ぼくらハグルマ団! リメイク版   作:madron

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※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。
「三丁目の夕日 夕焼けの詩」に着想を得た昭和レトロ要素こそありますが、イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。

この作品はPixivにも投稿しています。
https://www.pixiv.net/novel/series/13031672

また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。


ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.


ぼくらハグルマ団! リメイク版(前編)

 

※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。

イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。

 

また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。

 

ゲーム名:のびのびTRPG

ゲームデザイン:今野隼史

発売元:株式会社アークライト

© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.

 

 

 

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午後、それはこの街では授業が終わり、子供たちが町へ出始める時間。授業終了の鐘が鳴り響き、子供たちがぞろぞろと出てきた。

 

カルセド、ロサ、ジルコンの三人組も、その中に居た。

 

「終わったー!」

 

ジルコンが大きく伸びをしながら叫ぶと、ロサが苦笑いを浮かべる。

「そんなに喜ぶ? 今日の授業、割と楽だったじゃない」

 

「ロサはそう思うかもしれないけど、俺にとっちゃ長かったんだって」

 

ジルコンが肩をすくめると、カルセドがそれに相槌を打つ。

 

「まあまあ。今はもう自由だろ? ほら、行こうぜ!」

 

三人は校門の脇に停めておいたキックボードにそれぞれ乗り込んだ。

 

カラフルなデザインのキックボードは、この村では誰もが使っているポピュラーな移動手段だ。

 

カルセドが一番に蹴り出し、軽快に進み始めた。

 

「んじゃ、駄菓子屋でお菓子を買い込んだら、1時間後に『ひみつ基地』に集合だ!」

 

「オッケー!」

 

「いつものとこだな! ラムネとソースせんべい買ってこうぜ!」

 

 

 

---

 

 

「ただいまー!」

「おかえりなさい、カルセド! 今日はお父さんが帰ってきてるわよ!」

 

その言葉にカルセドは一瞬驚き、次に嬉しさが込み上げてきた。

 

「え、本当に!? 今日だっけ?」

 

父は元・冒険者で、冒険者組合でもかなりの腕前として知られた人物だった。

 

最近は冒険よりも調査護衛の仕事ばかりとなり、家を空けることが多かったが、今回は予定より早い帰還らしい。

 

「そう、それがね、向こうで事故があって、早めに切り上げたんですって。でも怪我はしてないから心配しないで」

 

「そっか…それならいいけど」

 

母の説明を聞きながらも、リビングから漏れ聞こえる父の声が気になった。

 

「…あぁ、幸いにも大事には至らなかった」

 

誰かと何か話しているようだ。母はリビングの扉を閉め、キッチンへと向かう。

 

父の会話が気になったカルセドは部屋に戻って鞄を放り出すと、急いで遊び道具の入った鞄を掴んで階段を駆け下りた。

 

そして居間の扉にそっと耳を寄せる。

 

「やつらの使った自動人形…一体だけでも倒すのに苦労した上に、大部分は回収されて詳細も不明と来たもんだ」

 

「やはり大きな組織が動いているのかもしれませんね…」

 

「あぁ。それ以来、襲撃も無かったんで予定より早く調査は終わったが…

 

 

……ただ、この街の方へ逃げたなんて噂もある。」

 

 

 

 

「カルセドー! クッキー焼けたわよ~!」

 

 

 

突然母の声が響き、カルセドは心臓が飛び跳ねるのを感じた。

 

(ヤベッ!)

 

カルセドは慌ててドアから離れ、「今来ました」という顔を装いながら母の前に出た。母は特に気づいた様子もなく、カウンターに置いてあった小さな包みを手に取った。

 

「カルセド、今日も倉庫に行くんでしょ? はい、あの子たちと分けなさいね」

包みを開かずとも。中からは甘い香りが漂っている。こういう時、母はいつもお菓子を焼いてくれるのだ。

 

「わぁ…! ありがと、母さん!」

 

カルセドはお菓子の包みを抱きかかえると、にっこり笑って玄関へ向かった。そして振り返りながら元気よく言う。

 

「行ってきまーす!」

 

家を出ると、冷たい風が頬をかすめた。

さっき耳にした父と館長さんの会話の緊張感をすっかり忘れ、仲間たちとの楽しいひとときを思い描く気持ちが心を弾ませていた。

 

