ならもう俺が魔法少女になるしかなくね?   作:来宮 エリカ

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会議ってカッコいいよね!☆」

 時は少し遡り──

 

 ユウキが廃ビルから立ち去り、数時間後。

 廃ビルに一人の少女が訪れていた。

 

 

「あーあ、好き勝手やっちゃって。楽しかったのかな?☆」

 

 

 その少女とは他の誰でもない。

 来宮 エリカ、この世界の全てを掌握する少女。

 

 片手を動かせば大地が傾き、足を動かせば大地は彼女のために道を作る。

 

 まさに支配者。

 

 だがそんな彼女は今、異常な出来事に立ち会っていた。

 放課後、ユウキと別れた直後、南太平洋に出現した()()()()()()を討ち果たすべく、海上で戦闘を繰り広げていた彼女の知覚に、一人の少女の反応が引っかかったのだ。

 

 それは本来の存在し得ぬはずの反応。

 即ち、銀の少女の到来であった。

 

 本来ならば反応を確認すべく戻るべきはずのところを、その場に居合わせた魔法少女に対応を任せ、自身は()()()()()()()バケモノに集中することに。

 

 その結果がこれである。

 

 任せた魔法少女は栞を持ち出した末に敗北。

 少女の反応は完全に消え失せ、もはや何処にも無かった。

 

(知らない少女の来訪、か……ユウキは巻き込まれずに帰ったのかな……)

 

 エリカは自身が唯一見ないと決めている彼のことを思い浮かべながら、ステッキを軽く振り回し倒壊した廃ビルを建て直していく。

 

 その作業の片端で──雷閃。

 稲光と共に神速の少女が一人、姿を現す。

 

 紅と金のが入り混じった髪とコスチュームの、非常に軽装な魔法少女であった。

 

 

「……よぉ、エリカ様。アイツは──ツムギは、死んだんだな」

「やっほ☆ キリカちゃん。今まで何処行ってたの?♡」

()()()()。それが生き甲斐なもんでね。私を()()()()()に言ったろ。走る自由は奪わせねぇ、って」

「……勿論。キリカちゃんの足は、キリカちゃんのモノだよ?☆」

「そんな足なんか、すっ飛べば全部同じよ」

 

 

 コツコツと靴音を鳴らせ、下の階から一人の少女が上がってくる。

 青と緑の入り混じった髪とコスチュームを纏った魔法少女。

 自身の傍らには本のようなものを浮かせている。

 

 

「ノノカ。なんだまだ生きてたのか?」

「アンタよりは長生きしてやるわよ、キリカ」

 

 

 お互いに頭を突き合わせ睨み合う。

 

 その瞬間、キリカ──紅と金の少女の姿が掻き消える。

 否、消えたように()()した。

 

 そこには稲光が尾のように残り、バチバチと微かな音が響く。

 ノノカが睨みながら周囲を確認した次の瞬間──ベチャッ、という肉の弾ける音が右から聞こえる。

 

 ノノカは右側を確認すると、そこには()()()()()右腕……そこにあるはずのモノは、なにもなかった。

 

 右腕が血肉となって弾け飛んだのだ。

 

 

「ッッッ──!! いッ……!? て、めぇッ!!?」

「なんだ、文句あんのかよ」

「あのねぇッ!? いくら私の能力が()()だからって、弾け飛ばすバカが! 何処にいんのよッ!!」

 

 

 そうしてキリカは弾け飛ばしたノノカの右腕に視線を向けた時、消し飛んだはずの右腕が()()()()()()()()()()()

 

 その光景にキリカは軽く鼻を鳴らし、腰に手を当てニヤついた顔でエリカに視線を向ける。

 

 

「それで? エリカ様、何の御用でしょうかねぇ」

「もちろん、やって欲しいことがあるから呼んだんだ☆」

「……()()()()()()()()()()()()、何させるつもりなの?」

「異分子の排除、だよ♡」

 

 

 気づけば、三人の魔法少女を囲うように、何人もの魔法少女の影がそこにあった。

 誰も動こうとはしないのは、キリカとノノカがそこにいるが故。

 

 わかっているのだ。

 そこの()()()事足りる、と。

 

 

「それじゃあ……そうだな。それはアタシに──」

「私がやるわ」

「はぁ!? テメェのチンケな能力で、人殺しができんのかよ!?」

「あら、少なくとも走るだけしか脳のないアンタよりはマシだと思うけど?」

「──やるか?」

「──その足、もいでやるわよ」

 

 

 お互い睨み合うが、その間に割って入ったのはエリカだった。

 ステッキ軽く回して睨み合う二人の間に割り込ませると、二人はハッとしてエリカの方に顔を向ける。

 

 

「もー、ダメだよ、喧嘩は」

 

 

 口は笑みを作ってはいたが、その顔は笑っていなかった。

 二人は悪寒に襲われて、顔を背けて少し距離をとる。

 それに満足した様子のエリカは軽く頷いて、くるりと回り周囲の様子を見た。

 

 

「と、言うわけで!☆ ノノカちゃんには図書館の方を任せようかな?♡」

「図書館……なるほど、()()ね。抜かれなきゃいいんでしょ」

「キリカちゃんにはホテルの方を任せてもいい?☆」

「ホテルぅ? また狭い場所を……」

「狭いのが嫌なら、あの子使ってもいいよ♡」

 

 

 その言葉に奥の方で潜んでいた少女が嫌な顔して背を向ける。

 

 嫌そうな少女の背を見つめ、少し考えた後に笑みを浮かべたキリカ。

 彼女は自信に満ち溢れた顔で、エリカへと視線を向ける。

 

 

「そういうことなら、任せてもらおうか」

「うんうん☆ じゃあ二人は決まりね! 頑張ってきーてね♡」

 

 

 エリカのその言葉を合図にキリカは走り出す。

 雷鳴と共に魔法少女たちの合間を縫い、一人を引ったくるように抱えながら。

 

 ノノカは飛び降りる、自分の身など一切案ずる様子なく。

 

 二人の出発を見送るとエリカは再度辺りを見渡す。

 魔法少女たちは身を乗り出してエリカの方をただ見つめ返すだけ。

 

 

「じゃあみんな、今まで通りよろしくね?♡ もちろん、異分子を見つけたら排除しちゃってね☆」

 

 

 返事は返ってこない。

 だが魔法少女たちは理解したようで、それぞれがそれぞれの方法で自らの配置へと帰還していく。

 

 そんな中、エリカは考えていた。

 滲むような思いと、沸き立つ怒りなようなものを。

 

(絶対に壊させない、私とユウキの世界は。誰であろうとも……!)

 

 エリカは歩き出す。

 世界を救うべく、世界を保つべく、世界を支配すべく。

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