ぼくらハグルマ団! リメイク版   作:madron

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※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。
イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。

また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。

ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.


ぼくらハグルマ団! リメイク版(後編)

 

---

 

「カルセドたち、どこに行ったのかしら…」

 

カルセドの母・フラーグムは、リビングの椅子に座りながら落ち着かない様子で窓の外を見つめていた。

 

普段なら日が暮れる前には帰ってくるはずの子供たちが、今日はまだ帰ってきていない。

いつもと違う静寂が、何かあったのではないかと心配でたまらない。

 

「そうだわ! もしかしたら…」

 

 

 

倉庫のドアを開けると、冷たい空気が頬を撫でた。フラーグムはランプを灯し、中に足を踏み入れる。

 

明かりを頼りに倉庫内を歩くと、壁際に貼られたコルクボードが目に入る。よく見ると、そこには子供たちが書いたメモが貼られていた。

 

**

 

「ゆうれい屋敷を探検!」

「悪い奴がいたらやっつける!」

 

**

 

フラーグムはメモを掴み、息を飲んだ。

 

「ゆうれい屋敷って…確か…!!」

 

意味を理解したフラーグムの顔から血の気が引く。彼女はランプを持つと、慌てて家へと駆け戻った。

 

 

「あなた!大変よ!」

 

「どうした、フラウ?」

 

「子供たちがあそこに行ったみたいなの! ほら、ラジオでも言ってた、不審者の出る廃墟! 街外れの!」

 

彼は妻からメモを静かに受け取り、内容を一読した。その瞬間、彼の顔色が変わった。

 

「このゆうれい屋敷ってのが…」

「そうなのよ…あの子にもしものことがあったら…」

 

彼は眉間にシワを寄せ、メモをもう一度見つめながら考え込んだ。そして静かに、けれど強い決意を込めて言った。

 

「子供たちを迎えに行く。無事だと信じたいが、何があるかわからない。フラウ、冒険者組合に連絡してくれ……!」

 

しかし…

 

「どうしたの?」

 

フラーグムが心配そうに尋ねる。

 

「もし相手がこの間の連中だったら…親子だってバレたりすれば、状況は悪化するかもしれない」

 

「そんな…! じゃあどうするの?」

 

彼はしばし沈黙した後、決意を固めたように頷き、短く言った。

 

「顔を隠す。適当なものを…準備しながら探してみるか」

「そっちは私が探してみるわ。あなたは準備を」

 

二人は素早く動き始めた。子供たちの無事を祈りながら。

 

 

家の奥にある倉庫の裏に回り、隠し扉を開ける。これは倉庫をひみつ基地にしている子供たちでも知らないギミックだ。

倉庫の壁の一部が大きく開くと、そこには、独特な装飾が施された自動車が静かに眠っていた。

この車は、少し前にロサの祖父から「何かあった時のために持っていけ…孫馬鹿と言われるだろうが、これぐらいないとロサが心配でたまらん」と託されたものだった。

 

「まさか本当に必要になるとは……だが、今はありがたい」

 

苦笑しながら車の埃を払うと、彼はフラーグムに振り返り言った。

 

「任せてくれ。必ず子供たちを連れ戻す」

「わかったわ、私はすぐに冒険者組合へ行くわ」

 

 

---

 

息を整えていた三人だが、カルセドはロサが何度も地面にしゃがみ込んでは手を伸ばしているのに気が付いた。

 

「ロサ、何してるんだ?」

 

「…砂と石よ。役に立つかもしれないから、拾っておくの!」

ロサはいくつもの小さな袋に砂を詰め込み、鞄の中に入れる。

 

「役に立つって、どうするつもりだよ…」

 

「ナイショ。でも、備えられるときに備えないと困ることになるから!」

 

呆れたようなジルコンにロサは得意げにそう言うと、背後に控えていた機械人形の方をちらりと見て、上着を脱ぎ始めた。

 

