A全然ダメ。このままだとあと1年はかかる。
ついに私たちは持っていたUSRカード最後の1人、メイを仲間にする事が出来た。
レベル9999の仲間が複数も出来たという事で、もう地上に敵はいない。
そう確信していた私はダンジョンコアルームに向かう。
「エリー、ダンジョンコアの進捗どう?」
「全っっっっっ然駄目ですわ!!!!一見何にも分からないように見えて実際なんも分かりませんわ!
ああああライト神様からの初仕事があああああ!」
私には何が分からないのかすら分からないが、一応聞いてみる。
「気休めになるか分からないけど…何が分からないの?」
「理解してくれようというその姿勢はすごい助かりますけども…あえて言うなら、
“既知の要素9割、完全に未知の要素1割”と言った感じですわ。既知の要素だけでは成立しない、だから未知の要素の部分が重要な訳なのですが…その肝心の未知の部分がまっっっっっったく分かりませんわ!わたくしの全ての知識にかすりもしませんわ!」
それは…大変そうだ。ライト君からの頼みに全力で応えてくれようとしてくれるのは分かる。
しかしこうなると地上に出れるのはかなり先の出来事になりそうだ。なにか助けになれる事は…
(あっ。そういえば私、転生者だ)
全く別の世界からやってきた私なら…その“未知の部分”を解明する手伝いができるかも知れない。
そう思った私はエリーに
「その未知の部分…分かるかも知れない方法があるんだけど、聞いてみる?」
「本当ですの!さすがライト神様の恩人様!して、その方法とは?」
まず私がやりたい事を説明して、それが実現可能な魔法があるか聞く。
エリーはあると言ったので具体的にそれを使ってどうするのかを打ち合わせをしていく。
そして課題点とそれを解決するための方法、どのタイミングでやるかを決めた。
エリーとそんな事を決め、コアルームから出る。
(解決方法ほとんどエリーありきだったな…もう全部あの人でいいんじゃないのか?)
私がやりたい事とは、“エリーに一部でもいいから使える現代知識を得て貰う”事だ。一応エリーには、
「私の頭の中にある、この世界のものではない知識…それをエリーに知ってもらいたいんだ」
と説明している。エリーは納得したが、そうなると課題点が出てくる。
(掛けられる魔法の負荷に私が耐えられるかどうか)
エリーは魔法というジャンルにおいては全能に近い。しかし知識を引き出す魔法はエリーにとっても高難易度で、
尚且つ掛けられた人の負荷が大きい。
その魔法は知識というより記憶を本の形にして閲覧可能にするという魔法だ。
しかし本を超丁寧に扱わないと多大なる苦痛が伴う。そして今回調査して貰うのは少なくとも30年以上前の事だ。
とても時間が掛かるだろう。これをどう解決して貰うかというと…
「サーシャ様にはレベル上げをしてもらいますわ。
その上で睡眠魔法で深い眠りに就かせて、掛かる負荷を最小限にしますわ」
今の私のレベルは710。奈落のモンスターを沢山倒している筈なのにレベルの上がりがとても悪い。
それはどうするのかというと─────
「
長めの詠唱が終わり、隠されていた最上の魔法、
出てきたモンスターがすぐにエリーによって拘束される。
それを私は共鳴武器で爆散させていく。
(一撃で殺せるラインまで10秒も掛かる…これが…レベル9000台の敵…)
10秒しか掛からないのかと思うかもしれないが、
圧倒的に基礎スペが上の敵相手に共鳴武器を合計10秒も当てる事は相手が舐めプしてくれる事以外では不可能に近い。
加えて最後の爆発魔術も7%くらいの魔力が持っていかれる。
最初の敵の集団を倒し終わった時、私の魔力はすっからかんになっていた。
レベルは850まで上がった。
(レベル9000台の敵複数倒してこれか…)
するとエリーが
「サーシャ様、その爆発魔術…
私は肯定する。
「敵にトドメを刺すだけであればもっといい魔術がありますわ」
そう言ってエリーは、自分の共鳴武器を再現しようとするが…*1
「??おかしいですわね、何かが欠けている…?」
「ああ、固有振動数変更魔法…
「…?固有振動数?あとサーシャ様、理論的に解明出来たのならそれは魔術ですわ」
魔術と魔法の違いは置いておいて。
固有振動数について、にわかながらも簡単に解説していく。勿論、自分オリジナルの魔法についてもだ。
「なるほど…全ての物体が持っている特有の振動…それを変更するのですね…」
エリーは少し考え込んだあと、
