巨大子猫事件から翌日、その日は日曜日だったので私は商店街で買い物をしていた。
買い物の内容は基本的に食品関係だ。普段は一人なのでそれ程多くは買うことはないのだが、
昨日アルフから私の家を訪ねると夜に念話が来たのでこうして多めに買い物をしているのだ。
そして現在、もうすぐ11時になる頃アルフから念話が来た。
『樹聞こえるかい?アルフだ』
「『聞こえているよアルフ、今どこにいるんだい?』」
『海に近い公園にいるよ』
「『臨海公園だね了解、今からそっちに行くから待っててね』」
臨海公園に着くとアルフと前回の少女がバリアジャケットの状態で待っていた。
「お待たせアルフ、それと一応初めまして、櫛灘樹だよ」
「待ってたよ樹」
「えっと、は、初めましてフェイト・テスタロッサです」
「戦闘はする気はないから出来ればバリアジャケットは解除して欲しいんだけど」
「あ、ごめんなさい」
私がそう言うとフェイトはバリアジャケットを解除してデバイスも待機状態にしてくれたようだ。
バリアジャケットを解除したフェイトの格好は地球の服とは少し違っていたがそれ程目立つ服装ではなかったので内心安堵していた。
「それじゃ行こうか、ついて来て」
「はいよ、フェイト行こう」
「あ、待ってよアルフ」
二人ともついて来たので私は簡単な注意事項を言った。
「途中でいろんな人達とすれ違うはずだけど普通に挨拶してくれればいいから。
アルフは喋らないでね、ここじゃ動物は喋らないから」
「ああ分かったよ樹」
「うん」
素直に返事をしてくれたので私達は歩きだした。途中やはり何人かすれ違ったが私とフェイトは普通に挨拶してアルフは喋る事なくついて来た。
「さ、二人とも私の家に着いたよ上がって」
「お、お邪魔します」
「お邪魔するよ」
「リビングでテレビでも観ながら待っててね。あ、そうだ二人とも何か食べれない物はある?」
「私は食べれない物はないよ」
「あたしもないよ」
「あれ?アルフって狼だから中毒になる玉ねぎとかは大丈夫なの?」
私は一般的に犬や猫が食べると中毒を起こすネギ類のことを聞いてみた。
「玉ねぎ?ああそういうことかい、使い魔に成り立て頃はまだダメだったけど、今は大丈夫さ」
「そっかそれじゃ待っててね今すぐ昼食作るから」
およそ30分後、昼食が出来た私はリビングのテーブルに食事を運んでいく。
メニューはサラダ、豚生姜焼き、大豆とひじきの煮物、お味噌汁に浅漬けそこにご飯と、なのは辺りが見たらどこの定食かと思わず突っ込まれるだろう。
「おかわりはあるから欲しかったら言ってね」
私がそう言ったがどうも二人とも聞こえてないようだ。
「それじゃいただきます」
「「い、いただきます」」
二人は恐る恐るといった感じで料理を口に運ぶ、そして同時に固まる。
「?どうしたの美味しくなかった?」
二人はまたも同時に首を横に振る、そして一心不乱に食べ始める。
「そうよかったよ」
「「おかわり!」」
「はいはいちょっと待ってね」
ご飯をよそって二人に渡す、するとまたもや争うように食べ始める。
「ゆっくり食べないとのどに詰まらせるよ」
「「…!?むぐぐg」」
「ほら言ったそばから、ほら水」
二人に水を渡すと慌てて飲み干す。
んぐんぐ……
「い、樹!これものすごく美味しい!」
「本当!こんなの食べたことがない!」
「お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞じゃないよすごく美味しいよ!樹」
「うんうん、本当に美味しい」
その言葉を言ったあとは皆して黙って食べていく。
「「ご馳走様」」
「はいお粗末さま」
二人は幸せそうな顔をして満足げにしていた。私は食べ終わった食器を流し台に戻し直ぐに洗っていく。
「あ、私も手伝うよ」
「あ、大丈夫だよそっちはお客さんだから座って待ってて」
「でも…」
「いいから待ってて」
私の言葉に不承不承ながらもフェイトは分かってくれたようでリビングに戻っていった。
「さて二人はこれからどうするの?」
「どうって?」
「私は別にこのまま別れても構わないけど、もしなにか聞きたいことがあるなら私が答えられる範囲で答えるけど」
「なら、ジュエルシードを下さい」
そうフェイトが言ってきた。
「流石にそれはダメだね。私は回収を手伝っているだけだし持ち主は私じゃないからそんな権限もないしね」
「そうだよね、言ってみただけだから」
「それより私はなぜフェイト達がなぜジュエルシードを欲しいのかが聞きたいけど…」
「それは…」
私の質問にフェイトは黙ってしまった。
「あーいくら樹でもこれは言えないんだすまん」
フェイトの代わりにアルフはそう答えた。
「大丈夫だよこっちも期待してたわけじゃないから」
「ごめんよ樹」
「いいよ、その代わりといってはなんだけど手合せでもしてみる?