彼は小走りで『ひみつ基地』へと向かった。砂利道を踏みしめるたび、乾いた音が耳に心地よい。

 

とはいえそれも数秒のこと。

 

彼の目的地は、家の広い庭の隅に佇む、錆びた扉の倉庫だったのだから。

 

---

 

薄暗い倉庫の中には、どっしりとした巨大な歯車が二つ横たわり、その真ん中にはさかさまに置かれた木箱がポツンとある。

 

ここがカルセドたちの「秘密基地」だった。

 

彼はコルクボードの裏から、小さな四角い蒸気機関を取り出した。鞄から水筒を取り出し、機関の注ぎ口に水を注ぐ。スイッチを押すと、

 

シュポッ、シュポッ……

 

と小さな音を立てながら蒸気機関が動き出し、中心部がほのかに光り始めると、カルセドは蒸気機関を棚の上に置く。

 

「よし、これでオッケー!」

 

ほのかな光が機関から漏れ、倉庫全体を優しく照らす。

 

その柔らかい光が倉庫全体を照らすと、薄暗い空間の向こうには、一際目立つ旗が壁にかけられていた。

 

旗には三つの歯車が描かれている。それぞれの歯車が噛み合うデザインは、三人の友情の象徴だ。

 

カルセドは旗を眺めながら自然と笑みがこぼれた。

 

 

 

「おーい、カルセド!」

 

開きっぱなしの扉からジルコンが顔を覗かせた。倉庫に入るなり、壁に掲げられた旗を見上げる。

 

「やっぱりこの旗、カッコいいよな。俺の布、超ナイスチョイスじゃね?」

 

「まあ、私のデザインがなかったらただの布だったけどね!」

 

続いて現れたロサが少し得意げに胸を張る。

 

カルセドは旗を見上げ、ロサに微笑みかけた。

 

「でも、描くのめっちゃ大変だったんだぞ? ロサの絵をそのまま写すのに一週間くらいかかったし、線がずれないように慎重にやってたら肩がバキバキになったんだから」

 

「カルセドが集中しすぎて寝落ちしそうになっりね…それなのに、色塗り始めたら結局みんなでベタベタ塗りたくってたのよね」

 

ロサは旗を見ながら笑いを漏らす。

 

「でも完成したとき、俺たちで『おおっ!』って叫んだよな。」

 

ジルコンがニヤリと笑う。

 

 

カルセドは母からもらった包みを木箱の上に広げる。

甘い香りが倉庫に広がり、ジルコンやロサも買ってきたソースせんべいやラムネを並べる。

ジルコンが得意げに言い、ロサも笑顔でお菓子をを並べる。

 

こうして三人は、おやつタイムに突入した。

 

子供達だけの楽しいひみつの時間。

 

蒸気機関の小さな音と、水蒸気のわずかな湿気が倉庫の窓から漏れ出し、ゆっくりと時間が流れてく。

 

 

---

 

 

「で、だ……みんなも知ってるよな? 幽霊屋敷の噂」

 

「そりゃ知ってるさ。親父に『危ないから近づくな』って何度も言われたしな。なんでも、夜中に変な光が出入りしてるんだろ?」

 

「そうそう、それだよ!」

 

カルセドが身を乗り出す。

 

「俺も聞いたんだ、夜遅くに幽霊屋敷の方を見たら、窓から不気味な明かりが漏れてたってさ…不審者ってのはあり得るよな。」

 

「そうだ、ラジオをつけてみましょう!」

 

ロサが勢いよく言うと、ジルコンが首をかしげた。

 

「ラジオ? なんで?」

 

「もしかしたら、町の噂話とか最新の情報が流れてるかもしれないでしょ!」

 

カルセドがニヤリとして手を挙げる。

 

「こほん…では、ロサ情報局長! 早速ラジオをつけてくれたまえ!」

 

「アイアイサー! 隊長!」

 

ロサは敬礼の真似をして笑いながらラジオを取り出すと、手早く蒸気機関に接続した。

 

「おいおい、ふざけてないで早くやれよ!」

 

ジルコンが半分呆れながら笑うと、「これも大事な儀式なの!」とロサは返し、スイッチを押した。

 

ザーッという雑音が一瞬響き、三人がじっと耳を傾ける。よくわからない放送はすぐにチャンネルを切り替え、しばらくするとお目当てのニュースが聞こえてきた。

 

『昨夜、〇〇シティの町外れの廃墟で、不審な人物の目撃情報がありました…

 

 町の皆さんは夜間の外出を控え、不審な動きにはご注意ください』

 

「怪しげな集団…だって!」

 

「やっぱりゆうれい屋敷には何かいるんだ!」

 

カルセドはラジオから流れた情報に興奮すると、あることを思い出した。

「…そうだ、父さんが言ってた!