「出来ましたわ!サーシャ様、その魔術ではコントロールがあまりにも繊細ですわ。*2
それに加えて、最後の爆発魔術も格上相手には燃費が悪いですわね。
ですので、わたくしが改良しましたわ!」
その改良された
というか透明だ。
「いきますわよ…」
魔法陣から木偶が出てきて、エリーが共鳴武器を振る。
すると木偶が爆散…ではなく、静かに吹き飛んだ。
「前の爆発魔術ではある程度硬い敵に対して出力を強めなければなりませんが…今の魔術では出力をそこまで高めずとも部位破壊が出来ますわ」*3
「おお…!」
新生共鳴武器に感動した私は、エリーに深く感謝する。
報酬にライト君から1分間褒められる権利を上げた*4ら、それはもうすごい喜んでた。やっぱり犬じゃないか?エリーって。
閑話休題。
カードで魔力を回復させた私は、その後もレベル上げを行った。
多分40回くらいやったと思う。途中でエリーが
「サーシャ様のレベル上がりにくすぎませんの…?」*5
と嘆いていて非常に申し訳なかった。ちなみにガス欠は3回に一回程度に抑えられた。
エリーすごい。
こうして私はレベルを通常エルフ種の最大である1000へと到達したのである。
翌日。玉座の間。
私はこれからやる事をみんなに説明した。*6
皆んな心配そうにしていたが、エリーと私が説得して納得して貰った。
それはそれとして、ライト君から“この奈落の拠点を私たち以外で満たそう”というこんな広い空間に住んでいたら自然と出てくる事を言った。私は今の今まで出てこなかった。
(まあ確かにこんなところに5人は寂しいからね)
私たちはまだナズナを召喚する前、レベルが低い召喚カードを100個くらい*7は当てている。
それらをまとめて召喚すればこの奈落の拠点は賑やかになるだろう。
今日初めにやる事は、従者や妖精などの召喚という事になった。
「うおお…」
すごい。あれだけだだっ広く感じた玉座の間が人で埋まってる。
明らかに注目されている気がして少し緊張する。
ここまで人を増やすのならリーダーらしくあろうと覚悟を決めたライト君は、玉座に堂々と足を組んで座っており、まさしく王と言えるような厳粛な雰囲気を出していた。
「聞け!我が
ライト君は堂々と立ち上がる。
「『無限ガチャ』の持ち主たる僕に仕える用意は出来ているか!」
「然り!然り!然り!」
打ち合わせなどはしてないのに全く声にブレがない…というか女性が多いな。
「よろしい。ならば我らが最終目標である『ますたー』の真実を知る事。
そして…僕をこの奈落に突き落とした元パーティメンバーに復讐を遂げる事!
これに着いていく覚悟はあるか!」
「然り!然り!然り!然り!」
「結構。だが、我々が地上に進出するには、いささか雌伏の時を必要とする。
その間に爪を研ぎ、牙を磨くのだ!」
大きな歓声が上がった。凄いなライト君。完全に大物って感じじゃん。
エリーはこの程度、ライト神様なら当然ですわと言いたげなドヤ顔をしていた。
メイは分かりずらいが、誇らしげに微笑みを浮かべている。
ナズナは
「さすがだなご主人様!」
と誇らしげに言ってた。
この後はメイが各自の持ち場を決定したのち、決められた持ち場に解散という事になった。*8
演説から2時間後。私の部屋。
ここまでくる道中にもメイドや妖精が働いている様子が見れて一気に賑やかになったなと感じた。
閑話休題。
私はエリーと向かい合うように座っていた。
「最終確認ですわ。レベルは?」
私はステータス画面を見せる。
「OKですわ。次に、強力な睡眠魔法を受け入れる準備は?」
「出来ています」
「よろしいですわ。最後に…自分の過去を暴かれる覚悟は?」
「今更すぎます。当然、出来ています。」
「よろしいですわ。では、少々お待ちくださいまし…」
エリーはそういうと、席から立ち上がり、私の後ろに立った。
「では…行きます!」
私の意識は急に黒く染まっていくのだった。
翌日。自室のベッド。
寝覚めがすごいいい。全身の疲れも全部夢だったかのように無くなっている。気分も爽快だ。
対するエリーは深刻そうな顔をしていた。
「どうだった…?あんまり良くない結果だった時の顔だけど」
「いえ…貴方が転生者だった事、そして現代知識。ライト神様に刃向かったゴミクズ共の顔は分かりました。あのなんの存在価値もないゴミクズ共からライト神様をお守りいただいてありがとうございます…
それはそれとしてサーシャ様。……
??????
