは為されず、悪として終わってしまった。

 

「マスター、あなたはまさか。」

 

ロシア異聞帯でも、北欧でも、中国でも、インドでも、アトランティスでも…南米でも、最後に戦った敵を、藤丸は悪だと認識しなかった。

 

「後悔しても、知らないぞ。」

 

「このまま勝っても、後悔してたと思うから。」

 

聖杯によって生かされているだけのナルツィッセンクロイツ。

 

ふらふらと立ち上がったルネは、その体から聖杯を抜き取った。それは、ナルツィッセンクロイツの死を意味しており、当然召喚されたサーヴァントは…

 

「あとは、僕が消えるまでの時間制限付きのラストバトルだ。」

 

二人の降臨者が衝突する。

 

先制を仕掛けたのは旅人。無相の一太刀を掲げ、切り掛かった。

 

今の旅人の攻撃であれば、ルネも気軽に炎剣を抜けまい。

 

だが、その想定は外れ容赦なく炎剣で防いだ。

 

先ほどのように、猛烈な過負荷反応が…

 

起きない。

 

「ッ!なんで!?」

 

単純な話、聖杯を取り込んだことで、位階を一つ繰り上げた。

 

第ニ位階。つまり、神の住まう世界へと。

 

であれば、炎剣はただの炎元素の塊にあらず。

 

その剣に、本来名前はない。

 

無理につけるとするなら、それは

 

「廻転剣ケルビム」

 

エデンの東において楽園を守る天使の名を付けられた剣は、本来の力を取り戻した。

 

であれば、元素反応など起きない。

 

「くッ!でも!」

 

負けじと旅人も、元素力を乗せる。

 

本人は気付いていないだろうが、クリフォトを取り込んだ旅人の放つ元素攻撃には、それぞれ意味が生じている。そしてそれらは、ルネのセフィラを破壊する。

 

全てを断つ一太刀は第三のクリファ、すなわち拒絶。

 

「防ぎ…きれない!」

 

「理解」が消えた。

 

「天道、此処にあり」

 

隙を見て旅人は隕石を降らせた。

 

ルネの体が石化する。司るは第ニと第八、「愚鈍」と「貪欲」。

 

「知恵」と「栄光」が消えた。

 

「フォーリナー!そのまま動きを止めろ!」

 

藤丸が指示を出す。スタンがどれだけ強いか、藤丸は身に染みていた。

 

水の渦を出し、そこに氷元素を乗せる。

 

司るはそれぞれ第七と第四、「色欲」と「無関心」。

 

「勝利」と「慈悲」が消えた。

 

「まだだァ!」

 

剣により、凍結の拘束を解く。

 

そして、

 

「回転せよ!」

 

その剣は楽園を守る。つまり、断絶の剣。

 

その真価を発揮し、旅人と藤丸のパスが途絶えてしまった。

 

「まずいッ」

 

トネリコが叫ぶ。このままでは旅人は霊器を保てない。

 

そうなれば、藤丸は…

 

「礼装起動!」

 

藤丸は、体中を巡る激痛に耐える。

 

時間神殿で使用したもの。それは、神経を魔術回路として使い潰す身を削る礼装。

 

魔力を放出し、旅人の元へと跳ぶ。

 

そして…

 

「告げる!」

 

最早使い果たした令呪の代わりに、藤丸自身の神経を使って旅人とのパスを回復させる。

 

「この業火で…裁く!」

 

そして、旅人は草神の力と炎神の力を使う。

 

燃焼反応により、ルネの体は燃え続ける。

 

司るはそれぞれ第六第十と第一第五。「醜悪」「物質主義」と「無神論」「残酷」

 

「美」「王国」「王冠」「峻厳」が消えた。

 

「絶対に、僕は、マリアンを!!!」

 

最後に残されたセフィラ。

 

第九、基礎(イェソド)

 

最早廻転剣の力も消えかけている。セフィラをつなげる道は消えた。

 

守るものはわずかしかない。

 

「消えろッ!!!変数!!!!!」

 

その攻撃は最早ただの打撃。

 

燃焼反応によって焼かれた体で、最後の一撃を放つ。

 

その炎を

 

「風神!」

 

拡散反応によってさらに広げようとする。

 

だが、その風元素には、水神の力ではない水元素が拡散されていた。

 

「…ありがとう、マリアン。」

 

司るは第九「不安定」。悪魔の名は、「リリス」

 

水元素を拡散させた風により、燃焼の炎は消えるが、蒸発反応で更なるダメージを負った。

 

「基礎」が、消える。

 

勝敗は決した。

 

最早、ルネに体を維持する力は残っていない。

 

「負けてしまったか…」

 

風前の灯火。霊器が消滅するまでは秒読み。

 

「一つ、教えて欲しい。正常な歴史で、フォンテーヌはどうなる?」

 

 

 

 

「助かる。たくさんの命を犠牲にするけど、フォンテーヌは救われる。」

 

ルネは、少し寂しげな笑みを浮かべ、

 

「残念だなぁ。僕が、世界を救いたかった。」

 

「あなたたち残した意思は、フォンテーヌじゃない、別の場所で私たちの力になった。」

 

「あなた、たち?」

 

「アラン・ギヨタン」

 

そう、フォンテーヌとは遠く離れた地…ナド・クライにおいて、世界式の情報と、アラン・ギヨタンの製作した機械は、とある陰謀を食い止めるための重要な要素だった。

 

それを聞いて───

 

「…なら、よかった。」

 

そう言って、フォンテーヌを救おうとした少年は消えていった。

 

 

 




次回、後日談。
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