ぼくらハグルマ団!03~世界一周レースの裏で~ 作:madron
イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。
また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.
その日、町では異様な霧が広がっていた。
レース当日、朝早くからエンジンを吹かし、参加者たちの車は蒸気を吐き出し続けていた。
この町には工場もあれば組合の施設もあるので、当然ながら蒸気は噴き出ている。だが、今日は世界中からレースの為に集まった自動車が、朝からエンジンを温めていた。
その影響で、スタート地点を中心に町の周りが広範囲に渡って、まるで濃霧に包まれたかのような状態となっているのだ。
するとこの濃霧の中へ、水分を求めて鳥や蛇、トカゲたちが集まってくる。
「おい、ちょっとそこ、蛇いるぞ! そいつは俺の獲物だ!」
「いや俺が先に見つけた!」
路地裏で、冒険者たちのそんな声が飛び交っている。
このような大型レースの日には、蒸気と水分目当てに町の動物たちも異様に集まってくるのが常で、冒険者たちがこれを捕らえて食うのも毎度のことだった。
冒険者たちは捕まえた獲物をさばいて焼き、目の前の食事に舌鼓を打っている。
セリルもまた、薄暗い裏道にしゃがみこんでいた。
「よし……っと」
捕まえたのは、一匹の太った蛇。道具を器用に使い、素早くさばいて、火を起こして焼き上げる。
大きく切った蛇肉を頬張り、よく噛んでごくんと飲み込む。
「これで腹いっぱい……よっしゃやるか!」
自らの両頬を叩いて気合を入れたセリルは、気持ちがようやく整ってきた気がした。
「朝からずいぶん精が出るじゃないか」
声をかけてきたのはヴィクトルだ。彼は蜥蜴の尻尾らしきものの串焼きを食べながら、煙を払うように手を振っている。
「そりゃあ、今日は遂にレースだからな!」
「気合い入れ過ぎだ…緊張してるのか? それとも、他になんかあるのか?」
隠し事は出来ないな、とセリルは肩をすくめた。
「まぁ、いろいろだよ……レース前ってのもあるし、女に金使って何考えてんだって言われたらなんか嫌だし、部屋でジッとしてるのも性に合わなくてな」
「……そっちが本音だな?」
「だな」
セリルは火にくべた枝をつつきながら、目を伏せた。
「例の事件の調査も途中だったしな…」
──まだ捕まっていない、あの殺人犯たち。
夜になると、一人から二人で行動している者が男女問わず襲われ、腹を裂かれ、内臓が持ち去られるという猟奇的な事件。
セリルを中心とした冒険者たちは現場周辺の住民に聞き込みを行ったり、囮になって町をうろつき、少しずつ情報は集まっていた。
「あっちの高い壁をよじ登って町の外へ出ていった」「足跡が山の方に向かっている」「アジトがあるのは山の洞窟などではなく、地形的に森の方かもしれない」
手がかりはまだ断片的だ。そんな中、レースの当日が来てしまった。
「せめて、レースが終わってからも調査に協力するか…」
[newpage]
しばらくすると、霧の中に放送が流れ始める。
「カチッ……これより、レースを開始します。速やかに車にお入りください」
スイッチが入ったような音の後、抑揚がない、男の声が不気味に響いた。
「あんな放送、予定にあったか?」
「いや、レースまで時間がまだあるはずだぞ?」
レース関係者がそんな話をすると、冒険者や参加者たちの間でざわつきが起きる。
そして──
「きゃああああああああっ!!」
甲高い悲鳴が霧を突き抜けた。声の方向へと、セリルとヴィクトルは駆け出す。
声が聞こえたのは、レースの為に作られたステージ……の横に立てられた、簡素な放送室!
放送室の扉は開かれており、そこには、血まみれの死体が横たわっていた。
その死体は腹を裂かれ、内臓がなかった。
──これまでの犠牲者と、まったく同じ。
そのすぐ近く、ステージ脇の木箱の陰にへたり込む、若いスタッフの男をヴィクトルが発見した。顔は青ざめ、肩を震わせている。
「お、おい! 大丈夫か、何があった!?」
セリルが声をかけると、男は虚ろな目でこちらを見上げ、うわごとのように口にした。
「……霧が……霧が、襲ってきたんだ……っ!」
震える指先で霧の中を指し示しながら、男はへたり込んだまま動けずにいた。
「……霧が、襲った……?」
その時、霧の向こうで影が揺れた。
「……ん? 今、誰か──」
セリルが目を凝らすも、霧が濃すぎてはっきりとは見えない。しかし、その“何か”は確かに存在していた。
微かに揺れる影。だが、よく見ればそれは、周囲の霧の色を映し込んだかのようなシルエットだった。
それはすぐに消え、立ち去ったかのように見える。しかし、本当に逃げたのだろうか?