 

 悪い奴らがこの街に向かってって。お客さんとも話してて、何か深刻そうだった。」

 

「それって…もしかしてこの不審者のこと?」

 

ロサが問いかけると、カルセドは力強く頷いた。

 

「間違いない、きっとそうだ! 父さんが言ってた悪い奴らは、きっと幽霊屋敷に出入りしてる連中だ!

 

…俺たちで、そいつらを捕まえよう!」

 

ジルコンが驚いた顔でカルセドを見た。

 

「おいおい、本気で言ってんのか? 相手は大人かもしれないんだぞ!」

 

「俺たちなら大丈夫だ! ここは『ハグルマ団』の出番だろ!」

 

カルセドが力強く拳を握ると、ロサが小さく笑った。

 

「…仕方ないわね。じゃあ、ちょっと準備しておかないと。」

 

カルセドが興奮気味に拳を握り締める。

 

「あぁ。明日の朝、冒険スタートだ!」

 

 

 

 

――翌朝、太陽が昇り始めた頃、三人は「ひみつ基地」に集まった。

 

「よし、非常食と水筒、通信機、準備万端!」

 

「ナイフにパチンコ、かんしゃく玉に…ってカルセド、フライパンなんて持ってきたの!?

 

 …まあ役に立ちそうだし、武器もOK!!」

 

カルセドに続きロサが鞄の中を確認する。

 

「キックボードも絶好調!」

 

ジルコンが笑顔でボードを蹴り出す準備をする。

 

「じゃあ行くぞ、幽霊屋敷へ冒険だ!」

 

カルセドが叫び、三人はキックボードに乗って走り出した。

 

 

---

 

 

舗装された道を抜けると砂利道に入り、車輪が砂利の上で跳ねるたびに、三人の笑い声が響いた。

 

砂利道を進んでいくと「道と言えなくもない程度に体裁を整えた」といった感じのわずかな踏み跡が現れ、上り坂になる。

 

三人はキックボードを押しながらその道を進み、30分以上かけてようやく目的地に辿り着いた。

 

「これが、幽霊屋敷?」

 

ジルコンが目を丸くして見上げる。

 

目の前には風雨にさらされ、壁が一部崩れかけた廃墟がぽつんと立っていた。

 

ただ草が生い茂るだけの場所にある姿から、子供たちの間では「幽霊屋敷」と呼ばれている。

 

「あれ、見たことなかったのか?」

 

カルセドが少し驚いたように聞くと、ジルコンは頷いた。

 

「遠くからしか見たことなかったんだよ。街からはちょっと高い位置にあるから、いつも小さくしか見えなくてさ……近くで見ると、ほんとに不気味だな。」

ロサも険しい顔で廃墟を見上げた。

 

「思ったよりボロボロね。でも……何かが隠れてそうな感じがする。」

 

「…今は怪しい奴らが出入りしてるって話でしょ?」

 

ジルコンの言葉に、ロサとカルセドが顔を見合わせる。

 

「昼間だし、大丈夫だって!」カルセドが笑いながら先に進み、ロサも後を追った。

 

 

 

廃墟の中は静寂に包まれ、ひんやりとした冷気が肌にまとわりつく。

 

開きっぱなしの扉をくぐると、剥がれ落ちた木板が壁にもたれかかり、埃が積もった床には錆びついた金属や使い古された資材が散乱していた。

 

かすかな光が差し込む中、崩れた天井の隙間から垂れ下がる草が見える。

 

「なんか…幽霊でも出そうだな」

 

ジルコンが周囲を見回しながら呟くと、ロサが鼻で笑う。

「幽霊なんかいないって。それより、暗いし足元に気をつけて」

 

三人は、慎重に奥へ進む。

 