変なことを聞いてくる。
「えーと確か…18歳、西暦2023年の時かな。普通に寝たのに目が覚めたら赤ん坊になってたから驚いてたんだよな」
懐かしく感じる。あの時は家族を一気に失ってひどく悲しんだんだよな。今はもう流石に吹っ切れてるけど、それがどうかしたんだろう。
「良いですか、落ち着いて聞いてくださいまし。貴方が死んだのは…
「……………………え?」
「しかも…
??????
話が見えてこない。なぜ2033年なんだ?出血性ショックは…ベッドから落ちたのか?
「わたくしがライト様を崇めているように…あなた様も、家族を大事になさってたんですわね」
「そう…だね」
「だから生まれた直後に悲しんでおられたのですよね。ならばこの話は言わないでおきますわ」
??????
「当然、あなた様の前世は転生者であることも他の人には内密にしますわ。ライト神様には、全部報告しておきますわね」
一体何を見たんだ。すごい気になるが…*9
このまま深刻な雰囲気も良くない。何か話題を…!
「えっと、エリー?現代知識、使えそうだった?」
「使えるどころではありませんわ。貴方は研究者になろうとしてて、それで膨大な量の現代知識を得られましたわ。
ダンジョンコアも、“完全に未知”が“分からないわけでも無い”になりましたわ。」
「おお!やったじゃん!それで解析はどうなりそうかな?」
「恐らく2か月あれば確実に終わらせられますわ。感謝致します」
どこか丁寧になったエリーの態度を少し変に思いつつ、前世の自分に何があったのかを考えるのだった────
Q憑依サーシャのレベル上げ中ライト君何してたの?
Aナズナ&メイと戦闘訓練です。ナズナの体型変化で色々なシチュエーションを想定しつつ、自身の槍術を鍛えていました。
Q憑依サーシャの前世何があったの?
A簡単にいうと、ヤク中になった兄に突然酒瓶で殴られ、頭を強く打たれた事で脳に重篤な症状が発生。ここで10年の記憶を失います。しかし意識が戻る事はなく記憶喪失を自覚出来ないまま兄に包丁で刺されて死にました。
劣化草の字の才能の転生特典はここから来てます。(草の字は脳弄られて一度でも出来た動きを寸分違わぬレベルで再現出来るという技能を手に入れた)
憑依サーシャに言わなかったのは、大事な時期である今、不用意に動揺させる必要は無いと思ったからです。
Qアオユキは?
Aすみません…次回こそ絶対に出します。
Qこの回からのサーシャ→エリー、エリー→サーシャは?
Aサーシャ→エリーは、この世界でほぼ唯一自分を理解してくれる人。味方はいても理解者は今世にて誰も居なかったので、信頼度はMAXに近い(前世の家族がMAX)です。
エリー→サーシャは、ライト神様のように信じてた家族に裏切られてて心底可哀想に思った。それと同時に、膨大な現代知識も仇の顔もライト神様を裏切る可能性が0である事もわかったので、信頼度はライト一歩手前くらいです。あと前世のネットミームを使えるようになりました。
Q記憶失ってるんでしょ?なんで分かったの?
Aエリーの魔法は正確には“記憶”ではなく“情報”を見ているので、普通の健忘症くらいなら貫通して見れます。情報ごと失うような記憶喪失は無理です。
Qエリーはなんで憑依サーシャにあんな事聞いたの?
A転生直後の思考と転生直前の状況が明らかに矛盾してたから。