セリルは深呼吸し、頭を働かせる。
あの時、そこだけ霧の中で、少し明るく白んでいた。
「……そうか……! あれは──!」
セリルの目に閃きが走る。犯人たちが来ていたという銀の服! それが霧の光を反射して、わずかに他の影よりも淡く浮かび上がっていたのだ!
「銀のスーツだ! 例の事件の犯人たちは、全身銀色の服を着てやがるんだ! それが光の反射で、霧の色に溶けて見えにくくなってたんだ……!」
驚いたヴィクトルが眉をひそめる。
「なにぃ? 昼間っからそんなもん着て襲撃してんのか、アイツら……!」
セリルは頷き、目の前の怯えた男の肩に手を置いた。
「お前が見たのは霧じゃない。霧に紛れた、奴らの服だったんだ。よく耐えたな……もう大丈夫だ」
安心せるため、ニッと笑いかける。男は震えながらも、わずかに表情を和らげた。
その瞬間──今度は会場の別方向からも複数の悲鳴が響いた。悲鳴の中には怒号や、何かを叩く音、さらには蒸気の噴き出す鈍い音も混じっている。
「まずい、参加車両の中に潜り込みやがったのか……!」
セリルが歯噛みし、霧の向こうを睨みつける。ぼんやりとした影が、蒸気をまといながら一つの車両に入るのが見えた。
そして次の瞬間、ひときわ大きな車両──参加者の中でも巨大なスポンサーを持つチームのものであろう、移動型の拠点を兼ねた、巨大な赤い蒸気自動車から、ドゴンッと鈍い音が大きく響く。
「やめろ! ここはをどこだと思って──ぐあっ!」
誰かの怒鳴り声と血しぶき。
直後、その車両の運転席に銀色服の男が飛び乗った。顔はヘルメットで覆われ、全身を覆う銀色の服は、手や胸が油と血に染まっている。助手席には、さっきまで乗っていたであろう男のぐったりとした腕が垂れ下がっていた。
「あの車ごと逃げる気か……!」
セリルが叫ぶと同時に、車両のエンジンが蒸気の噴き出す音と共に唸りを上げ、車体がガクンと揺れ動く。霧に紛れていた別の襲撃者たちも、続々とその車両の荷台に飛び乗っていく。
犯人たちは、レース参加車両の中でも大きな車両に紛れ込み、参加チームのスタッフたちを車内に誘導していたのだ。外で誘導していた襲撃者たちは視界が悪いことと、銀色の服が霧で保護色になっていたこともあり、確認も不十分だった。
「止めろーっ!!」
誰かが叫ぶも、霧に阻まれて駆け寄る者も足元がおぼつかない。目印も定まらず、銃を撃つにも味方を誤射しかねない状況だった。
襲撃者の乗った車両は、大きな蒸気の白煙を撒き散らしながら、会場の端へと突進を開始した。
「クソッ、あのデカブツは外れの道具置き場の方に向かってる!」
誰かが声を上げた。
その言葉通り、車両はレースコースとは別の、会場裏手に続く管理用の小道へと消えようとしていた。霧の中、かろうじて車輪の軋む音と蒸気の爆ぜる音だけが残る。
[newpage]
そして、その異変にようやく周囲の観客たちも気づき始める。
「おい、今の……!」
「誰だ、あの車!?」
「レースはまだ始まってねぇぞ!」
霧の向こうから次々と声が次々と上がり、一部の参加者たちは車両の影から顔を覗かせる。中には武器を構えた冒険者たちもいた。
「スタッフがやられてるぞ! 襲撃だ! 今の車で逃げた!!」
誰かの怒鳴り声をきっかけに、霧の中でさらなる混乱が広がった。レースの準備で忙しくしていた整備士たちも、工具を手にしたまま周囲を見回し、蒸気車両の影に身を隠そうとする者、逆に武器を手に襲撃者を追おうとする者に分かれ始める。
「これ、まさか前の事件と同じ奴らか!?」
「嘘だろ……」
ざわめきは一瞬にして広がり、霧の会場全体が不穏な気配に包まれていく。
セリルは歯を食いしばり、手にしていたナイフを握り直すと呟いた。
「……逃がすかよ。」
セリルがそう吐き捨てるスクーターに飛び乗るが、ヴィクトルはすぐさま近くのスタッフ用車両へと駆け寄った。