「ロサ? 今度は何なんだ?」

 

「この子に着せるのよ。」

 

カルセドが怪訝そうに尋ねると、ロサは自分の上着を機械人形にかぶせようとする。

それを見たカルセドが即座に、自分の上着を脱いでロサに手渡した。

「待て待て待てって、俺のを使えよ。こういう役目は俺がやるべきだろ?」

 

ロサは一瞬きょとんとしたが、すぐに肩をすくめて答えた。

 

「カルセドのでも大して変わらないと思うけど…でも、ありがと。ありがたく使わせてもらうわ。」

 

そのままロサは機械人形にカルセドの上着を丁寧に着せようとしたが、思ったように上手く胴体部分が隠れなかったため、胴体、特に歯車の見える箇所に巻き付けるようにして、しっかりと隠した。

 

ジルコンが首をかしげる。

 

「なんで機械人形に服なんか着せるんだ?」

 

ロサはその問いに対して、にやりと笑った。

 

「これもナイショ。」

 

ジルコンがさらに何か言おうとしたが、カルセドが軽く肩を叩いてたしなめる。

 

「ロサがやるってことは、何か意味があるんだよ。それでいいだろ。」

 

その言葉にロサは満足そうに「そゆこと。」と得意げに笑い、二人を促して立ち上がった。

 

「よし…それにしても、いつまでも名前が無いと不便ね。」

 

ロサは機械人形を見上げながら、思案するように顎に手を当てたあと、パッと顔を上げる。

「そうだ! 前に見た紙芝居のあの話を思い出したわ! 機械人形みたいに言う事聞いてくれる…ゴーレムってのが出てきたやつ!

 

 それにちなんで、エーメスくんと名付けましょう!」

 

得意げに機械人形を指さすロサに、カルセドとジルコンは顔を見合わせてため息をついた。

 

「それ、最後バッドエンドなんだけど…」

 

「なんか縁起が悪くない?」

 

二人の頭に浮かんだのは、少し前に見た紙芝居。

 

魔法で動く泥人形・ゴーレムが巨大化して制御不能となり、主人もろとも泥に飲み込まれてしまうという悲劇的な物語だ。

 

その額に刻まれた魔法の文字こそ、エーメスと読まれていた筈だ。

 

「『真理』を意味する古代の言葉! いつか使ってみかったの! だって、格好いいじゃない!」

 

「…まあ、確かに格好いいけどさ。だけど、バッドエンドの話なのが気になるんだよな…」

 

「いつか使ってみたかったって…それだけで?」

 

カルセドとジルコンが半ば呆れながら言うと、ロサはピシャリと言い返した。

 

「細かいことは気にしないの! アンタの名前はエーメスくん、わかったわね?」

 

「エーメス…名前…了解」

 

ロサが満足げに笑うと、エーメスくんはそのまま小さく頷いた。次の瞬間、シューッと蒸気を噴き出し、静かに立ち尽くす。

その姿は歯車の音も相まって、ロサと一緒に笑っているかのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…遺跡の暗い通路を、三人は足音と息遣いを響かせながら、注意深く歩き出した。

 

 

どこかの隙間から冷たい風が吹き込み、背後を守る機械人形の歯車の音が響く。どこか遠くで水滴が落ちる音がする。

 

不安を煽るような湿った空気の中、ジルコンがぽつりとつぶやいた。

 

「ここから出られるのかな? それとも、迷路みたいになってて、出られないのかな…」

 

カルセドは一瞬考え込み、すぐに大げさに言った。

 

「大丈夫さ! どんなに複雑でも、迷路ってのは片方の壁に沿って進めば出られるようになってるんだ!」

 

ロサが少し驚いた顔で振り返る。

 

「本当に? それ、ちゃんとした理屈?」

 

「…まあ、多分な! 少なくとも冒険者の歴史にそういった話は残ってる!」

 