昨日は結局戦うことはしなかったしもし戦いたいなら封時結界と結界隠蔽を使って誰にもわからないようにするから」
「結界隠蔽って…そんなこと出来るんかい樹」
「あれ?二人は出来ないの?」
私は疑問に思って聞いてみた。
「封時結界は張ることは出来るけど、結界の隠蔽までは出来ないよ」
「そうなんだ。それで手合わせはどうする?」
「そうだね樹がどれぐらい出来るのか知りたいしやろうか」
「了解、それじゃちょっと待ってね。ニンフ、リミッターをAまで解除そののち封時結界をこの家を中心に半径1㌔で設定、
指定人物は私を含めたこの三人、更に外部から干渉できないように隠蔽結界を展開するように」
[了解です……設定完了展開します]
「…っ!すごい……」
二人は結界隠蔽に驚いているようだ。そんなに大したことじゃないと思うんだけど…
「よしそれじゃアルフやろうか、ニンフ【セットアップ】」
[了解セットアップ]
次の瞬間私は道着姿のバリアジャケットを纏う。
「それじゃあたいもそれ!」
アルフが気合を入れ魔力が高まるとアルフから光が発せられると次の瞬間にはアルフは人型をとっていた。
「へぇ人型になれたんだ」
「まぁねさぁやろうじゃないか」
私とアルフは外に出て対峙した。
先に動いたのはアルフだ、魔力弾や砲撃はせず真っ直ぐ突っ込んで殴りかかってきた。
私は右手を前に出し魔法を発動する。
「シールド」
基本防御魔法の盾を繰り出すが
「そんなもの!」
アルフは叫ぶと気合一閃、シールドは簡単に砕ける。
「おっと、やっぱり基本魔法じゃ簡単に破壊されるか」
「なんだい随分あっさり壊れたね、昨日のシールドはなんだったんだい?フェイトの攻撃で壊れなかったのに」
「あの時はちょっとね特殊な事してたから」
「ふーんそうかい、だけどまだまだこれからだよ」
そう言ってアルフはまた突撃してきた。私はそれに対し構えず自然体で立っていた。
「がら空きだよ!」
今度は右足で回し蹴りをしてきた、それを一歩後ろに下がり回避する、しかしアルフは蹴りを出した右足を軸足に変え今度は左足で後ろ回し蹴りを仕掛ける。
だが私はその左足を頭を下げ躱しカウンターで水面蹴りは放ちアルフの軸足を払う。
アルフはバランスを崩し倒れそうになるが左手で地面を支え後方に飛び退く。
「っく!やるじゃないか樹」
「そのまま倒れてくれれば追撃できたけどね」
「言うじゃないかだけど私はまだ本気じゃないよ」
「私も本気じゃありません」
「そうかい、だったら樹の本気を出させてやる…よ!」
そう言うと同時に動き先程より早い速度で迫ってくる、突然アルフは横にスライドするかのように移動し私の左側から右手で殴りかかってくる。
私はその動きに惑わされることなく即座に反応し向き直る、そして迫るアルフの右手を左手で外から内に打ち払う。
右手を払われたアルフは体勢が僅かに流れる、私はそれを見逃さずアルフの右肩と足を払い投げた。
アルフは地面に叩きつけられる、だが私はそこで終わらず腕と足を取り関節技を仕掛ける。
「っぐ!くそまだまだ!……っていたたた!!」
「どうする?負けを認める?別に折るつもりはないけど」
「認めないよ…っていたたた!」
アルフは負けを認めず意地を張って我慢するので私は少し力を込めて締め上げる。
「ちょ!それ以上はやめて!アルフの骨が折れちゃう!負け、負けを認めるから!」
フェイトが叫んだので私は技を解いて後方に下がる。技を解いたアルフにフェイトが駆け寄る。
「アルフ大丈夫?」
「フェイト…あぁ一応大丈夫、どうも樹は手加減してたみたいだ。魔法も使わずにあたしを圧倒したんだし」
「決着はついたし回復するから動かないでね『【エレメンタル・シフトドリアド】』【エナジーボール】それ程体力は減っていないはずだし一つでいいかな」
私の周りにエナジーボールが浮かびその内の一つをアルフに掛ける。
「こ、こりゃいったい」
「体力と魔力を回復する魔法だよ。さて回復も終わったし結界を解除するから」
そう宣言してから私は結界を解除する。派手な魔法は双方使わなかったので風景は結界前とほぼ変わらなかった。
「しっかし樹は強いね、このあたしが簡単にやられちゃったよ」
「本当、魔法も使わないでアルフを倒すなんて初めて見た」
「二人共この後はどうするの?」
「そうだね私達はここで行くよ、ご飯ありがとう」
「フェイト分かったよ、樹次に会った時はまた敵同士になるけどその時は負けないからね」
「私も負けるつもりはないから」
「それじゃあまたね、アルフ」
「あいよ、樹ご飯美味かったよ。じゃあね転送魔法発動」
その言葉を最後に二人は転移していった。
第23話終了です
今回はフェイト、アルフとの食事回です
戦闘描写は難しいです