精霊使いの転生者   作:キジトラのヌコ

30 / 60
精霊使いの転生者 29

 私達が管理局と協力してジュエルシードの回収をすることになったその日。

状況が状況なので学校を暫く休む事にする為、学校と親に事の次第を話すことになった。

但し、流石に学校で魔法の事は言うわけにはいけないので、魔法の事は親のみに話すことになった。

私は親がいないためそれ程問題ではないが、なのはは両親に話したところ、

 

 「そういう状況なら仕方がないわね。但し無理をしてはダメよ」

 

 という桃子さんの一言で決まったそうだ。

 

そして翌日、早速ジュエルシードの捜索に入るかと思われたのだがリンディさんが、

 

 「なのはちゃんだった?あの子の力はモニターで見ていたから実力もあると分かっているけど、貴女の実力が知りたいの」

 

 そう言ってきた。まぁ確かにリミッターを付けていたから魔力量はAなのになのはとフェイトの砲撃を防いだのが気になったのだろう。

それにもしかしたらあの時サラマンダーにシフトしていたのを魔力変換資質(レアスキル)【炎熱】として見られたのかもしれない。

 

 「どうかしら?出来ればクロノと戦闘訓練をしてみてくれないかしら」

 

 「僕からもお願いしたい。あの時助けてくれた魔法は見事だった、改めてお礼を言いたい、ありがとう。それでこの話受けてはくれないだろうか?」

 

 リンディさんとクロノに続けて迫られ流石にここで断るには流れ的に無理と判断して、

 

 「分かりました、私も魔法訓練はしてみたかったのでよろしくお願いします」

 

 ということになった。その傍らで私はサラマンダーにこの訓練でシフトをお願いしていた。サラマンダーはまた出番が来たと言って喜んでいたが。

 

 

 

*************

 

 

 

 二人の訓練をモニターしているのはリンディとエイミィ、そして手の空いていたクルー達。そしてなのはにユーノだった。

中でもリンディとエイミィは樹の事を解析しようと手元の端末をいじっていた。

 

 「エイミィいいわね樹ちゃんの解析を頼むわよ。あの子もしかしたら魔力変換資質の【炎熱】を持っているかも知れないから」

 

 「了解です艦長」

 

 そんなやり取りをしているうちに樹とクロノの訓練が始まった。

序盤はクロノが遠距離からシューターを飛ばして牽制するが、樹はそれを横に動いて躱す。

 

 「単純な攻撃じゃ魔法を使うまでもないってことね。エイミィ、樹ちゃんの魔力量の測定は?」

 

 「そうですね…今の所ランクBという感じです」

 

 「B?リミッターでも付けているのかしら、前に測定した時はたしかAだったよね」

 

 「そうです。あ、樹ちゃんが魔法を使いました、防御魔法みたいですけどクロノ君の魔法を完全に防いでいます」

 

 モニターでは樹の回避能力に業を煮やしたのかクロノが別の魔法を撃ち、それを樹が防御魔法で防いでいた。

 

 「クロノ君が最初に撃ったのはスティンガーレイ、次に魔法で防がれたのはスティンガースナイプです」

 

 「スティンガーレイはかなり早いのにそれを簡単に避けられたからスティンガースナイプで確実に補足しようとしたのね」

 

 モニターしている二人は目の前で起きている戦いを分析している。

 

 「クロノ君のスティンガースナイプは誘導式ですから樹ちゃんも回避できなかったみたいですね、それでも障壁で簡単に防がれたようですけど」

 

 訓練はクロノが魔法を放ち、樹がそれを避ける。その繰り返しだった。やがて遠距離では倒せないと悟ったのか、クロノは高速で樹に近づいていった。

 

 「あ、今度は近接戦闘みたいです。クロノ君が樹ちゃんに近づいていきます」

 

 クロノは直線で近づかず、左右に動き接近する。充分に接近したところでクロノが杖による攻撃を仕掛けた時それは起きた。

魔法も使われずにクロノは吹き飛ばされたのである。

 

 「なに!?今のは!?エイミィ!」

 

 「ちょっと待ってくださいスロー再生します!」

 

 モニターが切り替わり二人が激突する瞬間が映し出される。

画面ではクロノが杖で殴りかかる所だが、それを樹が躱しつつ踏み込みクロノの腕を取り足を払って逆さまにしたあとクロノの腹に掌底を打ち込んでいた。

 

