ちなみに今話初めのサーシャの年齢は21歳です。
しかしまだ前世の年齢には届いていません。
C級冒険者にランクアップしたのが懐かしく感じる。とは言ってもまだ2年前の話だけど。
あれから堅実に、逆玉手箱した失敗経験から疑う心を育て、ついには大きな失敗も成功もなく結構有名な人になってしまった。
久しぶりに実家(屋敷の方ではない)に帰って来た私は、同じく久しくやっていなかった“ぐうたらする”をしてその日は終わった。
翌日。ポスト(木製)の中に手紙が入っている事に気づき、手紙を読んでみた。
その内容は驚きの声を上げるのに十分な内容だった。
実際には上げなかったが、プルプルはした。
要約すると内容はこうだった。
『あなたに政府から直接依頼があります。今日の昼時に最高級レストランの個室で待っています。』*1
という内容だった。もしこれが本当だったとしたらそれはもう大変な事だ。
行けば最悪依頼で死ぬ可能性まであるが、行かなければ確実に殺される。
権力とはそこまで強大なのだ。
出来れば嘘であってくれと祈りつつ出来る限りフォーマルっぽい格好をして約束の時間、約束の場所に到着した。
「お客様、当店では──」
「世界を導くもの」
「…!失礼致しました。ご案内します。」
キーワードが何故それなのかも分からず、出した結論は
(王族の暗殺依頼か…?)
と後から見れば笑い物な的外れな結論を出していたが、それはそれとして。
ついに政府からの依頼である事が確定してしまった私は、頭痛を覚える。
部屋に案内された私は1人のエルフ種の男と対面する事になる。
「初めまして。私はエルフ女王国の使者をやっております。ロール・ペンシルと申します。本日はよろしくお願いします」
「…初めまして。私はサーシャ、です。よろしくお願いします」
緊張で頭がうまく回らない。こんなに緊張したのは初めてのクエスト依頼をやる時以来だ────
「はい、よろしくお願いします。それでですね、早速本題の方に移らせていただくのですけど」
「はい…」
「サーシャ様には『ますたー』と呼ばれる存在の調査、及び連絡。そして見つけた『ますたー』が本物であった場合その美貌を用いて籠絡、及び引き留めをお願いしたいのです。」
(マスター?って何だ?何のマスターだ?)
「あの…マスターとは、一体なんですか?」
「そのご心配には及びません。我々の言う『ますたー』とは
「その
(なるほど、キーワードはそれが理由か。)
合点がいった。
「ええと、つまり私は強力な
「はい。その認識で良いですよ」
それ自体は良い。体を許すのも
問題なのは多分裏の意図が隠されている事*2と、断ったら多分始末される事*3だ。
裏の意図が隠されているのに受けなければならないという状況。
ならどうするか…
「えっと、質問よろしいですか?」
「良いですよ」
「報酬はどれくらいですか…?」
「はい、報酬はこれくらいの金額と地位を用意しております。」
「!!!!」(一生どころか3生まで遊んでも無くならない金額と…王族との結婚!?)
どれ程重大な依頼であるのかが想像できてしまい私は胃が痛くなった。
「あの」
「何です?」
「これは…“自分で『ますたー』を捕まえた場合のみ”ですか?」
そんな都合のいい話には裏がある。他国が捕まえて報酬が減るにしても相当美味い依頼なのは間違いない。
「いいえ。これは“他国が『ますたー』を捕まえた場合においても”この報酬は約束されております」
「!?…えっと、あの、また一つ、質問よろしいでしょうか?」
「良いですよ」
「何故、これほどの依頼をC級冒険者でしかない私に…?」
「B級以上の冒険者だと実力はあっても『ますたー』に変な探りを入れられます。そうなると行けないのです。逆にD級以下は実力がありません。C級が丁度いいわけです。そこでC級の中でもトップレベルの実力を持つあなたに白羽の矢が立ったという訳です」
この言葉が“お前如き存在を抹消するのも簡単なんだぞ”と言われているように感じた私は、
「やります。やらせて下さい」
と受諾するしかなかった。
事前説明も終わり、家路につく頃。一応昼食はあの店でとったが緊張で味がしなかった。
夕暮れがネガティブな感情を増幅させる。
(まじかあぁ〜やるしかないかあ〜)
と緩く思う事にしてネガティブな感情を抑えようとするのだった。
翌日
翌朝、昨日の出来事が夢ではなかった事に嫌な気分になるものの、
(政府からの依頼だ。今までのどんな依頼よりも気合を入れなければ。)
と思った私は、
とりあえず人間がいる国や村を回っていく事にした。
