「ねぇ樹ちゃん温泉に行こうよ」
フェイト達が我が家に食事しに来た翌日、学校の屋上でいつものように食事をしていたらなのはがそのようなことを言ってきた。
聞くことによるとどうやら毎年この時期に温泉旅行に行っているらしく、月村家やバニングス家も参加していたらしい。
そして今年は私も一緒に行かないかとのことだった。
私は去年まで長期連休はミッドチルダに行ったり訓練してたりしていたのでタイミングが合わずこれまで誘えなかったそうだ。
勿論私がミッドに行っているなんてことは皆しらないが。
私は今週の予定を振り返ってみて特に何もない事を思い出し、特に予定はないから参加するよと答えた。
なのはの喜んでいる顔が印象的だった。
その二日後、夕方に来客が来た。
ピンポ――ン
「ん?来客?誰だろ、はーい今出ます」
「どちら様?」
やって来た来客は、
「やっほー樹また来たよ」
「アルフにフェイトじゃないかどうしたの?」
「いやー樹のご飯がまた食べたくなってね、厚かましいかもしれないけど来たんだ」
「ご、ごめんね樹。アルフがどうしてもって言うから」
「フェイトだって食べたいって言ったじゃないか」
「そ、それとこれとは別だよ」
「まぁいいよ、上がってこれから夕食を作るから」
「悪いね、お邪魔するよ」
「お邪魔します」
「リビングで待っててね」
私は二人にリビングで待つように指示した後台所に向かった。
「はい、お待ちどうさま。流石に今日来るとは思ってなかったから前ほど豪華じゃないけど我慢してね」
「樹の料理は美味しいからなんでもいいよ」
「いただきます」
今日の夕飯は野菜炒めにしめじとウィンナーのバター炒め、豚肉のアスパラ巻とごく普通である。
「「ご馳走様」」
「はい、お粗末さま」
「いやー、美味しかったよ樹」
「喜んでくれて何よりだよ」
「なぁ樹、今週もご飯を食べに来てもいいかい?」
「あーごめんアルフ、今週は友達と一緒に旅行に行くことになっているんだ」
「あらそうだったのか、それじゃ仕方がないね」
私が申し訳なく言い訳をするとアルフもあっさり納得してくれた。
「じゃあ私達はここでお暇するね」
「あ、せっかく来てくれたからお土産あげるから待ってて」
「そうかい?じゃあちょっと待ってるよ」
そう言って私は台所に向かう。
「『ドリアド、ウンディーネちょっといいかな。前、士郎さん作ったエリクサーもどきを作りたいから手伝ってくれる?』」
『構いませんよ』
『うちも問題ないわ』
「『じゃあちゃっちゃっと作って渡しましょう』」
「お待たせ。はいこれがお土産だよ、私お手製の野菜ジュース。体力回復、疲労回復更に魔力の回復にも効果がある優れもの。
幾つか作ったから親御さんにも渡してあげてね」
「こんな凄い物いいの?」
フェイトが確認するように聞いてきた。
「問題ないよ、これぐらいならいくらでも作れるから持って行って」
「何から何までありがとう樹、行こうフェイト」
「また来てね二人共、出来れば今度は親御さんと一緒にね」
「う、うん…(母さんは一緒に来てくれるかな?)」
こうして二人は帰っていった。
*************
そして旅行当日。旅行に行く人達が集まった。
詳細は高町家、月村家からすずかに忍さん、ファリンさんとノエルさん、バニングス家からはアリサだけのようだ。
どうもアリサの親御さんは仕事で忙しくて参加できなかったらしい。一緒に来れなかったのは残念だったが、アリサに訊ねてみたら
「仕方がないわ、私も一緒にいて欲しかったけど仕事だってしないといけないし。(それにちゃんと愛してくれてるし)」
アリサの言葉は一瞬寂しそうな気配を醸し出したが直ぐにその雰囲気は消えた。恐らく家族の語らいは充分にできているのだろう。
「よし、皆集まったな。それじゃあそれぞれの車に乗ってくれ、移動するからな」