廃墟の中は思ったより広く、ところどころ崩れた壁から外が見えた。その先にあった広間のような場所に出ると、三人は息をのんだ。

 

部屋の中央に、人工的な大きな穴がぽっかりと開いていたのだ。

 

カルセドは真っ先に穴の縁へと近づき、興奮した様子で、鞄から小型の蒸気ライトを取り出してスイッチを入れた。

 

「…すごい、深いぞ。どこまで続いてるんだろう?」

 

淡い光を照らしながら、穴の縁から内部を覗き込もうとする。

 

「おい、待てよ!」

 

ジルコンが慌てて声を上げる。

 

「まさか入るのか?」

 

彼は足を止め、穴とカルセドを交互に見て、不安げに続けた。

 

「夜に怪しい奴らが出入りするだけだろ? 今は安全だよ」

 

カルセドが前を歩きながら答える。

 

「それに、もし何か見つけたら、組合に報告できるだろ? それで大手柄さ!」

 

ジルコンは唇を噛みしめ、不安そうに何度も後ろを振り返る。

 

「それに…このまま引き返したら冒険者失格だろ?」

 

カルセドは鞄の中からロープを取り出すと、慎重に降りる準備を始めた。

 

 

 

穴の下には、広々とした空間が広がっていた。古びた石造りの壁と天井、いくつもの柱が支える広間のような場所が見える。

 

それを見たカルセドが息を呑み、声を上げた。

 

「これ…遺跡だ! 多分、調査隊が見つけた遺跡を誰かが使ってるんだよ!

 …そうか、発掘の終わった遺跡なんて、普通はまた調べようなんてしないから…」

 

ロサが閃いたように顔を上げる。

 

「つまり、ここが例の悪い奴らのアジトってやつじゃない?」

「マジかよ…」

 

ジルコンが震えた声で言うと三人は顔を見合わせ、しばし無言で考え込む。

 

 

「よし、行こう。慎重にな!」

 

こういうときに口火を切って、先頭に立つのはいつもカルセドの役目だ。

 

 

廃墟の中に響くのは、三人の足跡だけだった。

 

 

---

 

三人は蒸気ランプの光を頼りに、遺跡の暗い通路を慎重に進んでいた。周囲はひんやりとしており、鉄の匂いが鼻をつく。

 

「なんか変だぞ…なんだろ、うまく言えないけど…」

 

ジルコンが小声で呟きながら壁を見上げる。そこには、どう見てもこの遺跡に似つかわしくない金属製のパイプや、無造作に吊るされた蒸気ランプが取り付けられていた。

 

「こんなの、遺跡のものじゃないよな?」

 

カルセドがランプに近づき、ロサがそれをを持ち上げると、その設置の仕方をじっと見つめる。

 

「間違いないわ。誰かが後から付けたんだと思う」

 

カルセドは、声を弾ませる。

 

「父さんが言ってた通りだ! きっとここが、悪い奴らのアジトにしてる場所だよ! ここに逃げ込んだんだ!!」

 

「今は…誰もいないみたいだな。静かすぎて気味が悪い」

 

話す二人を置いて、いつの間にか先頭に立っていたロサは二人の会話を背中越しに聞き流しながら、前方に目を凝らしていた。

 

 

 

 

そして一つの広間にたどり着いたとき、三人は思わず足を止めた。

 

 

 

 

広間の中央には、複数の機械の人形が無造作に転がっていた。

 

壊れた腕、歯車の抜けた胴体、外れかけた頭…その光景はまるで、捨てられたおもちゃの墓場のようだった。

 

「うわ、なんだこれ!」

 

「すごい…でも、全部壊れてるのかな?」

 

三人がさらに奥へ進もうとしたその時、ロサが不意に立ち止まった。

 

「どうした?」

 

カルセドが振り返ると、ロサの目は鋭く一点を捉えていた。

 

「…あれ」

 

ロサが指さした先、そこには5体の機械人形が座っていた。

それらだけが照明で照らされ、他の壊れたものとは明らかに違う扱いを受けているとわかる。

 

胴体など、大きく歯車がむき出しになっている部分があるものの、頭も手足も完璧に揃っており、表面はピカピカに磨き上げられている。

 

「…これ、本当に止まってるのかな?」

 

ロサは機械人形の一つに近づき、頭部や胴体を見る。

 