カルセドの自信たっぷりの答えに、二人は…

 

「なら進むしかないか」

 

「まあ、壁に沿って進めば何かにぶつかるってことね」

 

とうなずいた。

プシュッ、プシュッ、と同意するかのように、エーメスくんの頭から蒸気が噴き出す。

 

三人は改めて足元に気をつけながら、遺跡の奥へと歩き出した。

 

ようやく少し休めそうな場所まで来たかと思われたが、そこでジルコンが肩を落とした。

 

「あ…トランシーバー、途中で落としたかも…」

 

「なにそれ! それじゃ外に出ても連絡できないし…どうするのよ、もう!」

 

「とにかく今は無事なんだ。出てから考えようぜ?」

 

ロサは不満そうに口をとがらせたが、それ以上言い返すことはなかった。

 

 

 

 

---

 

 

休憩の後、しばらく進むと、三人は外からの光を目にする。

 

「外だ! もう少しだ!」

 

カルセドが歓声を上げ、三人は足を速めた。

 

出口にたどり着き、夜の冷たい空気を吸い込んだ瞬間、彼らは凍りついた。

 

「待っていたぞ、ガキども。」

 

闇の中、黒ずくめの何人もの男たちが姿を現した。その背後には、圧倒的な存在感を放つ4体の機械人形が並んでいる。

 

1体だけ頭が凹んでいるのは、ジルコンが石で殴ったからだろうか?

 

「ここから出ると思っていたぞ。だが、生かして帰すわけにはいかない! 行け! そいつらを捕まえろ!」

 

リーダーと思わしき、帽子をかぶった男の命令とともに機械人形たちが動き出し、三人に迫る。

 

「命令、迎え撃ちなさい!」

 

ロサは咄嗟ににエーメスくんに命じた。

 

エーメスくんは命令に応じて突撃し、一番近くの敵に殴りかかる。

 

勢い任せのパンチが敵の胸部を直撃し、鈍い音を立てる。その勢いでそいつは後ろに転がっていくが、次の瞬間、背後の敵が横から掴みかかってきた。

 

その衝撃でエーメスくんはバランスを崩し、地面に倒れ込む。

 

「がんばれ!」

 

ジルコンが無意識に声を上げる。

 

エーメスくんはすぐに腕を動かして起き上がろうとするが、後方からもう一体が接近し、立ち上がったエーメスくんの背中に強烈な打撃を加える。

 

鋼鉄がきしむ音とともに、エーメスくんは機械人形たちに地面に押さえつけられた。

 

「ロサ、大丈夫なのか!? これ!」

 

ジルコンが叫ぶ。

 

「くそっ…どうすればいいんだ…! ロサ、さっきの砂って今は役に立たないのか?」

 

悔しそうにカルセドがつぶやくが、ロサは思い出したように顔を上げた。

 

「そうよ! こんな時のために持っていたのに忘れるなんて…!」

 

彼女は鞄から砂と石が詰まった袋を取り出すと、ジルコンに手渡した。

 

「力一杯、あの機械人形たちに投げて!」

 

「砂を? 何するつもりだよ!」

 

「いいから! 早く!」

 

ジルコンは袋を持ち上げ、全力で敵に向かって投げた。ぶつかると袋が破け、中の砂が勢いよく機械人形たちにぶつかる。

 

当たったからと言って機械人形が倒せるわけでもなく、何の意味があるのかわからないが、それでもジルコンは渡される袋を次から次へと投げ続けた。

 

…すると小さな石や砂粒が歯車の隙間に入り込み、機械がギリギリと軋む音を立て始める。

 

「何をしてる…?」

 

「所詮は子供のやることか…」

 

「あんなもので何ができる。あんなものをぶつけても、アイツらを壊すことなど出来るはずがない」

 

男たちのあざける声が聞こえる。ジルコンはおびえた様子を見せるが、カルセドは絶望しなかった。ロサならやってくれると信じているからだ。

 

