とある次元世界の内の宇宙空間、ここは次元航行艦【アースラ】。
現在アースラは地球にほど近い次元世界に漂っている。もし地球にいる科学者がその姿を見たらありえないと叫ぶだろう。
だがアースラは別次元に居るため通常では目視することは出来ない。たとえ出来たとしても認識障害等の魔法や技術が使われているため見破ることも難しいだろう。
アースラのブリッジでは地球のある場面がモニターに映し出されている。
なのはとフェイトの戦いである。
つい先ほどアースラは地球に到着しており、更に到着後ある場所で魔力の観測がされたため調査したのが今の戦いの様子である。
そしてその近くでロストロギアの反応もあったため艦長の指示を待っている状態だった。
「うわ、すごいわねこの子達。遠距離なので正確ではないのですがおおよそ魔力量がAAAぐらいありますよ、クロノ君より高いかも」
「魔力の高さだけが強さじゃない、あらゆる状況や戦況によって最適な行動を取らなければ強いとは言えないさ。
それでかあ…んん、艦長どうしましょうか」
「そうね……あの戦闘に介入するのは危険だけどそうも言ってられないわね、いいでしょう執務官クロノ・ハラオウンあなたに戦闘中止ための勧告を命令します」
「分かりました艦長、クロノ・ハラオウン直ちに出動します」
そう言ってクロノ・ハラオウンは転送ルームに向かう。そこに先ほどの管制官が声を掛ける。
「気を付けてねクロノ君」
「大丈夫さエイミィ、僕は執務官さある程度なら何とでもなる。じゃ行ってくる」
クロノは軽口を叩いて転送されていった。
*************
私達は現在、木の化物と戦っていた。ユーノが言うにはアレもジュエルシードが叶えた姿らしい。
ただこの化物は障壁を張っておりフェイトの攻撃はもちろん、なのはの攻撃すらも耐えて弾いていた。
そこで一時的とはいえ共同戦線をはり共闘していた。
私は相手が木の化物の為シフトはドリアドにして少しでも相手の蔦を操り被害を抑えに回っていた。
何度目かのなのはとフェイトの同時攻撃がとうとう障壁を破り遂にジュエルシードを封印する。
そこまでは良かったのだが今度はどちらがジュエルシードを手に入れるかとお互いが争うことになってしまった。
ジュエルシードの近くで暴れるなと注意していたのに二人共熱くなって周りが見えてないようだった。
「全く…二人共後でお説教だねこれは」
「本当だね樹、あれほどジュエルシードの近くで暴れないように言ったのになのはもあの子も周りが全然見えてない」
「あ~悪いね樹、フェイトは良くも悪くも素直な子だからあの白い魔導師の子に充てられてるんだろうね」
アルフが私達の近くにいるのはアルフの攻撃では障壁を破壊できなかったため私達と一緒に被害の減少を担っていたのだ。
その為連携を取りやすいように私とユーノの近くに来ていた。
そんな二人の戦いを観戦していた途中、不意に妙な胸騒ぎが沸いた。この胸騒ぎに私は覚えがあった。
ドリアドのシフト中である第六感が発動した証拠である。
ただこの第六感には自分だけでなく周囲の人物にも危機が迫っていることもあるのでそこは自己判断で判別するしかないのだ。
(でも一体誰に危機が迫っているんだ?)