「スクーターじゃあれには追いつけん、こっちだ!」
ヴィクトルが叫びながら車のドアを開け、セリルも助手席に飛び込む。すぐにエンジンが唸り、蒸気を噴き上げながら車両は霧の中を突っ切るように走り出した。
「行けヴィクトル!」
「当たり前だァ!」
車両の軋む音と、蒸気の唸り声が霧の中に響く。追いかける先には、さっきの赤い車両の影が、ぼんやりと浮かび上がっていた。
道具置き場の横を通り、大きく頑丈な巨体を生かして障害物を撥ね飛ばしながら全速力で直進している。
追跡を続けるうちに、いつの間にか霧が少しずつ薄れていく…湿った空気はまだ残っているが、視界はじわじわと開けはじめ……二台の距離はどんどん開いていき、霧の外に出た頃には、前方にはもう、赤い車両の姿はなかった。
[newpage]
「……チッ、逃げられたか」
セリルが歯噛みし、ヴィクトルは肩をすくめる。
そのとき、後方から別の冒険者チームの仲間たちが追いついてくる。
「おい! どうなった!」
「逃げたのか!?」
セリルは息を荒げながら答えた。
「すまん、逃げられた──だけど逃げた車両の特徴はわかってる。スポンサーのでかい広告のついた、普通の車の倍以上ある、デカい赤い三輪…いや、三輪車っぽいデザインの五輪車だ。見りゃすぐわかる。」
それを聞いた仲間のひとりが、地図を広げながら言う。
「あの車か…見覚えがあるぜ。この先は山道だ。あのデカくて派手な車が行ける道なんざ、限られてる。
……候補はこのあたりだ。」
次々と指差されたのは、山の中腹付近に点在するいくつかの開けた平地と、大きな昔の採掘場跡。
「……だな。恐らく、車体の大きさに合わせた一番広い道の先…でもって一番デカい場所なら――採掘場か。」
すぐに無線が手渡され、セリルは冒険者組合の連絡員へと状況を伝える。
「こちらセリル。例の連中、赤い超大型を奪って逃走。向かってる先は、町の南方にある山の採掘場跡と思われる。すぐに仲間を回してくれ!」
『了解! 周辺部隊を急行させる』
[newpage]
すぐさま追いついてきた仲間たちと追跡を再開し、蒸気を吹かせながら山道を進むと──その先に、異様な光景が広がっていた。
雑に左右に追いやられた朽ちた木々の奥に、不自然なほど平らに均された広場。そしてそこに、先ほどの赤い大型車両が停まっていた。
だが、それよりも異様だったのは、その車両のすぐそばにある──銀色の、まるで建築物のような大きさの巨大な物体。民家よりはるかに大きなそれは、遠くから見ると、平べったい円柱のような、円盤のような形をしているとわかる。
「なんだあれは…あんな大きさのもの、戦艦や大型の建築物しか知らんぞ…」
ヴィクトルが息を呑む。
よく見ると、銀色のヘルメットと奇妙な服をまとった五人の人物が、円盤のすぐそばに立っていた。何を話しているのか聞こえないが、彼らの二人が筒状の大きな器を用意し、もう一人がその器の前に立つと、拳銃を弄り、中から血の滴る何か…持ち去った内臓が器に落ち、器が満たされると素早く蓋をする。
霧はもう完全に晴れていた。だが、おかげで冒険者たちにはその光景が全て見えてしまっていた。
「セリル……あれが、例の……」
「ああ、間違いねぇ。犯人グループだ」
ヴィクトルはじめサポート要員たちが邪魔にならないよう少し離れて隠れると、セリルは拳銃を手する。
「全員、構えろ…ここは隠れる場所も無いし、機械鎧もない以上、全力で突っ込むしかない…」
「ですね。増援が持っきてくれるかもしれませんが、犯人グループが逃げないとも限らない…」
仲間の一人が応え、彼らも拳銃やスリング…紐を使って、石を遠くへ飛ばす道具…を構え、セリルが叫び声をあげた!
「行くぞぉォ──!!」
「「「うおぉぉぉーーーー!!」」」
スリングからいくつもの石が犯人グループに投擲されると同時に、冒険者たちは声を上げて犯人グループへ突撃した!
