精霊使いの転生者   作:キジトラのヌコ

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精霊使いの転生者 28

 アースラからの転移魔法で移動した先はまさしく映画のようなセットをした機内だった。

 

 「わぁ~映画みたいなの」

 

 「うーん、これはまた何というかザ・SFってな感じですね」

 

 「す、すごい……」

 

 それぞれが似たような感想を漏らしていた。そんな私達を見ながらクロノは、

 

 「艦長室に案内するからついて来てくれ。それとバリアジャケットは解除してくれもいい。それからそこの君も元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」

 

 クロノの言葉でなのははバリアジャケットを解除する。私もバリアジャケットを解除したが見た目が殆ど変わってなかった。

 

 「なぜ君はバリアジャケットを解除しないんだい?」

 

 「え?解除してますよ。ただ単にバリアジャケットと着ていた服と同じなだけですが」

 

 「そ、そうか」

 

 「それよりユーノ元の姿とやらに戻らないの?」

 

 私がそうユーノに尋ねると、

 

 「あ、そうだった」

 

 ユーノはなのはの肩から降りると緑の光に包まれ次の瞬間には大体同い年ぐらいの少年になった。(もっとも私より背は高かったが…)

 

 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 なのはが物凄く驚いている、なぜだろうか?

 

 「驚いた?実はこの姿が僕の本当の姿さ、なのはには前に見せたと思うけど?」

 

 「知らないよ!初めて知ったよユーノ君の姿なんて!」

 

 その言葉にユーノはあれ?といった感じで首を傾げている。

 

 「なのはに会った時ってこの姿じゃなかったっけ?」

 

 「最初からフェレットだったよ!」

 

 なのはの言葉に私も同意する。

 

 「確かにフェレットだったね、私は変身魔法で姿が変わっている事が分かったけど」

 

 「そうだったの!?樹君は分かっていたの!?」

 

 「うん、そうだけど?これぐらいの魔法なら直ぐに分かるし」

 

 なのははまだ少々混乱していたがそのうち落ち着くだろう。暫くしてクロノが、

 

 「何やらお互いに勘違いがあったようだがもういいかい?」

 

 「あ、ごめんなさいもう大丈夫です」

 

 「よし、それじゃ艦長のところに案内する。ついて来てくれ」

 

 私達はクロノの先導で後をついて行く。角をいくつか曲がりやがて一つの扉の前に到着する。恐らくここが艦長室なのだろう。

 

 「艦長、クロノです」

 

 「どうぞ、入って頂戴」

 

 「失礼します。さぁ君達も」

 

 「失礼します」×3

 

 そして最初に目に入ったのは艦長ではなく、洋風なのか和風なのかよくわからない空間だった。よく見ると畳まで敷いてあった。

そして艦長と思われるリンディ・ハラオウンが畳に正座をして座っていた。

 

 「遠慮せずに座って頂戴」

 

 私達がどう反応していいか迷っていたらリンディさんから座ってくれと催促された。

 

 「あ、はい」

 

 「分かりました」

 

 「それでは遠慮なく」

 

 私達三人が座ったことでリンディさんが話し始める。

 

 「では、私が時空管理局提督 巡行艦アースラの艦長 リンディ・ハラオウンです」

 

 「先程ハラオウンと名乗りましたが、まさかクロノさんの母親ですか?」

 

 「ええ、そこのクロノ執務官の母親よ」

 

 「ふぇ~クロノ君のお母さんってすっごく若いの」

 

 (なのはの両親も充分すぎるほど見た目が若いけど…)

 

 私はそう思ったが口には出さなかった。

 

 「さて、まずはそちらの事情を聞く前にお茶にしましょう」

 

 そう言ってリンディさんは緑茶を入れていく。そして全員分入れ終わるとリンディさんが、

 

 「砂糖はいくついるかしら?」

 

 私達に砂糖はいるかと聞きながら自分の緑茶にいくつもの角砂糖を入れていく。その様子になのはは、

 

 「お茶がかわいそうなの……」

 

 「あら、どうしたの?」

 

 「いえ、私は必要ありません」

 

 その様子に私はこう話した。

 

 「なのは、緑茶に砂糖は日本じゃ珍しけど世界的にみればそれ程珍しくないんだよ」

 

 私がそう言ってあげると、

 

 「そうなの!?」

 

 なのははとても驚いた。

 

 「というわけで私は一つ貰います、何事も経験ですから」

 

 そう言って私は角砂糖を一つ摘み自分の緑茶に入れ飲む。

 

 「まぁそれ程悪くはないですね」

 

