現場に到着する少し前
[マスターどうやら既になのはは現場にいる模様です]
「そうか、急ぐよ」
私は魔力で身体強化をしさらに加速する。程なくして前方になのはとユーノを発見した。
どうやらデバイスの契約の最中だったみたいだがなのは達の後ろから黒い化物が襲いかかってきた。
「拙い!エアハンマー!」
ゴウッ!!
ジンの力を使った風の塊が化物を吹き飛ばす。
「な、何がどうなったの?」
「なのは無事だったかい?」
「い、樹ちゃん!?どうしてここに!?」
「それは後、まずはアレをどうにかするよ」
そう言って化物を指す。化物は吹き飛んだだけなのでダメージはあまり入ってなさそうだった。
だが此方を警戒してかいきなり襲って来るようなことはせず唸っている。
「そこのフェレット君さっき喋っていたみたいだけど、アレはどうやったら倒せるの?」
「あ、はいアレはジュエルシードの異相体です物理攻撃はあまり効果はありません。
魔法による封印でしか効果はありません」
「封印ね、ニンフ私に封印はできそう?」
[術式がありませんので封印出来ません]
「ならこれを」
そう言ってフェレットが赤い玉が付いたペンダントを差し出す。
「これって…デバイスだよね」
「はい、そのデバイス、レイジングハートには封印術式がインプットされていますので」
『あー樹、そいつは無理だ』
「『ん?サラマンダーどうしてだい?』」
『そのデバイスと俺達精霊じゃ相性が悪いんだ、残念だけど諦めてくれ』
「『そうか、分かったよ』」
「あの、一体どうしたんですか?」
フェレットは此方が急に黙ったので不信に思ったみたいだ。
「あぁごめん、ちょっと確認してたんだ、どうも私には相性が悪くて使えないようなんだ」
「そんな…」
「私がやります」
今まで黙っていたなのはがそう言ってきた。
「いいのかい、なのは?」
「うん、元々私に頼ってきてくれたんだしわたしがやる」
「そうか、じゃあセットアップまでは私が稼ぐよ、フェレット君後は任せたよ」
そう言うと私は異相体に向き直り突っ込む。
とはいえ、派手な攻撃魔法は周りに被害が大きい、ということでいつもやっている拘束を試して見ることにしてみた。
「まずは基本だチェーンバインド!」
私の右手から黄色の帯が伸びていき異相体を束縛する。
だが異相体は激しく暴れるとバインドを力任せに破壊し此方を狙って触手を打ち出した。
「プロテクション!」
防御魔法を展開させ触手を防ぐ。しかし展開させた防御魔法にヒビが入った。
「『うーん、やっぱりリミッター掛けた通常魔法じゃジュエルシードの異相体相手は無理か』」
[『そのようです、マスター如何いたしますか?』]
「『仕方がないジンの力を借りようここで逃がしたら被害は大きくなるだけだからね』」
『おいらの出番かい?』
「『うん、お願いジン力を借りるよ』」
『任しとけ』
[『お願いしますジン』]
異相体の何度目かの攻撃がとうとうプロテクションを貫く!
「あ、危ない!」
ユーノの声が後ろから聞こえたが、無視して冷静に精霊ジンの力を使い強力な魔法を発動させる。
「エアプレッシャー!」
次の瞬間、異相体の本体と触手は押しつぶされるように地面に縫い付けられる。
流石にこの魔法は効いたようで異相体は全く動けずにいた。
「す、すごい僕とそんなに魔力は変わらないのに」
「樹ちゃんごめん待たせちゃった」
なのはの声が聞こえたので私は魔法を維持しつつ振り返った。
そこには聖祥の制服に酷似したバリアジャケットを着たなのはがいた。
「なのは、その格好…」
「あ、うんいつも着ていてイメージしやすかったから、どうかな?」
「よく似合っているよ。で、準備はもう大丈夫なの?」
「そうだった、ねえどうすればいいの?」
「え、ええと!!攻撃や防御等の基本魔法は念じるだけで発動します。
でもそれ以外の、大規模な魔法、例えば封印などは呪文が必要になります!!」
「呪文?」
「目を閉じて心をすませて。あなたの心にその呪文が浮かぶはずです!!」
その言葉になのはは目をつむり心をすませる。そして心に浮かぶ文字を確かに掴みとる。
「うん、行けるよ!」
「よし、なのはそのままやって、アイツはこのまま押さえておくから」
私がそう言うとなのはは呪文を言い放つ。
「リリカルマジカル!! 封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード!!」
レイジングハートが変形し先端が化物に合う。
[シーリングモード、セットアップ]
「リリカルマジカル!!ジュエルシードシリアルⅩⅩⅠ……封印!!」
[シーリング]
レイジングハートの先端からピンク色の光が発射され化物に直撃する。
激しく起る光の奔流、残ったのは。
「……綺麗」
封印されたジュエルシードだった。
*************
「無事に封印が成功したみたいだね、アレはどうするの?」
「レイジングハートで触ってください回収できます、くれぐれも直接触らないでください」
「こうかな?」
そう言ってなのはが言われた通りレイジングハートで触れるとジュエルシードがレイジングハートに吸い込まれるように消えていった。
「これで大丈夫です」
「そうか、それじゃまずはここから逃げようか」
「え、どうして?」
「周りの惨状をよく見て」
私がそう指摘し、なのは達はぐるっと辺りを見渡し絶句する。
周りはジュエルシードの異相体での戦いで破壊されており酷い有様だった。
「ご、ごめんなさいーー」
そう言ってなのははユーノを掴んで走り出した。
「行ったみたいだね」
[そうですね。追いかけなくてもいいのですか?]
「まずはこの惨状を何とかしないとね、ダブルシフトを使うけど認識障害、遮音、遮光の結界を張って、更に結界の隠蔽を」
[分かりました……結界展開完了です]
「よし、それじゃいくよ【ダブルエレメンタル・シフトノーム・ドリアド】」
『ホイホイ、呼んだかの樹』
『樹さんどうしましたか?』
「『この惨状を直せるだけ直す、協力してくれるかな?』」
『わかったぞい地面の均しならまかせんしゃい』
『私は樹木を癒します』
「『頼む、魔力はどれだけ使ってもいいから』」
[『マスターあまり無茶はダメです』]
『そんなには使わんから心配せんでもいいそい』
『私の方は少し多く使うと思います、すみません』
「『謝らなくてもいいよ、じゃあよろしく頼む』」
ノームとドリアドの力を使い短時間で周りを直していく。
程なくして建物以外は元通りになった。建物はどうやら加工されているから直しづらいみたいだった。
「こんなところだね、さて私もそろそろ行かないとなのは達に心配されるね」
[マスター、どうやらなのは達は公園にいる模様です]
「ん、わかった。じゃあ行こう」
私は初めて使ったダブルシフトの影響か少しだけふらついたが足を踏ん張りそのまま走り出した。
その後警察が現場に到着し現場検証したが、建物だけ破壊されていた為、通り魔がバールのような物で破壊したのではないかという結論になった。
第15話終了です
原作では動物病院はトラック等、車の事故で処理されていますが、今回は樹が建物以外を直している為、何者かによる破壊ということになりました
魔法紹介
エアハンマー 空気の塊を相手にぶつける、透明なため回避が難しい
物理的な攻撃はほぼ無くただ吹き飛ばすだけ
エアプレッシャー 空気の壁を作り相手を押しつぶす
今回は上から発動させたが、横からも下からも可能
拘束系の魔法なためこれも攻撃力はほぼ無い