誘拐事件が終わってここは月村家正門前、私達は忍さんから一族の話を聞く為に招かれていた。
玄関から二人のメイドさんが現れ忍さんとすずかに話している。どうやら話声から私の服を用意するようにのことみたいだ。
……スカートじゃなければいいだけどな……そんなことを考えていたらメイドさんの一人が私に向かって歩いてきた。
「初めまして、私月村家のメイドをしておりますノエルと申します」
「初めまして、私は櫛灘樹です」
「早速ではありますが、お着替えの用意をしております、こちらへどうぞ」
「樹ちゃん先に行ってるね」
「樹、ちゃんと着替えてくるのよ」
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コンコンコンコン
「忍お嬢様、櫛灘様のお着替えが終わりました」
「ご苦労様ノエル、お通しして」
「失礼します」
私が部屋に入るとそれぞれから溜息や歓声が上がる
「わぁ樹ちゃんかわいい、とっても似合ってるよ」
「あぁうん、ありがとう」
「もういいかしら、話に入りたいんだけど」
「ええ、分かりました」
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「~とこれが私達夜の一族です」
私とアリサは忍さんから夜の一族について説明を受けていた。
「そして私達、夜の一族にはある決まりがあります」
「決まりですか?」
アリサが忍さんに聞き返す。
「ええ、私達一族の秘密を知ってしまった人は、私達と契約を交わし盟友として共に歩むか
……私達の事を全て忘れるかを選択してもらわないといけないの……」
「つまり秘密を誰にも言わないようにするか、秘密そのものを忘れるということですか?」
私は忍さんにそう確認すると
「簡単に言えばそうね」
「私は……忘れたくありません。すずかのことも、夜の一族のことも」
「私も忘れたくありません、せっかくできた親友、それに人との繋がりを消すなんて出来ません」
「私達は普通の人間とは違うわよ。それでも良いのね?」
「はい、すずかは私の親友です。親友のことを忘れたくありません」
「私もです」
「二人共……」
「そう、ありがとうアリサちゃん樹ちゃん。すずか、良い友達を持ったわね」
「うん!」
「ところで、普通の服はありませんか?ずっとこのドレスを着ているのは恥ずかしいのですが…」
「どうして?よく似合っているのに」
「どうしてと言われても……私は男なので女装じみたことはしたくないんです」
私がそう言った瞬間辺りは静まり返る。
たっぷり数十秒経ってから忍さんが聞き返す。
「ええと、それは何かの冗談なの?」
「冗談なんて言っていませんよ、何なら確認しても構いません」
更に静寂が支配し時が刻んでいく
「じゃ、じゃあ此方の部屋に来てくれる?私が確認するわ(あまり使いたくないけどあの力を使えば脱がせなくてもいいよね)」
「分かりました」
「じゃあ着いて来て、ファリン、ノエル貴女たちも来てくれる?」
「畏まりました」
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「ここに入ってね」
案内されたのはアリサ達がいた部屋とは少し離れていたが、別段特に変わった部屋ではなかった
「さてそれじゃあ確認するわね」
「分かりました、服を脱げばいいですか?」
「いえ、そのままでいいわ。その代わりこちらの目を見て」
「目をですか?」
「《貴女の秘密を教えなさい》」
忍さんがそう命令したに時、私の意識は急激に無くしていった
*************
私は動かなくなった樹ちゃんに質問をしていく。
「……はぁ、使いたくなかったけどこれで判るわね、さあ貴女の性別は?」
「……私は男です……」
「本当に男の子だったのね、じゃあ次の質問よ性別以外に隠していることを言いなさい」
「……」
「…?どうしたの言いなs『そこまでにしてもらおうか…』!だ、誰!?」
急にどこからともなく樹ちゃんとは別の声が聞こえた。そして樹ちゃんの頭上に闇が集まり始め一つの形が作られていく。
「な!貴方は何者!?」
『我は闇の精霊、我が主の内に住まいし精霊なり』
「闇の…精霊…ですって…!?」
『そうだ、我ら精霊は主の内に住み主に力を与えている。本来主に危害を与える輩が現れた場合、速やかに排除するのだが、
我が主はそれを良しとしていない。だが今回は違う。主は紳士に対応したにも関わらず其方は力を使い精神への干渉を行った。