[『マスターどうされましたか?』]
「『ああニンフ、いや何ねドリアドの第六感が発動したんだけど、誰に危機が迫っているのかが判らなくてね』」
[『第六感が発動したのですか?しかしジュエルシードは封印されてますし、あの二人も激しく戦っているとはいえ非殺傷設定ですなにかの間違いでは?』]
「『分からない、ただ第六感が外れたことはないから、もしもの為に何時でも魔法を撃てるように準備を進めておいて』」
[『了解ですマスター』]
ニンフとの念話を終えた後私はいつも通りノームにシフトしようとしたら、
『なぁ樹ちょっといいか』
「『ん?サラマンダーか、どうしたんだい』」
『たまには俺も暴れたんだけど』
と言ってきた。そういえばと今まで殆どサラマンダーは使っていなかったと思い出した。
流石に使ってあげないのはかわいそうだしドリアドでの第六感にはそこまで悪い予感はしないのでサラマンダーにシフトしても大丈夫と結論し
「『そうか、六感にも悪い予感はしないから今回はサラマンダーに任せるよ、言っておくけどやりすぎはダメだからね』」
『分かってるって樹任しときな』
「『じゃあいくよ【エレメンタル・シフトサラマンダー】』」
一瞬だけ私の魔力光が赤くなる、そばにいたアルフとユーノが此方を見たが気のせいかと思ったのか直ぐに二人の戦いに目を向けた。
「『ニンフ転移魔法の準備はどう?』」
[『こちらは何時でも大丈夫です』]
「『よしそれじゃそのまま事が起こるまで待機で』」
空中戦はそろそろ佳境に入ってきているのか二人共魔力を消費し息が上がってきていた。
「フェイトちゃんからお話を聞くの!レイジングハート!」
[イエス、マスター]
「私は負けられないの!バルディッシュ!」
[イエス、サー]
二人は足を止めてお互い砲撃魔法の詠唱を始めた。そして同時に魔法を放つ。
「ディバインバスター!!」
「フォトンランサー・マルチショット!!」
「ストップだ!時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンだ!此処での戦闘は危険だ!詳しい事情を聞かせてもr…ってうおおお!?」
二人の魔砲が発射されたと同時に管理局と名乗ったクロノが現れる。
「拙い!ニンフ!」
[何時でも行けます]
「座標固定、短距離転移!」
[短距離転移]
急に現れた私にクロノは慌てる。
「君、危ない!」
転移魔法の発動と共に直ぐに私はサラマンダーに協力を頼む。クロノの言葉はスルー。
「『頼むよサラマンダー!』」
『任しときな!』
「ブレイズウォール、フレイムウィップ」
私とクロノを囲むように炎の壁が発生する。フェイトのフォトンランサーは壁に衝突すると全て掻き消える。
右手から現れた炎のムチはなのはのディバインバスターに巻き付き、巻き付いたところで右手を一気に引き絞るとディバインバスターは段々細くなり遂には握り潰れるように消える。
「大丈夫でしたか?」
「あ、ああ君のおかげで無傷だ」
「ちょっと待っててくださいね、あの二人を拘束しますから……」
私の笑顔に何かに気づいたのだろう、クロノは黙って首を縦に振った。
「え、あの樹君……笑顔が怖いよ?」
「樹…なんで怒っているの?」
「言わないと分からないかな?フレイムウィップ」
私は炎のムチを二本出しなのはとフェイトに向かって繰り出した。
「うにゃぁああ――」
「フェイト――!」
「きゃ!」
なのはは捕まえたがフェイトは寸前でアルフによって回避されてしまった。
「悪い樹、あたし達は管理局に捕まるわけにはいかないんだ、それとジュエルシードは貰っていくよ!」
そう言ってアルフはフェイトを抱えたままジュエルシードを奪いそのまま転移してここから離脱した。
「フェイトとアルフは逃げちゃったか、仕方がないか」
「あのー樹君?まだ離してくれないの?」
「なのはは反省しようね。ジュエルシードの近くで暴れたらダメだって何度も言ったじゃないか」
私の言葉になのはもシュンとする。
「あうぅ、ごめんなさいなの…」
「次は勝手に暴走しないようにいいね」
私はクロノに向き直り、
「お手数を掛けました、それでどのようなご要件でしょうか」
すると虚空にスクリーンが投影されそこに女性が映される。
《クロノ、そちらの方々をアースラにお連れして》
「分かりました艦長。すまないがそちらの事情を知りたい、同行してもらえないだろうか?」
「ついて行って安全と保証はありますか?」
「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンとして安全を保証する」
「そうですか分かりました、ユーノそういうことになったけどいいかな?」
私はいつの間にか近くまで来ていたユーノに確認を取った。
「うん大丈夫だよ樹、僕としても管理局に話をしたかったし」
「よし、それじゃあ行こうか。なのはも暴れないなら拘束を解いてあげる」
「もう暴れないからこれを解いて~」
「はいはい」
なのはの拘束を解きクロノにいつでもいいですよと答える。
「ご協力感謝します。エイミィ」
《りょうか~い。転送開始するね~》
その返事と共に私達は光に包まれアースラに転送された。
第27話終了です
等々時空管理局が登場しました、ジュエルシード争奪戦は更に激しくなるのか!?
今回の魔法紹介
ブレイズウォール 術者を中心に炎の壁が立ち上る、範囲を設定することで本人以外も守る事ができる
フレイムウィップ 炎のムチ、魔力の出力を上げることでムチの長さをかなり自由にできる、長くすればするほど魔力を消費するので扱いに注意、攻撃だけではなく捕獲もできる優れもの