オリキャラが多く登場します。
月のない夜、暗い街の中で五人の人影が談笑する二人の生徒を見下ろしている。
そんな事を露も知らず、二人の少女達は街灯すら無い路地裏へと入って行く。
それと同時に五人の人影が二人を取り囲む。
「え!?何!?」
「お、お前ら!何者だ!!」
一人は腰を抜かし、もう一人は銃を構えて五人の人影を睨み付ける。
「死にたくなけりゃ、銃を下ろして手を上げろ」
冷たく、硬く、鋭い物が二人の背後から首筋に当てられる。
二人は大人しく持っていた銃を地面に放って手を上げた。
その瞬間、銃を五人に突きつけていた少女が思い切り肘で自分の背後に攻撃を行うが、見事に受けられ、そのまま組み伏せられる。
「大人しくしろ、そんなに死にたいか?ヘイローがあるからって調子に乗るなよ?」
ドスの効いた声で少女を組み伏せた者が脅しを掛け、少女の腕にナイフを軽く押し当て、引く。
「痛っ!?」
腕に鋭い痛みが走り、少女の切られた腕の傷から血が溢れてくる。
「分かったか?分かったなら大人しくしていろ」
五人の怪しい者達は少女達を縛り上げてその場に何の痕跡も残す事なく消えた。
「うっ、く………おい、大丈夫か?」
「あ、ああ、ここは?」
呻き声をあげて二人の少女は目を開ける。
二人は目を開けた瞬間に目に入る強い光に目を窄め、慣れてくると周りを見渡す。
そこは二人の縛られている机以外には壁に掛けられた使用用途の不明なリモコンが一つあるだけの殺風景な倉庫であった。
「起きたか」
男が一人、部屋の中に入って来た。
恐らくは、二人の少女を捕らえたあの五人の内の一人であろうことは分かる。
が、その顔は覆面で覆われて知ることは叶わない。
男は警戒する二人の少女をよそに言葉を続ける。
「君達二人に聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
不気味なまでに和やかな口調に二人は冷や汗を浮かべる。
「別に捕って食おうってわけじゃない。ただ、栗原アケミについて知りたいだけだ」
「アケミさんをどうしようってんだ!?」
男に少女が食ってかかる。
少女の怒声に対し、男はただ淡々と答えた。
「勿論、捕まえるんだよ」
「ああ、そういうことか。なら余計に教えてやるもんかよ!!」
少女は不敵な笑みを浮かべ、覆面の男を睨み付ける。
少女の言葉に頷いた男は溜息を吐き、仕方ないとボヤきながら壁にかかったリモコンを手に取る。
「君達がそんなに話したく無いって言うのなら、二択を上げよう」
少女達に右を見るように男は指をさす。
二人が指をさした方向を向いたと同時に男がリモコンのスイッチを押した。
すると、轟音を轟かせて何かが天井から落ちる。
舞い上がった砂埃が晴れると、そこには巨大なコンクリートの塊が粉々になっているのが目に入った。
「この粉々になったコンクリートの塊が今、君達の頭上にある。いくら君達でも数トンあるこれが落ちてくればペシャンコだ。もし、君達が栗浜アケミについて話すと言うのなら無事に返して上げよう。どうだ?話す気になったかい?」
「分かった!!話す!話すから!!」
二人の少女は顔を青ざめさせ、涙を浮かべて叫ぶ。
「それじゃ、早速頼むよ」
「分かった」
消え入りそうな程怯えた声で少女達は自分達の知りうる限りの情報を話し始めた。
「アケミさんは今、ゲヘナの西区八番街の地下水路にいる。ゲヘナの風紀委員会をくぐり抜けてアビドスに向かう予定だ。確か、日程は」
隣の少女が言い淀んだが、もう一人の少女が代わりに話し出す。
「明後日だ。私達が知っているのはこれぐらいだよ。もういいだろ?解放してくれ」
「情報提供感謝するよ。ほら、早く出て行くといい」
満足したような口ぶりの男は二人の少女の縄を解いて逃す。
二人の少女は大急ぎで倉庫を後にした。
少女達の足音が聞こえなくなった後、男は覆面を外す。
男の正体は、副隊長であった。
「副隊長さん、流石にあの脅し方は少し」
副隊長の背後からユメの気が引いた声がした。
裏口から中の様子を見守っていた排斥者のユメ以外の仲間達がゾロゾロと入ってくる。
「そうですよ!見ていてヒヤヒヤしました!」
「同感だな、俺もあれはやり過ぎだと思うぞ。敵とは言ってもまだ子供だ」
ソラとアスカが批判を副隊長に浴びせ、その批判に副隊長は苦笑いを浮かべた。
「そう責めてやるな。副隊長が適任と判断したのは私なんだ。責めるんなら私を責めろ」
アカリは副隊長の労いの言葉を掛ける。
「あの、副隊長さん、あの人達は逃げれたんでしょうか?あの人達が栗浜アケミさんの所に戻ったら私達のこと全部バレちゃうんじゃ」
ユメが副隊長に聞くと副隊長は心配するなと言い、外の監視カメラに接続されたスマホの画面を見せる。
画面の中では風紀委員の生徒に逃げ出した二人の少女達が捕らえられていた。
「あれ、捕まってる……」
「たまたまだがな、風紀委員が警邏中のルートの目の前に出るようになってるのさ」
「たまたまって、絶対嘘ですよね?」
「まあな」
ユメから簡単に嘘が見破られて皮肉ったような笑みを浮かべた副隊長はさっさと倉庫を出ていった。
「帰るぞ」
副隊長の呼びかけに、四人はその背中を追ってアジトへと帰って行った。