「まぁいい、あのガキどもを殺せ! 4号! お前だ!」

 

リーダーが叫ぶと機械人形のうち一体が立ち上がり、カルセドたちへ向かう。

 

カルセドは恐怖で震える足でロサとジルコンの前に立ち、迎え撃つためにナイフを抜いた。

 

 

しかし…

 

走ってこちらに来ていた、4号と呼ばれた機械人形がバランスを崩して倒れた。

 

 

何度も腕を動かすが足が動かず、起き上がれない。

 

それだけでなく、他の機械人形も…

 

「…動きが鈍ってる? それに、立てなくなってる…」

 

「ふふん。狙い通りのようね。」

 

気付けば機械人形たちは倒れ、鈍い動きで首や手足を動かしている。

 

「何だ? ガキども、いったい何をした!?」

 

「3号、5号でも1号でもいい! ガキどもを捕まえろ!」

 

次々と動けなくなる機械人形たちを見て、リーダーの慌てた声が夜の荒野に響く。

だが、エーメスくんだけがゆっくりと立ち上がる姿を見て、ロサは自慢げに、自信たっぷりに答えた。

 

「ふーん、知らなかったんだ?

古代の遺産、それもこんな人型の自動人形は、現代のからくりよりも砂や砂利にずっと弱いのよ。

たとえオイルをたっぷり塗っても、現代の歯車を組み込んでも、大部分はふっるぅ~い古代の歯車をそのまま流用。

しかも古代のは、歯車を嵌める柱と言える部分ももろくてガタつきやすいの。不純物の影響を簡単に受けちゃうくらいにね。

…だから、こうなるのも当然でしょ? 防塵カバーでもあればよかったのにね!」

 

「…そうか! さっきアレに服を着せようとしてたのは…」

「防塵カバーの代わりにしたのか!」

 

カルセドとジルコンがあの時のロサの行動の意味を理解する。

 

やはり信じて正解だった!

 

「ガキどもが…おいお前ら、やれ!」

 

イラついた声の号令と共に、今度は男たちが襲いかかってきた。ある者は拳を握り、ある者はナイフを手に持っている。短い棒を持つ者もいる。

カルセドはフライパンをジルコンに渡し、ポケットから折り畳み式の小型ボウガンを取り出す。

これはロサに作ってもらったもので、弦の代わりにゴムが張られており、ビー玉や石、さらには棒状のものまで飛ばせる優れもの。

距離がある時はナイフよりこちらの方が良いと判断してのことだった。

 

一方、フライパンを受け取ったジルコンはフライパンを思いっきりぶん投げ、近づいてきた男のうち一人の頭に命中させる。

 

カルセドも負けじとビー玉を飛ばし、男たちの頭に次々と命中させた。

 

ロサは特に役に立てないと判断すると、今度は石を投げ始めたジルコンに工具を渡し、それを投げさせる。

 

何とか二人はそれで倒されるが、残った男たちはすぐに地面に伏せ、顔をガードしながら、じりじりとカルセドたちに近づいてくる。

 

「よし…ロサ! エーメスくんにも攻撃させてくれ!」

 

「わかった! 命令、あいつらを…」

 

「その機械人形の足を止めろ!」

 

ロサが命令するよりも早く、敵が動いた。

 

敵の機械人形たちは最後の力を振り絞るかのように動き、エーメスくんの足にしがみついて動きを止めると、彼ら自身も動かなくなる。

 

こうなるともう、抜け出すにはしばらく時間がかかりそうだ。

 

「くっ…もう、駄目か…? いや駄目だ、まだ諦めるな! 何かほかに…」

 

カルセドはリーダーとして自分はどうすればいいか考える。そして振り返ると、さっき出てきた遺跡の出口が見える。

 

「撤退準備! 遺跡に戻ろう!」

 

 

 

 

 

 

カルセドが叫んだその時、轟音が響き渡った。

 