[newpage]
走って行くと、彼らの姿がはっきりと見えた。
全身を覆う、銀色の滑らかな服。
頭部を覆う、同じく銀色のヘルメット。
前面には目のように黒い、アーモンド形の二つの半透明な覗き穴。
そのうち一人は先程の石が当たったのか、ヘルメットの前面にヒビが入っていた。
だが中でも特に異質だったのは、彼らが構えていた拳銃に酷似した武器だった。銃口からは光が漏れ、ゆらりと空気を歪めている。
そして、彼らの口から発せられる、未知の言語。
驚いたようなリアクションとともに、彼らのうち三人が銃を構える。
銃からは弾丸の代わりに緑色の光が放たれるが、冒険者たちには当たらず、少し離れた地面に当たる。
セリルはじめ冒険者たちは、銃口からまっすぐの位置に立たないように展開し、逆に犯人たちに銃を撃つ。
「俺は真ん中をやる! Aチームは右の二人、Bチームは左の二人を! 接近出来たら殴り合いだ!!」
「「「了解!!」」」
まず最初に、左に展開したBチームが、犯人の一人に銃撃を浴びせる。
そいつは先程の投石で銃を落としてしまったので、攻撃を集中させたのである。
「くっ…! 効いてない、のか…?」
「ひるむな、攻撃を続けるぞ!」
Bチームが銃撃を続けると、偶然にも犯人の銃に攻撃が当たり、爆発してしまった!
「~~!」
その爆発で破片が飛び散り、そいつの体に突き刺さる。
銃弾を通さなかったその服も、自分の銃の爆発の影響は防げなかったのだ。
「これだ! みんな、武器を狙え!」
冒険者たちは一斉に敵の武器を狙って攻撃するが、セリルや数人の冒険者が弾切れになってしまい、ナイフを手に残りの犯人グループに切り込む。
「はっ!」
背を低くしながら走り、地面を転がって敵の銃撃を交わし、敵の一人に接近したセリルはナイフを突き立てる!
しかし、肩に刺したナイフは銀色の服に弾かれ、すぐに敵が銃口を向ける。
「チッ…」
セリルが地面を転がり距離をとると、すかさず敵の顔面に石が当たる。
「セリル! 援軍を連れてきたぞ!」
振り向くとそこには、オープンカーに乗ったブルーを筆頭に、バイクや小型車両、果ては機械鎧を積み込んだ大型車両までがこちらに向かって走ってきていた。
よく見ると機械鎧には長い銃身のような部品がついており、次々に石を発射して犯人グループの近くに当てていく。
どうやら今の石もここから射出したようだ。
ここでブルーは高価な翻訳機を取り出す。
これは犯人グループが未知の言語を話していたという情報があったため、組合にあったものを引っ張り出してきたものだ。
翻訳機は言語の断片を聞き取って学習し、文法を推定しながら解析していく高度な代物だった。
実は犯人たちの言語を解読するため、セリルが追跡後に連絡を入れた際、通信機を繋げっぱなしにしてもらって犯人たちの声を少しずつ回収していたのだ。それでも完全な解読には時間がかかる。
[newpage]
だが、それでもブルーは機械に向けて、
「お前たちは包囲されている! 大人しく投稿しろ!」
と叫んだ。
その声に犯人グループの動きが止まり、驚いたように彼らは話し始める。
じりじりと包囲が狭まる中、セリルたちも仲間と合流すべく少しずつ下がる。
そして大きな収音機を翻訳機に繋げると、それを犯人グループに向ける。
犯人グループが収音機に向かって何事か話すと、翻訳機が言葉を噛み砕くように反応し、彼らの言葉がスピーカーから帰ってきた。
「……地上 ノ 猿 ガ、言葉 理解 スル トハ……」
「猿…だと…?」
「…マサカ 会話 デキル 知能 アル トハ…」
地上の猿──彼らはそう言った。そしてそれは、ただの罵倒ではなかった。
彼らはセリルたち人間を、明確に“動物”と見做していた。
「我ラ 食ス。オ前 タチノ 内臓。柔ラカイ、栄養価 高イ。味 モ イイ。保存 モ シタイ。
周囲 ニ 埋マル 金 掘リ出ス マデ、安定 シタ 食料 ノ 供給 ガ 必要。
オ 前 タチ 、喰ワレル 者。 オレ タチ 食ベル 者。 狩猟 スル ダケ。
オ前 タチ 動物。我ラ ニ トッテ ノ 栄養源。」
彼らの行動は“狩猟”であり、“調理”であり、“食事”だったのだ。
夜を選んだ理由も、冷徹な観察の結果だった。昼間は数が多すぎる。夜になれば、ばらける者が現れる──狩りやすくなる。それだけのことだった。
「君たちは…一体、何なんだ…?」
「ワレワレハ 火星人 ダ」
[newpage]