「すぐにでも動かせるようにしてある…」

 

ロサが呟くと、残る二人もゆっくりとその機械人形に近づく。

 

一つひとつを観察していたとき、カルセドが声を上げた。

 

「これ、他のより傷が多いな。でも…えっ?」

 

 

 

「これ、ロサのおじいちゃんのじゃないのか?」

 

カルセドが指差した人形の胸部には、小さな歯車のマークが刻まれていた。

 

それは、ロサの祖父の工房で使われる独特の刻印だった。

 

カルセドは、ロサの手がかすかに震えていることに気づいた。

 

「…そんな…そんなはずない。おじいちゃんは、そんな人じゃない!」

 

しかし、次の瞬間。

 

「え? ただロサのじーちゃんのとこの歯車を買ってきて組み込んだだけじゃね?」

 

ジルコンの呆れたような声が、沈黙を破った。

 

「だってさ、壊れた人形ばっかりだったんだろ? だったら手っ取り早く部品をそろえるために、評判のいい歯車を買っただけじゃねーの?

 

この歯車ってさ、頑丈で使いやすいって有名だろ?」

 

「……そりゃそうだ! 落ち着けよ、ロサ。足りない道具を、犯罪者が現地で買ったなんて、いくらでもある話じゃないか!」

 

カルセドが笑いながら肩を軽く叩いた。

 

「注文したか盗んだか知らないけど、お前のおじいちゃんが悪いことに関わってるわけないだろ!」

 

「そうね…おじいちゃんの仕事がどう使われたかは、私には関係ないはずよね」

 

ロサは肩から力が抜けるのを感じた。ジルコンの言葉に、安心感があったのだ。

 

彼女の声は小さく、それでも次第に力を取り戻していく。

 

「わからないことを悩むより、自分で確かめる方が早い。だって、それが私のやり方だもの」

 

ロサは一瞬目を閉じ、深呼吸をしてからゆっくりと立ち上がった。そして五体の機械人形のうち一つに近づき、工具を取り出す。

 

 

「…少し手を加えれば、私たちの命令を聞くようにできるかもしれない。この人形を動かせば、何かわかるかも」

 

 

そして…ロサは機械人形の頭部に、慎重に手を伸ばした。

 

 

------------

 

 

ロサは小さく頷き、軽く人形の頭部を叩くように触れる。

 

「これで動くはず…起動確認、と」

 

数秒の静寂の後、機械人形の目がわずかに光を帯び、内部から低い機械音が響き出した。

 

そして頭部の隙間から蒸気が一筋吹き上がり、こちらを見るように動き出す。

 

「応答して。あなたを操作している組織について教えて」

 

ロサの言葉に反応するように、機械人形の頭部でギシギシと歯車が回転し始めた。

 

「…組織名…存在せず…結成…一年前…」

 

ロサが眉をひそめながら耳を傾ける中、機械人形は途切れがちな声で説明を続けた。

 

「…人数…少数…遺跡荒らし…機械人形…回収…壊れた人形…現地人…脅迫…修理…成功後…村…皆殺し…」

 

「な、何を言ってるんだ?」

 

「ちょっと待って、メモを取る。もう一度、同じ事を言わせてくれ」

 

ジルコンが息を呑み、カルセドは険しい表情でメモを取り始めた。

 

「…現在…五体の人形…運用中…勢力拡大…急加速…」

 

ロサは瞬時に判断し、カルセドの方を向く。

 

「ごめん、断片的過ぎる…すぐにもっとわかりやすく言わせる改造を…」

 

「いや…多分だけど、わかったわ」

 

カルセドはメモを取った紙を睨みつける。

 

 ・組織名はまだ、ない。あるいはコイツは知らない

 

 ・組織は結成してから一年

 

 ・遺跡を荒らして、古代の遺跡から機械人形を回収

 

「これは機械人形のありそうな遺跡を荒らしまわってたってよりも、多分だけど…

 

 荒らした遺跡から、大量の機械人形を偶然手に入れたって事かな?