士郎さんが点呼をして確認したようで皆それぞれの車に乗車した。
組み分けは私を含めた子供と士郎さん桃子さんに残りの大人組、忍さんファリンさんノエルさん恭也さん美由希さんユーノが一緒の車になった。
席の場所で一悶着あったりもしたが概ね楽しい移動になった。ユーノは移動中ずっと美由希さんが捕まえて愛でていたらしい、哀れユーノ…
そして一行は旅館に着いた。
「皆着いたぞ」
士郎さんが到着したと言ってくれたので、私達はそれぞれ自分の荷物を持ってフロントに向かった。
「これが部屋の鍵だが部屋割りは車に乗った時のメンバーで分けるからな」
この部屋割りは既に前から決めていたので皆特に反対は無くそれぞれの部屋に向かっていった。
「さて、荷物も置いたし早速温泉に浸かりに行くか、恭也も一緒に行くか?」
「そうだね俺も一緒に行くよ」
士郎さんと恭也さんが早速温泉に行くようなので私も一緒に行くと話すと、
「樹ちゃんが行くなら私も行く!」
「そうね、なら私も行くわ」
「私も行くよ」
私を含めこの部屋全員行くことになった。それを聞いた士郎さんは、
「だったら向こうにも声を掛けないとな」
と言ってもう一つの部屋に向かっていった。結果、全員温泉に行くことに。
そして脱衣所前で、
「それじゃあ俺達はこっちだから」
「また後でな」
「ユーノもこっちだね、それじゃあね」
と自然と士郎さん恭也さんそして私がユーノを抱えて男湯に入っていく。と、そこになのはが待ったをかける。
「ちょ、ちょっと待って樹ちゃん!」
「ん?どうしたのなのは」
「なんで男湯に行くの?樹ちゃんはこっちじゃないの?」
「どうして?」
「どうしてって…樹ちゃんは女の子でしょ!?」
「男だよ」
なのはの疑問に私はしっかりと男と答える。するとなのはは更に混乱し口をパクパクする。
それを見た私は恭也さんに確認をしてみた。
「恭也さんなのはに私の事を言っていなかったんですか?」
すると恭也さんはバツが悪そうにこう答えた。
「いや、それがななのは以外には樹の事は話している。で、肝心のなのはに話そうとしたら母さんが黙っていましょうって」
そう恭也さんが話したので私は桃子さんを見ると、
「そっちの方が後が面白そうだったから」
と、何でもないようにあっけらかんと答えた。その事実になのはがやっと立ち直り皆に確認をした。
「わ、私以外皆知ってたの?」
その疑問に皆は異口同音で知っていたと答えた。その直後ユーノから念話が来た。
「『い、樹って男だったの?』」
「『そうだけど?どうしたのユーノ』」
「『な、何でもないよ……』」
それ以降黙ってしまったので気にしないことにした。そしたら今度はまたなのはが疑問をぶつけてきた。
「で、でも樹ちゃんは女の子だって!?」
「私は一度も自分から女だって言ったことないけど…」
「え?え?でも…あれ?あれれ??」
なのははまだ混乱しているのかそのうち知恵熱でも出そうな雰囲気だった。そこにアリサが声を掛ける。
「落ち着きなさいなのは、樹は男よ。私だって最近知ったばかりだから」
「そうよ私も知ったのはアリサちゃんと同じ時期だったし」
「アリサちゃんとすずかちゃんは樹ちゃんが男の子って知ってたんだ」
なのははかなり落ち込んでいた。恐らく私はずっと女だと思っていたからだろう、そのことをアリサとすずかがなのはをなだめていた。
暫くしてやっと納得したのか、アリサ達と一緒に女湯に入っていた。
その様子を見ながら私は士郎さんと恭也さんに聞いてみた。
「よかったんですか?」
「母さんには勝てないんだ……」
恭也さんのその言葉が全てを物語っていた。
「そうですか…」
私はそれ以上聞こうとはせず三人+ユーノで男湯に入っていくのだった。
第24話終了です
やっとなのはがは樹が男だと理解しました
次回はお風呂回とジュエルシード争奪戦なのはVSフェイト!
……になるのかなぁ?