俺は目覚ましをかけない。
別に規則正しく起きるのが得意とか、目覚ましのベルが苦手とかそんなありふれた理由では無い。
では何故か?
起きる時間帯になると、
「burning Love!!!!」
けたたましい大声が鎮守府に響くのだ。
これを目覚ましに俺は「朝か」と布団を蹴り上げる。
ここは鎮守府、しがない憲兵が居座る、ある意味可哀想な鎮守府だ。
憲兵の朝は早い、管理している書類の精査や艦娘たちや提督の素行の確認など、数々の仕事をこなし一番重要な鎮守府の門を守る仕事に従事する。
逆に言えばそれ以外の事柄は大ごとにならない限り存在しない、つまり突っ立ってる事が多く…暇なのだ。
「いい天気だ」
後ろの鎮守府で他の艦娘がどんちゃか騒いでることを完全に無視し門番の務めを果たす。
艦娘は艤装がなくとも大の大人が負けるほどのとんでもないパワーを持っている。
その状態で騒げば鎮守府の至るところの壁や天井が抜け、窓ガラスも悲惨に割れていく。
この後の始末書は俺が書かなきゃ行けないが、その苦労も青空へと吹き抜けていい風と共に未来の自分へと託してくれそうだ。
そもそもの話、艦娘の騒動を止めるのも憲兵の仕事なのではと思うかもしれないが、考えてみてほしいただの人間が騒いでいる艦娘の間に入ったらどうなると思う?
少なくとも入院は免れない、て言うか怖くて無理だ。
だったら大人しくなるのを待って大量の始末書を書いた方がマシである。
とぐるぐると1人会議を行なっていると。
「おや、あんちゃん今日も騒がしいね」
「おはようございます、面目次第もございません」
チリンチリン と軽快なベルを鳴らし郵便屋さんが新聞を運んでくる。
「いやぁ、元気で結構じゃないか、お陰で海の平和も幾分かマシになって少しの海域なら漁ができるようになったんだ、これを有りがたがらなかったらバチがあたっちまうよ」
そう言いながら チリンチリン とベルを鳴らし次の配達に向かった郵便屋さんに軽い敬礼をし、また真っ直ぐ目の前の林道を眺め「暇だ」と小声で話しひたすらに門の横に立ち続ける。
別にこの時間が嫌いなわけではない、1人の時間を有意義に思考に使えありがたい。
ありがたいのだが…
『パシャ』
まただ、今日で3日目、流石に目に余る。
俺は音のした方向に目だけを動かし、太陽に反射したレンズを捉えため息をこぼす。
彼女は門の後ろから隙間を辿りフォーカスを当ててくる。
重巡青葉、セーラー服とピンク色の髪を靡かせこちらを撮るのにレンズを覗く。
その視線は俺に、何故だ?
その疑問は晴れぬまま時間だけが過ぎていく。
幾分が撮れたのか気配が唐突に消え、変に強張った肩の力を抜き
「俺は、青葉さんが分からない」
と、ひとりごちるしか無かった。
初めての投稿なので温かい目で見て頂けると嬉しいです。