 私の言葉にリンディさん笑顔になる。

 

 「では一息ついたところで本題に入りましょう。まずはそちらの事情を聴かせてもらえるかしら?」

 

 「じゃあ僕の方から」

 

 

 

*************

 

 

 

 「そう、ジュエルシードは貴方が発掘したのね」

 

 「はい、だから僕が責任を持って回収をしないと」

 

 「立派だわ」

 

 「だが無謀でもある。何故管理局を待てなかった?」

 

 クロノの言葉になのはが答える。

 

 「ほっておくと街や大切な人達を巻き込んじゃうから、そうならないように集めて回りました」

 

 「そうでしたか……では次はこちらから」

 

 リンディは時空管理局やロストロギア、そしてジュエルシードについて話し始めた。

 

 私はその話を聞きながらある人から聞いていた話と照合していた。

管理局とは軍隊・警察・裁判所の三つを統合した強大な組織。だが、組織が大きくなればなるほど黒い噂も出るのが世の常。

あの人も自分が信頼している人物以外はあまり信用していないと常々言っていた。

リンディさんが信用できないとは限らないが一応釘を刺したほうがいいだろう。

私が思考をしているうちにリンディさんの話は終わったようだ。

 

 「次元震……それって私とフェイトちゃんがぶつかった時に起きたことですか?」

 

 なのははレイジングハートにその時の映像を再生させて確認した。

 

 「ええ、そうよたった一つであれほどの次元震を起こすの……複数を特定の方法で起動すればいくつもの平行世界が消滅するほどの次元断層が起きてしまうわ……」

 

 世界の消滅、かなり大袈裟ような気がするが神の存在を知る身としては大袈裟とは思えなかった。

 

 「そんな悲劇を起こしてはいけないわ!」

 

 「その通り」

 

 リンディさんの言葉にクロノが頷く。

 

 「これより、ロストロギア・ジュエルシードの回収については、時空管理局が全権を持ちます」

 

 「え!?でも!」

 

 「次元干渉が関わっているんだ。民間人が出る話じゃない」

 

 「まぁクロノさんの言う通りですね。あれほど危険な物を子供が持ち歩いていい訳がない」

 

 私の言葉にクロノが頷く。

 

 「でも、急に言われても気持ちの整理がつかないでしょう?一度戻って三人でゆっくり考えて後日、改めてお話しましょう?」

 

 その言葉に私はあることに気づいた。

次元干渉が関わっているほどの案件なのに、後日改めて話し合うと言った。

本来これほど危険な事が起こっているのに民間人の気持ちなど無視していいはずなのだ。

それなのに話し合うと言った。これはつまり此方から協力を取り付けていいように使う、使い勝手のいい道具にするつもりなのかもしれない。

なのははこれまでの話で自分から協力すると言い出すだろう。だが、いざという時自由に動けないと誰かを見殺しにするような事態になるかも知れない。

そんなことになったらなのはは罪の意識で潰れてしまうかも知れない。それだけは回避しなければいけなかった。

そのためにはあの人の助力が必要かもしれないな……

 

 話は終わりなのはとユーノは一度家に戻るようだ。しかし私はその場に留まった。

 

 「あら?貴女は戻らないの?」

 

 「樹君?どうしたの?」

 

 「私は少し用事があるからなのはとユーノは先に戻っていて。クロノさん二人をよろしくお願いします」

 

 「分かった、二人のことは僕が確り送っていく」

 

 そうして三人が部屋から出ていく。そして三人の気配が消えたことを確認すると、私はリンディさんに改めて向き直った。

 

 「リンディさん大事な話があるのですが、他の人に聞かせたくありません。何処か二人きりで話し合えるところありませんか?」

 

 私の雰囲気から遊びではないと気づいたのだろう。

 

 「それならここの艦長室でいいわよ」

 

 リンディさんが周りを目配せすると、まだ残っていたクルーが退室していった。

 

 「ありがとうございます。ですがサーチャーや盗聴が心配なので結界を張りたいのですがいいですか?」

 

 「構わないわよ」

 

 リンディさんから許可を貰ったのでニンフに指示して遮光と防音結界を張った。

 

 「これは…封時結界ではないわね」

 

 「ええ、ただの遮光と防音結界です。さて話なんですが…リンディさん先程の話何故あのような事を言ったんですか?」

 

 「先程というと?」

 

 「ジュエルシードの回収だけなら有無を言わずに管理局だけで回収すると言えばよかったのに、その後で一度戻って改めて話し合うと言った。

これは明らかに矛盾しています」

 