その為我らは主の危機を感じ取りこうして顕れたということだ。』
私は突然顕れた精霊という存在に呆然としていた
『シェイドそこまでにしておきなよ』
『む、ウィスプか』
新たな声が聞こえたと思うと、今度は闇の精霊の隣に光が集まりウィスプと呼ばれた精霊?が顕れる。
『やぁ、初めまして僕は光の精霊さ』
『ウィスプよ主はどうした』
『他の精霊達に任せてきたよ、精神干渉されたけどウンディーネとドリアドがいればそのうち回復するからね』
『そうか、干渉によるダメージはどうだ?』
『それも問題ない、其方が言ったようにあまり使いたくなかったみたいだから、干渉自体は軽くてね精神汚染も無いし記憶の改竄等も無いね』
『それは重畳。もし何かあったら我が黙っていなかったがな』
そう言って闇の精霊が此方を睨み私は怯んでしまう
『まぁシェイドの言う通りだけど一応無事なんだからそう怒らないこと、樹が悲しむよ』
『む、そうだな』
『さて、樹の意識もそろそろ戻るから僕達はここでお別れだ』
『詳しい事は主から聞くがいい。ただし、また其方の魔眼を主に使ったその時は容赦はせぬ心しておくがいい』
その二人?は私に忠告をし消えていった。
*************
「今のは……一体何だったのでしょう」
ノエルがそう言うが私も何が何だかよく判らなかったので答えようがなかった。
「…ん…うっ」
そうこうしている内に樹ちゃんが目覚めたようで呻き声を発した。
「樹ちゃん、いえ樹君目が覚めた?」
「えっと、私はどうs……あっ」
「ごめんなさい」
「あのいきなり謝れても何が何だか分からないのですが」
「そうね、私が樹君に何をしたのか、そしてその後何が起きたのか説明するわ」
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私は忍さんから事のあらましを聞いていた。それによると忍さんが持っている魔眼の力により私は一時的に傀儡のようになったらしい。
その後更に質問しようとした時に闇の精霊と光の精霊が顕われ、これ以上私に危害を加えないように忠告したらしい。
「はぁそんなことが」
「ごめんなさいね、いくら情報が欲しかったとはいえ少々配慮が足りなかったわ」
「いえ、もう済んだとこなのでいいです」
「本当にごめんなさい。……でもあの精霊はどういう事なの?」
忍さんは精霊の事を教えて欲しいようなので転生特典の事は隠して教えることにした。
「精霊達は私が物心着く頃には既に私の内にいました。なぜ私の内にいたのかどうして存在しているのかはよく解っていません。
ただ、私は精霊達を家族だと思っていますし、精霊達も私の事を大切に思っていてくれて、困ったことがあると助けてくれてます。
私は精霊達の力を悪用するようなとこはしないと誓います。」
私はそう言って真っ直ぐ忍さんの目を見る。
「そう、分かったわ。私もこれ以上踏み込んで藪をつつきたくないし忠告されたしねそれでいいわ」
「後できればこのことは二人には秘密にして欲しいのです。
然るべき時が来たら私から話します、その時が来るまで心配させたくないのです。」
「仕方ないわね、秘密にしておきたい心情は私にも大体分かるわ。いいわよその時が来るまで私からは言わないでおくわね。
ノエル、ファリン貴女達も黙っていておくように」
「分かりました」×2
「ところで話は変わるのだけど、なぜ男の子なのに女子制服を?」
「あーうん…それはですね、忍さんは聖祥小学校の校長先生を知っていますか?」
「ええ、知っているわよ。それがどうかしたの?」
「では校長先生の趣味を知っていますか?」
「え、趣味……あ」
あの校長の趣味は昔から知れ渡っているからどうやら忍さんも気がついたようだ。
「そう言うことです、一応この格好は3年生終了まで変えれません。結構交渉したんですけど……」
「まぁええとご愁傷様?」
「いいんです、あと1年で終わりますから」
私は遠い目をして乾いた笑いをする。
(可愛いのに)×3
「何か言いました?」
「何も言ってないわよ」×3
その後元の部屋に戻り忍さんが私の性別を男だったこと、女子制服は校長の差金だったことを話し、みんなから同情の念を贈られたがどうでもいいことだろう。
この時のドレス姿を写真で撮られていたことを知ったのはかなり日にちが経っていた後だった。
第12話終了です
やっと闇と光の精霊が登場しました。
この2体だけ具現化できるのはほかの精霊より力が強い為です。勿論樹の力が強くなれば他の精霊達も具現化できるようになります。