 「すごいわね魔法は防御しか使っていないのにクロノ相手にここまで出来るなんて」

 

 「樹ちゃんの使っていた魔法の解析出ました。やはり魔力変換資質【炎熱】だと思われます、ただ少し解析結果が通常の炎熱とは違う値を示していますが」

 

 「その辺りは個人差でしょうあまり気にする必要はないわ」

 

 そう言ってリンディはマイクを取り、

 

 「《二人共訓練はそこまで、上がってちょうだい》」

 

 これにてクロノとの訓練は終了したのだった。

 

 

 

*************

 

 

 

 訓練が終了して、

 

 「樹君お疲れ様!大丈夫だった?」

 

 なのはが近づいて労ってくれた。

 

 「うん、大丈夫だよ。それにクロノさん訓練の相手をしてくれてありがとうございます」

 

 私がお礼を言うと、

 

 「いや、こちらこそありがとう。それにしてもすごいな樹はこちらの攻撃が全て防がれてしまったよ」

 

 「何言っているんですか、クロノさんはあれだけ手加減していたんですから対処できて当然です」

 

 その一言にクロノは、

 

 「あれだけの攻防で分かったのか!?」

 

 「だって魔力量はなのはと同じくらいあるのに魔法は出力を抑えていたし、魔力による身体強化もあまりしていなかったようですから」

 

 「そうなの!?樹くん!?」

 

 なのはが疑問をぶつけてきたのでそれに答える。

 

 「多分クロノさんが本気でやってきたら私じゃ勝てないね(リミッター外したらそうでもないけど)」

 

 「ふぁ~そうなんだ」

 

 なのはは納得したのかしきりに頷いていた。

結局その日は訓練のみだけで、ジュエルシードは発見できず過ぎていった。

 

 

 

*************

 

 

 

 ――ある次元世界――

 

 「母さんただいま」

 

 「フェイトお帰りなさい、少し遅かったようだけど用事はもういいの?」

 

 「ううん、少し暗礁に乗り上げたから休憩しに戻ったの。それからこれ、お土産と知り合いからの野菜ジュース」

 

 「あら、ありがとうフェイト。それじゃあこれはご飯の後で食べましょう」

 

 フェイトとアルフはここ時の庭園に戻っていた。

話は二人がクロノから転移魔法で逃げ出した直後である。

 

 

 

 「フェイト、管理局が出てきちゃったけどこれからどうしようか?」

 

 「うん、それだけど一度母さんの所に戻ろうと思うの」

 

 アルフの問いにフェイトが答える。

 

 「少し長い間戻っていないから母さんが心配だし、それに最近母さんの体が悪くなる一方のような気がするの」

 

 「確かにフェイトの言う通りプレシアの体はかなりガタが来てるかもね。あたいでも判るんだから気のせいじゃなかったんだね」

 

 そう、フェイトの母親であるプレシアは何かしらの病気に罹っていた。フェイトはそのことに数ヶ月前に気付き何とかできないかとあちこち調べていたのだ。

そして調べていくうちに現在の自分の魔法の腕前ではどうにもできないことが解ってしまった。

それでも何か無いかと調べていくうちに地球の暦で三月にジュエルシードと呼ばれるロストロギアが発掘されたことが判明した。

ジュエルシードを調べていくうちに、それには持ち主の願いを叶える力があると判明しプレシアに内緒で貨物船を襲撃したのだった。

ただ襲撃に成功はしたのはいいのだが、その影響でジュエルシードが地球にばら蒔かれてしまったのには流石にフェイトも思っていいなかったようだ。

 

 

 

 そして現在。フェイトとアルフは以前樹に貰った野菜ジュース(魔法が掛かった特別製)と地球で評判と云われている軽食屋のケーキを持参して時の庭園に戻ってきていた。

 

 「リニス食事の用意をしてちょうだい」

 

 「分かりましたプレシア準備しますね」

 

 リニスはプレシアの使い魔である。素体が猫なのか頭には猫耳とそして尻尾があり、尻尾は気分がいいのか僅かに振れていた。

そして食事が用意され家族四人で食事をする。

食事が終わった後、プレシアはフェイトにこれまで何をしていたかを尋ねていた。

フェイトはジュエルシードのことをぼかしつつこれまでのことを話していた。

その様子にプレシアは何かを隠していることは直ぐに分かったがフェイトの自主性を尊重して黙っていた。

 