そして彼らが武器を構えたその瞬間、冒険者たちは応戦を再開した。投げナイフ、パチンコ、投石、銃弾。だが、敵の白い服は異常なほどに耐久性があり、それらを弾く。
「無傷……!? やはり普通じゃない!」
すぐにセリルはバイクを借り、アクセルを回した。スクーターが地面を削りながら敵の群れへと突っ込む。
その行動に呼応するかのように、他の冒険者たちもバイクや車を走らせる。光線を撃たれながらも突撃する姿は、まさに命知らずの突撃兵だった。
「機械鎧、いけぇッ!」
誰かが叫び、機械の巨人に乗り込んだ冒険者が大きな石を射出して突撃を援護する。空を裂く石は、敵の真ん中に着弾した。
混乱の中、セリルはスクーターから飛び降り、転がるように地を這いながら敵の懐へ。白衣の男のヘルメットの…ヒビを目掛けて、、そこへナイフを突き立てる。
「──っ!」
悲鳴と同時に、敵がセリルを突き飛ばし、顔を押さえる。
セリルのナイフが目論見通り、うまくヒビの隙間へ入ったのだ。数回の投石によりヒビはかなり広がっており、セリルの攻撃で遂に一部が割れた。
そして機械鎧たちの投石が円盤の入り口らしきところに当たると、途端に彼ら…火星人たち…は慌て始めた。
「モドレ! 船 ハイラレル ダメ ゼッタイ!」
彼らは一斉に円盤の中へ走っていった。
セリルに傷をつけられた者だけは、途中でその場で倒れこんだが、残った白衣の集団は倒れた仲間に目もくれず、円盤の入り口が閉じはじめる。
「猿 ドモ メ…! コノ 借リ ハ 必ズ…!」
逃げゆく者たちは、巨大な円盤状の機体へと乗り込んだ。表面は滑らかで、無数の光が灯っている。
「イツ カ 戻リ、ココ 二 埋マッテル 金 、全テ イタダク──」
その言葉を最後に、入り口は閉じられ、円盤は轟音を立てて振動しながら、地中へと沈んでいった。
熱風とともに巻き上がる土砂。
誰もその動きを止められなかった。
そしてそこは、周囲から降り注いだ砂や岩が降り注ぎ…深い穴を残し、円盤は地中深くへと埋まってしまった。
調査の結果、降り注いだものをどけたところで、円盤を掘り起こすのは不可能と判断された。冒険者たちは悔しさを押し殺しながらも、やがてそれぞれの道へと戻っていく。
そして数日後。
混乱の収束とともに、中断されていた世界一周レースは再開された──
[newpage]
それから、16日。
セリルはレースを完走し、冒険者組合の建物へと戻ってきた。
再びレースが出来るようになった恩人のその姿に、組合員たちから思わず拍手が巻き起こった。
だが、手をあげてそれに応えるセリルの目当ては拍手ではない。まずは、腹ごしらえだ。
彼は足早に組合の食堂へと向かった。
そこにあったのは、最近導入されたという「全自動グルメテーブル」だった。置かれた食材を読み取り、料理法を即座に判断して料理を提供してくれるという、夢のような機械。
「よし、じゃあちょっと……」
操作パネルに手を伸ばした瞬間、画面に「故障中」のと書かれた紙が貼られていることに気が付いた。
「……まさかのオチ……」
セリルはがっくりと肩を落とした。聞けば、この機器の修理ができるスタッフは、皆レース参加者たちに雇われ、負傷者の補填要員として働いているという。最悪なことに、こういう時に頼りになるヴィクトルは、先程まで自分に同行していた長旅の疲れでホテルで爆睡中だった。
「ま、しかたないか」
セリルは苦笑いしながら、厨房に向かった。そこには──フラーグムがいた。
「あら! おかえりなさい、セリルさん。無事で何よりだわ!
…ご注文は、何ですか?」
「…うん。ただいま。とりあえず、コーヒーと軽食、それと……サンドイッチをひとつ頼む。これはヴィクトルの分だから、最後でいい。」
「ふふ、了解。きっと喜ぶわよ。」
フラーグムが微笑みながら注文を通す。漂ってくる香ばしいパンの匂いに、セリルの腹がぐうと鳴った。
疲労と達成感と、ほんの少しの悔しさが入り混じる午後。食堂の窓の外では、まだ商人たちが部品や燃料を売っている。
すべてが、事件前と同じに戻ってきてる。そう感じさせるような陽の光が、テーブルの上に落ちていた。
※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。
イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。
また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.