 私の指摘にリンディさんは黙ってしまった。

 

 「何も言えないのなら此方から言いましょうか?貴女はジュエルシード回収に私達を利用しようとしていた。

なにせなのはは魔力値AAAだ、上手く言いくるめて使い勝手のいい道具と考えていたんではないですか?」

 

 私の言い分に、

 

 「ごめんなさい、その通りよ。私の立場上協力の要請は出来ないの。だからこんな形で協力させようとしたのは事実です」

 

 「やはりそうでしたか。ではなぜこんなことをしたのですか?まぁ大体想像は付きますが」

 

 「恐らく貴女が思っている通りです。管理局は常に人手不足で戦力の不安があります」

 

 リンディさんの説明に私はやはりと思った。

 

 「それでどうしますか?どうしても自分から要請出来ないなら私の伝で何とかできますが」

 

 私の台詞にリンディさんは目を丸くし、

 

 「そ、そんなこと出来るんですか!?」

 

 「出来ますが、このことは誰にも言わないで下さいね」

 

 私はニンフにあの人へ通信するように指示した。直ぐに相手が出たため挨拶する。

 

 《あら樹じゃない貴方から連絡してくれるなんて珍しいわね、今日はどうしたの?》

 

 「お久しぶりです今日はちょっとお願いがあって連絡をしました」

 

 そして私は相手にこれまでのことを説明した。

 

 《そう、樹少しリンディに変わってくれるかしら?》

 

 「分かりました少しお待ちください。リンディさん通信コード**********で繋げてください」

 

 「え、ええ分かったわ」

 

 リンディさんは戸惑いながらも素直に従う。

 

 「もしもし代わりました、時空管理局次元航行船艦長リンディ・ハラオウンです。失礼ですが其方はどなたでしょうか?」

 

 《あら、ごめんなさいね自己紹介が遅れたわ。ミゼット・クローベルよ、よろしくリンディ提督》

 

 リンディさんは突然のことに慌てていた。まぁ仕方がないだろういきなり伝説の三提督の一人が相手に出たのだから。

ちなみに私の正体はミゼットには既に話していた。

ミゼットは信用と信頼の置ける相手だったので、付き合い始めてから暫くして私の正体を話したのだ。

流石に私がまだ子供だったことには驚いていたが今後もお話し相手になりましょうと言ってくれたのだ。

現在はジュエルシード事件で連絡できなかったが、今回のことで手伝って貰うことにしたのだ。

暫くリンディさんとミゼットの話し合いが続きやがて終了する。

 

 「わ、分かりました。ではそのように」

 

 「どうでしたか?」

 

 私がどうなったか聞くと、

 

 「まずはミゼット統幕議長から伝言です。『たまには遊びに来てね樹』とのことです……樹ちゃん貴女は一体何者なの?」

 

 「私は魔法が使えるだけの一介の小学生です。それで、要請の方はどうなりました?」

 

 「そうですね、ミゼット統幕議長より応援要請の指令が出されました。現地住民に協力を要請しジュエルシードにあたること」

 

 「分かりました、謹んで受けます。明日なのはにもちゃんと協力の要請をしてください」

 

 「ええ、そうします。それとミゼット統幕議長から個人的に言われたのですが、多少の独断行為は目を瞑るように指示されました」

 

 「ミゼットさん…そこまでしなくても良かったのに……分かりました、そこまで無茶な事はしませんが、もし必要な時はありがたく使わせてもらいます」

 

 こうして私とリンディさんの密談は終わった。

話が終わった後、リンディさんの様子が変わったことに気づいたクロノがどうしたのと聞き。リンディさんがミゼット統幕議長から現地住民に協力要請し事にあたりなさいと指令を受けたことを話した。

クロノは僕が離れていた短い間に何があったんだとエイミィに質問していたが、密談は私が念入りに結界を張っていたので誰も解らなかった。

 

 翌日、なのはがアースラにやって来て私も手伝わせてくださいと言う前にリンディさんが、

 

 「昨日はごめんなさい。改めて此方から協力を要請します。手伝ってくれますか?」

 

 と言い。なのははもちろん、

 

 「私も手伝わせてください!」

 

 と頭を下げ、続いてユーノも、

 

 「僕も手伝います!」

 

 と言い、クロノが、

 

 「協力してくれる以上、僕達は全力で君達を守ろう。昨日言った様にジュエルシードは危険な物だから」

 

 こうして時空管理局と協力してジュエルシードの探索が始まった。




第28話終了です
次回はフェイトサイドになります(予定)
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