 「それでねこの野菜ジュースを樹って子が作ってくれたの」

 

 いつの間にか話題は樹のことになっていた。

 

 「へぇ格闘でアルフに勝ったというのもすごいけど、料理もすごくできるのね。それでいて魔導師だったと……なんだか私もその子に会ってみたくなったわね」

 

 「私はフェイトの魔法を簡単に防いだのが気になりますね。フェイトから聞く限り魔力量は大体Aランクらしいですから」

 

 「あら、防御が得意ならそれ程可笑しくはないはずよ。むしろ魔法を使わずにアルフを圧倒できる方が驚くわ」

 

 プレシアとリニスは樹を高く評価していた。ただ、一度も会っていないのにそこまで評価するのはいかがとは思うが。

そんな話も交えてさらに夜は更けていく。

 

 

 

 「プレシアそろそろ時間ですよ」

 

 「……あら?もうそんな時間なの?フェイト今日はもう遅いから寝なさい」

 

 いつの間にか長く話していたらしい。リニスはプレシアに今日の話はここまでにしましょうと促した。

 

 「分かりました母さん、行こアルフ」

 

 狼状態で待機してプレシアとリニスに撫でられていたアルフは起き上がりフェイトに着いていった。

そして二人が見えなくなって部屋に入ったのを確認したその時。

 

 「…!…ッゴフゴホ…」

 

 「!プレシア大丈夫ですか!?」

 

 「ええ、平気と言いたい所だけど…私の体はもうもちそうにないわね」

 

 「仕方がありませんプレシアの体は今こうして立っているだけでも不思議なほどひどい常態なのですから」

 

 「それもそうね……でもまだ諦めるわけにはいかないわあの子の為にもね……そういえばフェイトが持ってきたこの野菜ジュースはまだ飲んでなかったわね。

ちょうどいいから薬はこのジュースで飲みましょう。2本あるみたいだから貴女も飲みなさい」

 

 「はいプレシア」

 

 そう言ってプレシアとリニスは一緒に樹が作った野菜ジュース(特製)を飲む。

 

 「「……!!?」」

 

 

 

 翌朝。朝食の後フェイトがまだ用事が終わってないからまた出掛けると言うと。

 

 「フェイト、たしか野菜ジュースを作ったのは樹って言ってかしら?」

 

 「?うん、そうだよ母さん」

 

 「もしよかったらその子を家に連れてきてくれないかしら」

 

 「え?いいけどどうして?」

 

 「ちょっと気にna…いえフェイトがお世話になったからお礼を言いたいのよ」

 

 フェイトは最初の言葉に少し疑問に思ったが直ぐに思い直し、

 

 「分かった、何とか話して来てくれるか聞いてみるね」

 

 「よろしくねフェイト」

 

 「アルフ行くよ」

 

 「はいよフェイト。座標固定空間転移」

 

 そしてフェイトとアルフは再び地球に転移した。その途中、プレシアの顔色がいつもより良かった気がしたのは何故だろうと内心で首を傾げていた。

 

 「……行きましたね」

 

 「そうね……出来ればあの野菜ジュースについて何か解かればいいのだけれど」

 

 「そうですね、ただの野菜ジュースかと思ったら魔法薬だったとは思いませんでした。プレシア、体の方はどうです?」

 

 「今までより遥かに体が軽いわ、治ったわけではないけれどね。魔力も僅かに上がって更に肉体の抵抗力も上がっているようね。

正直、今の私ではここまで効果のある魔法薬は作れないわ」

 

 プレシアの言葉にリニスも頷く。

 

 「後はフェイトが樹って子を上手く連れてきてくれるかどうかね…」

 

 二人はフェイトとアルフが転移した空間を何時まででも眺めていた。




第29話終了です
今回はアースラでの模擬戦とフェイト陣営の実情を書きました
私の小説ではフェイトとプレシアは基本仲の良い家族になっています
その為原作では既に亡くなっていたリニスはまだ健在しています
また、ジュエルシードを求める理由もプレシアに言われてではなく、フェイト自身がプレシアの病気を治す為に自主的に集めるということになりました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。