 

 それで、次なんだけど…さっきの言葉と、歴史上の犯罪者の行動パターンと合わせて推測すると…」

 

 ・壊れた機械人形を、現地人を脅して直させた

 

「それで修理に成功したら、村は…

 

 ………皆殺し」

 

「「ッ!」」

 

思わずロサとジルコンの息が止まる。

 

「ま、待ってくれ。あとは、五体の人形を使って勢力を拡大してる…ってことか」

 

震える手で掴んだメモを見ながら、カルセドは息を吐いた。

 

ロサは慌てたように、さらに質問を投げかける。

「この遺跡で何をしていたの? 何のために活動しているの?」

 

「あ、詳しく教えてくれるように言ってくれ」

 

「詳しく教えて!」

 

機械人形は一瞬間を置いてから続ける。

 

「…遺跡…拠点…機械人形…財宝…発掘品…奪取…新たな計画…襲撃…近隣都市…」

 

ギチギチ回る歯車の音がやけに大きく聞こえる。

 

「遺跡ハ拠点…我ラノ拠点…

 

 機械人形デ、財宝ヤ発掘品ヲ奪イ…

 

 …近隣都市ヲ襲撃ノ計画、アリ…」

 

 

「その近隣都市って、もしかして…」

 

カルセドが抑えきれない声で割り込む。

 

「…冒険者組合ノアル…近クノ街…壊滅サセル…犯罪世界ノ…名声ヲ得ル…」

 

返答を終えた彼の頭からブシューッと蒸気が噴き出し、三人は顔を見合わせ、言葉を失った。

 

「つ、つまり、冒険者組合を壊滅させる…」

 

「待って、組合だけじゃなくって、町ごと壊滅させるって意味じゃないの?」

 

「なんだよそれ…犯罪世界とか名声って何だよカルセド!?」

 

叫ぶジルコンを見て、カルセドは口に手を当て、考える。

 

「…つまり、冒険者組合のある、僕たちの街を壊滅させて…

 

 犯罪者たちの世界での、名声のを上げるってこと…だ…」

 

ロサは震える声を押し殺し、さらに問い詰める。

 

「いつ襲撃を仕掛けるつもりなの?」

 

「…計画…準備中…近日…開始予定…」

 

ロサは歯を食いしばり、無意識にこぶしを握り締め立ち上がる。

 

「時間がない…急いで止めないと!」

 

機械人形が語った恐ろしい計画を阻止すべく、三人は覚悟を固めた。

 

…そして、ロサは機械人形を見上げながら、輝きに満ちた目で呟いた。

 

「ねぇ…これ、全部改造したらどうにかなるんじゃない?」

 

その視線は純粋な興味に満ちていたが、カルセドとジルコンの表情は複雑だった。

 

「それは流石に時間が…いや、いけるのか? でも…」

 

カルセドがやんわり反論を始めたところで、ジルコンが唐突に口を挟んだ。

 

「いや、改造なんて無理だろ…どっちかっていうと、壊した方が…」

 

ジルコンの視線が鋭くなり、ふと目を落とすと遺跡内に転がる拳ほどの石を手に取った。そして突然、意を決したように石を握りしめ、強く言った。

 

「よし、これで壊す!」

 

「ちょ、待って!」

 

ロサが慌てて止めようとしたが、間に合わない。

 

ゴンッ。鈍い音を立てて石が機械人形の頭部に叩きつけられた。

 

「馬鹿っ! そこは一番頑丈なところだってば!」

 

ロサが悲鳴に近い声を上げると、ジルコンは即座に言い返す。

 

「だって、もしこいつらが動き出したら、俺たちじゃ絶対に勝てないだろ! 動く前に壊した方がいいんだよ!」

 

「それでも! 何も考えずに叩いて壊すなんて!」

 

ロサが叫ぶが、ジルコンは止まらない。何度も石を叩きつけ、ゴンッ、ゴンッと鈍い音が遺跡内に響く。

 

「やめろってば! もっといい方法が…」

 

カルセドも慌ててジルコンの腕を掴もうとするが、その時だった。

 

耐えきれなくなったかのように、機械人形が大きな音を立てて蒸気を噴き出した。

 

「え…」

 

「これ、ヤバいんじゃ…?」

 

ジルコンが呆然とする。

「ヤバいわ」

 

ロサが呟いた次の瞬間、遺跡内に複数の大人の男性の怒鳴り声と足音が響いてきた。

 

 

 

 

「誰かいるぞ!」

 

「侵入者だ、すぐに捕まえろ!」

 