事前説明では『ますたー』は見つかりづらいので10年単位でやる依頼であること、その間に冒険者として別の活動をしても良いという事なので今後の目標を
長期目標:『ますたー』を見つける。
次の目標:冒険者として名を上げる。
と定め、移動中の馬車の中で眠りにつくのだった。
8年後
『ますたー』捜索の依頼から8回も季節が巡った。
『ますたー』籠絡の為にと貰った一時子供化解除のアイテムも出番がない。
冒険者としてももうB級になってしまった。レベルも600になったし、これもう見つからずに解散ENDでは?と何度目かも分からず思ったその時────
伝書鳩が自分の下にやって来た。手紙を取ったのちに鳩を撫でて飛ばすと、私は手紙を読み始めた。
「!!!?!?!?!?!!!???」
声にはギリギリ出さなかっただけで人生最大級の驚愕をしてしまった。こんなに驚いたのは逆玉手箱以来だ。
内容はこうだった。
「『ますたー』候補が見つかりました。すぐに指定の場所に集合して下さい。」
というものだった。私は急いで準備しながら必死に事前説明を思い出していた。
「『ますたー』候補が見つかった場合、表向きのパーティーを結成します。この世に存在するすべての種族を集め、差別を払拭するための、という程でですね。そのパーティの名前は────
『種族の集い』
では、いい知らせを楽しみに待っています」
そんな事を思い出しつつ、その村へと向かう。ここからだと数日はかかる…!
焦ってもしょうがないと自分に言い聞かせ、その村へと向かうのだった。
数日後
目的地に着いた。他の『種族の集い』のメンツは……
あっいた。獣人種の…
「ええと、名前を聞いても?」
「ガルーだ。獣人種の」
「それは見ればわかるけど…」
「テメェこそ、本当にガキの姿で固定されてるんだな」
「不名誉な傷だよ。不注意はこんなものも齎すって言うね」
「まあとりあえずよろしく」
「よろしくお願いします。ついでに言っておくと固定でパーティ組むのこれが初めてだから。そこんとこも宜しく」
「聞いてるよ。お前がエルフらしくないエルフだって事もな」
「そこまで?」
「そこまでだ。
そんなこんなで全員が集うまで待つ事になった。
翌日
何と次の日の昼に人間以外のメンツが集まった。驚きである。
ここでメンツを確認しておこう。流石にこれは覚える必要があるからだ。
エルフ 私(サーシャ)
ドワーフ ナーノ
竜人 ドラゴ
獣人 ガルー
魔人 ディアブロ
あとは…『ますたー』候補たる
人間 ライト
となる。一応全員に対して自己紹介は行ったが、全員が私を「エルフらしくないエルフ」と評していた。解せぬ。
「リーダー決めはどうする?」ナーノが言った。
「レベルが1番高いやつが良い」とドラゴが言った。
「それお前がリーダーになりたいだけじゃねえか」とガルー。
リーダー決めの戦いが発生するのを確信した私は、
「リーダー決めで争うのはやめましょう。私が勝ってしまう上に、不毛です。じゃんけんで決めましょう」
「おいてめえ今自分が勝つって言ったか?」
「はい。事実です」
「さっき皆さんの自己紹介している時に握手したじゃないですか」
「ああ、したな。だからどうした」
私が失言したと思っている人!まさにその通りだがわざと失言し、自分の実力を示す事でこの場を収めると言う私の策略にハマりましたね…。*4
「その時点で…あなた達の生殺与奪の権利は私に握られている事になります」
ここで自分の戦闘スタイルも実践付きで解説していく。するとみるみる全員の顔が青くなっていき…
「この場に私に勝てる存在はいないと言う事になります。どうですか?争いをするなら全員殺さなければなりませんが」
「俺たちが悪かった。じゃあお前の言う通りじゃんけんで決めよう」
誰かが言ったその提案に全員が頷いた。
(全員と握手しといて良かった……!殺したら大問題になるし『ますたー』関連もすべておじゃんになるからそこに気づかれなくて良かった…!)
結局リーダーはドラゴになった。私は初手で負けた。
Q8年もの間何やってたの?
A冒険者としての仕事。世界中を駆け巡って仕事は堅実にこなしていって人間の村があったらそこに必ず寄るという風に生活していた。あと奈落にも行ってた。今回は1人で中層まで行く事が出来た。それが理由でB級にランクアップした。
Qエルフらしくないエルフって?
Aここのサーシャが人間に対し差別的な態度を取っていない事から言われるようになった。
Q失言わざと?
A違います。
Qライト君は?
A次回出ます。