敵の男たちに凄い勢いで何かがぶつかり、次いで機械人形たちにも何かがぶつかり弾き飛ばされる。三人は驚きと恐怖で足を止め、音のする方を見る。

 

 

そこに居たのは…

 

 

巨大な、人の形をした機械だった。いや、それは機械で出来た鎧というべきものだった。

 

両腕を突き出した態勢で止まっている機械から、口元を覆う白いマスクと、目元を覆うマスクで顔を隠した男が機械の鎧から顔を出していた。

 

その両手には大きな筒がついており、その筒と両肩から蒸気が勢いよく噴き出していた。

 

「あの肩と腕…そうか! あの両手から圧縮した蒸気を利用して、石か何かを銃みたいに撃ち出してるんだわ! さっきの音はそれよ!」

 

ロサが目を輝かせていると、機械鎧の男は低い声で言った。

 

「大丈夫か子供たち! 早く逃げろ!」

 

大量の蒸気を背中から噴出させ、ジャンプして三人の近くに着地すると、先程と同様に敵の機械人形たちを次々に吹き飛ばし始める。

 

「待って!」

 

カルセドが声を上げた。

 

「あの服を着た機械だけは撃たないで! 味方なんだ!」

 

ロサが改造した機械人形がこちらに走ってくるのを見て、男は冷静に攻撃の手を止める。

 

そして、三人を背中に乗せると、蒸気の噴射で一気にその場を飛び去った。

 

飛ぶと同時に黒ずくめの男たちに蒸気を吹きかけ、牽制することも忘れない。

 

エーメスくんは彼の命令には反応しなかったが、ロサが自分を呼ぶ声を聴くと、すぐに走り出した。

 

 

 

---

 

 

安全な距離まで逃げられたことに安堵したカルセドは、お礼を言うがすぐに叫ぶ。

 

「あ、ありがとう…って、アイツらが逃げちゃう! 捕まえなきゃ!」

 

「大丈夫だ。ほら、見ろ…」

 

男が指差す方を見ると、さっきまでいた場所…黒ずくめの男たちのいる場所は、冒険者組合の冒険者たちに完全に包囲されていた。

 

 

組織の男たちが逮捕され、カルセドたちが冒険者組合に保護されてしばらくすると…もう、機械鎧の男の姿はなかった。

 

 

 

 

---

 

 

 

「ふう…なんとかなったか」

 

周りに誰もいないことを確認してから、カルセドの父・セリルはマスクを取り、機械鎧のボタンを操作する。

 

すると機械鎧は変形を開始し、独特な装飾が施された自動車へと姿を変えた。

 

フラーグムに冒険者組合に事情を説明してもらい、自身はこれに乗り先行していたのだ。

 

「さて、一足先に帰って…無事を聞いて、なんて言って叱ってやるか考えながら待ってた、てことにするか」

 

セリルは知り合いの組合員たちに挨拶すると、すぐに家に向かって車を飛ばした。

 

 

 

 

---

 

 

 

「全く、なんて危険なことを!」

 

 

冒険者組合の建物の中で、組合長をはじめ、三人はそれぞれの親から叱られていた。

 

「無断であんなに危ない場所に行くなんて…!」

 

ジルコンの母親が声を荒げると、ジルコンは顔をしかめながらもそっと目をそらした。

 

「ジルコン! こんなに心配したのは初めてよ!」

 

「でも…私たち、無事だったし…」

 

「だからといって、勝手な行動を…ましてや、あんな危険なことをしていい理由にはならん!」

 

いつもはロサに甘い両親も大きな声でしかりつける。

 

「ロサ、あなたが頭が良いのはわかってるけど、それを危険なことに使うのはやめなさい!」

 

セリルはカルセドの顔を見るなり、拳骨を落とした。

 

「ただの探検ならここまでは怒らないが…危険だとわかっていて行ったのが問題だ」

 