三人はその声を聞き、凍りついた。カルセドが息を詰めて後方を振り返る。

 

「ロサ、どうする…?」

 

「とにかく隠れる! いや、逃げ……!」

 

ロサは目の前を見ると、即座に叫ぶ。

 

「私たち三人を連れて、逃げなさい!」

 

「…了解…」

 

ロサの命令を受けると、機械人形は床を拳で叩き、巨大な穴を開け始めた。

 

「何してるんだ!?」

 

ジルコンが驚くも三人は機械人形に抱えられ、その穴の中へと落ちていく。

 

穴の中は遺跡内の別の通路に繋がっており、機械人形は走りながら三人を抱え逃げる。

 

機械人形は一定の距離まで逃げると、丁寧に三人を下ろした。

 

「なんか、助けられた…?」

 

カルセドが困惑して言う。

 

「とにかく先を急ぎましょう! 後ろはこの子に守らせる!」

 

ロサが機械人形に命じると、追いかけてきた足音がすぐ背後に迫ってくる。

 

三人は前方を蒸気ランプで照らし、必死に逃げ続けた。

 

しかし数分後、後ろを振り返ると、黒ずくめの男たちが追いかけてくるのが見えた。

 

「追ってきてるぞ! どうする?」

 

カルセドが声を張り上げた。

 

「そうだジルコン、かんしゃく玉!」

 

カルセドが指示を飛ばす。

 

「あ、そっか!」

 

ジルコンは気づいたようにポケットを探り、かんしゃく玉を一気にばらまいた。

 

これは地面に叩き付けたり踏んだりすると大きな音が鳴る、使い捨てのおもちゃである。

 

しばらく逃げると、次々とかんしゃく玉が弾ける音と、男たちの叫び声が聞こえた。

 

その間、ロサは無言で鞄を探り、鉛筆より少し太い、棒状の物体を取り出した。

 

カルセドが彼女の様子に気づき、「おい待て、それってまさか…」と頬を引きつらせる。

 

ジルコンも白目を剥き、「ひっ…」と短い息を飲んだ。

 

二人はこれに見覚えがあった。

 

かつて駄菓子屋に売っていたものの、「危険すぎる」という理由で販売停止になったおもちゃ『爆竹』。

 

それを、ロサが独自に再現・改良した特製の爆竹だった。

 

かつて三人で「威力テスト」と称してロサ特製の爆竹を空地で爆発させたことがあるが…その音は、カルセドにとっては『爆竹』ではなく『爆薬』だった。

 

その時は、一本だけだったのだが…

 

ロサは三本まとめてマッチのように擦り、火をつけた。白い煙が上がり始め、走りながらカウントを始める。

 

5秒ほど経つと煙の色が黄色に変わり、ロサは振り返らずに叫んだ。

 

「あと五秒したら耳を塞いで! ジルコン、お願い!」

 

「俺かよぉ!」

 

ジルコンは泣きそうな声で悲鳴を上げるも、振り返りざまに爆竹を掴むと、「うおおおっ!」と声を上げながら追手たちに向かって思い切り投げつけた。

 

「3…2…1…今すぐ耳を塞いで!」

 

ロサが叫ぶと、三人は必死に耳を押さえた。

 

「命令! 私たち三人を担いで逃げなさい!」

 

機械人形は指示通りに、耳を押さえた三人を抱え上げ、驚くべき速度で通路を駆け出す。

 

 

 

 

その瞬間、爆竹が炸裂し、遺跡全体に響く轟音が広がった。

 

 

 

爆発の音とともに遺跡が揺れ、壁や天井から小さな砂が降る。

 

「音でかすぎだろ! 塞いでたのに耳が痛ぇ!」

 

ジルコンが抱えられながら叫ぶ。

 

耳が正常だったなら、追手たちが叫び声をあげて動かなくなったことに気づいただろう。

 

 

 

 

 

 

三人と機械人形は新たな通路にたどり着き、ようやく一息つくことができた。

 

ジルコンは荒い息を吐きながら座り込み、ロサは機械人形を見上げながら小さく満足げに頷いた。

 

カルセドは今通ってきた薄暗い通路を見つめ、ひとまず安心だなと大きく息を吐いた。その声には、まだ震えが残っていた。

 

 

 

 

 




※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。
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