「そうよ! あなたにもしものことがあったらって…ずっと、心配だったのよ!」

 

フラーグムはカルセドの顔を見るなり抱きしめて泣き出してしまった。

 

「ごめんなさい…」

 

「まったく…勇気と無謀は違うんだぞ?」

 

 

 

 

 

 

---

 

 

 

 

「それにしても…」

 

お説教から解放された後、ジルコンが呟いた。

 

「あの人、何者なんだろうな…」

 

カルセドは首を傾げた。

 

「分からない。でも…なん~~~か、どこかで見たことがあるような気がするんだよな」

 

「冒険者組合の人たちは知ってたみたいだけど…あの鎧、凄かったわね。過去にそういう冒険者は居なかったの?」

 

「残念ながら、あんな鎧を使う冒険者の記録は無かったはずだよ」

 

その正体が自分の父親・セリルであるとは、カルセドは全く気付くことはなかった。

 

 

 

---

 

 

 

 

 

 

それから数日後。

 

町では大規模な博覧会が開かれていた。広場に設けられた様々な展示の中で、一際目を引くのはヴィクトルのブースだ。

 

ロサの祖父ヴィクトルは、自身が修理した様々な機械を披露していたが、ブースの中央にはなんと…

 

「これって…!」

 

そこには、例の機械人形が立っていた。ジルコンが驚くと、ロサが胸を張って笑う。

 

「おじいちゃんのところで引き取ることになってね。ちょっと手を加えて、展示用にしてみたの!」

 

ロサがスイッチを入れると、機械人形はゆっくりと動き出し、ゆっくりとペンを手に取る。

 

一度首を傾げ、その後、紙に「ぼくは えーめすくん」と文字を書くと、観客たちから歓声が上がった。

 

「確かにこの博覧会は自分の発明品を見せるだけの場じゃなくて、発掘した遺物や商品の宣伝の場でもあるけどさぁ…」

 

「でも、別に売るわけじゃないよね?」

 

二人の疑問はもっともだが、それにはヴィクトルが答えた。

 

「それはそうだが、彼に使われている技術は、これからの社会を変える可能性を秘めている。私はそう信じているよ」

 

 

そのユニークさと動きの良さから、ヴィクトルではなく、エーメスくんの持ち主であるロサは博覧会の特別賞を受賞した。

 

ロサは誇らしげに賞状を掲げ、観客の歓声を浴びる。

 

勿論、カルセドとジルコンも惜しみない拍手を送っていた。

 

 

---

 

 

そして、その翌日。

 

三人はまた「ひみつ基地」に集まっていた。

 

「またあの遺跡に行こう!」

 

ジルコンが興奮気味に提案すると、カルセドも頷く。

 

「うん、次は大きな紙も持って行って、あの遺跡の地図を作ろう!」

 

「おお! 俺たちが将来、冒険者になった時の為の予行練習だな!」

 

「私は使えそうな道具をそろえておくわ!」

 

カルセドもロサもジルコンも、「次こそはもっと準備万端で行くぞ!」と気合いを入れる。

 

カルセドは三人で描いた旗と、額縁に入って壁に飾られた賞状を見上げた。

 

この賞状はロサ宛でハグルマ団三人にあてたものではないが、ロサは「三人で手にした、ハグルマ団の物よ!」とひみつ基地に飾ることを提案したのだ。

 

ランプの明かりが賞状を照らし、これからもっと、飾るものが増えるのではないか? という予感がしてワクワクしてくる。

「俺たち、もっと強くなって、もっとすごい冒険をしよう!

 

 そのために…もう一度あの遺跡を探検しよう!」

 

三人はガッシリと手を掴み、ひみつ基地で誓う。

 

 

 

 

 

 

そして彼らはこの後も、いくつかの冒険を繰り広げるのだが…今回は、ここまで。

 

 

 

**おしまい。**

 

 

 

※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。

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